2022年1月24日(月)ドル円初心者戦略と結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

注目材料

1. 米利上げやバランスシート縮小
本日のCME FedWatchでは、3/15~16 FOMCで25-50bps(88.2%)かつ50-75bps(5.2%)利上げ予想となっています。1/211/23のBloomberg報道で年内利上げ3~4回との主張も出ています。

今週1/25~26 FOMCで予想以上の1回の利上げ率、年内利上げ回数、バランスシート縮小計画が提示されればサプライズとなり、リスクオフ円買いが強くなり、ドル円急落の可能性があると考えます。

先週、「米利上げ期待→米長短金利上昇→ドル買い」だけでなく、利上げ警戒で「日米先物、株価指数下落→円買い」、つまり「ドル買い円買い」が同時に発生することが多く、ドル円は大きく上下に振れて方向性が分かりにくい週でした。今週もFOMC通過までは同じような状況が続きそうです。


2.ウクライナ情勢
先週から「ロシアはいつでもウクライナを攻撃する可能性がある」「非常に危険な状況」との報道(1/18)、ウクライナ駐留外交官家族の国外退避について検討の報道(1/21)もあり、ウクライナ情勢の緊張が高まったと言えます。
1/19には安全資産のゴールドが突如急騰しましたが、この地政学リスクを反映した可能性があります。
今週も、突発的な報道で「地政学リスク→強い円買い→ドル円下落」に注意したいです。

マーケットの動き

東京マーケット前

7:00 取引開始時間
ドル円始値:113.664。ギャップダウンスタート。

8:26 報道(Trader’s web FX)
米国務省「ロシアがウクライナに対して大規模な軍事行動を検討しているとの報告」


【考察】
リスクオフ材料。「日経平均株価下落→円買い→ドル円下落」に要警戒

東京マーケット(9:00~15:00)
先週末の米国株価指数の下落と、警戒していたオープン直前の米国務省報道(ロシア軍事行動検討)も相まってか、日経平均株価もギャップダウンスタート。

その後は、徐々に「日経平均株価上昇→円売り」と「時間外米国債10年利回り上昇→ドル買い」のドル買い円売りで、仲値通過後もドル円上昇しました。

しかし、引け直前にドル円4H押し安値114.469に到達し、15M足200MA到達時に包み足を形成してからは急落。「強い円買い→クロス円急落→ドル円急落」となりました。
この理由として「ウクライナ情勢を巡る警戒感→リスクオフ円買い」の可能性が考えられます。

欧州マーケット(17:00~1:30)

22:01 報道(Bloomberg)
トヨタ、コロナ拡大で工場稼働停止を延長-減産規模は計6万5000台に


【考察】
1/20報道に引き続き、日本経済へのマイナス材料。
「1/26(火)日経平均株価ギャップダウンスタート→円買い→ドル円下落」に要注意。

22:30 経済指標
米国シカゴ連銀全米活動指数1月度:前回0.37、予想-0.43、結果-0.15

【見通し】
米国経済活動全体とインフレ圧力評価の指標です。注目度は低い指標ですが、インフレ圧力の影響がどれほど出ているか気になる点です。

【考察】
予想より良かったものの前回値を大きく下回って、2021年10月度-0.13以来のマイナス値でした。

NYマーケット(23:30~6:00)

【見通し】
先週に引き続き、1/25~26のFOMCを控えてFRB当局者が金融政策についての発言を禁じられるブラックアウト期間に入り金融引き締めが警戒されるような材料は出にくくなる見込みです。
しかし、FOMCに向けての米利上げ織り込みで「米国債利回り上昇→ドル買い」と「米株価指数下落→円買い」が考えられます。ドル買い円買いとなればドル円の方向性が定めにくいため様子見します。

23:45 経済指標
米国製造業PMI 1月度:基準50、前回57.7、予想56.8、結果55.0

米国サービス業PMI 1月度:基準50、前回57.6、予想55.0、結果50.9
【見通し】
サプライズの結果が出ても、ドル円の動きは一時的と想定できますので確認のみの予定です。

【考察】
前回かつ予想より低い数値でしたがドル円に大きな反応はありませんでした。
しかし、米国サービス業PMIが基準50ぎりぎりに迫っていることや、
「米経済は失速寸前、マークイットPMI指数が示唆-オミクロン株重し」との報道(Bloomberg)報道もあり2月度の結果には注目が集まりそうです。

0:06 報道(産経新聞)
NATO、東欧に派兵へ ウクライナ情勢緊迫化

0:14 報道(Reuters)
欧州社債のCDSが急上昇、12月上旬以来の高水準


【考察】
相次ぐウクライナ情勢に関するリスクオフ材料。

3:00 経済指標
米国2年債入札:540億ドル。

【見通し】
入札良好なら米国債利回り低下、入札不調なら米国債利回り上昇です。
1/11米国債3年債入札は好調、1/12米国債10年入札は不調、1/13米国30年債入札不調、1/20 米国債20年入札は好調となっています。短期債入札好調で長期債入札は不調の傾向がありますので、米国2年債入札も好調で利回りは低下する可能性があります。

【考察】
最高落札利回り0.990%。極めて強い需要で「米国債2年利回り低下→ドル売り」、「米国主要3指数上昇→円売りでなく何故か円買い」、「ドル売り円買い→ドル円下落」となりました。

4:21 要人発言(Trader’s web FX)
サキ米大統領報道官「米軍がウクライナから米国人を退避させる計画はない」

【考察】
リスクオフ後退材料。この材料だけとは考えにくいですが、急速に、「米国債売り→米国債利回り2年,10年急騰→ドル買い」と「米国3指数急騰→円売り」から、「ドル買い円売り→ドル円上昇」へ転換しました。1/25~26のFOMC控えて市場参加者が少なくなった状況で大口投資家の仕掛けが入ったのかも知れません。

通貨強弱

引け時点の通貨強弱順位
1. USD(基軸通貨):前日4位
2. EUR(リスクオン通貨):前日3位
3. NZD(資源国リスクオン通貨):前日7位
4. CHF(リスクオフ通貨):前日1位
5. JPY(リスクオフ通貨):前日2位
6. CAD(資源国リスクオン通貨):前日6位
7. AUD(資源国リスクオン通貨):前日8位

8. GBP(リスクオン通貨):前日5位

本日はリスクオンとリスクオフ通貨の強弱が入り混じりましたが、前日1/21(金)に対してCHFとJPYの順位が下がったことから、引けに掛けてややリスクオフが後退したと考えます。

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

米国債イールドカーブ

  • 1/24(月)は1/21(金)とほぼ同じ金利推移でした。
  • 2021年1月FOMCから2022年1月までに利回りが大きく上昇している(特に短期、中期)
  • 2021年12月FOMCには、20年と30年利回りが逆イールドしており現在も継続中
  • 2022年1月FOMC議事要旨公表後も利回り上昇中

材料まとめ

ドル買い材料

  • 金融政策
    • 政策金利:2021.12.15 FOMCで2022年末までに0.25%ずつ3回利上げ方針
    • 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→織り込み増加
    • 1/25~26 FOMC予想:3月利上げ開始、利上げ予想1回(0.25%)
    • 日米金利差拡大:米国は金融引き締め、日本は金融緩和継続
  • 政治、経済
    • 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み→米国債金利上昇
    • 米国インフレが一時的(transitory)でなく持続的:エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇→利上げ観測前進
    • 米国雇用統計(1/7):失業率(ほぼ完全雇用)と平均時給が良好。→インフレ懸念
    • 高インフレに伴うバイデン政権支持率低下
  • 要人発言
    • 米国金融当局者の相次ぐタカ派発言。一般的にはドル買い材料のはずですが、最近はドル売りで反応することも多く、材料としての判断が難しい。
  • 新型コロナ
    • オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
    • ワクチンや経口薬開発が進んでいる→経済活動回復期待
    • FDAワクチン諮問委員:オミクロン株のピークは2~3週間の見込み

ドル売り材料

  • 金融政策
    • 1/25~26FOMC予想:3月利上げ開始、利上げ0.5%以上、2022年利上げ回数4回以上。一部金融関係者から強烈なタカ派予想あり。もし、その通りになれば「トリプル安(株、債券、ドル)→ドル売り→リスクオフ円買い」の可能性高い。
  • 政治、経済
    • 米国貿易赤字が過去最大規模
    • 米国小売売上高(1/14):サプライズの弱い数値。米国GDP悪化の懸念大。
    • 世界経済が回復する中、欧州株、アジア新興市場株や債券、資源国通貨、金や銀に資産を移すべきとのマネーマネージャーが増えているとの報道(1/13, Bloomberg)
    • 気候変動・社会保障関連歳出法案:マンチン上院議院反対で採決先送り
    • 中国春節の7連休(1/31~2/6):中国国内での消費のためにドル保有投資家や企業がドルを人民元に両替。中国の経済規模は大きいたドル売り人民元買いの影響が大きいと推測。
  • 新型コロナ
    • オミクロン株の感染拡大や重症化リスクが払拭されていない→経済活動停滞や景気回復鈍化懸念→利上げ時期後退の可能性
    • オミクロン株はデルタ株より入院率は低いが医療システム逼迫懸念
    • 米国内のワクチン接種率向上しない、マスクをしない人も多い→感染拡大で人員不足
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係悪化
    • ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化:ロシア、米国、NATOの協議不調。ロシアのウクライナ侵攻の懸念増大→ロシア制裁でドル決済が使えなくなったら、ロシアはドル売り中国人民元買いの可能性

円買い材料

  • 金融政策
    • 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリングとも考えられます。
    • 1/25~26FOMC予想:3月利上げ開始、利上げ0.5%以上、2022年利上げ回数4回以上。一部金融関係者から強烈なタカ派予想あり。もし、その通りになれば「トリプル安(株、債券、ドル)→ドル売り→リスクオフ円買い」の可能性高い。
  • 要人発言
    • 山際経済再生大臣「新しい資本主義は株価を意識しません」(1/13, プライムニュース)
  • 新型コロナ
    • 世界中で新型コロナのオミクロン株感染拡大:英国やドイツでもロックダウンが実施されるようなら株価下落でリスクオフ円買いあり得る。
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化。1/18 ホワイトハウス「ロシアはいつでもウクライナを攻撃する可能性がある」「非常に危険な状況」
    • 北朝鮮の軍事行動:ミサイル発射は1月に4回
  • IMM通貨先物
    • 1/18時点、円ショート縮小(ネット-80,879、前週比+6,646)

円売り材料

  • 金融政策
    • 2021.12.17 に引き続き、2022.1.18日銀金融政策決定会合で、政策金利-0.1%維持、金融緩和継続、必要なら追加緩和方針。
    • 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い。
  • 要人発言
    • 2022.1.18 日銀金融政策決定会合で、黒田総裁「利上げや緩和的な政策変える必要ないし議論もない」
  • 経済
    • 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
  • 新型コロナ
    • 日本国内での新型コロナ感染急拡大(1/19, 全国で初の4万人超感染)
    • 日本政府 「まん延防止等重点措置」 13都県に1/21から適用。期間は1月21日から2月13日の約3週間。25日には8都府県追加予定。
    • トヨタ、コロナ拡大で工場稼働停止を延長-減産規模は計6万5000台に(1/24, Bloomberg)

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: トレンドラインで反発し上昇トレンド継続中ですが、トレンドラインまで下落。下値目処は月足押し安値113.051。上値目処は2017年1月の118円台前半。
  • 週足: 先週は上ヒゲ陰線で引けており、トレンドラインを下抜けしつつあり。下値目処は押し安値112.818。トレンドラインから反発上昇すれば上値目処は115.534。
  • 日足: 下降トレンド中のため、トレンドライン上抜けまでは下目線。
    トレンドラインと日足押し安値113.571直前まで下落しており、113.571到達後は反発上昇の可能性あり。上値目処は日足トレンドライン付近の抵抗114.128。
    113.571下抜ければ下値目処は週足押し安値112.818。
  • 4H足: 下降チャネル中ですが、直下に4H足抵抗113.571があるため反発に要警戒。
    チャネル上限かつ4H足戻り高値113.961上抜ければ、上値目処は日足トレンドライン付近の抵抗114.128。その上は200MA付近かつチャネル起点114.469。
    日足押し安値113.571下抜ければ下値目処は週足押し安値112.818。
  • 1H足: 下降チャネル中。
    戦略は4H足と同じ。
  • 15M足: レンジ推移。ボリンジャーバンドがスクイーズ中。戦略は4H足や1H足と同じ。

【シナリオ】
(A) 4H足戻り高値113.961上抜ければロング狙い。上値目処は日足トレンドライン付近の抵抗114.128。その上は4H足200MA付近かつチャネル起点114.469。
(B) 日足押し安値113.571下抜ければショート狙い。下値目処は週足押し安値112.818。

【考察】
4H足戻り高値113.961と日足押し安値113.571間を綺麗にレンジ推移しておりノーエントリー。今後はレンジ上下限が50pips以上ある場合、レンジトレードを検討に含めてみたい。

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