ドル円トレードだけでなく、今後他通貨やコモディティー取引に向けて、幾つかの通貨の材料も少しづつまとめたいと思います。
今の時点では、集めた材料のほとんどはドル円動きの後付けとなっており、トレードに活かせていませんが、少なくとも世界の政治や経済等の勉強にもなると割り切って整理します。
ドル(USD)
ドル買い材料
- 金融政策
- 政策金利:2021.12.15 FOMCで2022年末までに0.25%ずつ3回利上げ方針
- 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→織り込み増加
- 1/25~26 FOMC予想:3月利上げ開始、利上げ予想1回(0.25%)
- 日米金利差拡大:米国は金融引き締め、日本は金融緩和継続
- 政治、経済
- 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み→米国債金利上昇
- 米国インフレが一時的(transitory)でなく持続的:エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇→利上げ観測前進
- 米国雇用統計(1/7):失業率(ほぼ完全雇用)と平均時給が良好。→インフレ懸念
- 高インフレに伴うバイデン政権支持率低下
- 要人発言
- 米国金融当局者の相次ぐタカ派発言。一般的にはドル買い材料のはずですが、最近はドル売りで反応することも多く、材料としての判断が難しい。
- 米国金融当局者の相次ぐタカ派発言。一般的にはドル買い材料のはずですが、最近はドル売りで反応することも多く、材料としての判断が難しい。
- 新型コロナ
- オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
- ワクチンや経口薬開発が進んでいる→経済活動回復期待
- FDAワクチン諮問委員:オミクロン株のピークは2~3週間の見込み
ドル売り材料
- 金融政策
- 1/25~26FOMC予想:3月利上げ開始、利上げ0.5%以上、2022年利上げ回数4回以上。一部金融関係者から強烈なタカ派予想あり。もし、その通りになれば「トリプル安(株、債券、ドル)→ドル売り→リスクオフ円買い」の可能性高い。
- 1/25~26FOMC予想:3月利上げ開始、利上げ0.5%以上、2022年利上げ回数4回以上。一部金融関係者から強烈なタカ派予想あり。もし、その通りになれば「トリプル安(株、債券、ドル)→ドル売り→リスクオフ円買い」の可能性高い。
- 政治、経済
- 米国貿易赤字が過去最大規模
- 米国小売売上高(1/14):サプライズの弱い数値。米国GDP悪化の懸念大。
- 世界経済が回復する中、欧州株、アジア新興市場株や債券、資源国通貨、金や銀に資産を移すべきとのマネーマネージャーが増えているとの報道(1/13, Bloomberg)
- 気候変動・社会保障関連歳出法案:マンチン上院議院反対で採決先送り
- 中国春節の7連休(1/31~2/6):中国国内での消費のためにドル保有投資家や企業がドルを人民元に両替。中国の経済規模は大きいたドル売り人民元買いの影響が大きいと推測。
- 新型コロナ
- オミクロン株の感染拡大や重症化リスクが払拭されていない→経済活動停滞や景気回復鈍化懸念→利上げ時期後退の可能性
- オミクロン株はデルタ株より入院率は低いが医療システム逼迫懸念
- 米国内のワクチン接種率向上しない、マスクをしない人も多い→感染拡大で人員不足
- 地政学リスク
- 台湾情勢を巡る米中関係悪化
- ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化:ロシア、米国、NATOの協議不調。ロシアのウクライナ侵攻の懸念増大→ロシア制裁でドル決済が使えなくなったら、ロシアはドル売り中国人民元買いの可能性
円(JPY)
円買い材料
- 金融政策
- 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリングとも考えられます。
- 1/25~26FOMC予想:3月利上げ開始、利上げ0.5%以上、2022年利上げ回数4回以上。一部金融関係者から強烈なタカ派予想あり。もし、その通りになれば「トリプル安(株、債券、ドル)→ドル売り→リスクオフ円買い」の可能性高い。
- 要人発言
- 山際経済再生大臣「新しい資本主義は株価を意識しません」(1/13, プライムニュース)
- 山際経済再生大臣「新しい資本主義は株価を意識しません」(1/13, プライムニュース)
- 新型コロナ
- 世界中で新型コロナのオミクロン株感染拡大:英国やドイツでもロックダウンが実施されるようなら株価下落でリスクオフ円買いあり得る。
- 世界中で新型コロナのオミクロン株感染拡大:英国やドイツでもロックダウンが実施されるようなら株価下落でリスクオフ円買いあり得る。
- 地政学リスク
- 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化。1/18 ホワイトハウス「ロシアはいつでもウクライナを攻撃する可能性がある」「非常に危険な状況」
- 北朝鮮の軍事行動:ミサイル発射は1月に4回
- IMM通貨先物
- 1/18時点、円ショート縮小(ネット-80,879、前週比+6,646)
円売り材料
- 金融政策
- 2021.12.17 に引き続き、2022.1.18日銀金融政策決定会合で、政策金利-0.1%維持、金融緩和継続、必要なら追加緩和方針。
- 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い。
- 要人発言
- 2022.1.18 日銀金融政策決定会合で、黒田総裁「利上げや緩和的な政策変える必要ないし議論もない」
- 2022.1.18 日銀金融政策決定会合で、黒田総裁「利上げや緩和的な政策変える必要ないし議論もない」
- 経済
- 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
- 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
- 新型コロナ
- 日本国内での新型コロナ感染急拡大(1/19, 全国で初の4万人超感染)
- 日本政府 「まん延防止等重点措置」 13都県に1/21から適用。期間は1月21日から2月13日の約3週間。25日には8都府県追加予定。
- トヨタが従業員の感染拡大で国内で最大11工場停止(1/20, 日経新聞)
ユーロ(EUR)
ユーロ買い材料
- 金融政策
- 2021年12月ECB理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を予定通り2022年3月終了と決定→テーパリング
- 政治、経済
- 欧ZEW, 独ZEW景況感指数1月度(1/19):2021年7月以来の強い数値でサプライズ→新型コロナからの回復期待
- 独生産者物価指数12月度(1/20):(前月比)前回・予想+0.8%、結果+5.0%と、予想から大きく上振れ→インフレ懸念
- 要人発言
- 1/19 ビルロワドガロー仏中銀総裁(1/19):「仏経済の成長は順調だが、インフレは高すぎる」→利上げ期待
- IMM通貨先物
- 1/18時点、ユーロロング拡大(ネット+24.584、前週比+18,579)
ユーロ売り材料
- 政治、経済
- 英国とEUの北アイルランド議定書議論難航
- ドイツエネルギー当局:ノルドストリーム2(独露間をつないだ天然ガスパイプライン)稼働前の認証プロセス停止→天然ガス価格高騰→ユーロ圏景況悪化懸念
- 要人発言
- デコス・スペイン中銀総裁(1/20):「2022年にECBの利上げは予想しない」
- ラガルドECB総裁(1/20):「ユーロ圏のインフレが2022年中に安定し鈍化していく」見通し→利上げ期待後退
- 新型コロナ
- オミクロン株感染拡大→経済活動停滞、景気回復鈍化→利上げ時期後退の可能性
- 地政学リスク
- ポーランドとオランダの軍事衝突警戒感
- ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化:ロシアとNATOが協議を重ねたが妥協点に到達できず
総じて、ウクライナ情勢が更に悪化すればユーロ売り優勢、そうでなければユーロ買い優勢と推測します。
ポンド(GBP)
ポンド買い材料
- 金融政策
- イングランド銀行(BOE)の2月追加利上げ期待
- 政治、経済
- 11月英国GDPが前月比0.9%増と予想の0.4%増、その他の経済指標も全体的に回復傾向一時帰休労働者賃金の補助終了後も労働市場が好調英国のガス価格急騰、光熱費は更に値上がり見込み
- 英国雇用者数12月度が過去最大の伸び、英国ILO失業率11月度は2020年6月以来の低水準→労働市場の力強い回復。
- 英国消費者物価指数・生産者物価指数・小売物価指数12月度は総合的に高い数値。消費者物価指数前年比は30年ぶりの高水準→インフレ懸念再燃→英中銀(BOE)の早期追加利上げ前進
- 要人発言
- ベイリー英中銀(BOE)総裁(1/19):「インフレ見通し悪化」「賃金上昇圧力懸念」→タカ派強化→追加利上げ期待
- 新型コロナ
- 英国のコロナ制限措置の解除を発表(1/19)
- IMM通貨先物
- 1/18時点、ショート大幅縮小(ネット-247、前週比+28,919):ネットの分岐点に近づいておりトレンドが変わる可能性あり。
ポンド売り材料
- 政治、経済
- 北アイルランド議定書の効力停止懸念
- ロックダウン下でのパーティー開催でジョンソン英首相への辞任要求が高まっている→可能性は低いが、仮に辞任すれば政情不安
- 英国小売売上高12月度:サプライズの弱い数値
- 要人発言
- ベイリー英中銀(BOE)総裁(1/19):「インフレのいくつかの側面は一時的なもの」→利上げ期待後退
総じて、ポンドは買い材料が優勢と推測します。
豪ドル(AUD)
豪ドル買い材料
- 政治、経済
- 豪雇用統計12月度(1/20):雇用者数と失業率改善→豪州大手金融機関は利上げ予想を前倒し→1/25(火)豪CPI良ければ利上げ期待前進
- 中国人民銀行が最優遇貸出金利(ローンプライムレート)引き下げ→中国経済回復期待→中国経済の影響を大きく受ける豪州経済回復
- 要人発言
- モリソン豪首相(1/10):今までのゼロコロナ政策を止めて、ロックダウンせずに経済活動回復を優先する。
- IMM通貨先物
- 1/18時点、ショート縮小(ネット-88,454、前週比+3,032)
- 投機筋のネットショート高水準:ポジションが偏り過ぎた場合、巻き戻しが始まると豪ドル買いが加速する危険性あり。
豪ドル売り材料
- 新型コロナ
- 中国が新型コロナ感染拡大抑制のために、春節休暇(1/31~2/6、7連休)中、北京市民に移動を控えるよう呼びかけ→中国消費減速、景気悪化→中国への輸出依存度が高い豪州景気悪化懸念
総じて、豪ドルは買い材料が優勢と推測します。
カナダドル(CAD)
カナダドル買い材料
- 金融政策
- カナダ中銀(BOC)政策会合(10/27)で資産買い入れプログラム終了発表、2022年4月利上げ示唆→市場では2022年3月最初の利上げ、2022年中に4回の利上げとの見方
- 政治、経済
- 冬季の原油供給逼迫→原油先物WTIは約7年ぶり高水準→原油先物堅調
- OPEC+の閣僚級会合で小幅増産方針維持で合意
- カナダ消費者物価指数12月度(1/19):前年比4.8%。30年ぶり高水準、9か月連続でBOCのインフレ目標(1~3%)を超えている。BOCが景気を判断するCPIコロン+2.1%で2012年以来の高い数値
- BOC調査公表(1/17):国内企業が人材不足感や賃金圧力上昇の見方。需要増とサプライチェーン停滞が原因
- 新型コロナ
- オミクロン株重症化リスク低い→景気回復に伴るエネルギー需要増→原油相場堅調な動き→産油国通貨下支え。
- IMM通貨先物
- 1/18時点、ロング拡大(ネット+7,492、前週比+14,868)
カナダドル売り材料
- 金融政策
- BOCはインフレは一時的との見解で利上げ早期期待を牽制。
総じて、カナダドルは買い材料優勢と推測します。
中国人民元(CNH)
中国人民元買い材料
- 政治、経済
- 中国春節の7連休(1/31~2/6):中国国内での消費のためにドル保有投資家や企業がドルを人民元に変えたい。中国の経済規模は大きいたドル売り人民元買いの影響が大きいと推測。
- 地政学リスク
- ウクライナへロシア侵攻すれば米国制裁→ロシア産原油のドル建て決済不可→ロシアがドル売り、友好的国の中国人民元買いに向かう可能性
中国人民元売り材料
- 金融政策
- 中国人民銀行が最優遇貸出金利(ローンプライムレート)引き下げ
- 政治、経済
- 中国実質GDP第4四半期、小売売上高12月度鈍化
総じて、中国人民元は買い材料優勢と推測します。
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