ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
注目材料
1. 先週米国、金融当局者のタカ派発言相次ぐ
米国FRBの金融引き締め方針前進⇒強いドル買い継続
2.円売り加速
①日本の金融緩和継続(3/28に日銀指し値オペ通告)、②安全資産としての円魅力低下、③日本の経済成長率低下、④日本の貿易収支悪化(特にエネルギーや食料価格高騰)が円売り要因。
①~④のいずれも改善が見えないことから、円売りが続く可能性が高い。円売り勢の決済で円買いが入っても一時的になると考えます。
一方、125円台は黒田日銀総裁が2015年6月に懸念を示した「黒田ライン」と呼ばれており高値の目処となっている可能性あり。3/28も125.108到達からドル円急落を示しました。今後も125.000が強いレジスタンスとして意識されると考えます
3. ウクライナ情勢緊迫化
3/28もリスクオフが高まるような要人発言が相次ぎましたがドル円への影響見られず。
本日停戦交渉予定ですがサプライズの停戦合意以外はドル円への影響は小さいと考えます。
注目材料1.と2.から、本日もドル買い円売りによるドル円上昇しやすいと考えます。
マーケットの動き
東京マーケット前
6:00 取引開始
・ドル円: 123.660 (前営業日終値 123.899 からギャップダウンスタート) 直ぐに窓埋めしたことから上昇は強そう。
8:30 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
日本雇用統計2月度
完全失業率:前回2.8%、予想2.8%、結果2.7%(◎)
有効求人倍率:前回1.20倍、予想1.20倍、結果1.21倍(◎)
東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円: 123.603
・日経平均株価: 28173.43 (前日営業日終値 27943.82 )
・TOPIX 1985.39 (前日営業日終値 1973.37 )
株価指数はギャップアップスタート
9:48 要人発言
鈴木財務相
「悪い円安にならないよう注視」
「金融政策は日銀に期待」
【考察】急速な円安への牽制発言だが弱い表現か。
9:55 仲値
・ドル円: 124.179
10:04 要人発言
松野官房長官
「為替の急速な変動は望ましくない」
【考察】急速な円安への牽制発言で円買い
10:15 報道
日銀、本日1回目の指値オペ通告
12:44 報道
日銀、本日2回目の指値オペ通告
13:27 要人発言
雨宮日銀副総裁
「日本の消費者物価指数は欧米より上昇鈍い」
「4月以降の消費者物価指数は、エネルギー価格の上昇で2%程度上昇の可能性」
【考察】急速な円安への牽制発言なしで円安容認。
14:08 要人発言
神田財務官
「為替の安定は重要で急激な変動は望ましくない」
【考察】急速な円安への牽制発言にも関わらず円売り継続
15:00 クローズ
・ドル円: 123.599
・米国債2年利回り: 2.401 %
・米国債10年利回り: 2.472 %
・日経平均株価: 28252.35 (前営業日比 +308.53 、 +1.10 %)
・TOPIX 1991.66 (前営業日比 +18.29 、 +0.93 %)
欧州マーケット(17:00~25:30)
17:00 オープン
・ドル円: 123.571
・米国債2年利回り: 2.415 %
・米国債10年利回り: 2.481 %
20:45 要人発言
ウクライナ交渉官
「ゼレンスキー大統領とプーチン大統領の会談の可能性あり」
【考察】今までになかったサプライズのリスクオフ後退材料。
20:48 要人発言
ロシア国防省
ウクライナの首都キエフなど同国北部での軍事作戦を大幅に縮小する。
【ウクライナ】停戦合意なく交渉終了、安全保障確約など要求は明確化(Bloomberg)
【考察】停戦合意には至っていないもののリスクオフ後退材料。
22:00 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国S&Pケースシラー住宅価格1月度:前回18.56%、予想18.55%、結果19.10%(◎)
米ケース・シラー住宅価格、1月は前年比19.1%上昇 伸び加速(Reuters)
米国住宅価格指数1月度:前回1.2%、予想1.3%、結果1.6%(◎)
【考察】住宅関連指標が強い数値→インフレ期待前進→米利上げ→ドル買い材料。しかし、米国債2年と10年利回り逆イールド発生で景気後退懸念のためかドル売り優勢。
NYマーケット(22:30~29:00)
22:30 オープン
・ドル円: 122.782
・米国債2年利回り: 2.355 %
・米国債10年利回り: 2.422 %
・ダウ平均: 35114.35 (前営業日終値 34955.9 )
・S&P500: 4602.86 (前営業日終値 4575.51 )
・ナスダック: 14500.39 (前営業日終値 14354.91 )
23:00 経済指標
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数3月度:前回110.5、予想107.0、結果107.2(○)
米消費者信頼感指数、3月は小幅上昇-堅調な雇用市場が下支え(Bloomberg)
米国JOLT2月度:前回1128.3万件、予想1100.00万件、結果1126.6万件(○)
米求人件数、過去最高付近にとどまる-自発的離職者は小幅増加(Bloomberg)
【考察】雇用堅調、求人過去最高水準ということは、3/30米国ADP雇用者数や4/1米国雇用統計も強い数値が期待できそう。そうなればドル買いドル円上昇期待あり。
24:21 要人発言
米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁
「今年7回利上げ想定」
「5月会合で0.50%利上げ排除しない」
フィラデルフィア連銀総裁、次回0.5ポイントの利上げも排除せず(Bloomberg)
【考察】タカ派発言ですが、米国金融当局者の0.50%利上げ言及が続いているためかドル買い小。
25:30 欧州クローズ
・ドル円: 122.662
・米国債2年利回り: 2.383 %
・米国債10年利回り: 2.407 %
26:00 経済指標
米国7年債入札470億ドル:前回1.905%、結果2.499%(✕)
【考察】入札不調で7年債利回り上昇。ドル買いでややドル円上昇。
29:00 NYクローズ
・ドル円: 122.871
・米国債2年利回り: 2.361 %
・米国債10年利回り: 2.396 %
・ダウ平均: 35294.14 (前営業日比 +338.28 、 +0.97 %)
・S&P500: 4631.61 (前営業日比 +56.10 、 +1.23 %)
・ナスダック: 14619.65 (前営業日比 +264.74 、 +1.84 %)
ウクライナとロシアの停戦交渉が今までにない前進をみせたことでリスクオフ後退し、株価指数上昇。
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
NYマーケットクローズ時点の通貨強弱
- EUR(リスクオン通貨):前日1位
- JPY(リスクオフ通貨):前日8位
- NZD(資源国リスクオン通貨):前日7位
- CHF(リスクオフ通貨):前日5位
- AUD(資源国リスクオン通貨):前日3位
- CAD(資源国リスクオン通貨):前日4位
- GBP(リスクオン通貨):前日6位
- USD(基軸通貨):前日2位
【考察】
ウクライナとロシアの停戦交渉が今までにない前進をみせたことでリスクオフ後退しEUR買い。
ウクライナ情勢悪化後退と中国ロックダウンによる原油需要後退でCAD売り。
日本要人の円安牽制が相次いだためかJPY買戻し発生し一気に上位。
景気後退シグナルとされる米国2年債と10年債の利回りが一時的に逆転したことでUSD売り発生し最下位転落。
米国債イールドカーブ
3/29(火)は3/28(月)に対して、ブル・フラットニング(短期金利低下、長期金利低下、長短金利差縮小)。
*ブル・フラットニング:直近の景気後退→政策金利引き下げ(又は予測より利上げ後退)の可能性浮上→将来も景気後退懸念→将来も利下げの見込み→ドル売り示唆
3/28は3年~10年利回りで逆イールド発生していましたが、3/29は一時的に2年と10年利回りも逆イールド。それによって景気後退懸念のためか、急速なドル売り発生。
米2年債と10年債の利回り逆転、2019年以降で初-景気後退シグナルか(Bloomberg)
テクニカル分析
ドル円チャート
- 月足: ボリンジャーバンドエクスパンションし上昇トレンド。
- 週足: ボリンジャーバンドエクスパンションし上昇トレンド。
- 日足: ボリンジャーバンドエクスパンションし上昇トレンド。
- 4H足:ボリンジャーバンドエクスパンションからスクイーズしつつあるも、上昇トレンド。
- 1H足: ボリンジャーバンドエクスパンションからスクイーズしレンジ。
- 15M足:ボリンジャーバンドスクイーズしレンジ。
【シナリオ】
①ロング
(A)1H足戻り高値123.889上抜け→レジサポ→目標1H足実体124.666。
(B)1H足実体124.666上抜け→レジサポ→目標1H足ヒゲ先125.108。
②ショート
(C)1H・4H足ネックライン123.278下抜け→レジサポ→目標4Hレジスタンス122.364。
4H足以外が上昇トレンド中であるため、下位足が上昇に転じて強い上昇になりやすい。よってロング優先。
【考察】
(C)ショートの流れになったもののレジサポなく目標122.364到達。
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