ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
注目材料
1. 前日NYマーケットの流れ引継ぎ
「米国債利回り2年,10年が強い上昇→ドル買い」、「米国主要3指数も強い上昇→円売りになりやすい」、米国と日本国債10年利回りも拡大傾向にあることから、ドル円上昇しやすいと考えます。
2.ウクライナ情勢緊迫化
米国サリバン大統領補佐官「ロシア侵攻は明日にも起こり得るし数週間先かもしれない」「ロシアはいつでも攻撃を仕掛けられるよう軍を展開した」「侵攻は複数の形で行われるかもしれない(サイバー攻撃も示唆」(2/6)
米国バイデン大統領「ロシアがウクライナへ侵攻すれば、米国、ドイツ、NATOは介入する準備ができている」
独ショルツ首相「ロシアがウクライナに侵攻すればEUと米国は迅速に対抗措置を講じる」
対ロシアに対して強い警戒発言が、引き続き「地政学リスク→強い円買い→ドル円下落」の可能性に注意すべきと判断します。
突発材料2.の懸念はありますが、本日もドル円は上昇しやすいと推測します。
マーケットの動き
東京マーケット前
7:00 取引開始時間
・ドル円:115.503、前日終値115.545からギャップダウンスタートし、即窓埋め。推測通りドル円上昇しやすそう。
東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円:115.536
・日経平均株価:27488.65、前日終値27296.36からギャップアップスタート。
9:55 仲値
・ドル円:115.538
13:15
4H足押し安値115.374まで下落し15M足でレジサポ。テクニカル分析(A)ロング可
15:00 クローズ
・ドル円:115.477
・日経平均株価:27594.44
15:45
ドル円115.540到達後下落、目標115.577未達となり(A)ロング不成立。
仲値通過後の急落の起点となった115.524が強いレジスタンスになったようです。
欧州マーケット(17:00~1:30)
17:00 オープン
・ドル円:115.403
21:00 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国MBA住宅ローン申請指数:前回12.0%、予想-、結果-8.1%(×)
【見通し】
前回2/2(水)はサプライズの強い数値でしたが、米国ADP雇用者数発表を控えていたためかドル円下落推移。もともと、ドル円が大きく動く指標ではないため様子見のみ。
22:11 要人発言
米国ボスティック、アトランタ連銀総裁
「年率3%のPCEを予測する」
「バランスシートの大幅な縮小を望む」
「バランスシートの早期縮小を望む」
「データで利上げ幅0.25%か0.50%を適切に判断する」
「今年の利上げは3回、更に4回に傾きつつある」
【考察】
総じてタカ派発言。「米国債利回り2年,10年上昇→ドル買い」でドル円上昇
NYマーケット(23:30~6:00)
23:30 オープン
・ドル円:115.456
・米国債2年利回り:1.340%
・米国債10年利回り:1.936%
・ダウ平均:35721.63、前日終値35465.92からギャップダウンスタート
・S&P500:4562.39、前日終値4521.52からギャップアップスタート
・ナスダック:14368.16、前日終値14190.51からギャップアップスタート
0:00 経済指標
米国卸売在庫(確報値) 12月度:前回2.1%、予想2.1%、結果2.2%(◎)
【見通し】
速報値より注目度が低い確報値であるため様子見のみ。
0:30 経済指標
米国週間石油在庫統計
(原油在庫):前回-104.7万バレル、予想135.0万バレル、結果-475.6万バレル(×)
(ガソリン在庫):前回211.9万バレル、予想145.0万バレル、結果-164.4万バレル(×)
【見通し】
最近はウクライナ情勢緊迫化に伴い原油先物価格WTI上昇に拍車を掛けており、「在庫減となればWTI価格上昇→インフレ加速」が高まります。
【考察】
「在庫減→WTI 90ドル超えに上昇→ドル買い」、ドル円は反応薄。
1:30 欧州クローズ
・ドル円:115.443
2:30 要人発言
米国メスター、クリーブランド連銀総裁
「より早いバランスシートの縮小を正当化する」
「インフレリスクは依然として上方向」
「3月の利上げを支持する」
「利上げ幅0.50%利上げの根拠は見当たらない」
【考察】
タカ派ではあるものの、強い発言ではなかったことでドル買い材料にならず。
3:00 経済指標
米国10年債入札:370億ドル
【見通し】
入札良好なら米国債利回り低下、入札不調なら米国債利回り上昇です。
1/24 2年債入札:好調
1/11 3年債入札:好調
1/12 10年債入札:360億ドル、不調
1/13 30年債入札:不調
1/20 20年債入札:好調
1/25 5年債入札:好調
1/27 7年債入札:好調
2/8 3年債入札:500億ドル、好調
短期債入札好調で長期債入札は不調の傾向があり、今回も同じ流れになる可能性があります。
【考察】
米国債10年入札は好調。
初動「10年債利回りだけでなく、2年債利回りも下落→ドル売り→ドル円下落」。しかし、ドル円15M足200MAかつ4H足押し安値115.374到達後、急反発上昇。
6:00 クローズ
・ドル円:115.525
・米国債2年利回り:1.358%
・米国債10年利回り:1.940%
・ダウ平均:35769.21
・S&P500:4586.75
・ナスダック:14488.56
米国債利回りが堅調に推移したにも関わらず、米国主要3指数は全て続伸しました。
やはりこの利回り水準は、株式市場に織り込まれたようです。
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
NYマーケットクローズ時点の通貨強弱
- NZD(資源国リスクオン通貨):前日2位
- AUD(資源国リスクオン通貨):前日1位
- CAD(資源国リスクオン通貨):前日7位
- CHF(リスクオフ通貨):前日5位
- EUR(リスクオン通貨):前日6位
- JPY(リスクオフ通貨):前日8位
- USD(基軸通貨):前日4位
- GBP(リスクオン通貨):前日3位
【考察】
連日のオセアニア資源国通貨が上位。リスクオン環境が続いているようです。
また原油先物価格90ドル付近で堅調に推移したためかCADが強くなりました。
米国債イールドカーブ
- 2/9(水)は2/8(火)に対して、ツイストフラットニング(短期金利上昇、長期金利下落、長短金利差縮小)になりました。景気減速、利上げ、将来の金融緩和を示唆しており、ドル買い材料と考えられます。
材料まとめ
ドル買い材料
- 金融政策
- FOMC(1/26):政策金利据え置き、但し、金融引き締めに前向きな見解(3月テーパリング終了確定、3月利上げほぼ確実)。市場では3月0.5%利上げ観測や年内利上げ5回以上予想見られる。
- 日米金利差拡大:米国は金融引き締め、日本は金融緩和継続
- 政治、経済
- 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み
- エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇
- 米企業決算総じて良好
- 米国GDP第4四半期(1/27):良好
- 米国雇用統計(2/4):サプライズの強い数値
- 要人発言
- パウエルFRB議長会見(1/26):「利上げとバランスシート縮小可能」「毎回のFOMC会合で、利上げする可能性を排除しない」「金利を引き上げる余地はかなりある」→タカ派発言
- 新型コロナ
- オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
- FDAワクチン諮問委員:オミクロン株のピークは2~3週間の見込み
- 地政学リスク
- ウクライナへロシア侵攻すれば米国制裁→ロシア産原油のドル建て決済不可→原油先物価格上昇→インフレ加速
ドル売り材料
- 政治、経済
- 米国貿易赤字が過去最大規模
- 世界経済が回復する中、欧州株、アジア新興市場株や債券、資源国通貨、金や銀に資産を移すべきとのマネーマネージャーが増えているとの報道(1/13, Bloomberg)
- 気候変動・社会保障関連歳出法案:マンチン上院議院反対で採決先送り
- 中国春節の7連休(1/31~2/6):中国国内での消費のためにドル保有投資家や企業がドルを人民元に両替。中国の経済規模は大きいたドル売り人民元買いの影響が大きいと推測。高インフレに伴うバイデン政権支持率低下
- 新型コロナ
- 米国内のワクチン接種率向上しない、マスクをしない人も多い→感染拡大で人員不足
- 地政学リスク
- 台湾情勢を巡る米中関係悪化
- ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化:
- ロシア、米国、NATOの協議不調。
- ロシア制裁でドル決済が使えなくなったら、ロシアはドル売り中国人民元買いの可能性
円買い材料
- 金融政策
- 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリング。
- 政治、経済
- 長期金利が一時0.185%(2016年1月以来):2/1から大手銀行5行が10年固定の住宅ローン基準金利を0.05~0.10%引き上げ。
- 要人発言
- 岸田首相発言「新しい資本主義」:投資家軽視→リスクオフ株価下落
- 地政学リスク
- 台湾情勢を巡る米中関係
- ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
- 米国サリバン大統領補佐官「ロシア侵攻は明日にも起こり得るし数週間先かもしれない」「ロシアはいつでも攻撃を仕掛けられるよう軍を展開した」「侵攻は複数の形で行われるかもしれない(サイバー攻撃も示唆」(2/6)
- 北朝鮮の軍事行動:ミサイル発射は1月に7回
- IMM通貨先物
- 1/25時点、円ショート縮小(ネット-80,879→-68,273、前週比+12,606)
円売り材料
- 金融政策
- 2021.12.17 に引き続き、2022.1.18日銀金融政策決定会合で、政策金利-0.1%維持、金融緩和継続、必要なら追加緩和方針。
- 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い。
- 要人発言
- 日銀黒田総裁(1/18):「利上げや緩和的な政策変える必要ないし議論もない」
- 政治、経済
- 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
- 新型コロナ
- 日本政府 「まん延防止等重点措置」適用→日本経済停滞
テクニカル分析
ドル円チャート
- 月足: 上昇トレンド継続。
月足トレンドライン付近まで下落して反発し、陽線形成中。 - 週足: 上昇トレンド継続。週足実体レジスタンス115.577到達し、売り圧力も高まる位置。
- 日足: 上昇トレンド継続。大陽線で日足レジスタンス115.328を超えたものの週足実体レジスタンス115.555を上ヒゲで戻されており、もみ合いがしばらく続く可能性もあります。115.577上抜ければ上値目処日足レジスタンス116.067。
- 4H足: レンジ上限超えて上昇トレンド。トレンドラインかつ押し安値115.374下抜けまでは上目線。
4H足押し安値115.374まで下落した後、反発あれば上値目処115.577、その上は日足レジスタンス116.067。
押し安値115.374かつトレンドライン下抜けで下目線。下値目処はサポート115.066。 - 1H足: 上昇チャネル推移中。
- 15M足:上昇チャネル推移中。戦略は1H足と同じ。
【シナリオ】
①ロング
(A)4H足押し安値115.374まで下落した後、右上がりトレンドラインに支えられて上昇すれば、目標週足実体レジスタンス115.577。
(B) (A)の後、115.577を4H足レベルでレジサポすれば、目標116.067。
(C)4H足押し安値115.066やオーバーシュートで114.937で下落した後、レジサポすれば目標115.374。
②ショート
(D)4H足押し安値115.374、トレンドラインかつ20MA下抜けでレジサポすれば、目標4H足押し安値115.066。オーバーシュートで114.937。
(E)4H足押し安値115.066下抜けてレジサポすれば目標日足サポート114.361。
上昇圧力は強いですが、週足レジスタンスに到達したことから、このまま上昇するにしても、一旦は調整の下落を挟む可能性があると考えます。よって、(A)ロング、(D)ショートからの(C)ロングを優先して検討したい。
【考察】
13:15-15:45
4H足押し安値115.374まで下落し15M足でレジサポしたためテクニカル分析(A)ロング可。
しかしながら、仲値通過後の急落の起点となった115.524が強いレジスタンスになったようで、115.540から急落、目標115.577未達となり(A)ロング不成立。
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