2022年2月14日(月)ドル円初心者戦略と結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

注目材料

1. 前日NYマーケットの流れ引継ぎ
(1)米国ミシガン大学消費者信頼感指数:消費者マインド一段と悪化
→ドル売り材料→ドル円下落小

(2)米国「プーチン露大統領がウクライナに侵攻することを決定。侵攻は来週の見込み。」
→リスクオフ→米国主要3指数急落、ユーロ売り(欧州が影響を受けやすいため)、安全資産の債券買い(利回り低下)、原油先物WTI急騰、安全資産のゴールド買い、ドル買い、円買い材料→強さ「円>>ドル」→ドル円急落

(3)米国連銀の買いオペ(市場から債券購入)スケジュール発表→買いオペ予定通り→ドル売り材料→ドル円下落なし

この中で、やはり影響が大きかったのは(2)でした。
NYマーケット後半で発生したリスクオフですので、東京や欧州マーケットには織り込まれていません。従って、オープン直後は「リスクオフ株売り→円買い→ドル下落」が生じやすいと考えます。


2. ウクライナ情勢緊迫化
2/11NYマーケット後半に一気に状況が悪化し、報道が相次ぎました。
米国「プーチン露大統領がウクライナに侵攻することを決定。侵攻は来週の見込み。」
米国サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)
「ロシアのウクライナ侵攻がいつでも始まる可能性」「ロシアが侵攻した場合、米国は断固として対応する準備」「ロシアの攻撃は、空襲から始まる可能性が高い」「プーチン露大統領が最終決定を下したとは断定しない」

米国当局「ロシアは火曜日に侵攻開始の可能性があり、ウクライナのドンバス地域、または首都キエフへの攻撃があり得る」

2/12 米国バイデン大統領と露プーチン大統領の電話協議が実施されましたが、対話は平行線で終了。
2/13「バイデン大統領、ロシアが2月16日にウクライナを攻撃する可能性を同盟国に伝達」
2/13 バイデン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談「ロシアがウクライナに侵攻すれば米国とその同盟国が速やかに断固として対応する」
現時点、解決に向かうような状況が見えてきません。

本日も、「地政学リスク→強い円買い→ドル円下落」に注意すべきと判断します。しかし、実際に武力衝突に突入した訳ではありませんので、2/11のようなドル円急落にはならないと考えます。

3. 日銀指値オペ実施
2/10報道「日銀が指し値オペを発表、新発10年国債で0.25%-14日にオファー」は、2018年7月以来のサプライズで「強烈な円売り→ドル円急騰」になりました。

本日「指値オペ(日本国債10年利回りが0.25%を超えないように無制限に買い支える)」が実施されます。2/10同様に円売りが生じればドル円上昇です。

東京マーケットオープンからはリスクオフでドル円下落、日銀指値オペ実施で一時的にドル円上昇、それ以降、リスクオフでドル円下落の動きを推測します。

マーケットの動き

東京マーケット前
6:21 要人発言
米国デーリー、サンフランシスコ連銀総裁
米利上げ軌道、慎重かつデータに基づく判断が肝要-SF連銀総裁(Bloomberg)

【考察】
2/10(木)の米国ブラード、セントルイス連銀総裁の超タカ派発言をやや牽制するような内容。
「米国債利回り低下→ドル売り」と「急速な利上げ懸念後退→株先物・株価指数買い→円売り」が想定できますが、ドル売り円売りだとドル円エントリーにしにくいか。



7:00 取引開始
・ドル円: 115.371。前営業日終値115.430から下落スタート。

東京マーケット(9:00~15:00)3連休明け
9:00
・ドル円: 115.587
・米国債10年利回り: 1.961%
・日経平均株価: 27305.92

【考察】
ドル円は取引開始から15M足トレンドラインに沿って上昇継続。早々にテクニカル分析の優先シナリオ(D)ショートの流れにならず。更に、(A)ロング20MA支えもなく上昇し、手を出せない動き。

先週末の引け間際に急落後から切り返し上昇中でしたが、想定に反してリスクオフ円買いの影響が見られませんでした。
これは「CME日経先物買い→円売り→ドル円上昇」になったためと考えますが、米国デーリー、サンフランシスコ連銀総裁のタカ派を牽制するような発言が影響したのか、単に先物ショート勢の利確が入っただけなのかも知れません。

しかし、日経平均株価は、想定通り東京マーケットに織り込まれていなかったウクライナ情勢悪化の影響で、前営業日終値27695.86からギャップダウンスタートになったと考えます。



9:55 仲値
・ドル円: 115.402

10:10 日銀
通常の金融調節で指し値オペを通知。落札額ゼロ。

【考察】
日経平均株価や日本10年国債利回りに動きはほとんどありませんしたが、「日本10年国債利回り上昇牽制→日米金利差拡大期待→ドル買い」と考えられるドル円上昇が見られました。しかしながら、2/10に指し値オペは予告済だったため、やはり影響は一時的でした。

15:00 クローズ
・ドル円: 115.434
・米国債2年利回り: 1.527%
・米国債10年利回り: 1.951%
・日経平均株価: 27079.37 (前営業日-616.49、-2.23%)

欧州マーケット(17:00~1:30)
17:00 オープン
・ドル円: 115.410
・米国債2年利回り: 1.562%
・米国債10年利回り: 1.958%

【考察】
想定通り、東京マーケットと同じく欧州マーケットも先週末のウクライナ情勢悪化のリスクオフを織り込めていないことで「欧州株価下落→円買い→ドル円下落」スタート。

4H足押し安値ライン115.355下抜けたためにテクニカル(D)ショートの流れでしたが、レジサポがなく見送り。欧州株価下落をみてリスクオフ円買いが強いと判断できればレジサポ待たずにショートで良かったようです。

21:40 要人発言
露ラブロフ外相

「アメリカ、NATOと交渉を続ける余地あり」
「合意の機会は存在する」
「プーチン大統領に西側諸国との交渉継続を提案」

21:48 要人発言
露プーチン大統領

ラブロフ外相の交渉継続提案を承諾 

【考察】
各種協議が平行線を辿る中、武力衝突によるリスクオフが時間の問題と見られていたところでのポジティブサプライズ。
「市場の安心感→リスクオフ後退→株先物急騰→ドル売り円売り」、強さ「ドル>円」でドル円急騰しました。

115.074で反発後レジサポしておりテクニカル分析(C)ロング可でしたが、突発的な報道でドル円急騰しておりエントリー困難。

22:34 要人発言
米国ブラード、セントルイス連銀総裁
「インフレデータは6月末までの100bp利上げを正当化する」

「金融引き締めは想定よりも前倒し必要」
「再投資の見送りによるバランスシート縮小を支持」


ブラード総裁、利上げ計画前倒しを-「FRBの信頼性」問われる(Bloomberg)

【考察】
2/10(木)の超タカ派発言と変わらず。サプライズではありませんでしたが、「米国債2年,10年利回り上昇→ドル買い」、「株先物(ダウ、日経平均)下落→円買いでなく円売り」、ドル買い円売りでドル円下落継続。

NYマーケット(23:30~6:00)
23:30 オープン
・ドル円: 115.533
・米国債2年利回り: 1.593%
・米国債10年利回り: 1.986%
・ダウ平均: 34694.50 前営業日終値34738.07
・S&P500: 4412.61 前営業日終値4418.65
・ナスダック: 13768.97 前営業日終値13791.16
米国主要3指数は全て下落スタート。

25:30 欧州クローズ
・ドル円: 115.620

27:45 要人発言
アメリカ政府、ウクライナ(キエフ)大使館閉鎖

米政府高官「(衛星画像によれば)ロシア軍は攻撃位置に移動を始めた」

27:54 要人発言
ウクライナ、ゼレンスキー大統領
「今月16日にロシアによる侵攻が決行されるとの情報」

【考察】
後退したリスクオフが一気に再燃。
2/11のウクライナ情勢悪化報道と同様の動きとなり、「原油先物急騰、安全資産ゴールド買い、危険地域ユーロ売り」、「安全資産の米国債買い→利回り低下→ドル売り」、「株先物・株価指数急落→円買い」、強さ「円>ドル」でドル円急落。

28:39 要人発言
米国防総省報道官「プーチンがウクライナ侵攻の最終決定をしたとはまだ信じていない」

【考察】
ゼレンスキー大統領「16日に侵攻が行われるとの情報を得た」との報道は英訳ミスで「16日がXデー」に解釈されたとのこと。情報錯綜。リスクオフ後退でドル円上昇。

30:00 NYクローズ
・ドル円: 115.616
・米国債2年利回り: 1.581%
・米国債10年利回り: 1.996%
・ダウ平均: 34566.18(-171.88、-0.49%)
・S&P500: 4401.66(-16.99、-0.38%)
・ナスダック: 13790.93(-2.23、0.00%)

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

通貨強弱

NYマーケットクローズ時点の通貨強弱

  1. CAD(資源国リスクオン通貨):前日5位
  2. USD(基軸通貨):前日3位
  3. JPY(リスクオフ通貨):前日1位
  4. CHF(リスクオフ通貨):前日2位
  5. AUD(資源国リスクオン通貨):前日7位
  6. GBP(リスクオン通貨):前日4位
  7. EUR(リスクオン通貨):前日8位
  8. NZD(資源国リスクオン通貨):前日6位

【考察】
ウクライナ情勢緊迫化等による原油先物上昇でCAD買い、ウクライナ情勢のリスクオフ後退や米国ブラード連銀総裁のタカ派発言でドル買い、ウクライナ情勢のリスクオフ後退でJPY買いが強くなったと考えます。

米国債イールドカーブ

  • 2/14(月)は2/11(金)に対して、ベア・フラットニング(長短金利上昇、長期金利が短期金利より低下、長短金利差縮小)になりました。景気過熱・金融引き締め、ドル買いが示唆されます。
  • 2/11に引き続き7年利回りと10年利回りが同じとなり逆イールドになりつつあります。

材料まとめ

ドル買い材料

  • 金融政策
    • 日銀指値オペ実施「日本10年国債利回り上昇牽制→日米金利差拡大期待」
  • 政治、経済
  • 要人発言
  • 米国ブラード、セントルイス連銀総裁(2/14)「インフレデータは6月末までの100bp利上げを正当化する」「金融引き締めは想定よりも前倒し必要」「再投資の見送りによるバランスシート縮小を支持」
  • 新型コロナ
  • 地政学リスク
    • アメリカ政府、ウクライナ(キエフ)大使館閉鎖(2/14)
    • 米政府高官「(衛星画像によれば)ロシア軍は攻撃位置に移動を始めた」(2/14)

ドル売り材料

  • 政治、経済
  • 要人発言
    • 米国デーリー、サンフランシスコ連銀総裁(2/14):米利上げ軌道、慎重かつデータに基づく判断が肝要-SF連銀総裁(Bloomberg)。従来よりタカ派後退
  • 新型コロナ
  • 地政学リスク
    • 露ラブロフ外相(2/14)「アメリカ、NATOと交渉を続ける余地あり」「合意の機会は存在する」「プーチン大統領に西側諸国との交渉継続を提案」
    • 露プーチン大統領(2/14)ラブロフ外相の交渉継続提案を承諾 

円買い材料

  • 地政学リスク
    • アメリカ政府、ウクライナ(キエフ)大使館閉鎖(2/14)
    • 米政府高官「(衛星画像によれば)ロシア軍は攻撃位置に移動を始めた」(2/14)
  • IMM通貨先物
    • 1/25時点、円ショート縮小(ネット-80,879→-68,273、前週比+12,606)

円売り材料

  • 金融政策
    • 日銀指値オペ実施(2/14)「日本10年国債利回り上昇牽制→日米金利差拡大期待」
  • 要人発言
  • 政治、経済
  • 新型コロナ
  • 地政学リスク
    • 露ラブロフ外相(2/14)「アメリカ、NATOと交渉を続ける余地あり」「合意の機会は存在する」「プーチン大統領に西側諸国との交渉継続を提案」
    • 露プーチン大統領(2/14)ラブロフ外相の交渉継続提案を承諾 

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: ボリンジャーバンド開いており、上昇トレンド継続。上値目処は実体上限116.762。
  • 週足: 先週金曜日に実体上限115.577から大きく引き戻されたことで、ボリンジャーバンドが閉じつつあり、直近の流れはレンジ。
  • 日足: 先週金曜日は大陰線で急落したものの、押し安値115.074付近の115.014で下げ止まって下ヒゲで反発し、サポート115.355上で引けており、上昇トレンドは崩れず。
    上値目処日足実体115.981。
    日足トレンドラインかつ押し安値115.074下抜けで下値目処は日足押し安値114.363。
  • 4H足:トレンドライン下抜けてレンジ。下ヒゲ反発して押し安値1156.355より上で引けており、上昇圧力あり。上値目処は20MA付近115.728。
    押し安値115.355下抜けで下値目処は日足トレンドライン付近押し安値115.074。
  • 1H足: 下ヒゲピンバーで反発しているもののボリンジャーバンド開いたまま。まだ下落勢いが収まっておらず戻り売りが入りやすい。戦略は4H足と同じ。
  • 15M足:急落後はダウを形成しながら上昇中。戦略は4H足と同じ。

【シナリオ】
①ロング
(A)15M足で4H足押し安値ライン115.355よりでレジサポし20MAで支えられれば、目標4H足20MA付近115.728(116.338から115.014への下落に対して約50%戻しの位置)。
(B)4H足20MA付近115.728を1H足レジサポすれば、目標日足実体115.981。
(C)日足実体115.074まで下落した後、反発してレジサポすれば、目標115.355。

②ショート
(D)15M足トレンドラインかつ4H足押し安値ライン115.355下抜けてレジサポすれば、目標日足実体115.074。
(E)日足実体115.074下抜けてレジサポすれば、目標週足実体114.363。

ウクライナ情勢悪化ですが武力衝突した訳ではありませんので下落は限定的と考えます。よって、(D)ショートからの(C)ロングを優先とします。

【考察】
17:00-17:45
4H足押し安値ライン115.355下抜けたためにテクニカル(D)ショートの流れでしたが、レジサポがなく見送り。欧州株価下落をみてリスクオフ円買いが強いと判断できればレジサポ待たずにショートで良かったようです。結果的には(D)目標115.074到達。

21:40-21:45
日足実体115.074で反発レジサポし、(C)ロング可であっという間に目標115.355到達。突発的な報道で対応出来ず。張り付かないとエントリーできない動き。

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