ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
注目材料
1. ウクライナ情勢緊迫化
(1)ストルテンベルグNATO事務総長「ウクライナ国境でロシア軍は増強し続けている」
(2)米国ブリンケン国務長官「ロシア軍の撤退は確認できていない」「ロシア軍の主要部隊はウクライナ国境を離れるどころかむしろ接近している」
2/15(火)のロシア軍一部撤退決定の報道を受けて、2/16(水)の東京マーケットと欧州マーケット序盤はややリスクオフ後退でドル円上昇推移しましたが、(1),(2)のリスクオフでドル円下落。
本日も欧州マーケットからの突発的な報道や要人発言で、その度にドルと円の方向性が大きく反応する可能性が高いです。
2. 前日経済指標の影響引継ぎ
(1)米国小売売上高1月度:前回かつ予想より強い数値でサプライズ。発表直後、上昇したものの、ウクライナ情勢リスクオフ報道で直ぐに急落。
(2)FOMC議事録公表1月度:タカ派色薄かったことでドル円下落したものの直ぐに半値戻し、米国主要3指数上昇
結局、現時点で最も注目度が高いのは引き続きウクライナ情勢です。
本日も突発的な報道や要人発言で振り回される可能性があります。従って本日も様子見のみが適切と考えます。
マーケットの動き
東京マーケット前
7:00 取引開始
・ドル円:115.450 前営業日終値115.448から変わらずスタート。
8:50 経済指標
日本通関ベース貿易収支1月度:前回-5824億円、予想-16000億円、結果-21911億円(×)
【考察】
貿易赤字拡大で円売り材料
8:54 要人発言
米政府高官「ロシア軍、ウクライナ国境で最大7000人増派」
【考察】
リスクオフ材料
東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円: 115.394
・日経平均株価: 27431.42 前営業日終値27460.33からギャップダウンスタート。直前の米政府高官報道のリスクオフ。
9:30
・米国債2年利回り: 1.505%
・米国債10年利回り: 2.021%
9:55 仲値
・ドル円: 115.454
12:45 報道
ロシアメディア「ウクライナ軍がウクライナ東部で迫撃砲と手榴弾を撃ち込んだ」
【考察】
リスクオフ。「米国債2年,10年利回り低下、ドル買い」、「日経平均株価急落→円買い」、ドル買い円買い、強さ「円>ドル」でドル円急落。
15:00 クローズ
・ドル円: 115.237
・米国債2年利回り: 1.481%
・米国債10年利回り: 1.989%
・日経平均株価: 27232.80 (前営業日比-227.53、-0.83%)
15:30 報道
ウクライナ、東部親ロシア武装勢力への砲撃を否定
【考察】
リスクオフ後退。「米国債2年,10年利回り上昇→ドル買い」、「株先物(ダウ、日経)上昇→円売り」、ドル買い円売りでドル円上昇。
16:46 要人発言
露外務省報道官、「ここ数日で7000人増強」報道を否定
【考察】
リスクオフ後退ですが、発言内容が互いに食い違い真偽不明。
欧州マーケット(17:00~1:30)
17:00 オープン
・ドル円: 115.296
・米国債2年利回り: 1.509%
・米国債10年利回り: 2.012%
17:15 報道
ウクライナ軍「ルハンシクでロシア軍が砲撃」
【考察】
リスクオフ材料。「米国債2年,10年利回り下落、ドル買い」、「株先物(ダウ、日経)下落→円買い」、ドル買い円買い、強さ「円>ドル」でドル円急落。
22:30 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国フィラデルフィア連銀景況指数2月度:前回23.2、予想20.0、結果16.0(×)
【見通し】
米国フィラデルフィア連銀景況指数と同様に、ISM製造業景気指数の先行指標として注目されています。2/15(火)発表の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数2月度は予想より弱くドル円下落の反応を示しました。米国フィラデルフィア連銀景況指数も同じような傾向を示す可能性があります。
22:30 経済指標
米国住宅着工件数1月度:前回170.2万件、予想169.5万件、結果163.8(×)
米国住宅建築許可件数1月度:前回187.3万件、予想175.0万件、結果189.9(◎)
米住宅着工件数、1月は4カ月ぶりに減少-労働力不足が影響(Bloomberg)
【見通し】
「住宅購入→耐久消費財購入→個人消費拡大」に繋がり、現在懸念されているインフレの影響も強く受けるため注目される指標。数値が予想より大きく下回ればインフレ懸念からドル買いになりやすい。
22:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数:前回22.3万件、予想21.8万件、結果24.8万件(×)
米国失業保険継続受給件数:前回162.1万件、予想160.5万件、結果159.3万件(◎)
米新規失業保険申請件数、予想外の増加-一部州での大幅増を反映(Bloomberg)
【見通し】
米国新規失業保険申請件数は3週連続減少中。今週の結果も良ければ3月度の米国雇用統計にも期待が持てます。
【考察】
労働力不足で米住宅着工件数は4カ月ぶりに減少、米新規失業保険申請件数は予想外の増加。「株先物(ダウ、日経)下落→円買い」、「米国債2年,10年利回り低下→ドル売り」、ドル売り円買いでドル円下落。
23:10 報道
「ロシア政府はウクライナ侵攻を否定した」「ロシア政府は米国と新たな安全保障の枠組み作成を提案した」
【考察】
リスクオフ後退。22:30米国経済指標でのドル円下落が全戻しの上昇。
23:22 要人発言
米国ブラード・セントルイス連銀総裁
「7/1までに約100bps利上げは目標として望ましい」
【考察】
2/10と2/14のタカ派発言とスタンス変わっていないためサプライズではありませんでしたが、「米国債2年,10年利回り上昇→ドル買いでなくドル売り」、「株先物(ダウ、日経)上昇→円売り」、円売り強くドル円上昇。
NYマーケット(23:30~6:00)
23:30 オープン
・ドル円: 115.016
・米国債2年利回り: 1.505%
・米国債10年利回り: 1.996%
・ダウ平均: 34858.47
・S&P500: 4456.06
・ナスダック: 14004.19
米国主要3指数ギャップアップスタート。ウクライナ情勢悪化とブラード・セントルイス連銀総裁超タカ派発言によるリスクオフ
23:37 要人発言
米国バイデン大統領「数日のうちにロシアのウクライナ侵攻が発生する可能性」
23:47 要人発言
ロシア外務省「外務省の公式ウェブサイトへのダウン」
【考察】
再びリスクオフ材料。「米国債2年,10年利回り低下、ドル買い」、「米国主要3指数下落→円買い」、強さ「円>ドル」でドル円下落。
25:30 欧州クローズ
・ドル円: 114.979
28:40 報道
英国ガーディアン「ロシア軍がウクライナの国境に近づきつつある」
【考察】
リスクオフ。「米国債2年,10年利回り上昇、ドル売り」「米国主要3指数下落→円買い」、ドル売り円買いでドル円下落。
30:00 NYクローズ
・ドル円: 114.911
・米国債2年利回り: 1.481%
・米国債10年利回り: 1.975%
・ダウ平均: 34312.04 (前営業日比-622.24、-1.78%)
・S&P500: 4380.26 (前営業日比-94.76、-2.12%)
・ナスダック: 13716.73 (前営業日比-407.37、-2.88%)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
NYマーケットクローズ時点の通貨強弱
- JPY(リスクオフ通貨):前日7位
- GBP(リスクオン通貨):前日4位
- CHF(リスクオフ通貨):前日3位
- NZD(資源国リスクオン通貨):前日1位
- USD(基軸通貨):前日8位
- AUD(資源国リスクオン通貨):前日2位
- CAD(資源国リスクオン通貨):前日5位
- EUR(リスクオン通貨):前日6位
【考察】
ウクライナ情勢悪化が強まったことでリスクオフと見なされる推移になりました。GBPが強かったのは英中銀利上げ期待の影響と推察します。
米国債イールドカーブ
- 2/17(木)は2/16(水)に対して、ブル・フラットニング(短期金利低下、長期金利低下、長短金利差縮小)になりました。景気後退、金融緩和、ドル売りが示唆されます。
材料まとめ
ドル買い材料
- 金融政策
- 1月度FOMC議事録公表(2/16):タカ派色薄
- 政治、経済
- 米国生産者物価指数(PPI)1月度:総合的に強い数値
- 要人発言
- 米国ブラード・セントルイス連銀総裁(2/17):タカ派発言
- 新型コロナ
- 地政学リスク
- ロシア報道(2/15):南部と西部に配備していたロシア軍隊が本部に帰還
- 露プーチン大統領(2/15):「米国並びに北大西洋条約機構(NATO)と交渉を継続する用意がある」「戦争を望まない」「ロシア軍の一部撤退を決定」
- ストルテンベルグNATO事務総長(2/16):「ウクライナ国境でロシア軍は増強し続けている」
- 米国ブリンケン国務長官(2/16):「ロシア軍の撤退は確認できていない」「ロシア軍の主要部隊はウクライナ国境を離れるどころかむしろ接近している」
- 米政府高官(2/17):「ロシア軍、ウクライナ国境で最大7000人増派」
- ロシアメディア(2/17):「ウクライナ軍がウクライナ東部で迫撃砲と手榴弾を撃ち込んだ」
- ウクライナ軍(2/17):「ルハンシクでロシア軍が砲撃」
- ウクライナ(2/17):東部親ロシア武装勢力への砲撃を否定
- 米国バイデン大統領(2/17):「数日のうちにロシアのウクライナ侵攻が発生する可能性
- ロシア外務省(2/17):「外務省の公式ウェブサイトへのダウン」
ドル売り材料
- 政治、経済
- 米国ニューヨーク連銀製造業景気指数2月度:予想より弱い数値
- 米国フィラデルフィア連銀景況指数2月度:サプライズの弱い数値
- 米国住宅着工件数1月度:サプライズの弱い数値
- 要人発言
- 新型コロナ
- 地政学リスク
- ウクライナのサイバーセキュリティセンター(2/15):国防省、民間銀行、オシャドバンクのWebサイトがサイバー攻撃を受けている
- 「ロシア政府はウクライナ侵攻を否定した」「ロシア政府は米国と新たな安全保障の枠組み作成を提案した」(2/17)
円買い材料
- 地政学リスク
- ウクライナのサイバーセキュリティセンター(2/15):国防省、民間銀行、オシャドバンクのWebサイトがサイバー攻撃を受けている
- ストルテンベルグNATO事務総長(2/16):「ウクライナ国境でロシア軍は増強し続けている」
- 米国ブリンケン国務長官(2/16):「ロシア軍の撤退は確認できていない」「ロシア軍の主要部隊はウクライナ国境を離れるどころかむしろ接近している」
- 米政府高官(2/17):「ロシア軍、ウクライナ国境で最大7000人増派」
- ロシアメディア(2/17):「ウクライナ軍がウクライナ東部で迫撃砲と手榴弾を撃ち込んだ」
- ウクライナ軍(2/17):「ルハンシクでロシア軍が砲撃」
- 米国バイデン大統領(2/17):「数日のうちにロシアのウクライナ侵攻が発生する可能性
- ロシア外務省(2/17):「外務省の公式ウェブサイトへのダウン」
- 英国ガーディアン(2/17):「ロシア軍がウクライナの国境に近づきつつある」
円売り材料
- 金融政策
- 要人発言
- 政治、経済
- 日本通関ベース貿易収支1月度:貿易赤字拡大
- 新型コロナ
- 地政学リスク
- ロシア報道(2/15):南部と西部に配備していたロシア軍隊が本部に帰還
- 露プーチン大統領(2/15):「米国並びに北大西洋条約機構(NATO)と交渉を継続する用意がある」「戦争を望まない」「ロシア軍の一部撤退を決定」
- ウクライナ(2/17):東部親ロシア武装勢力への砲撃を否定
- 「ロシア政府はウクライナ侵攻を否定した」「ロシア政府は米国と新たな安全保障の枠組み作成を提案した」(2/17)
テクニカル分析
ドル円チャート
- 月足: ボリンジャーバンド開いており、上昇トレンド継続。上値目処は実体上限116.762。
- 週足: 陽線形成しながら実体上限115.577付近推移中。ボリンジャーバンドが閉じつつあり、直近の流れはレンジ。
- 日足: 前日同様、実体上限115.577付近から上ヒゲで大きく戻されて陰線形成。日足トレンドラインで下げ止まって下ヒゲで反発しており、日足レベルのダウ継続で上昇トレンド崩れず。
上値目処日足実体115.981。
日足トレンドラインかつ押し安値115.074下抜けで下値目処は日足押し安値114.363。 - 4H足:ボリンジャーバンドスクイーズしてレンジ推移。
右下がりトレンドライン上抜けで、上値目処は日足実体上限115.981。
日足サポート115.355下抜けで下値目処は日足トレンドライン付近押し安値115.074。 - 1H足: 三角持ち合い形成。戦略は4H足と同じ。
- 15M足:ボリンジャーバンド横向きスクイーズ中。戦略は4H足と同じ。
【シナリオ】
①ロング
(A)4H足右切り下げライン上抜け→日足右上がりトレンドラインでレジサポし、目標日足実体115.981。
(B)日足実体115.981上抜けてレジサポすれば、目標日足ヒゲ先116.338。
②ショート
(C)日足トレンドラインかつ4H足押し安値115.325下抜けてレジサポすれば、目標日足実体115.074。
(D)日足実体115.074下抜けてレジサポすれば、目標週足実体114.363。
ウクライナ情勢次第ですが、リスクオフ後退ならロング、リスクオフ続けばショート。しかしながら、前日同様、突発的な報道や要人発言でドルと円の方向性が大きく変わると考えます。
【考察】
16:00-17:15
115.325を1H足でレジサポし、(C)ショート可。目標115.074到達
21:00-7:00
115.074を1H足でレジサポし、(D)ショート可。レンジ推移が長時間に渡っており日を跨いでの流れ。
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