ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)10/18の欧米マーケット影響
月曜、火曜同様に、欧州オープン前からドル円上昇。
米国住宅指標は強弱入り交じる数値、FRB要人発言もタカ派・ハト派発言交錯し、ドル円乱高下しながらも、「中東情勢地政学リスクオフ→原油先物価格高止まり等でインフレ懸念→米国債利回り上昇」が材料視され日足高値149.94を付けた。
日足終値149.93。
(2)経済指標
・日本通関ベース貿易収支
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国フィラデルフィア連銀景況指数
・米国中古住宅販売件数
・米国景気先行指数
(3)要人発言
・政府日銀の円安牽制
・FRB要人(特にパウエル議長)
(4)その他
・中東情勢の地政学リスクオフ
・日銀金融政策に関わる報道
・米国主要企業決算
本日の注目も中東情勢の動向。今週は、欧米や中東諸国当局者の外交協議によって、地政学リスクオフの悪化は後退したものの、紛争拡大リスクは依然と高い。
また、150円台目前に迫り、政府・日銀の円安牽制発言や相次ぐ可能性あり。今までより強い文言が出ても一時的な下落で押し目買いの機会となりそう。
加えて、最近はFRB要人からタカ・ハト派発言が交錯しているなか、パウエルFRB議長の発言でドルの方向性が明確になるか、より注目が集まる。
<材料とドル・円方向性>
①「中東情勢悪化→安全資産の米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り」
②-1「中東情勢悪化→原油先物価格上昇→インフレ懸念→米国債利回り上昇→ドル買い」
②-2「中東情勢悪化→原油先物価格上昇→インフレ懸念→日本貿易収支悪化懸念→円売り」
③-1「中東情勢悪化→地政学リスクオフ円買い」
③-2「中東情勢悪化→景気悪化懸念→株先物・株価指数下落→リスクオフ円買い」
④「中東情勢悪化→有事のゴールド買い→ドル売り」
⑤「政府日銀の円安牽制警戒、日銀政策修正観測→ドル売り・円買い」
⑥-1「米国経済指標の強い数値→米国債利回り上昇→ドル買い」
⑥-2「米国経済指標の弱い数値→米国債利回り低下→ドル売り」
⑦-1「FRB要人のタカ派発言→米国債利回り上昇→ドル買い」
⑦-2「FRB要人のハト派発言→米国債利回り低下→ドル買い」
⑧-1「米国財政赤字拡大→米国債供給量増加→米国債利回り上昇→ドル買い」
⑧-2「米国財政赤字拡大→米国経済悪化懸念→ドル売り」
マーケットの動き
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
8:50 経済指標
日本通関ベース貿易収支
貿易赤字拡大は実需の円売り材料。
季調前:前回-9305億円(改定-9378)、予想-4450億円、結果624億円(◎)
季調済:前回-5557億円(改定-)、予想-5500億円、結果-4341億円(◎)
4~9月の貿易赤字2.7兆円、75%縮小 資源高が一服(日本経済新聞)
【考察】サプライズの強い数値→円買い→ドル円急落。しかし、中東情勢悪化に伴う原油先物価格急騰の影響は反映されていないため、ドル円下落が続く材料にはならない。
東京マーケット(9:00~15:00)
14:31~要人発言
神田財務官
(過去の発言:7/4, 7/21, 9/6, 9/20, 10/4, 10/16, 10/19)
過度な為替変動が投機的なら適切対応、国際的に容認-神田財務官(Bloomberg)
【考察】円安牽制発言→ドル円下落だが一時的。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回20.9万件(改定21.1)、予想21.1万件、結果19.8万件(◎)
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回170.2万件(改定170.5)、予想171.1万件、結果173.4万件(×)
21:30 経済指標
米国フィラデルフィア連銀景況指数
米国ISM製造業購買担当者景気指数と相関性あるため注目される。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
基準0、前回-13.5(改定)、予想-6.5、結果-9.0(△)
22:00~要人発言
米国ジェファーソンFRB理事
(過去の発言:5/9, 5/18, 5/31, 6/20, 10/9)
【考察】金融政策や経済見通しについてコメントなし。
23:00 経済指標
米国中古住宅販売件数
住宅市場は消費に大きな影響を与えることから景気の先行指標として米国新築住宅販売件数とともに重要。
件数:前回404万件(改定)、予想392万件、結果396万件(○)
前月比:前回-0.7%(改定)、予想-3.5%、結果-2.0%(○)
23:00 経済指標
米国景気先行指数
前月比:前回-0.4%(改定-0.5)、予想-0.4%、結果-0.7%(×)
23:28 報道
ヒズボラが誘導ミサイル発射、イスラエルはレバノン国境付近を砲撃(Bloomberg)
【考察】中東情勢悪化→地政学リスクオフだが、直前のドル円上昇勢い強く上昇継続。
25:00~要人発言
米国パウエルFRB議長
(過去の発言:7/26, 8/25, 9/20, 10/2, 10/19)
パウエル議長、FOMCは「慎重に進んでいる」-利上げの選択肢残す(Bloomberg)
【考察】ハト派発言スタートからタカ派発言→ドル円下落から全戻し上昇。
26:17 報道
シリア南部の米軍基地へドローン攻撃
【考察】米軍を巻き込んだ地政学リスクオフに発展
26:27~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2023年FOMC投票権あり)
(過去の発言:7/7, 7/14, 7/31, 8/1, 8/4, 8/25, 9/25, 9/28, 10/16, 10/19)
シカゴ連銀総裁、米国はリセッションを回避できるとなお期待(Bloomberg)
【考察】リセッション回避可の判断。利上げに関する発言なし。
26:30~要人発言
米国バーFRB副議長
(過去の発言:7/10, 10/2, 10/9, 10/19)
【考察】利上げに関する発言なし。
27:41 要人発言
米国当局者
イエメン付近航行中の米国海軍軍艦が複数飛翔体を迎撃
【考察】中東地政学リスクオフが米軍を巻き込み紛争拡大
29:05~要人発言
米国ボスティック・アトランタ連銀総裁(2023年FOMC投票権なし)
(過去の発言:7/10, 8/1, 8/4, 8/10, 8/31, 9/1, 9/7, 10/3, 10/10, 10/11, 10/19)
アトランタ連銀総裁、インフレ目標達成が当面の優先課題(Bloomberg)
【考察】タカ派発言
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値149.93。
「イスラエル軍の地上作戦準備完了報道→中東情勢悪化懸念→地政学リスクオフ円買い」
「米国経済指標の強い数値、米国財政赤字拡大(国債供給量増)→米国債利回り上昇→株先物・株価指数下落→リスクオフ円買い」
「150円台目前の政府日銀介入警戒感→ドル売り・円買い」
「米国利回り上昇に連れた日本国債利回り上昇→日銀金融政策観測→円買い」
「米国下院議長選の第2回投票でも議長選出失敗→政府閉鎖懸念→ドル売り」
「日本通関ベース貿易収支のサプライズの強い数値→円買い」
によって、東京オープン直後に日足安値149.67へ急落。
しかし、本質的な「日米金融政策差→ドル買い・円売り」環境には変わりないことから、押し目買い勢も多く149.84へ上昇。その後は、材料交錯でドル円方向感なし。
きょうの国内市況(10月19日):株式、債券、為替市場(Bloomberg)
欧米マーケット:
10/16(月)~10/18(水)同様に、欧州オープン前からドル円上昇するも、本日の米国パウエルFRB議長講演に向けた取引手控え、や「中東情勢を巡る外交協議継続→原油先物価格下落」を受けてドル円下落し、方向感のない動き。
米国経済指標は強弱入り交じる数値であったが、再び「原油先物価格上昇などのインフレ懸念再燃→米国債利回り上昇→ドル買い」となり149.94へ上昇。
注目されたパウエルFRB議長講演はハト派からタカ派発言が交錯し、日足高値149.96から日足安値149.67直前の149.68へ急落。米軍を巻き込み中東地政学リスクオフが紛争拡大、原油先物価格急騰もドル円乱高下に寄与。
日足終値149.80。
【米国市況】株続落、FRB議長発言で乱高下-ドルは一時149円96銭(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
米国債イールドカーブ
10/19(木)は10/18(水)に対しツイスト(短期金利低下、長期金利上昇)、逆イールド縮小。ドル売り・買い材料交錯(U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY)
FOMCの利上げ幅見通し(CME FedWatch Tool)
11月公表:25bps引き下げ2.8%、据え置き97.2%、25bps引き上げ0.0%
テクニカル分析
トレード
- 月足:10月陽線形成中。レンジ内の上昇トレンドでレンジ実体上限到達。ボリンジャーバンドスクーズしつつあり。
- 週足:10/16週、陽線形成中。上昇トレンド。
- 日足:10/18陽線。ボリンジャーバンドエクスパンション移行中。
- 4H足:上昇トレンド。ボリンジャーバンドエクスパンション移行中。
- 1H足:上昇チャネル。ボリンジャーバンドエクスパンション移行中。
- 15M足:上昇トレンド。ボリンジャーバンドスクイーズ
【シナリオ】
①ロング
(A)4H足サポート149.646付近まで下落→ダウ転換上昇→目標1H足レジスタンス149.782
(B) (A)後、1H足レジスタンス149.782をダウ上昇→目標1H足レジスタンス149.930
②ショート
(C)1H足サポート149.782かつ1H足20MAをダウ下落→目標4H足サポート149.672
10月通算:5勝5敗、勝率50.0%、獲得Pips +70.6
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