2022年1月10日(月)ドル円初心者戦略と結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

①前日NYマーケットの流れを引き継ぎ
1/7(金)米国雇用統計結果を受けて、米国債金利上昇からの下落、米国主要3指数の下落から、ドル買い、ドル売り、円買い材料が交錯し、結果的には円がドルより強くなりドル円下落になったと考えます。この結果を受けて、1/10もドル円下落スタートの可能性が高いと考えます。

②東京市場は成人の日で休場(三連休の最後)
東京市場休場ですので東京マーケット時間帯は値動きが小さい可能性もあります。しかし、投機筋などの仕掛けか何かわかりませんが、東京市場が休場の時に値動きが大きくなることも多々あります。
1/7(金)米国雇用統計結果は大きな材料ですので、ドル円下落が加速して不思議ではありません。

③目立った注目材料(経済指標や要人発言)なし

結局は、米国債金利と米国主要3指数の動き次第なのでしょうが、後述するテクニカル分析で日足サポート115.40付近まではドル円下落を想定しています。このサポートで支えられなければ下落は加速、サポートで耐えることができれば一旦の上昇も考えたいです。

米国FOMC議事要旨公表(1/5)と米国雇用統計(1/7)の後、「3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小の可能性→株価下落→リスクオフ円買い→ドル円下落」が生じているように見えます。
本日は東京市場休場ですので、株価指数の代わりに先物価格と円の動きに注意したいと思います。

具体的には、東京マーケットの時間帯から、「ダウ先物価格下落、日経先物価格下落→円買い」が強く、ドル買いが弱ければ、まずは日足サポート115.40付近までのドル円ショートを検討してみたいと思います。

東京マーケット

ドル円始値115.591から上昇スタートし、東京市場が休場にも関わらず上昇継続して、12:30に15M足200MA付近で最高値115.784に達した後、小幅レンジ推移となりました。

本日のシナリオとは逆の「ダウ先物価格上昇、日経先物価格上昇→円売り」、かつ「ドルインデックス上昇」し、ドル円上昇になったと考えます。つまり、ドル買い円売りで、ドル円が強い上昇になる条件が重なりました。

ダウ先物価格上昇、日経先物価格上昇の推測理由:先週急落したときのショート勢の決済で少し上昇か。

ドルインデックス(円13.6%、ポンド11.9%、カナダドル9.1%、スウェーデンクローネ4.2%、スイスフラン3.6%で構成されているため、ドルの実力を把握するのに便利)上昇:ユーロが下落しており、相対的にドルが強くなったと考えます。

ではユーロが下落した理由は、ウクライナの地政学リスクでしょう。
1/9から1/10までジュネーブで米露の当局者(シャーマン米国務副長官とリャプコフ露外務次官ら)が安全保障関連協議を実施。
1/12にはブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)とロシア間で会合予定。
1/13には米露や欧州諸国が加盟する全欧安保協力機構(OSCE)も協議を予定。
となっています。つまり、協議次第でウクライナの地政学リスクが高まる可能性があるため、ユーロを売って、より安全なドルを買っておこうという流れで、ドルインデックス上昇になったと推測します。

欧州、NYマーケット

欧州タイムに入り、「ダウ先物、日経先物、独DAXなのど欧州株価指数下落→円買い(15M足200MAで綺麗に反発)」、「米国債2年利回りと10年利回り上昇にも関わらず、ドルインデックスは方向感なし」。

先物や株価指数下落は、先週末米国雇用統計の流れを引き継いで米国利上げとバランスシート縮小警戒と、ウクライナの地政学リスク警戒と考えます。

「米国10年債利回りが2020年1月以来の1.8%台に上昇→通常ならドル買いに向かいそうですが、海外投資家の米国債売却を受けたドル売り優勢」の様子。海外投資家が米国債を買いたくない理由は、米国経済への不安があるということでしょうか。

総じて、「方向感がないドルインデックスと円買い」によって、15M足20MAや200MAに抑えられる形でドル円下落に転じました。

21:19 要人発言(Trader’s web FX):関係筋「米国がロシア向け高度技術の輸出規制を検討」
解釈:米国とロシア協議が進展していない→ウクライナ情勢を巡る地政学リスク

ドルと円の動き
ドル:米国債2年と10年債利回り小幅下落→ドルインデックス動きなし
円:ダウ先物、日経先物、独DAXなのど欧州株価指数売り→円買い
総じて、ドル円下落継続

22:58 要人発言(Trader’s web FX):インドネシア政府「水曜日の石炭輸出再開をさらに検討」「石炭への課税を計画」
エネルギー価格上昇抑制に期待→インフレ懸念低下、日本の経常赤字悪化の懸念低下

1:47 要人発言(Trader’s web FX):リャブコフ露外務次官「ロシアはNATO拡大に関する懸念を詳細に説明」
1:53 要人発言(Trader’s web FX):シャーマン米国務副長官「ロシア側と率直な議論を行った」
2:17 要人発言(Trader’s web FX):リャブコフ露外務次官「ウクライナのNATO加盟についての問題は何の進展もなかった」



解釈:ウクライナ情勢を巡る地政学リスク悪化にはなっていない→安心感→リスクオフ和らぐ
ドルと円の動き
ドル:米国債2年利回り0.86%から上昇継続、米国債10年利回り1.80%到達から下落転換、ユーロ買戻し→ドルインデックス急落
円:米国主要3指数上昇転換→円売り

総じて、ドル売り円売りで、円売りの方が強く、ドル円はラウンドナンバー115.000を下抜けることなく、115.042から上昇へ転換しました。

材料まとめ

ドル買い材料

  • 金融政策
    • テーパリング加速決定:2021.12.15 FOMCで、2022年3月終了に前倒し
    • 政策金利:2021.12.15 FOMCで2022年末までに0.25%ずつ3回利上げ方針
    • 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→織り込み増加
  • 経済
    • 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み→米国債金利上昇
    • 米国債利回り急上昇、22年最初の取引-早期利上げ観測強まるとの見方(1/4, Bloomberg)
    • 米国インフレが一時的(transitory)でなく持続的:エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇→利上げ観測前進
    • 米国ADP雇用者数が強い数値(1/5)→米国雇用統計(1/7)期待感で織り込み増加
    • 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念
  • 要人発言
    • 米FRB関係者のタカ派転換発言
  • 新型コロナ
    • オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
    • ワクチンや経口薬開発が進んでいる→経済活動回復期待

ドル売り材料

  • 経済
    • 米国貿易赤字が過去最大規模
    • 米国雇用統計(1/7):非農業部門雇用者数が大幅減
  • 新型コロナ
    • オミクロン株の感染拡大や重症化リスクが払拭されていない→経済活動停滞や景気回復鈍化懸念→利上げ時期後退の可能性
    • オミクロン株はデルタ株より入院率は低いが医療システム逼迫懸念
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化

円買い材料

  • 金融政策
    • 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリングとも考えられる。
    • 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→株価下落→リスクオフ
    • 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小の前進→株価下落→リスクオフ
  • 新型コロナ
    • 世界中で新型コロナのオミクロン株感染拡大:英国やドイツでもロックダウンが実施されるようなら株価下落でリスクオフ円買いあり得る。
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化

円売り材料

  • 金融政策
    • 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、金融緩和継続方針の決定
    • 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い
  • 要人発言
    • 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、黒田総裁が円安容認発言→発言直後、円売りが強まりドル円上昇となった。
  • 経済
    • 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
  • 新型コロナ
    • 日本国内での新型コロナ感染急拡大
  • IMM通貨先物
    • 1/4時点、円ショートポジション拡大

米国FOMC議事要旨公表と米国雇用統計結果での、早期利上げとバランスシート縮小実施の可能性が、ドル買い円買いを引き起こしていますが、現在は株売り円買いの影響が強くドル円下落を引き起こしていると推測します。従って、株価下落が一服するまでドル円ロングを狙いにく状況に感じます。

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: 大陽線で上昇トレンド中。上値目処は2017年1月の118円台前半
  • 週足: 5週連続陽線形成。しかし、上ヒゲが長く、上昇一服してレンジに入る可能性あり。
  • 日足: 3日連続陰線。トレンドライン下抜けつつありますが、115.417が日足レベルの強いサポートになると考えられます。115.417で反発して上昇トレンド継続するか、115.417下抜けて調整波又は本格的な下落に転じるのか、注目ポイント。
  • 4H足: フラッグ形成中でしたがトレンドライン下抜けたため、単なるチャネルと見ます。チャネル下限と日足サポート115.417が重なるため、ここまで下落すれば買いも入ってきそう。
  • 1H足: チャネル下限と日足サポート115.396、更に1H足200MAがほぼ重なるため、強い反発ポイントになり得る。
  • 15M足: 20MAで抑えられながら下落しており小さなチャネルを形成しています。1H足レベルの反発ポイントまで下落して、15M足チャネルを上に抜けたら、一気に上昇する可能性があると考えます。

見通し:ファンダメンタルズ分析ではドル買い優勢と推測していますので、ドル円も買い目線継続です。
①4H足チャネルかつ直近高値115.919上抜けたら、チャネル起点の高値116.250までロング狙い。
②日足サポート115.396付近は1H足チャネルと200MAが重なるため、ここまで落ちて反発が見られてら、直近高値115.919までロング狙い。
③日足サポート115.396付近を下抜ければ、4H足上昇起点115.135までのショート狙いです(この可能性は低いと想定しています)。


結果
4H足と1H足チャネル上限まで、15M足はダウで上昇したものの、チャネル上限、20MA、20MAを超えられず、失望売りが入ったと考えます。15M足で細かく見ると、最高値115.784を付けた後、小さなダウで下落し、17:00に上ヒゲピンバーが20MAで抑えられた後に大きな下落が発生しています。つまり、ダウ転換。
上位足のチャネル上限付近などで、下位足がこのようなダウ転換を形成すれば、リスクを取ってショートする価値はあったかも知れません。

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