ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
①前日NYマーケットの流れを引き継ぎ:
・米サンフランシスコ連銀総裁と米セントルイス連銀総裁のタカ派発言→米国債金利上昇→ドル買い
・米主要3指数下げ止まり買戻し→円売り
ドル買い円売り→ドル円上昇継続
②東京市場は月曜が休場で三連休前→米国雇用統計結果で米国債金利急騰する可能性を考えて、雇用統計前に株売り円買い→ドル円下落
③報道が相次いでいる国内の新型コロナ感染急拡大→景気後退懸念→リスクオフ株売り円買い→ドル円下落
④最大の注目イベントである米国雇用統計:全ての項目で強い数値を想定→3月利上げやバランスシート縮小議論加速→米国債利回り上昇→ドル買い→ドル円上昇
①と④の影響が強いと判断して、ドル円上昇目線を維持したいと考えます。
各FOMCでの米利上げ織り込み状況は、FedWatch Toolで確認したいと思います。
東京マーケット
9:55 仲値
シナリオ
五十日ではないですが、週末で仲値に向けて「ドル買い→ドル円上昇」と考えます。
結果
仲値まで順調にドル円上昇しましたが、仲値通過後は全戻しの下落。
①FEDによるバランスシート縮小への警戒感や米国雇用統計前の日本株決済→日経平均株価下落→円買い
②時間外の米国債2年と10年利回り上昇鈍化→ドル買い少
③実需筋によるドル買い一服
①~③でドル円下落に傾いたと推測します。
欧州、NYマーケット
17:20 報道(Reuters):日銀、7日のETFとJ-REITもなしの購入はなし
22:30 経済指標: 米国雇用統計
非農業部門雇用者数:前回21.0万人、予想42.5万人、結果19.9万人
失業率:前回4.2%、予想4.1%、結果3.9%
平均時給:(前月比)前回0.3%、予想0.4%、結果0.6% /(前年比)前回4.8%、予想4.2%、結果4.7%
最近の米国新規失業保険申請件数や失業保険継続受給者数は、既にコロナ前水準まで戻っていますので、非農業部門雇用者数と失業率が悪い数値になることは考えにくいと思います。
物価上昇に伴って賃金も上昇しているようですので平均時給も良い数値が出そう。
総合的に、予想より高い数値が出ても不思議ではないと考えます。
シナリオ
①前回かつ予想より良い数値→ドル買い円売り→ドル円上昇
②前回かつ予想より悪い数値(サプライズ)→ドル売り円買い→ドル円下落
③前回同様→ドル円動きなし
結果
初動は、非農業部門雇用者数がサプライズの悪い数値だったことでシナリオ②の通り下落しましたが、その後は失業率と平均時給が良かったことでシナリオ①で推移すると見ていましたが、ドル円下落が継続しました。
・非農業部門雇用者数が弱い数値:最近の米国新規失業保険申請件数や失業保険継続受給者数が良好だったことや1/5米国ADP雇用者数結果と反する(サプライズ)ため米国雇用安定化の懸念あり。→ドル売り
・失業率が低い数値:2020年2月以来の3%台でサプライズの強さ。労働市場が非常にタイトと分かります。
・平均時給が強い数値:雇用主が賃金増加しなければ労働力確保が難しいことを示しています。
よって、
非農業部門雇用者数が弱い数値→ドル売り
失業率が低い数値と平均時給が高い数値→インフレ懸念→3月利上げ開始とバランスシート縮小の可能性後押し→米国債2年と10年債利回り急騰→ドル買い、米主要3指数急落→リスクオフ円買い
ドル買い、ドル売り、円買い材料が交錯し、結果的には円がドルより強くなりドル円下落になったと考えます。
01:54 要人発言(Trader’s web):バイデン米大統領「自動車価格は高すぎる」「FRBはインフレ長期化を確実に回避すると確信」
驚くような発言ではないためか、材料にはならず。
ドル、円材料まとめ
ドル買い材料
- 金融政策
- テーパリング加速決定:2021.12.15 FOMCで、2022年3月終了に前倒し
- 政策金利:2021.12.15 FOMCで2022年末までに0.25%ずつ3回利上げ方針
- 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→織り込み増加
- 経済
- 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み→米国債金利上昇
- 米国債利回り急上昇、22年最初の取引-早期利上げ観測強まるとの見方(1/4, Bloomberg)
- 米国インフレが一時的(transitory)でなく持続的:エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇→利上げ観測前進
- 米国ADP雇用者数が強い数値(1/5)→米国雇用統計(1/7)期待感で織り込み増加
- 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念
- 要人発言
- 米FRB関係者のタカ派転換発言
- 新型コロナ
- オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
- ワクチンや経口薬開発が進んでいる→経済活動回復期待
ドル売り材料
- 経済
- 米国貿易赤字が過去最大規模
- 米国雇用統計(1/7):非農業部門雇用者数が大幅減
- 新型コロナ
- オミクロン株の感染拡大や重症化リスクが払拭されていない→経済活動停滞や景気回復鈍化懸念→利上げ時期後退の可能性
- オミクロン株はデルタ株より入院率は低いが医療システム逼迫懸念
- 地政学リスク
- 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
円買い材料
- 金融政策
- 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリングとも考えられる。
- 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→株価下落→リスクオフ
- 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小の前進→株価下落→リスクオフ
- 新型コロナ
- 世界中で新型コロナのオミクロン株感染拡大:英国やドイツでもロックダウンが実施されるようなら株価下落でリスクオフ円買いあり得る。
- 地政学リスク
- 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
- IMM通貨先物
- 12/28時点、円ショートポジション縮小
円売り材料
- 金融政策
- 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、金融緩和継続方針の決定
- 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い
- 要人発言
- 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、黒田総裁が円安容認発言→発言直後、円売りが強まりドル円上昇となった。
- 経済
- 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
- 新型コロナ
- 日本国内での新型コロナ感染急拡大
米国FOMC議事要旨公表と米国雇用統計結果での、早期利上げとバランスシート縮小実施の可能性が、ドル買い円買いを引き起こしていますが、現在は株売り円買いの影響が強くドル円下落を引き起こしていると推測します。従って、株価下落が一服するまでドル円ロングを狙いにく状況に感じます。
テクニカル分析
ドル円チャート
- 月足: 大陽線で上昇トレンド中。上値目処は2017年1月の118円台前半
- 週足: 5週連続陽線形成中。強い上昇トレンド継続。
- 日足: 陰線になったものの、トレンドラインで支えられており上昇トレンド継続
- 4H足: トレンドライン下抜けていないためトレンド継続ですが、直近はフラッグ形成中。下ヒゲ反発が目立ち、115.666付近は堅い。
よって、フラッグ上抜けで日足以上の上昇トレンドに合流できるため、大きく伸びる可能性あり。 - 1H足: 4H足と同様。
- 15M足: 直近の流れはトレンドライン割れてレンジ。1H足や4H足で流れが出るまでは待ちです。
見通し:ファンダメンタルズ分析ではドル買い優勢と推測していますので、ドル円も買い目線継続です。
①4H足と1H足フラッグ上限かつラウンドナンバー116.000上抜ければ、ロング狙いとします。
②1H足レンジ実体下限115.666付近で何度も止められていますので、ここまで落ちで反発が見られてら、ロング狙いです。
③4H足トレンドラインかつ堅い115.666を下抜ければショート狙いです(この可能性は低いと想定しています)。
結果
ドル買い優勢と推測していましたが、
①4H足と1H足フラッグ上限かつラウンドナンバー116.000上抜けなかったため、この条件でのロング見送り。
②1H足レンジ実体下限115.666付近で反発あった後のロング狙いは、4H足トレンドライン下抜けた後になってしまうため取り止め。
③4H足トレンドラインかつ堅い115.666を下抜ければショート狙いは可能でしたが、深夜帯に入っていたために見送りました。
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