ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
①前日NYマーケットの流れを引き継ぎ
米国主要3指数下落スタートからの買戻しが、東京市場の三連休明けも続くなら「株先物・株価指数買い→円売り」、時間外米国債利回りやドルインデックスからドル買いが強ければ、ドル円上昇目線です。
米国債金利、株先物・株価指数の動き次第と考えます。
②注目材料(経済指標や要人発言)
最大の注目は、FRBパウエル議長の要人発言です。よって、それまではドル円が動きにくい、もしくは発言を控えての決済売買が活発になると推測します。
決済売買のなかでのエントリーは難しいため、要人発言(特にパウエル議長)を待ってドル円の方向性を判断したほうが良いかもしれません。
また、地政学リスクのウクライナ情勢の進展で、株価指数の動きで円買いと円売りが強く傾けば、エントリーも考えたいと思います。
東京マーケット前
6:37 要人発言(Trader’s web FX):パウエル米FRB議長(再任指名公聴会での事前原稿)「米経済は速いペースで拡大しており、労働市場は力強い」「FRBは高インフレが定着することを阻止するだろう」
注目されている「米利上げ開始時期や回数」と「バランスシート縮小」に関する内容はなかったため材料にはなりませんでした。
7:00 取引開始時間
始値115.167のギャップダウンスタート。しかし、直ぐに上昇し下値が固いことを伺わせ、仲値に向けて上昇が期待できる流れでした。
7:29 報道(海上保安庁):北朝鮮ミサイル発射
解釈: 1/5(水)北朝鮮ミサイル発射に引き続き、地政学的リスク→リスクオフ円買い材料。1/5(水)報道では、116.236から116.119まで下落(11.7pips)があったことから同じようなドル円下落が想定できました。
初動:
ドルインデックス:動きなし。
円:緩やかな下落継続。
ドル円:上昇継続。
株先物:日経先物とダウ先物動きなし。
株式:東京株式市場オープンから、株売り円買いで反応すれば、ドル円も下落し、仲値に向けての上昇がストップする可能性が考えられました。
東京マーケット(9:00~15:00)
東京市場三連休明け。
9:00 オープン時
ドル円115.279
円:上昇
米国債利回り:2年債0.903%、10年債1.767%
株式:日経平均株価28,380.9
北朝鮮ミサイル発射報道を受けて日経平均株価は下落スタートと考えましたが、予想に反し上昇スタート。しかしながら、15M足1本後に日経平均株価は下落へ。
ドル円:初動からではありませんでしたが、日経平均価下落に転じて円買いドル売りが進みドル円下落となりました。
ドル円115.279から115.182(9.7pips)へ下落しましたが、始値115.167付近が固く上昇に転じて仲値時点115.323(15.6pis)に到達。
振り返れば、北朝鮮ミサイル発射報道で始値115.167付近を下抜けなかった時点で、下抜けるには更に大きな材料が必要だったことから、次に115.167付近まで下落した際は、ロングのチャンスと考えるべきでした。
15:00 クローズ時
ドル円:115.273
ドルインデックス:95.865(下落継続)
円:上昇継続
米国債利回り:2年債0.915%、10年債1.764%
日経平均株価:28223.48(前営業日比-256.08)
仲値通過後もドル円上昇を続け東京時間高値115.386を付けた後、戻り高値115.432には届かなかったことで、15M足レベルのWトップを形成したあと失望売りの下落になったと考えます。
東京株式市場クローズ後には、始値115.167を割り込んで115.149まで急落しましたが、やはりこの辺りの抵抗は強く再度上昇へと転換しました。
欧州マーケット(17:00~1:30)
17:00 オープン時
ドル円:115.257
米国債利回り:2年債0.915%、10年債1.760%
欧州EUSTX、独DAX、英FTSE:上昇スタート。
ドルインデックス:95.836(下落継続)
円:下落継続
株先物:日経28,215、ダウ35,956(急騰から上ヒゲで下落。結局小幅推移)
18:00 ドル円噴き上げ
米パウエルFRB議長の再任使命公聴会控えて小動きになるかと思いましたが、米国債2年と10年利回り急騰、ドル買い、株先物買い円売りでドル円急騰しました。
米利上げ期待のドル買い、バランスシート縮小懸念の株売り円買いの綱引きで、ドル買いに傾いたと推測します。
20:12 要人発言(Trader’s web FX):ボスティック米アトランタ連銀総裁「物価情勢が現状のままならば、3月に利上げを開始するのが妥当」
23:20 要人発言(Trader’s web FX):メスター米クリーブランド連銀総裁(FOMC投票権あり)「経済が軌道に乗っていれば、3月の利上げを支持」「インフレはより持続的」「12月時点で今年3回の利上げを想定」
予想通り、タカ派発言で、ドル円上昇を継続しました。
NYマーケット(23:30~6:00)
23:30 オープン時
株価指数:米主要3指数急落
株先物:ダウ、日経急落
米国債利回り:2年債と10年債共に下落
ドルインデックス:上昇継続
円:下落から上昇へ転換
パウエルFRB議長公聴会前に、ドル円含み益が出たロング勢決済のためか、15M足ボリンジャーバンド+2σバンドウォーク終了から下落に転じ、公聴会を迎えました。
0:37 要人発言(Trader’s web FX):パウエル米FRB議長再任指名承認公聴会
「インフレ抑制のためにツールを使用する」「時間の経過とともに利上げを増やす必要がある場合は、そうする」
0:59 「インフレは今年半ばまで続くだろう」「もしインフレが長引き、それが定着するリスクを意味するならば政策で対応」
1:52 「バランスシート縮小を決定する前に2-4回のFOMCで議論するだろう」「9兆ドルのバランスシートは適正を遥かに上回る」
見通し:米国FOMC議事要旨公表(1/5)と米国雇用統計(1/7)の結果から、3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小について具体的な発言があるか注目。
タカ派的であればドル買い、ハト派的であればドル売りが基本だと思いますが、最近は「米国債金利上昇→株価指数下落→円買い」の動きが目立ちますので、発言内容だけでドル円エントリーを判断しないようにしたいです。
結果:利上げとバランスシート縮小について言及があったものの、「警戒したほどタカ派的な内容ではなかった」と受け止められ、米国株価指数買戻しの急騰、米国債2年と10年利回り低下、ドル売りとなり、ドル円下落継続となりました。
本日欧州マーケットオープンから、米利上げ期待織り込みドル買いでドル円が強い上昇をしめしていましたが、予想よりハト派的なパウエル議長の発言によって、織り込みが剥がれて失望ドル売り、ドル円下落になったと考えます。
27:00 経済指標:米国3年債入札(520億ドル):
入札良好なら米国債利回り低下、入札不調なら米国債利回り上昇ですが、ドル円が大きく動くとは考えていません。
結果:好調。最高落札利回り1.237%。米国債3年利回りだけでなく、2年債と10年債利回りも低下し、ドル円下落。
6:00 NYマーケットクローズ
クローズ時
ドル円:115.296
米株価指数:ダウ平均
米国債利回り:2年債0.897%、10年債1.741%
材料まとめ
ドル買い材料
- 金融政策
- テーパリング加速決定:2021.12.15 FOMCで、2022年3月終了に前倒し
- 政策金利:2021.12.15 FOMCで2022年末までに0.25%ずつ3回利上げ方針
- 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→織り込み増加
- パウエル米FRB議長再任指名承認公聴会(1/11):インフレ対策として利上げとバランスシート縮小について言及あり。発言後は「警戒したほどタカ派的な内容ではなかった」ことでドル売りとなりましたが、本質的にはドル買い材料と考えます。
- 経済
- 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み→米国債金利上昇
- 米国債利回り急上昇、22年最初の取引-早期利上げ観測強まるとの見方(1/4, Bloomberg)
- 米国インフレが一時的(transitory)でなく持続的:エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇→利上げ観測前進
- 米国ADP雇用者数が強い数値(1/5)→米国雇用統計(1/7)期待感で織り込み増加
- 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念
- 要人発言
- 米FRB関係者のタカ派転換発言
- 新型コロナ
- オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
- ワクチンや経口薬開発が進んでいる→経済活動回復期待
ドル売り材料
- 経済
- 米国貿易赤字が過去最大規模
- 米国雇用統計(1/7):非農業部門雇用者数が大幅減
- 新型コロナ
- オミクロン株の感染拡大や重症化リスクが払拭されていない→経済活動停滞や景気回復鈍化懸念→利上げ時期後退の可能性
- オミクロン株はデルタ株より入院率は低いが医療システム逼迫懸念
- 地政学リスク
- 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
円買い材料
- 金融政策
- 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリングとも考えられる。
- 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→株価下落→リスクオフ
- 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小の前進→株価下落→リスクオフ
- 新型コロナ
- 世界中で新型コロナのオミクロン株感染拡大:英国やドイツでもロックダウンが実施されるようなら株価下落でリスクオフ円買いあり得る。
- 地政学リスク
- 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
円売り材料
- 金融政策
- 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、金融緩和継続方針の決定
- 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い
- 要人発言
- 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、黒田総裁が円安容認発言→発言直後、円売りが強まりドル円上昇となった。
- 経済
- 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
- 新型コロナ
- 日本国内での新型コロナ感染急拡大
- IMM通貨先物
- 1/4時点、円ショートポジション拡大
テクニカル分析
ドル円チャート
- 月足: 大陽線で上昇トレンド中ですが上ヒゲピンバー形成中。上値目処は2017年1月の118円台前半
- 週足: 陰線形成。しかし、上昇トレンド継続中。
- 日足: トレンドライン下抜けたため、上昇トレンド終了。次の下落目処は20MA付近の114.772。
- 4H足: チャネルを下抜けたため下目線継続。しかし、押し安値115.145付近で止められているため、このラインで反発すればロング、下抜けたらショートを考えます。
- 1H足: 下降トレンドからトレンドラインを抜けたためレンジ推移。ダウ波で戻り高値115.391を上抜ければロング、4H足115.145下抜けならショート狙いです。
- 15M足: レンジ推移。4H足と1H足で注目の115.135と115.396付近でのプライスアクション(ピンバー、ダウ転換、包み足)の形成に注目してエントリータイミングを計りたい。
シナリオ:
①4H足115.145下抜けならショート狙い。下値目処は日足押し安値114.772。
②1H足戻り高値115.391上抜けならロング狙い。上値目処は4H足抵抗115.551。しかし、値幅が20pips以下ですのでロングはスルーもしくはエントリーから早期撤退予定です。
結果
シナリオ②でロング可能な流れになりましたが、やはり値幅が小さくなる懸念があったためエントリー見送りました。
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