2022年1月17日(月)ドル円初心者戦略と結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

①1月15日(日)トンガ諸島の火山噴火に伴う被害
日本の津波警報は解除されましたが、トンガの被害状況が分かりませんので無事を祈るしかありません。トンガは親日国で東日本大震災の時には義援金の寄贈や、他にも支援を頂いております(外務省)。日本政府の迅速な支援を望む。寄付を募っている報道もありますので、個人としても微力ながら支援したい。
1991年のフィリピン・ピナツボ火山の噴火の後、記録的な冷夏で日本でも深刻な米不足に陥りました。今回も世界中で気候変動が生じ穀物不足等が不安視されています。世界中でインフレが懸念される中、食料不足は紛争の種です。スタグフレーションの可能性が高まったと言えます。

今回「地政学リスク→株価指数や株先物下落→円買い」によって東京マーケットからドル円下落の可能性が考えられます。
しかしながら、リスクオフを調べると、その時々において円買いだけでなく、ドル買い、ユーロ買い、スイスフラン買いにもなっているよう。結局のところ、どの可能性が高いかなってみないと判らない。
それだと、全く考えがまとまりませんので、まずは「地政学リスク→株価指数や株先物下落→円買い」をベースとして、ドル買い等が優勢だと判断出来たら、考え方を方針転換したいと思います。


②先週末NYマーケットの流れ引き継ぎ
1/14(金)経済指標は注目されていた米国小売売上高を筆頭に軒並み弱い数値でしたから、強いドル売りに伴うドル円下落に向かうと思っていましたが、下落は続かず日足の押し安値113.571から急激なドル円上昇に転じました。このドル円上昇は何かのドル買い材料あったとは考えにくい。

ドル円上昇が指標発表前に含み益を得ていたショート勢の買戻しや米指標の弱い結果をみて参入した新規ショート勢のストップロスを巻き込んだと仮定すれば、この上昇は続きにくいと予想します。つまり下落に転じやすい。


③注目材料(経済指標や要人発言)
11:00 中国経済指標。今回はGDPを含めて複数の中国指標が発表予定です。しかも、全て前回より予想値が低いです。もちろん結果次第ですが、ドル円下落が優勢と考えます。

1/17(月)米国がキング牧師生誕記念日で祝日。米国金融市場は休場です。従って、NYマーケットの時間帯が近づくと動きが出にくくなるか、市場参加者が少なくなったところを大口が個人投資家の損切を狙った何か仕掛けてくるかもしれません。

①~③より、ファンダメンタルズでは東京マーケットはドル円下落が優勢と考えます。テクニカル分析合わせれば(C)ドル円ショート狙いを第一優先とします。
想定よりリスクオフの動きが見られない場合、テクニカル(A),(B)を改めて考えます。
NYマーケットの動きは予想が難しいため様子見に留めます。

マーケットの動き

東京マーケット前

7:00 取引開始時間
ドル円:始値114.129。
【考察】ギャップダウンスタートでシナリオのリスクオフ材料の影響が続くかと考えましたが、直ぐに窓埋めして先週からの上昇を継続しました。
トンガ火山噴火の影響で日本に出ていた津波警報が解除されるなど、大きな被害が出ていないことで安心材料になったのかもしれません。
15M足20MAと200MA、かつ1H足と4H足戻り高値114.157に対して、15M足十字線を形成しましたので、結果論ではレジサポの反発と判断してロング狙いはありでした(テクニカル(A))。

8:59 報道
北朝鮮のミサイルの可能性のあるものを発射

地政学リスク材料ですが、初動は日経先物、ドル円反応薄。今月4回目の発射報道ですが、もはやサプライズでもなく材料にならない様子。

東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
ドル円:114.312。
日経平均株価:ギャップアップスタート
【考察】日経平均株価が下落スタートしなかったことから、懸念していたリスクオフの可能性は低いと判断できました。

11:00 経済指標
中国小売売上高12月度:前回3.9%、予想3.8%、結果1.7%
【考察】前回よりも低い予想で中国景気後退が示唆されます。

11:00 中国実質GDP第4四半期前回4.9%、予想3.3%、結果4.0%
【考察】2021年第1四半期から右肩下がりの数値です。今回も前回より低い予想。

11:00 中国鉱工業生産指数12月度:(前年比)前回3.8%、予想3.7%、結果4.3%
【考察】2021年第1四半期から右肩下がりの数値です。今回も前回より低い予想。

単発の中国経済指標でドル円が大きく動く可能性は少ないとみていましたが、今回は複数の指標が同時に発表予定です。しかも、全て前回より予想値が低い。

シナリオ
①予想通りの結果ならサプライズではないですが、「リスクオフ→日本株・米国先物下落→円買い」に注意したい。「時間外米国債利回り低下→ドル売り」が重なって「ドル売り円買い」となれば、ドル円ショート狙いやすい。
加えて、テクニカル分析で下降サイン(20MA・サポート・トレンドラインでのピンバーや包み足、ダウ転換、Wトップ等)がリスクをとってショート予定。

②全て前回や予想値より高い数値となればサプライズ。
「リスクオン→日本株・米国先物買い→円売り」と「時間外の米国債利回り→ドル買い」で「ドル買い円売り」が重なり、テクニカルで上昇サインがあればロング狙い予定。

【考察】
強弱交錯した結果となり、方向性の判断付けが難しくエントリーは見送りました。
初動は「リスクオフ→日経平均株価下落→円買い」、「ドル売り」でドル円下落で反応して15M足レベルではトレンドライン下抜けてレンジに推移しましたが、下降トレンド転換するほどの材料ではありませんでした。

15:57 報道
1都10県「まん延防止」適用の方向で調整
【考察】
リスクオフ材料でしたが、引け間際の日経先物は小幅推移。まだ検討段階のためか、反応薄。

16:07 報道
東京都は、新型コロナ第6波を受けたまん延防止等重点措置を政府に要請

【考察】
リスクオフ→日経先物下落→材料。
16:00前からのドル円下落はこの影響と推測します。しかし、ダウ先物上昇していることから海外投資家にとって日本のコロナ感染状況はリスクオフとは考えられていない、もしくは単に関心がない、と考えられます。つまり、海外投資家参入から、下落しているドル円が上昇転換する可能性を考えてもよさそうです。

欧州マーケット(17:00~1:30)

17:00 オープン
ドル円:114.403
日経先物、ダウ先物:下落。ダウ先物も下落のため、リスクオフ
欧EUSTX下落、独DAX下落、英FTSE上昇
欧州株価指数や先物(日経、ダウ)は全体的に下落しており、リスクオフでスタート。

21:49 報道
イエメンの親イラン武装勢力フーシ派がアラブ首長国連邦(UAE)にドローン攻撃を仕掛けたと発表

【考察】
アブダビの主要国際空港で火災が発生するなど、UAEが直接攻撃を受けた例で最大級とのこと。
「地政学リスク→円買い材料」、「石油輸出懸念→原油先物上昇→インフレ懸念、ドル買い材料」ですが、NY勢参入がないためか動きなし。そうであれば、三連休明けのNY勢参入から材料としてみなされるかも知れせん。

NYマーケット(23:30~6:00)
キング牧師生誕記念日で祝日。米国金融市場は休場

休場のため小幅レンジ推移。


ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

米国債イールドカーブ

米国利上げやバランスシート縮小が話題になる中、米国債イールドカーブをキーワードとして頻繁に目にするようになりました。イールドカーブが株先物、株価指数やドルインデックスに影響を与えるようですが、ドル円への影響が見えにくい。よって、何となくでもドル円の動きとの関係を把握するために定期的にイールドカーブをチェックしたいと考えました。

材料まとめ

ドル買い材料

  • 金融政策
    • 政策金利:2021.12.15 FOMCで2022年末までに0.25%ずつ3回利上げ方針
    • 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→織り込み増加
  • 経済
    • 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み→米国債金利上昇
    • 米国債利回り急上昇、22年最初の取引-早期利上げ観測強まるとの見方(1/4, Bloomberg)
    • 米国インフレが一時的(transitory)でなく持続的:エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇→利上げ観測前進
    • 米国ADP雇用者数が強い数値(1/5)→米国雇用統計(1/7)期待感で織り込み増加
    • 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念
  • 要人発言
    • 米国金融当局者の相次ぐタカ派発言。一般的にはドル買い材料のはずですが、最近はドル売りで反応することも多く、材料としての判断が難しい。
  • 新型コロナ
    • オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
    • ワクチンや経口薬開発が進んでいる→経済活動回復期待
    • FDAワクチン諮問委員:オミクロン株のピークは2~3週間の見込み
  • 地政学リスク
    • イエメンの親イラン武装勢力フーシ派がアラブ首長国連邦(UAE)にドローン攻撃を仕掛けたと発表→石油輸出懸念→原油先物上昇→インフレ懸念

ドル売り材料

  • 政治、経済
    • 米国貿易赤字が過去最大規模
    • 米国雇用統計(1/7):非農業部門雇用者数が大幅減
    • 米国小売売上高(1/14):サプライズの弱い数値。米国GDP悪化の懸念大。
    • 世界経済が回復する中、欧州株、アジア新興市場株や債券、資源国通貨、金や銀に資産を移すべきとのマネーマネージャーが増えているとの報道(1/13, Bloomberg)
  • 新型コロナ
    • オミクロン株の感染拡大や重症化リスクが払拭されていない→経済活動停滞や景気回復鈍化懸念→利上げ時期後退の可能性
    • オミクロン株はデルタ株より入院率は低いが医療システム逼迫懸念
    • 米国内のワクチン接種率向上しない、マスクをしない人も多い→感染拡大で人員不足
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化:ロシアとNATOが協議を重ねたが妥協点に到達できず

円買い材料

  • 金融政策
    • 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリングとも考えられます。
    • 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→株価下落→リスクオフ
    • 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小の前進→株価下落→リスクオフ
    • パウエル米FRB議長再任指名承認公聴会(1/11):インフレ対策として利上げとバランスシート縮小について言及あり。発言後は「警戒したほどタカ派的な内容ではなかった」ことでドル売りとなりましたが、本質的にはドル買い材料と考えます。
    • 日銀が2%の物価目標達成前に利上げを開始できるか議論している(1/14, Reuters)→日本国債利回り上昇日米金利差縮小の可能性
  • 要人発言
    • 山際経済再生大臣「新しい資本主義は株価を意識しません」(1/13, プライムニュース)
  • 新型コロナ
    • 世界中で新型コロナのオミクロン株感染拡大:英国やドイツでもロックダウンが実施されるようなら株価下落でリスクオフ円買いあり得る。
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
    • 北朝鮮の軍事行動:ミサイル発射は1月に4回
    • トンガ付近で大規模噴火(1/15):1991年のフィリピン・ピナツボ火山噴火で生じた様な気候変動による食料不足に繋がる可能性懸念
    • イエメンの親イラン武装勢力フーシ派がアラブ首長国連邦(UAE)にドローン攻撃を仕掛けたと発表

円売り材料

  • 金融政策
    • 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、金融緩和継続方針の決定
    • 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い。
  • 要人発言
    • 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、黒田総裁が円安容認発言→発言直後、円売りが強まりドル円上昇となった。
  • 経済
    • 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
  • 新型コロナ
    • 日本国内での新型コロナ感染急拡大(1/16, 全国で3日続け2万人超感染)
  • IMM通貨先物
    • 1/11時点、円ショートポジション拡大

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: トレンドラインで反発し上昇トレンド継続中。今月陰線形成中ですが、直近4カ月で見れば綺麗なダウ形成中にも見えます。下値目処は月足押し安値113.051。上値目処は2017年1月の118円台前半。
  • 週足: 先週は大陰線でしたが、トレンドラインで反発かつレジサポライン114.212で踏み留まっており、上昇継続を示唆しています。上値目処は115.534。下値目処は押し安値と20MAが重なる112.774。
  • 日足: 下ヒゲピンバー形成しており上昇圧力強い。上値目処は20MA付近の日足押し安値114.787。
  • 4H足: チャネルと4H足戻り高値114.157上抜けているため上目線。上値目処は20MA付近の抵抗114.564。114.157下に戻されれば下値目処113.571。
  • 1H足: チャネルと4H足戻り高値114.157上抜けているため上目線、ボリンジャーバンド+2σバンドウォークしており上昇勢いは強い。
    114.157下に戻されれば下値目処は20MA付近の113.904。20MAかつ113.904で支えられれば綺麗なダウ転換となり、エリオット波動3波目に相当する強い上昇に転換すると考えます。
  • 15M足: トレンドライン下抜けておりレンジ形成中。レンジ上限114.260上抜けるか、15M足20MAと200MA付近の4H足戻り高値114.157で反発すれば上値目処114.564。

シナリオ:
(A)4H足戻り高値114.157でレジサポすればロング狙い。上値目処114.564。
(B)下落して4H足かつ1H足戻り高値113.904かつ1H足20MAで支えられればロング狙い。上値目処は114.564。
(C)1H足と4H足戻り高値113.904を下抜ければショート狙い。下値目処は直近安値113.571。



【考察】
ファンダメンタルズ分析からテクニカル(C)を第一優先に考えていましたが、想定よりリスクオフの動きは見られず始値からドル円上昇を続けました。実際には、テクニカル(A)通りの動きになりました。しかし、もみ合いが長時間続いており、エントリーしたとしても長時間保有はしにくかったと思います。

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