2022年2月8日(火)ドル円初心者戦略と結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

注目材料

1. 前日NYマーケットの流れ引継ぎ
引け間際にバイデン大統領やショルツ首相の対ロシア発言を受けて、リスクオフのためか米国主要3指数は全て急落しました。
この流れを引き継げば「日経平均株価下落→円買い→ドル円下落」が想定されます。
しかし、この急落で米国主要3指数のトレンドが変わった訳ではありません。日経平均株価がスタートから下落を示さなければドル円は動きにくいと考えます。

2.ウクライナ情勢緊迫化
米軍が東欧に3000人規模の部隊増派しロシアが非難(2/2, Bloomberg)
米国サリバン大統領補佐官「ロシア侵攻は明日にも起こり得るし数週間先かもしれない」「ロシアはいつでも攻撃を仕掛けられるよう軍を展開した」「侵攻は複数の形で行われるかもしれない(サイバー攻撃も示唆」(2/6)
米国バイデン大統領「ロシアがウクライナへ侵攻すれば、米国、ドイツ、NATOは介入する準備ができている」
独ショルツ首相「ロシアがウクライナに侵攻すればEUと米国は迅速に対抗措置を講じる」

対ロシアに対して強い警戒発言が、引き続き「地政学リスク→強い円買い→ドル円下落」の可能性に注意すべきと判断します。

突発材料2.の懸念はありますが、本日は目立った材料がありません。よって、レンジ推移に終始する可能性があります。その場合は、様子見のみの予定です。

マーケットの動き

東京マーケット前
7:00 取引開始時間
・ドル円:115.071。前日終値115.094からギャップダウンスタート。
しかし、1H足押し安値115.048下抜けることなく直ぐに窓埋め。やや上昇圧力ありか。

東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円:115.064から急騰し、1H足レジスタンス115.156上抜け。テクニカル(A)ロング狙いの流れ。

・日経平均株価:27318.30。前日終値27233.50からギャップアップスタート。
前日NYマーケットの流れ引継いで、日経平均株価は下落、もしくは動きが鈍いと考えていましたがシナリオ外れ。

「日経平均株価上昇→円売り→ドル円上昇」しており、前日と同様、東京マーケットは日経平均株価とドル円は相関ありと仮定。よって、日経平均株価1H足レジスタンス27422.96で抑えられれば、ドル円上昇も止まると推測。

9:55 仲値
・ドル円:115.280。15M足がレジスタンス115.156でレジサポ→仲値通過後に115.328到達し、テクニカル(A)ロング成立。しかし、午前中にこれほど急騰するとは考えておらずチャートも確認できなかったためにエントリーなし。
次は、テクニカル(B)ロングで目標週足レジスタンス115.555狙えるかの検討。

13:00
1H足が日足右下がりトレンドラインかつレジスタンス115.328でレジサポしたことで、ロング(B)狙い可。

仲値通過後、日経平均株価下落の流れになったことで、「日経平均株価下落→円買い→ドル円下落」になるかと思いましたが円売り継続。仮定した日経平均株価とドル円の相関がストップ。
この時「時間外米国債利回り2年,10年急騰→強いドル買い」となっていました。強いドル買いが生じる場合、「日経平均株価下落→円買い→円売りドル買い」という流れも考えるべきなのかも知れません。

15:00 クローズ
・ドル円:115.461。
・日経平均株価:27296.36。

欧州マーケット(17:00~1:30)

17:00 オープン
・ドル円:115.481。
欧州オープン前に115.547まで上昇したものの、ロング(B)目標週足レジスタンス115.555には届かず、オープンからはドル円急落しました。週足で引いたラインはちょっとしたズレでもレートが10pips以上変動することがあるため、週足ラインを目標にする場合は目安と考えて利確が必要のようです。

本日は注目材料に乏しいため、ドル円動きは小さいと想定しており、ロング(B)目標付近到達からのテクニカルシナリオを立てていませんでした。よって、エントリーは翌日に持ち越し。


22:30 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国貿易収支12月度:前回-802億ドル、予想-830億ドル、結果-807億ドル(○)

(Bloomberg)

【見通し】
ドル円が大きく動く指標ではないため様子見のみ

【考察】
予想通りであれば、過去最大の赤字幅となるところでしたが記録更新は免れました。指標発表前からドル買い優勢でしたが、発表後は「ドル売り→ドル円下落」へ。


NYマーケット(23:30~6:00)

23:30 オープン
・ドル円:115.427。
・ダウ平均:35160.68。前日終値35091.65からギャップアップスタート。
・S&P500:4479.84。前日終値4483.85からギャップダウンスタート。
・ナスダック:13984.43。前日14015.74からギャップダウンスタート。
米国主要3指数はまちまちの動き。

1:30 欧州クローズ
・ドル円:115.605。



3:00 経済指標
米国3年債入札:500億ドル

結果:最高落札利回り1.592%
【見通し】
入札良好なら米国債利回り低下、入札不調なら米国債利回り上昇です。
1/24 2年債入札:好調
1/11 3年債入札:好調
1/12 10年債入札:不調
1/13 30年債入札:不調
1/20 20年債入札:好調
1/25 5年債入札:好調
1/27 7年債入札:好調

短期債入札好調で長期債入札は不調の傾向があり、「前回1/11 3年債入札好調→2年債と10年債利回りも利回り低下→ドル売り→ドル円下落」でした。
今回も同じ流れになる可能性があります。

【考察】
今回はやや好調だったようですが、「3年債利回り上昇し、2年債と10年債利回りも連れて上昇→ドル買い」、しかし「円買い>ドル買い」でドル円下落推移。

6:00 NYクローズ
・ドル円:115.543

・ダウ平均:35465.92
・S&P500:4520.36
・ナスダック:14190.51
米国債利回り2年,10年が強い上昇にも関わらず、米国主要3指数も強い上昇。これは米利上げを米株式市場が織り込んだことを意味すると考えて良いのか。


ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

通貨強弱

NYマーケットクローズ時点の通貨強弱

  1. AUD(資源国リスクオン通貨):前日2位
  2. NZD(資源国リスクオン通貨):前日3位
  3. GBP(リスクオン通貨):前日6位
  4. USD(基軸通貨):前日7位
  5. CHF(リスクオフ通貨):前日4位
  6. EUR(リスクオン通貨):前日8位
  7. CAD(資源国リスクオン通貨):前日1位
  8. JPY(リスクオフ通貨):前日5位

【考察】
2/8(月)と同様にオセアニア資源国通貨が上位。原油先物価格90ドル割れまで急落したためかCAD売りが強く推移。

米国・欧州国債利回りが大きく上昇する一方、日本国債利回りは小幅上昇に留まったことで、欧米と日本の金利差拡大で円が売られやすかったと考えられます。

米国債イールドカーブ

  • 2/8(火)は2/7(月)に対して、ベアフラットニング(長短金利が上昇し、長短金利差縮小)になりました。景気過熱や金融引き締めを示唆しており、ドル買い材料と考えられます。

材料まとめ

ドル買い材料

  • 金融政策
    • FOMC(1/26):政策金利据え置き、但し、金融引き締めに前向きな見解(3月テーパリング終了確定、3月利上げほぼ確実)。市場では3月0.5%利上げ観測や年内利上げ5回以上予想見られる。
    • 日米金利差拡大:米国は金融引き締め、日本は金融緩和継続
  • 政治、経済
    • 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み
    • エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇
    • 米企業決算総じて良好
    • 米国GDP第4四半期(1/27):良好
    • 米国雇用統計(2/4):サプライズの強い数値
  • 要人発言
    • パウエルFRB議長会見(1/26):「利上げとバランスシート縮小可能」「毎回のFOMC会合で、利上げする可能性を排除しない」「金利を引き上げる余地はかなりある」→タカ派発言
  • 新型コロナ
    • オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
    • FDAワクチン諮問委員:オミクロン株のピークは2~3週間の見込み
  • 地政学リスク
    • ウクライナへロシア侵攻すれば米国制裁→ロシア産原油のドル建て決済不可→原油先物価格上昇→インフレ加速

ドル売り材料

  • 政治、経済
    • 米国貿易赤字が過去最大規模
    • 世界経済が回復する中、欧州株、アジア新興市場株や債券、資源国通貨、金や銀に資産を移すべきとのマネーマネージャーが増えているとの報道(1/13, Bloomberg)
    • 気候変動・社会保障関連歳出法案:マンチン上院議院反対で採決先送り
    • 中国春節の7連休(1/31~2/6):中国国内での消費のためにドル保有投資家や企業がドルを人民元に両替。中国の経済規模は大きいたドル売り人民元買いの影響が大きいと推測。高インフレに伴うバイデン政権支持率低下
  • 新型コロナ
    • 米国内のワクチン接種率向上しない、マスクをしない人も多い→感染拡大で人員不足
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係悪化
    • ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化:
      • ロシア、米国、NATOの協議不調。
      • ロシア制裁でドル決済が使えなくなったら、ロシアはドル売り中国人民元買いの可能性

円買い材料

  • 金融政策
    • 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリング。
  • 政治、経済
    • 長期金利が一時0.185%(2016年1月以来):2/1から大手銀行5行が10年固定の住宅ローン基準金利を0.05~0.10%引き上げ。
  • 要人発言
    • 岸田首相発言「新しい資本主義」:投資家軽視→リスクオフ株価下落
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係
    • ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
      • 米国サリバン大統領補佐官「ロシア侵攻は明日にも起こり得るし数週間先かもしれない」「ロシアはいつでも攻撃を仕掛けられるよう軍を展開した」「侵攻は複数の形で行われるかもしれない(サイバー攻撃も示唆」(2/6)
    • 北朝鮮の軍事行動:ミサイル発射は1月に7回
  • IMM通貨先物
    • 1/25時点、円ショート縮小(ネット-80,879→-68,273、前週比+12,606)

円売り材料

  • 金融政策
    • 2021.12.17 に引き続き、2022.1.18日銀金融政策決定会合で、政策金利-0.1%維持、金融緩和継続、必要なら追加緩和方針。
    • 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い。
  • 要人発言
    • 日銀黒田総裁(1/18):「利上げや緩和的な政策変える必要ないし議論もない」
  • 政治、経済
    • 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
  • 新型コロナ
    • 日本政府 「まん延防止等重点措置」適用→日本経済停滞

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: 上昇トレンド継続。
    月足トレンドライン付近まで下落して反発し、ローソク足は十字線形成。
  • 週足: 上昇トレンド継続。今週は陰線スタート。
  • 日足: 上昇トレンド継続。しかし、日足レジスタンス115.328かつ三角持ち合い上限到達しており下落圧力も強い。
    115.328を上抜けたら上値目処は週足レジスタンス115.555、その上は日足レジスタンス116.107。
    下値目処は20MA付近またはサポート114.355。
  • 4H足: トレンドライン下抜けたためレンジ。押し安値114.843下抜けまでは上目線継続。
    レジスタンス115.156上抜けで上値目処は週足レジスタンス115.555。
    押し安値114.843かつ20MA下抜けで下目線。下値目処は日足レジスタンス114.355。
  • 1H足: トレンドライン下抜けたためレンジ。押し安値114.843下抜けまでは上目線継続。
    レジスタンス115.156上抜ければ上値目処は日足レジスタンス115.328。
    押し安値115.048下抜けで下値目処は4H足・1H足押し安値114.843、その下は日足サポート114.355。
  • 15M足:上昇チャネル形成中。戦略は1H足と同じ。

【シナリオ】
①ロング
(A)1H足レジスタンス115.156上抜けてレジサポすれば目標日足レジスタンス115.328。但し、値幅約15pipsのためスルーでも良い。
(B)日足右下がりトレンドラインかつ日足レジスタンス115.328を上抜けてトレンドラインで反発すれば、目標115.555。
(C)4H足・1H足押し安値114.843まで下落した後、反発して4H足や1H足200MAで支えられれば、目標1H足レジスタンス115.048、オーバーシュートで115.156。

②ショート
(D) 1H足押し安値115.048下抜けてレジサポすれば、目標4H足サポート114.937、オーバーシュートで114.843。
(E)4H足・1H足押し安値114.843下抜けてレジサポすれば、目標日足サポート114.355

日足以下が三角持ち合いやレンジで動きにくい状況抜けた方向に付いていくことになりますが、値幅が狙えそうなのは(E)ショート。それ以外は様子見が適切かもしれません。

【考察】
9:30-10:00
15M足が1H足レジスタンス115.156でレジサポ→仲値通過後に115.328到達し、テクニカル(A)ロング成立。

13:00-16:15
1H足が日足右下がりトレンドラインかつレジスタンス115.328でレジサポしたことで、ロング(B)狙い可。欧州オープン前に115.547まで上昇したものの、ロング(B)目標週足レジスタンス115.555には届かず、ドル円急落。週足ラインはちょっとしたズレでもレートが10pips以上変動することがあるため、週足ラインを目標にする場合は目安と考えて、目標付近でレートが停滞したら早めの利確が必要のようです。

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