2024年5月29日(水)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>

(1)経済指標
・米国リッチモンド連銀製造業指数
・米国7年債入札
・米国ベージュブック(地区連銀経済報告)

(2)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人

(3)その他
・月末スポット応当日
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
・スワップ3倍デー
来週のドル・円は小じっかりか、ドルに先高観-日銀執行部発言に注目(Bloomberg
【債券週間展望】長期金利は上昇か、買い入れ減額と早期利上げを警戒(Bloomberg
【日本株週間展望】弱含みへ、インフレ高止まり懸念で米PCEに注目(Bloomberg

本日の注目材料は2点。

①米国経済指標
本日注目度の高い指標が続きます。サプライズあれば初動は「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きを想定します。
一方、弱い数値が出ても、単発データでは最近のFRB要人タカ派発言の見解が変わることはなく、ドル円下落は一時的で押し目買いの機会と考えます。

②米国FRB要人発言
5/20(月)週から総じてFRB要人発言タカ派発言が続いており、本日も「タカ派発言→ドル円上昇」がメインと考えます。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

9:55 仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。年末・月末スポット応当日は仲値に向けて売買交錯しやすい。

*スポット:直物為替(直物取引)。原則、売買を契約した日(約定日)から2営業日後に受け渡しをする外国為替取引のことです。

*スポット応当日:スポットの受け渡し日のこと。年末、月末や四半期末には仲値に向けた実需勢等の売買が交錯しやすく荒い値動きが生じる可能性があります。

【考察】実需勢ドル買いによりドル円上昇。

10:31~要人発言
安達日銀審議委員(熊本県金融経済懇談会)
拙速な利上げ、絶対に避けなければならない=安達日銀審議委員(Reuters

【考察】利上げ否定のハト派発言。しかし、5/25植田日銀総裁と5/27内田日銀副総裁のタカ派発言の影響強く、日本10年国債利回り1.075%へ上昇しており、一瞬のドル円上昇から下落。

14:43~要人発言
安達日銀審議委員(熊本県金融経済懇談会)
利上げペース早める必要も、円安で物価再上昇なら-安達日銀委員(Bloomberg

【考察】午前中のハト派発言から一転。円安牽制の利上げ肯定タカ派発言で日通し安値156.90へ急落。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

16:10 要人発言
日銀保有国債の含み損9.4兆円と大幅増、金利上昇が影響-23年度決算(Bloomberg
国債含み損:前回1571億円、結果9.4兆円
ETF含み益:前回16兆円、結果37.3兆円
国庫納付金:前回1.9兆円、結果2.1兆円

【考察】
・「日銀追加利上げ→国債利回り上昇、ETF下落→国債含み損加速、ETF含み益縮小、利払いで企業・個人支出増」
・「日銀緩和継続→円安加速→企業・個人支出増」
・実質賃金24か月連続マイナス(日本経済新聞)→収入が支出増に追いつかない。
日銀追加利上げや緩和継続のいずれでも日本景気悪化懸念」と判断されドル円上昇。

23:00 経済指標
米国リッチモンド連銀製造業指数
基準0、前回-7、予想-7、結果0(◎)

【考察】強い数値。ドル円上昇。

26:00 経済指標
米国7年債入札(Upcoming Auctions
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。

発行額(Offering Amount):440億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.716%、結果4.650%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.48倍、結果2.43倍(×)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回65.1%、結果66.9%(◎)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回0 bps、結果+1.3bps(×)

【考察】強弱混在。しかし総じて入札不調と判断され、下落からドル円上昇。

27:00 要人発言
米国ベージュブック(地区連銀経済報告)
FOMC開催の2週間前に公表。政策金利決定の材料とされるため注目度大。
米地区連銀経済報告、成長「わずか、ないし緩やか」-物価により敏感(Bloomberg

【考察】経済緩慢に成長。ドル円上昇。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値157.19
前日NYマーケットの影響引き継ぎと、スポット応当日が月末ということもあり仲値に向けた実需勢のドル買いから仲値に掛けて東京高値157.41へ上昇。しかし、1H足戻り高値157.46手前で失速。
午前の安達日銀審議委員利上げ否定ハト派発言で一瞬上昇するも、5/25植田日銀総裁と5/27内田日銀副総裁のタカ派発言の影響強く、更に日本10年国債利回り1.075%へ上昇しており、ドル円下落しました。
更に、午後には安達日銀審議委員から円安牽制の利上げ肯定タカ派発言が飛び出し、東京マーケットクローズ直後には日足安値156.90へ急落。一方、3営業日レジスタントとして機能していた切番157.00付近を抜ける材料にはならず、押し目買い入り反発上昇。

【日本市況】長期金利12年半ぶり高水準、日銀政策に警戒-円反発(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後も切番157.00付近からの押し目買い続き、5/28米経済指標やFRB要人タカ派発言影響継続、日銀23年度決算を受けて日銀追加利上げ・緩和継続のいずれでも日本景気悪化懸念と判断されドル円上昇。
米国リッチモンド連銀製造業指数(強)、米国7年債入札(弱)もドル円上昇を後押し、日足高値157.71到達。
一時下押しありましたが、米国ベージュブックでの経済緩慢な拡大内容を受けてドル円上昇して引けました。
日足終値157.67

【米国市況】円売り加速、一時1ドル157円71銭-米国債と米株は下落(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・スポット応当日が月末→実需勢ドル買い
・5/28米経済指標、FRB要人タカ派発言影響継続→米国高金利長期化観測
・米国リッチモンド連銀製造業指数(◎)
・米国7年債入札(×)
・米国ベージュブック(経済緩慢拡大)
・スワップ3倍デー

売り材料:

<円買い優勢>
買い材料:
・米国高金利長期化観測→米国債利回り上昇→日欧国債利回り上昇へ波及→リスクオフ株下落
・安達日銀審議委員タカ派発言

売り材料:
・安達日銀審議委員ハト派発言
・日銀23年度決算

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回6月12日公表:据え置き99.1%
初回利下げ観測11月7日公表:25bp引き下げ44.8%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:5月陰線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:5/27週、陽線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:5/28陽線。レンジ
  • 4H足:上昇トレンド。
  • 1H足:上昇トレンド。
  • 15M足:上昇トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)4H足・1H足レンジブレイク:日足高値157.201をダウ上昇→目標日足戻り高値157.820
(B)4H足レンジ内:4H足ダウ高値156.948や1H足20MA付近へ下落→転換上昇→目標日足高値157.201
(C)4H足レンジ内:4H足押し安値156.674付近へ下落→転換上昇→目標4H足三尊右肩156.948

②Short
(D)4H足・1H足レンジブレイク:日足安値156.580をダウ下落→目標日足押し安値156.182

5月通算:13勝7敗、勝率65.0%、+273.1pips

(Trading View)

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