2022年4月12日(火)ドル円初心者戦略と結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

注目材料

1. ウクライナ情勢緊迫化
4/11も停戦交渉の不透明感に変わりなし。強いサプライズの報道や要人発言なければドル円への影響は小さいと考えます。

2.円売り加速
①日本の金融緩和継続、②安全資産としての円魅力低下、③日本の経済成長率低下、④日本の貿易収支悪化(特にエネルギーや食料価格高騰)が円売り要因。
①~④のいずれも改善が見えないことから、円売りが続く可能性が高い。

125円台は黒田日銀総裁が2015年6月に懸念を示した「黒田ライン」と呼ばれており125.000が強いレジスタンスとして意識されると考えていましたが、4/11にも円安容認の要人発言が相次ぎあっさりと125.000突破。
円安牽制発言が出て一時的に円買いになっても、本質的な円安が解消されることはないため需給の大規模な円売りポジション解消がない限り強い円買いは生じにくいと推測します。

3. 米国経済指標・要人発言
米国消費者物価指数が注目材料。前回かつ予想より高い数値が出ればドル買いドル円上昇と考えます。

マーケットの動き

東京マーケット前
6:00 取引開始
・ドル円: 125.353 (前営業日終値 125.390 から -3.70 pips ギャップダウン)
・米国債2年利回り: 2.506 %
・米国債10年利回り: 2.784 %

【考察】
ドル円ギャップダウンは小さく直ぐに窓埋め上昇。

8:50 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
日本国内企業物価3月度
前月比:前回0.8%、予想0.9%、結果0.8%(△)
前年比:前回9.3%、予想9.2%、結果9.5%(◎)


【考察】
前年比9.5%は39年3か月ぶりの高い数値。ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギーや穀物価格高騰に加え円安の影響が物価押し上げているよう。

東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円: 125.438 (始値比 +8.50 pips )
・米国債2年利回り: 2.522 (始値比 +0.016 % )
・米国債10年利回り: 2.807 (始値比 +0.023 % )
・日経平均株価: 26606.87 (前日営業日終値 26821.30 から -214.43 )・TOPIX 1880.22 (前日営業日終値 1889.64 から -9.42 )

【考察】
「前日の米国債利回り上昇→米国主要3指数急落」を引き継ぎ、日本株価指数もギャップダウンスタート。
「日経平均株価下落→円買い」と「要因不明なドル売り」によるドル売り円買いでドル円急落。

9:10 要人発言
鈴木財務相
「為替の安定は重要、急激な変動は望ましくない」
「円安進行含め為替動向を緊張感持って注視」
「為替の過度な変動や無秩序な動きは悪影響を与える」
「円安進行含め為替動向を緊張感持って注視」と財務相、円が上昇(Bloomberg)

【考察】
4/5に引き続き円安牽制発言による円買いでドル円125.105まで急落。
しかし、口先介入だけでトレンドが変わることはあり得ず、一時的な下落したものの直ぐに上昇。
急激な円安の影響で、日本の金融当局者の円安容認・牽制発言でドル円が動くことも増えてきており、更に円安が進むと日本金融当局者から強い円安牽制発言が出る可能性もあるため注意が必要かもしれません。

9:55 仲値
・ドル円: 125.541 (始値比 +18.80 pips )(東京マーケット始値比 +10.30 pips )

【考察】
ドル円125.556から125.105まで急落後、「米国債利回り上昇→ドル買い」と「円売り」で仲値に向けて125.561まで全戻しの上昇。
仲値通過後は下落傾向。

14:42 要人発言
岸田首相
「為替の安定は重要で急速な変動は望ましくない」

【考察】
円安牽制発言でしたが、直前の鈴木財務相と同じ発言の繰り返しだったためか影響なくドル円上昇継続。

15:00 クローズ
・ドル円: 125.501 (始値比 +14.80 pips )(東京マーケット比 +6.30 pips )
・米国債2年利回り: 2.537 (始値比 +0.031 % )
・米国債10年利回り: 2.820 (始値比 +0.036 % )
・日経平均株価: 26334.91 (前営業日比 -486.39 、 -1.81 %)
(東京マーケット始値比 -271.96 、 -1.02 %)
・TOPIX 1863.63 (前営業日比 -26.01 、 -1.38 %)
(東京マーケット始値比 -16.59 、 -0.88 %)

【考察】
株価指数は米国債利回り上昇を受けて下落継続。
ドル円15M下降チャネル上抜けたことから上昇しやすい。しかし、OANDAラボ125.750以上に逆指値買いオーダーが入っており125.750手前が強いレジスタンスとなっている可能性あり。

欧州マーケット(17:00~25:30)
17:00 オープン
・ドル円: 125.517 (始値比 +16.40 pips )・米国債2年利回り: 2.549 (始値比 +0.043 % )
・米国債10年利回り: 2.832 (始値比 +0.048 % )

【考察】
東京クローズ後にドル円当日高値125.760を付けた後、125.456まで下落したものの、15M20MAに支えられ欧州オープンから上昇転換。

17:41 要人発言
ロシア・プーチン大統領

「ウクライナでの軍事作戦が目的を達することは間違いない」

【考察】
先行き不透明感が増しリスクオフ材料。

21:30 経済指標
米国消費者物価指数3月度
前月比:前回0.8%、予想1.2%、結果1.2%(○)
前年比:前回7.9%、予想8.4%、結果8.5%(◎)
コア前月比:前回0.5%、予想0.5%、結果0.3%(✕)
コア前年比:前回6.4%、予想6.6%、結果6.5%(△)

米消費者物価指数8.5%上昇、伸び加速-FRBへの圧力強まる(Bloomberg)
米短期債の利回り急低下、2年債は一時2.4%割れ-CPI発表後に(Bloomberg)

【考察】
前年比8.5%は40年3カ月ぶりの高い伸びだったものの、コア指数が予想より低い数値となったことで米国金融引き締め後退と認識されたためか、「米国債利回り急落→ドル売り」かつ「円買い」でドル円急落。
しかしながら、この結果のみで米国金融政策が緩むとは考えにくく、日足以上のドル円上昇トレンドが下落に転換するとも考えにくい。よって、下落は一時的と推測します。

21:18 要人発言
ロシア・プーチン大統領

「制裁を考慮すると、ロシアとベラルーシと連携が重要」
「ウクライナとの交渉は行き詰まっている」
プーチン氏、ウクライナとの交渉は「行き詰まり」-侵攻は継続(Bloomberg)

【考察】
先行き不透明感が増しリスクオフ材料。

NYマーケット(22:30~29:00)
22:30 オープン
・ドル円: 125.041 (始値比 -31.20 pips )
・米国債2年利回り: 2.424 (始値比 -0.098 % )
・米国債10年利回り: 2.716 (始値比 -0.091 % )
・ダウ平均: 34412.51 (前営業日終値 34308.07 から +104.44 )
・S&P500: 4437.59 (前営業日終値 4412.54 から +25.05 )
・ナスダック: 13584.69 (前営業日終値 13411.97 から +172.72 )

【考察】
米国消費者物価指数のコアが弱い数値だったことで米国主要3指数はギャップアップスタート。
「急落後の米国債2年,10年利回り上昇転換→ドル買い」と「米国主要3指数上昇→円売り」でドル円上昇。

25:15 要人発言
米国ブレイナードFRB副議長

「穀物とエネルギーの価格の上昇は特に痛みを伴う」
「注目のコアCPIは減速」

「インフレ抑制が最も重要」
「バランスシート縮小は6月から実施される可能性」

FRB、6月にもバランスシート縮小に着手か=ブレイナード理事(Reuters)

【考察】
4/5の同氏発言と比べると、タカとハト派発言が混在する内容。

25:30 欧州クローズ
・ドル円: 125.152 (始値比 -20.10 pips )
・米国債2年利回り: 2.381 (始値比 -0.125 % )
・米国債10年利回り: 2.685 (始値比 -0.099 % )

【考察】
米国ブレイナードFRB副議長のタカ派・ハト派が混在する発言の影響のためか、ドル円上下に変動。

26:00 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国10年債入札340億ドル:前回1.920%、予想、結果2.720%(✕)
【考察】
入札不調で「米国債10年利回り上昇→ドル買い」でドル円上昇。


27:00 経済指標
米国月次財政収支3月度:前回-2166億ドル、予想-1900億ドル、結果-1927億ドル(△)
【考察】
前回より赤字減少大きかったためか、「ドル買い」「円売り」でややドル円上昇。

29:00 NYクローズ
・ドル円: 125.334 (始値比 -1.90 pips )
・米国債2年利回り: 2.379 (始値比 -0.127 % )
・米国債10年利回り: 2.727 (始値比 -0.057 % )
・ダウ平均: 34220.35 (前営業日比 -87.74 、 -0.26 %)
(NYマーケット始値比 -192.16 、 -0.56 %)
・S&P500: 4397.46 (前営業日比 -15.08 、 -0.34 %)
(NYマーケット始値比 -40.13 、 -0.90 %)
・ナスダック: 13371.56 (前営業日比 -40.39 、 -0.30 %)
(NYマーケット始値比 -213.13 、 -1.57 %)

【考察】
米国主要3指数下落で引け。翌日の東京マーケットでも株価指数下落の可能性大。

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

通貨強弱

NYマーケットクローズ時点の通貨強弱

  1. AUD(資源国リスクオン通貨):前日7位
  2. NZD(資源国リスクオン通貨):前日5位
  3. JPY(リスクオフ通貨):前日8位
  4. USD(基軸通貨):前日3位
  5. CAD(資源国リスクオン通貨):前日6位
  6. CHF(リスクオフ通貨):前日1位
  7. GBP(リスクオン通貨):前日4位
  8. EUR(リスクオン通貨):前日2位

【考察】
ロシア・プーチン大統領が停戦交渉に後ろ向きの発言を繰り返し不透明感が増したことで欧州通貨(CHF, EUR)とGBP売りとオセアニア通貨(AUD, NZD)買い。
要人による円安牽制発言が相次いだことでJPYがやや買い戻し。

米国債イールドカーブ

4/12(火)は4/11(月)に対して、ブル・スティープニング(短期金利低下、長期金利低下、長短金利差上昇)。3年と10年利回りの逆イールド解消。

*ブル・スティープニング:直近の景気後退→政策金利下げ(又は利上げ期待後退)の可能性浮上→将来の金利もやや低下見込み→景気後退懸念→リスクオフ→ドル売り示唆

【考察】
短期利回りの下落が続けば一時的にドル売りになりそう。

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: ボリンジャーバンドエクスパンションし上昇トレンド。
  • 週足: ボリンジャーバンドエクスパンションし上昇トレンド。
  • 日足: 大陽線形成でボリンジャーバンドエクスパンションに移行中。
  • 4H足:ボリンジャーバンドエクスパンションし上昇トレンド。
  • 1H足:ボリンジャーバンドスクイーズしレンジ。
  • 15M足:ボリンジャーバンドエクスパンションし下降トレンド。

【シナリオ】
①ロング
(A)1H下降チャネル上抜け→レジサポ→目標日足ヒゲ先125.108。

②ショート
(B)1H足押し安値125.242下抜け→レジサポ→目標1Hサポート124.679。

ドル買い円売り材料が多いためロング優先。

【考察】
10:30 1H下降チャネル上抜け→レジサポ→(A)ロング可。
13:15 目標日足ヒゲ先125.108に届かず1H下降チャネル内に戻され→レジサポ失敗し(A)ロング不成立。

22:15 1H足押し安値125.242下抜け→レジサポ→(B)ショート可。
22:45 目標1Hサポート124.679に届かず、1Hレジスタンス125.242上まで上昇→(B)ショート不成立。

ロング、ショート共に失敗のシナリオ。

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