ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
注目材料
1. ウクライナ情勢緊迫化
(1)露ラブロフ外相「アメリカ、NATOと交渉を続ける余地あり」「合意の機会は存在する」「プーチン大統領に西側諸国との交渉継続を提案」
(2)露プーチン大統領「ラブロフ外相の交渉継続提案を承諾」
(3)アメリカ政府、ウクライナ(キエフ)大使館閉鎖
(4)米政府高官「(衛星画像によれば)ロシア軍は攻撃位置に移動を始めた」
(5)ウクライナ、ゼレンスキー大統領「今月16日にロシアによる侵攻が決行されるとの情報」
(6)米国防総省報道官「プーチンがウクライナ侵攻の最終決定をしたとはまだ信じていない」
前日は要人発言や報道で相場が大きく動きました。
(1),(2),(6)のリスクオフ後退でドル円上昇、(3),(4),(5)リスクオフでドル円下落。しかし、(5)の後に誤った情報と分かり下落分を打ち消す上昇となりました。
誤った情報を含め、本日も突発的な報道や要人発言で、その度にドルと円の方向性が大きく変わる可能性があります。
2. 米国生産者物価指数(PPI)
2/10発表の米国消費者物価指数(CPI)はサプライズの上振れを受けてドル円急騰しました。
PPIはCPIに比べると注目度がやや低いですが、サプライズの強い数値が出れば「インフレ懸念→ドル買い→ドル円上昇」と推測します。
現時点で最も注目度が高いのはウクライナ情勢です。先週までにはなかったリスクオフ後退の発言等も出てきておりますので、ドル円は上昇しやすいと推測します。しかしながら、突発的な報道や要人発言で振り回される可能性があります。そうであれば、本日は様子見のみが適切と考えます。
マーケットの動き
東京マーケット前
7:00 取引開始
・ドル円: 115.523 前営業日終値115.529ほぼ変わらずスタート。
8:50 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
日本GDP1次速報値 第4四半期
前期比:前回-0.9%(改定値-0.7%)、予想1.5%、結果1.3%(△)
前期年率換算:前回-3.6%(改定値-2.7%)、予想6.0%、結果5.4%(△)
GDPデフレータ前年比:前回-1.2%、予想-1.3%、結果-1.3%(○)
【考察】
前期年率換算はコロナ前の水準まで回復。
東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円: 115.539
・日経平均株価: 27183.56 前営業日終値27079.37からギャップアップスタート
【考察】
日本GDPの前期年率換算は予想より低い数値ではありましたが、コロナ前の水準まで回復したことが好感されたためか日経平均株価上昇スタート。しかし、やはり前日米国主要3指数がウクライナ情勢緊迫化で軟調であったことを引きずってか、直ぐに下落に転換しました。
9:15
・米国債2年利回り: 1.571%
・米国債10年利回り: 1.981%
9:55 五十日仲値
・ドル円: 115.400
仲値に向けてドル円上昇の可能性を考えていましたが、「日経平均株価急落→円買い」と「米国債2年利回り低下→ドル売り」で、オープンからドル円下落が続きました。
15:00 クローズ
・ドル円: 115.330
・米国債2年利回り: 1.561%
・米国債10年利回り: 1.977%
・日経平均株価: 26865.12 (前営業日比-214.25、-0.79%)
15:30
日足サポート115.355下抜けてレジサポしたことで、テクニカル分析(C)ショート可と判断。
欧州マーケット(17:00~1:30)
17:00 オープン
・ドル円: 115.348
・米国債2年利回り: 1.565%
・米国債10年利回り: 1.988%
17:00 報道
南部と西部に配備していたロシア軍隊が本部に帰還している
【考察】
リスクオフ後退報道で、「欧州株価、株先物(ダウ、日経)急騰→円売り」、「米国債2年,10年利回り急騰→ドル買い」、ドル買い円売りでドル買い急騰しました。
この報道によって、テクニカル分析(C)目標115.074到達前にドル円が噴き上げたことで(C)シート不成立。やはり、シナリオで考えた通り、突発的な報道や要人発言でドル円が大きく動きました。様子見が適切でした。
一方で、右下がりトレンドラインを上抜けたことで日足以上の上昇トレンドに合流したという見方も出来ます。つまり、(B)ロングに近い動き。しかし(B)が狙えたとしても突発的にレジサポなく噴き上げたためにエントリーできない動きでした。
22:30 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国ニューヨーク連銀製造業景気指数2月度:前回-0.7、予想12.0、結果3.1(△)
【見通し】
フィラデルフィア連銀景況指数やISM製造業景気指数の先行指標として注目されます。
前回(1/18)はサプライズの弱い数値で「米国債2年,10年利回り低下→ドル売り」、「ダウ先物下落→円買い」でドル円下落となりました。今回は前回からの改善が見込まれますが、予想がかなり高いことからサプライズにはなりにくそう。
米国生産者物価指数(PPI)1月度
前月比:前回0.2%、予想0.5%、結果1.0%(◎)
前年比:前回9.7%、予想9.1%、結果9.7%(○)
コア前月比:前回0.5%、予想0.5%、結果0.8%(◎)
コア前年比:前回8.3%、予想7.9%、結果8.3%(○)
【見通し】
2/10の米国消費者物価指数(CPI)はサプライズの上振れを受けて、「米利上げ織り込み加速→米国債利回り急騰→ドル買い」、「株先物(ダウ、日経)急落→リスクオフ円買いなし」、「日米金利差拡大→円売り」、ドル円急騰しました。
PPIはCPIに比べると注目度がやや低いですが、サプライズの強い数値が出ればドル円上昇と推測します。
【考察】
PPIは総合的に強い数値で発表直後は「インフレ懸念→ドル買い→ドル円上昇」になりましたが、米国ニューヨーク連銀製造業景気指数が弱かったことや、やはりウクライナ情勢が注目されている中では材料になりにくかったためか、直ぐにドル円全戻し。15M足1本で115.616-115.719で約10pips上下に振れる方向感のない動きでした。
NYマーケット(23:30~6:00)
23:30 オープン
・ドル円: 115.710
・米国債2年利回り: 1.588%
・米国債10年利回り: 2.045%
・ダウ平均: 34686.19
・S&P500: 4429.28
・ナスダック: 13997.18
米国主要3指数全てギャップアップスタート
23:30 要人発言
露プーチン大統領
「米国並びに北大西洋条約機構(NATO)と交渉を継続する用意がある」「戦争を望まない」「ロシア軍の一部撤退を決定」
【考察】
ウクライナ情勢緊迫化の解決に向けて、プーチン大統領の前向きな発言が伝わったことで、「リスクオフ後退した様子。
「ダウ平均上昇→円売り」、「米国債2年,10年利回り上昇→ドル買い」でドル円上昇。
25:25 報道
ウクライナのサイバーセキュリティセンターは、国防省、民間銀行、オシャドバンクのWebサイトがサイバー攻撃を受けていると発表
【考察】
プーチン大統領発言でリスクオフ後退から間も無く再びリスクオフ材料でドル円下落。
25:30 欧州クローズ
・ドル円: 115.677
29:35 要人発言
米国バイデン大統領
「プーチン大統領とは交渉を継続する」「ロシア軍の一部撤退は未確認」「ウクライナ国内に米軍を派遣しない」
【考察】
特に進展なくドル円反応薄。
30:00 NYクローズ
・ドル円: 115.626
・米国債2年利回り: 1.575%
・米国債10年利回り: 2.049%
・ダウ平均: 34988.83 (前営業日比+422.65、+1.22%)
・S&P500: 4471.08 (前営業日比+69.42、+1.58%)
・ナスダック: 14139.77 (前営業日比+348.85、+2.53%)
米国主要3指数揃って大幅上昇
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
NYマーケットクローズ時点の通貨強弱
- EUR(リスクオン通貨):前日7位
- AUD(資源国リスクオン通貨):前日5位
- NZD(資源国リスクオン通貨):前日8位
- GBP(リスクオン通貨):前日6位
- USD(基軸通貨):前日2位
- CAD(資源国リスクオン通貨):前日1位
- JPY(リスクオフ通貨):前日3位
- CHF(リスクオフ通貨):前日4位
【考察】
ウクライナ情勢リスクオフ後退で、リスクオン通貨が買われ、リスクオフ通貨が売られやすい傾向が見られました。リスクオン通貨のCADが売られたのは原油先物価格下落の影響と推察します。
米国債イールドカーブ
- 2/15(火)は2/14(月)に対して、ツイスト・スティープニング(短期金利低下、長期金利上昇、長短金利差拡大)になりました。景気回復・金利引き下げ・将来の金融引き締め、ドル売りが示唆されます。
- 7年利回りと10年利回りの逆イールドは回避されました。
材料まとめ
ドル買い材料
- 金融政策
- 政治、経済
- 米国生産者物価指数(PPI)1月度:総合的に強い数値
- 要人発言
- 新型コロナ
- 地政学リスク
- ロシア報道(2/15):南部と西部に配備していたロシア軍隊が本部に帰還
- 露プーチン大統領(2/15):「米国並びに北大西洋条約機構(NATO)と交渉を継続する用意がある」「戦争を望まない」「ロシア軍の一部撤退を決定」
ドル売り材料
- 政治、経済
- 米国ニューヨーク連銀製造業景気指数2月度:予想より弱い数値
- 要人発言
- 新型コロナ
- 地政学リスク
- ウクライナのサイバーセキュリティセンター(2/15):国防省、民間銀行、オシャドバンクのWebサイトがサイバー攻撃を受けている
円買い材料
- 地政学リスク
- ウクライナのサイバーセキュリティセンター(2/15):国防省、民間銀行、オシャドバンクのWebサイトがサイバー攻撃を受けている
円売り材料
- 金融政策
- 要人発言
- 政治、経済
- 新型コロナ
- 地政学リスク
- ロシア報道(2/15):南部と西部に配備していたロシア軍隊が本部に帰還
- 露プーチン大統領(2/15):「米国並びに北大西洋条約機構(NATO)と交渉を継続する用意がある」「戦争を望まない」「ロシア軍の一部撤退を決定」
テクニカル分析
ドル円チャート
- 月足: ボリンジャーバンド開いており、上昇トレンド継続。上値目処は実体上限116.762。
- 週足: 陽線スタート。ボリンジャーバンドが閉じつつあり、直近の流れはレンジ。
- 日足: 日足トレンドラインや押し安値115.074付近の115.014で下げ止まって下ヒゲで反発し、サポート115.355上で引けており、日足レベルのダウ継続で上昇トレンド崩れず。
上値目処日足実体115.981。
日足トレンドラインかつ押し安値115.074下抜けで下値目処は日足押し安値114.363。 - 4H足:日足押し安値ライン115.074から大陽線の包み足で上昇し20MA到達後に戻し。
下ヒゲピンバーでダウ転換しており上昇圧力強い。上値目処は日足実体上限115.981。
日足サポート115.355下抜けで下値目処は日足トレンドライン付近押し安値115.074。 - 1H足: ボリンジャーバンド横向きでレンジ。戦略は4H足と同じ。
- 15M足:ボリンジャーバンド横向きでレンジですが三角持ち合い形成中。戦略は4H足と同じ。
【シナリオ】
①ロング
(A)15M足三角持ち合い上抜け→レジサポで、目標日足実体115.981。
(B)日足サポート115.355まで下落した後、反発してレジサポすれば、目標115.728
②ショート
(D)日足トレンドラインかつ日足サポート115.355下抜けてレジサポすれば、目標日足実体115.074。
(E)日足実体115.074下抜けてレジサポすれば、目標週足実体114.363。
ウクライナ情勢次第ですが、リスクオフ後退ならロング、リスクオフ続けばショート。直近はややリスクオフ後退でロング優先とします。しかしながら、前日同様、突発的な報道や要人発言でドルと円の方向性が大きく変わると考えます。
【考察】
15:30-17:00
日足サポート115.355下抜けてレジサポしたことで、テクニカル分析(C)ショート可と判断。
ロシア軍隊帰還報道によって、テクニカル分析(C)目標115.074到達前にドル円が噴き上げたことで(C)シート不成立。
一方で、右下がりトレンドラインを上抜けたことで日足以上の上昇トレンドに合流したという見方も出来ます。つまり、(B)ロングに近い動き。しかし(B)が狙えたとしても突発的にレジサポなく噴き上げたためにエントリーできない動きでした。
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