2024年7月24日(水)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日本40年国債入札
・米国PMI速報値
・米国新築住宅販売件数
・米国アトランタ連銀GDP Now
・米国5年債入札
・カナダ中銀政策金利

2.要人発言
・茂木幹事長の火消し発言有無
・鈴木財務相から茂木幹事長へ牽制発言有無
・政府、日銀円安牽制発言
・FEDウォッチャー、WSJ紙のニック氏(Twitter):FRBブラックアウト期間(7/20~8/1)につき

3.その他
・米国主要企業決算
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
・スワップ3倍デー

4.参考情報
来週の円相場はじり高、キャリー取引巻き戻し-日銀利上げ観測は後退(Bloomberg
【債券週間展望】長期金利上昇か、決定会合控え日銀の情報発信を警戒(Bloomberg
【日本株週間展望】反発、企業決算で銘柄選別-半導体に押し目買いも(Bloomberg

5.本日の注目材料

(1)前日マーケット影響
7/22欧州序盤の茂木自民党幹事長の円安牽制・利上げ発言への影響は軽微でしたが、7/23では再び材料視された様で、7月日銀会合での金融政策正常化への警戒感から投機筋円売りポジション調整と推測される強い円買い主導に加えて、米国株下落・原油先物価格下落も後押しとなり、終日ドル円下落が続きました。

従いまして、本日も投機筋円売りポジション調整が続くならドル円下落、調整一服なら押し目買いから上昇ですが、調整有無は通貨強弱、株の動き(円キャリー)、クロス円で判断が必要と考えます。

一方、7/17に河野デジタル相が円安是正・利上げ発言が出た後、2日後の7/19に河野デジタル相から火消し発言と、鈴木財務相から河野デジタル相へ牽制発言がありました。この時は、巻き戻しのドル円上昇発生。

よって、本日も下記発言があるか注目したい。
・茂木幹事長の火消し発言
・鈴木財務相の茂木幹事長への牽制発言

(2)ハリス氏支持率、対トランプ氏でバイデン氏上回る勢い-選挙戦一変か(Bloomberg
7/23から7/24取引開始時点のReal Clear Politicsの大統領勝利確率は、トランプ氏59から58%へ低下、ハリス副大統領が31から33%へ連日上昇しました。

ここで、考えられるのは2点。前日7/23は円ポジション調整主導の特殊な動きと考えて除くと、7/22は①トランプトレード(株高、ドル高、金利高)と②米国政情不安リスクオフ交錯しながらも、じり上げ上昇して引けました。

①ハリス副大統領の知名度や実績はトランプ氏に遠く及ばないと判断され、トランプトレード(株高、ドル高、金利高)加速
②バイデン大統領よりハリス副大統領の当選確率が高く、59歳と大幅な若返りにもなることから、米国政情不安リスクオフになりやすい。

トランプ氏優勢に変わりないですが、ハリス副大統領の当選確率が更に急上昇するようなら、ドル円乱高下に警戒が必要となります。
一方で円売り材料(c)~(e)が根強いことから、ドル円下落からの押し目買いが適切と考えます。

(a)トランプ氏の大統領返り咲き確率増→インフレ懸念、株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇
(b)トランプ氏の大統領返り咲き確率減→巻き戻しのドル円下落

(c)7/17ドル円急落を好機とした、安値ドル調達需要(日本実需、新NISA等の米国投資目的)
(d)7月日銀会合では景気悪化懸念から追加利上げできないとの見方
(e)恒常的円売り材料の影響

(3)米国経済指標
最近の指標はインフレ鈍化・景気減速傾向ありますが、米国パウエルFRB議長を始め、FRB要人は総じて「利下げ前に追加データ必要」のスタンスが目立つようになりました。

インフレ鈍化・景気減速傾向を踏まえて基本は(c)(d)を想定します。
強い数値となればサプライズですが、7/16米国小売売上高(強)は初動のみ上昇、7/18米国フィラデルフィア連銀景況指数・米国景気先行指数(強)は上昇継続。
と、指標結果だけでは判断しにくい。少なくとも発表前の4H足や日足抵抗との位置関係から上げ余地や下げ余地の把握が必要と考えます。

加えて、指標の重要度から一時的に4H足や日足抵抗をブレイクすることがあっても強いトレンドを生じる可能性は低く、大きく伸びても戻されやすいと考えます。

現状の日足下降ダウが崩れなければ、(a)ドル円上昇しても一時的になりやすいです。

(a)強い数値→初回9月利下げ期待織り込み剥落→巻き戻しのドル円上昇
(b)強い数値→リスクオフ株下落(円キャリー巻き戻し)ならドル円上げ止まりから下落
(c)弱い数値→初回7月利下げ・年内3回利下げ観測高進→ドル円下落
(d)弱い数値→リスクオン株上昇(円キャリー促進)→ドル円下げ止まりから上昇

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

12:35 経済指標
日本40年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:7,000億円程度
最高落札利回り:前回2.27%、結果2.42%(×)
応札倍率:前回2.21倍、結果2.20倍(◎)

【考察】総じて入札不調

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

18:28 報道
Exclusive: BOJ to weigh rate hike next week, detail plan to halve bond buying(Reuters
日銀、国債購入3兆円程度に違和感なし 利上げ時期は慎重に判断(Reuters

【考察】英語版の日銀会合利上げ・向こう数年間に債券購入額ほぼ半減させる計画報道を受けて日通し安値154.28付け。しかし、日本語版は利上げ時期は慎重とあり全戻し上昇するも、追加利上げ観測は根強く再び下落。

21:17 報道
最低賃金 全国平均の時給1054円に 過去最大の50円引き上げ(NHK

【考察】日銀追加利上げ観測

22:45 要人発言
カナダ中銀
政策金利:前回4.75%、予想4.50%、結果4.50%(○)
声明:コアインフレ減速
カナダ中銀、2会合連続で25bp利下げ-焦点は下振れリスクにシフト(Bloomberg

【考察】予想通り利下げ。声明もハト派発言。FRB利下げ観測後押し

22:45 経済指標
米国PMI速報値
(速報値発表日:1/242/223/214/235/236/21, 7/24)
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
製造業:前回51.6、予想51.7、結果49.5(×)
サービス業:前回55.3、予想55.0、結果56.0(◎)
総合:前回54.8、予想54.2、結果55.0(◎)

【考察】総じて強い数値。一方、カナダ中銀の利下げ・ハト派声明でFRB利下げ観測後押しが交錯。しかし、本日相場の主材料が7月日銀会合の追加利下げ観測であり、ドル円下落継続。

23:00 経済指標
米国新築住宅販売件数
住宅市場は消費に大きな影響を与えることから景気の先行指標として中古住宅販売件数とともに重要。
件数:前回61.9万件(改定62.1)、予想65.0万件、結果61.7万件(×)
前月比:前回-11.3%(改定-14.9)、予想3.4%、結果-0.6%(△)

【考察】弱い数値

25:00 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 7/17/37/10, 7/16, 7/17, 7/24, 7/26)
Q2:前回2.7%、予想2.7%、結果2.6%(×)

【考察】弱い数値

26:00 経済指標
米国5年債入札(Upcoming Auctions
(過去の発表日:5/28, 6/26)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。

発行額(Offering Amount):700億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.331%、結果4.121%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.35倍、結果2.40倍(◎)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回68.9%、結果67.25%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回-0.4 bps、結果+1.1bps(×)。4.121-4.110=0.011
WI:4.110%

【考察】総じて入札不調。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値155.57
7/18以来の155円台かつ日足押し安値155.57への急落で引けたことから、安値ドル調達需要(日本実需、新NISA等の米国投資目的)の押し目買いが入り、ドル円上昇スタート。

東京始値155.77後に日通し・東京高値155.99を付けたもの、156円台乗せ失敗で4H足・1H足下降ダウが完成。
前日NY引け後に発表されたテスラやアルファベット決算後の時間外株価下落に連れて日本株下落(円キャリー巻き戻し)、前日同様に7月日銀会合での金融政策正常化への警戒感から投機筋円売りポジション調整と推測される強い円買いが再び発生。日本40年国債入札(弱)も円買いに拍車を掛けて、戻り売りに押されて急落し東京安値154.36付け。
一方、日足押し安値ヒゲ先154.55を一気に抜けたことで押し目買いも入り、引けに掛けて揉み合いとなりました。
東京終値154.63

【日本市況】2カ月強ぶり円高値、日銀会合で臆測-株下落、金利上昇(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後、切番直前154.95へ揉み上昇するも、155円乗せ失敗。かつ日足レンジ安値154.88へレジサポ完成。欧州株下落(円キャリー巻き戻し)に連れドル円下落に転じたタイミングで、英語版の日銀会合利上げ検討報道を受けて日通し安値154.28付け。しかし、日本語版は利上げ時期は慎重とあり全戻し上昇するも、追加利上げ観測は根強く、最低賃金過去最大の50円引き上げ報道も加わりドル円下落。

NYオープンすると、米国株下落(円キャリー巻き戻し)に連れてドル円下落に拍車。
直後の米国PMI速報値(強)とカナダ中銀利下げ・ハト派声明によるFRB利下げ観測後押しが交錯するも、7月日銀会合の金融政策正常化への警戒感に伴う強い円買い主導が続きドル円下落して日足安値153.11付け。
その後、米国5年債入札(弱)を受け上昇して引けました。
日足終値153.90。

総じて、7/23同様、7月日銀会合の金融政策正常化観測から投機筋円売りポジション調整(推測)、日本・欧米株下落(円キャリー巻き戻し)に伴う強い円買い主導で終日ドル円下落が続きました。日足高値155.99から日足安値153.11へ、2.88円下落。

【米国市況】円が一時153円11銭に上昇、株は続落-短期国債が上昇(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売り優勢>
買い材料:
・安値ドル調達需要(日本実需、新NISA等の米国投資目的)
・米国PMI速報値(強)
・米国5年債入札(弱)
・スワップ3倍デー

売り材料:
・米国バイデン氏の米大統領選撤退からハリス氏の当選確率大幅上昇を受けた米国政情不安リスクオフ、トランプトレード(株高、ドル高、金利高)の一部巻き戻し
・カナダ中銀:政策金利引き下げ、声明ハト派の波及
・米国新築住宅販売件数(弱)

<円買い優勢>
買い材料:
・米国バイデン氏の米大統領選撤退からハリス氏の当選確率大幅上昇を受けた米国政情不安リスクオフ、トランプトレード(株高、ドル高、金利高)の一部巻き戻し
・7月日銀会合で追加利上げ、向こう数年間に債券購入額ほぼ半減報道
・テスラやアルファベット決算後の時間外株価下落→日本株下落(円キャリー巻き戻し)
・日本40年国債入札(弱)
・最低賃金 過去最大の50円引き上げ報道
・リスクオフ欧米株下落(円キャリー巻き戻し)

売り材料:
・スワップ3倍デー
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増[特に夏ボーナス買い]、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回7月31日公表:据え置き97.4→93.3%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ93.6→91.4%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利450~475bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:7月陰線形成中。上昇トレンド。押し安値支え
  • 週足:7/22週、陰線形成中。上昇トレンド。押し安値
  • 日足:7/23陰線。下降トレンド。
  • 4H足:下降トレンド。
  • 1H足:下降チャネル。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)4H足レンジ安値155.725かつ1H足20MAをダウ上昇→目標4H足戻り高値156.036
(B)4H足押し安値155.350付近へ下落→転換上昇→目標日足安値155.566

②Short
(C)4H足レンジ安値155.725付近へ上昇→日足安値155.566をダウ下落→目標4H足押し安値155.350
(D)4H足押し安値155.350をダウ下落→目標日足押し安値154.883

7月通算:14勝7敗、勝率66.7%、+219.5pips

(Trading View)

コメント

タイトルとURLをコピーしました