2022年1月14日(金)ドル円初心者戦略と結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

①前日NYマーケットの流れを引き継ぎ
米国PPIは前月比・前年比で予想を下回りましたが、コア前年比は予想より強い数値。強弱入り混じった結果になったため、「米国債2年と10年利回り低下→ドル売り」、「ダウ先物買い→円売り」でドル売り円売りが交錯し、ドル円の初動も方向感がでませんでした。

しかし、米国住宅ローン金利は3.45%に急騰との報道からインフレ懸念のためか、「先物(ダウ、日経)や米株価指数が軟調から下落→円買い」へ。
更に、一昨日からの流れと同様に米国金融当局者のタカ派発言にも関わらず「米国債利回り低下→ドル売り」。「ドル売り円買い」が重なりドル円下落が続きました。
引けにかけて、ややドル買いが入ってドル円も下げ止まり。

本日もこの流れを引き継いで東京マーケットは推移すると考えます。しかしながら、仲値が明日休日のために実質五十日ですから、それまでは上昇する可能性があります。仲値通過後、「日経平均株価買い→円売り」が強まらない限り、ドル円下落が継続すると推測します。

一方で、インフレ対策として利上げとバランスシート縮小は本質的にドル買い材料のはず。よって、買戻しでドル円が急騰する可能性もあると考えます。

②注目材料(経済指標や要人発言)
注目は、米国小売売上です。前回値より予想値が低いことから、「予想通りもしくは予想より低い結果→ドル売り→ドル円下落」になりやすいと考えます。
一方で、休日前に大きな含み益を得たショート勢の決済が入っても不思議ではありませんので、突然ドル円上昇に転換する可能性にも注意が必要です。

東京マーケット前

6:54 報道(Bloomberg)
日本国内の物価上昇を受けて、日銀がインフレ目標達成前から金利引き上げを議論するという報道。
【考察】
あくまで議論の段階ですが「利上げ期待の織り込み→日本株売り、日本国債売り→日本国債利回り上昇→円買い」材料。
現状、物価目標未達ですから早期の利上げは考えにくい。
仮に、早期利上げが実施されればサプライズで強い円買い→ドル円急落となりそうです。

7:00 取引開始時間
始値114.158スタート。
本日の仲値は明日が休日のために実質五十日。よって、仲値に向かってドル買いが進みやすいと思いますが、前日のドル円下降トレンドが崩れていません。

東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
ドル円:114.117
日経平均株価:ギャップダウンスタート

山際経済再生大臣「新しい資本主義は株価を意識しません」(1/13, プライムニュース)との発言で「日本株失望売り→円買い」、日銀の利上げ議論報道でも「日経平均下落→円買い」となったと考えます。

週末の実質五十日仲値に向けてドル買い期待がありましたが、仲値前からドル売り円買いが強まりドル円急落。あっさりとラウンドナンバー114.000下抜けました。

12:09 経済指標
中国貿易収支:前回4607億元、予想4537億元、結果6047億元

【考察】
2021年2月以来の高い数値でサプライズ。「中国経済回復→世界中の経済回復に波及→株買い、ドル買い材料」
しかし、初動はドル売り円買い継続していましたが、日経平均株価が上昇に転じて、ドル円も下げ止まりました。

14:50 報道
北朝鮮が弾道ミサイル発射、今年3回目(Bloomberg)
【考察】
「地政学リスク→円買い」から初動はドル円下落しましたが、今年1回目や2回目と比べて、またかという慣れによってショックは小さかったためか、ドル円下落は続かず持ち直しました。

17:40 報道
日銀、ETF701億円購入、21年10月1日以来
【考察】
「日経平均株価上昇と日経先物上昇→円売り→ドル円上昇」
ギャップダウンで始まった日経平均株価でしたが、11:15頃から上昇に転じた要因は、中国貿易収支結果が良好だっただけでなく、ETF買い入れもあったと推測できます。

欧州マーケット(17:00~1:30)

22:30 経済指標
米国小売売上高
(前月比)前回0.3%、予想-0.1%、結果-1.9%
(コア前月比)前回0.3%、予想0.1%、結果-2.3%


【見通し】
米国は個人消費がGDPの約7割を占めており、中でもコア前月比の注目度が高い。
予想値は前回値より低め。「予想通りもしくは予想より低い結果→ドル売り」と考えます。
予想を見越して事前の織り込みドル売りが入って、発表直前までドル円下落が続いていれば、Buy the factにも要警戒。

22:30 経済指標
米国輸入物価指数
(前月比)前回0.7%、予想0.2%、結果-0.2%
(前年比)前回11.7%、予想10.8%、結果10.4%


【見通し】
小売売上高と同様に予想値は前回値より低め。「予想通りもしくは予想より低い結果→ドル売り」と欄が得ます。しかし、注目度が高いのは小売売上高です。よって、サプライズがない限り、輸入物価指数は確認するだけの予定です。

【考察】
米国小売売上高、米国輸入物価指数ともに、前回かつ予想よりもサプライズの弱い数値。新型コロナのオミクロン株感染拡大の影響は大きいようです。
よって、指標直前までドル円の売り織り込みがあったとしても、Buy the factにはなりにくい状況だと考えられます。

初動ドル円下落で反応しましたが、ドル円下降トレンドが続く中で含み益を得ていたショート勢の買い決済が日足押し安値113.573付近で入ったためか、または、米国の景気後退を懸念してFRBのタカ派金融政策にブレーキが掛かる可能性のためか、あっさりと113.573を下抜けせずに揉みあいとなりました。

しかし、1つの指標でFRBスタンスが変わるはずがなく、指標発表前から続いていた動きの「米国債2年と10年利回り低下→ドル売り」、「米国3指数先物、日経先物下落→円買い」を継続し、ドル売り円買いが重なりドル円下落したと推測します。

23:15 経済指標
米国鉱工業生産指数:前回0.5%、予想0.2%、結果-0.1%
米国設備稼働率:前回76.8%、予想77.0%、結果76.5%

【見通し】
注目度が高いのは直前の小売売上高。よって確認だけに留めます。

【考察】
前回かつ予想より弱い数値。
サプライズの弱い指標結果が続いているにも関わらず、ドル円下落の勢いが鈍い。
注目材料の米国売上高が悪くとも113.573付近をあっさりとし抜けなかったことで、固い抵抗と判断されたためか、「米国債2年と10年利回り上昇→ドル買い」、「米国3指数先物、日経先物上昇→円売り」に転換、ドル買い円売りが重なりドル円上昇しました。
「リスクオフ円買い→リスクオフドル買い」に切り替わった

NYマーケット(23:30~6:00)

23:30 オープン
ドル円:113.695
米国株価指数:主要3指数ギャップダウンスタートから直ぐに上昇したものの、再び下落の流れに転換「米国債2年と10年利回り上昇→ドル買い」、「米国3指数先物、日経先物下落→円買い→円売りに転換」、ドル買い円売りが重なりドル円上昇しました。
理由ははっきりしませんが、「リスクオフ円買い→リスクオフドル買い」に切り替わったようです。

0:00 経済指標
米国企業在庫:前回1.2%、予想1.3%、結果1.3%

米国ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値) :前回70.6%、予想70.0%、結果68.8%

【見通し】
注目度が高いのは 速報値である米国ミシガン大学消費者信頼感指数ですが弱めの予想。結果が弱ければドル売り材料ですが、前日からのドル円下落の流れを引き継いでいた場合、週末を控えたショート勢の買戻しに巻き込れる可能性も考える必要がありそうです。

【考察】
米国ミシガン大学消費者信頼感指数は前回かつ予想より低い数値。
しかしNYオープン直前からの動きである、「米国債2年と10年利回り上昇→ドル買い」、「米国3指数先物、日経先物上昇→円売り」に転換、ドル買い円売りが重なり、継続してドル円急騰しました。

指標結果が、想定されるドル円方向性と一致しません。今週はドル円下落が続いておりましたので、見通しで考えたように、週末を控えたショート勢の買戻しが生じているのかもしれません。

0:11 要人発言(Bloomberg)
米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁「非常に高いインフレが持続的であることに驚き」

1:14 要人発言(Bloomberg)
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁

「経済は最大雇用に近い」「強い労働市場を考えると利上げ決定に近づいている」「利上げのタイミングやペースは経済状況次第」「インフレは高水準で持続している」「サプライチェーン問題は予想より持続的」

材料まとめ

ドル買い材料

  • 金融政策
    • 政策金利:2021.12.15 FOMCで2022年末までに0.25%ずつ3回利上げ方針
    • 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→織り込み増加
  • 経済
    • 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み→米国債金利上昇
    • 米国債利回り急上昇、22年最初の取引-早期利上げ観測強まるとの見方(1/4, Bloomberg)
    • 米国インフレが一時的(transitory)でなく持続的:エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇→利上げ観測前進
    • 米国ADP雇用者数が強い数値(1/5)→米国雇用統計(1/7)期待感で織り込み増加
    • 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念
  • 要人発言
    • 米国金融当局者の相次ぐタカ派発言。一般的にはドル買い材料のはずですが、最近はドル売りで反応することも多く、材料としての判断が難しい。
  • 新型コロナ
    • オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
    • ワクチンや経口薬開発が進んでいる→経済活動回復期待

ドル売り材料

  • 経済
    • 米国貿易赤字が過去最大規模
    • 米国雇用統計(1/7):非農業部門雇用者数が大幅減
    • 米国小売売上高(1/14):サプライズの弱い数値。米国GDP悪化の懸念大。
    • 世界経済が回復する中、欧州株、アジア新興市場株や債券、資源国通貨、金や銀に資産を移すべきとのマネーマネージャーが増えているとの報道(1/13, Bloomberg)
  • 新型コロナ
    • オミクロン株の感染拡大や重症化リスクが払拭されていない→経済活動停滞や景気回復鈍化懸念→利上げ時期後退の可能性
    • オミクロン株はデルタ株より入院率は低いが医療システム逼迫懸念
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化

円買い材料

  • 金融政策
    • 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリングとも考えられます。
    • 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→株価下落→リスクオフ
    • 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小の前進→株価下落→リスクオフ
    • パウエル米FRB議長再任指名承認公聴会(1/11):インフレ対策として利上げとバランスシート縮小について言及あり。発言後は「警戒したほどタカ派的な内容ではなかった」ことでドル売りとなりましたが、本質的にはドル買い材料と考えます。
    • 日銀が2%の物価目標達成前に利上げを開始できるか議論している(1/14, Reuters)→日本国債利回り上昇日米金利差縮小の可能性
  • 要人発言
    • 山際経済再生大臣「新しい資本主義は株価を意識しません」(1/13, プライムニュース)
  • 新型コロナ
    • 世界中で新型コロナのオミクロン株感染拡大:英国やドイツでもロックダウンが実施されるようなら株価下落でリスクオフ円買いあり得る。
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化

円売り材料

  • 金融政策
    • 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、金融緩和継続方針の決定
    • 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い。
  • 要人発言
    • 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、黒田総裁が円安容認発言→発言直後、円売りが強まりドル円上昇となった。
  • 経済
    • 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
  • 新型コロナ
    • 日本国内での新型コロナ感染急拡大
  • IMM通貨先物
    • 1/4時点、円ショートポジション拡大

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: 上ヒゲ陰線形成中ですが上昇トレンド継続。下値目処は月足押し安値113.041。上値目処は2017年1月の118円台前半。
  • 週足: 大陰線形成中ですが上昇トレンド継続。日足押し安値114.325と週足レジサポがほぼ同じ位置となっているため、この辺りから強い反発を考えていましたがあっさり下抜け。113.573を下抜ければ、下値目処は週足20MAと押し安値が重なる112.808付近。
  • 日足: 日足20MAを下抜けて、下落目処のボリンジャーバンド-1σと押し安値が重なる114.074に到達。直下がラウンドナンバー114.000ですので、すんなりと下抜けするのは難しいか。下抜けば下値目処113.573、その下は週足押し安値112.808。
  • 4H足: 強い下降トレンド中のため、ショート狙い継続。
    トレンドライン上抜ければロング狙いで上値目処は戻り高値114.540。その上は複数の抵抗があるため、戻り高値114.626を超えれば、上値目処114.787(日足押し安値と20MAが重なる位置)。
  • 1H足: 戦略は4H足と同様。
  • 15M足: 20MAを上抜けてレンジ形成。 レンジ下限114.014下抜けでショート狙い。ロング狙いは1H足や4H足同様。

シナリオ:
①4H足トレンドライン上抜けたらロング狙い。上値目処は戻り高値114.540、その上は114.787。
②4H足トレンドラインまで引き付けて反発からショート狙い。下値目処は日足押し安値113.573、その下は週足20MAと押し安値が重なる112.808。
③15M足レンジ下限114.014下抜けでショート狙い。下値目処は日足押し安値113.573、その下は週足20MAと押し安値が重なる112.808。


【考察】
①4H足トレンドライン上抜けたらロング狙いでしたが、実際には1H足20MAで反発して下落していますのでシナリオ外れ。トレンドラインの引き方が不適切でした。

②と③で、下値目処が日足押し安値113.573狙いのショートは可能でした。
113.573は思った以上に固く、急反発したドル円は、4H足と1H足戻り高値かつ15M足200MAが重なる114.173を上回って、終値114.198でした。

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