2024年7月19日(金)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

(1)経済指標
・日本消費者物価指数(CPI)

(2)要人発言
・政府、日銀円安牽制発言
・米国トランプ次期大統領候補、共和党大会指名受諾演説
トランプ氏がリード広げる、米大統領選世論調査-きょう指名受託演説(Bloomberg
・FRB要人発言

(3)その他
・実質五十日仲値
・IMM通貨先物円売りポジション
・欧州政情不安リスクオフ
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)

(4)参考情報

(5)本日の注目材料

①前日NYマーケットの影響
7/17と大きく変わり、
(a)トランプトレード:ドル高・金利高。米国株はポートフォリオ調整のためか急落。しかし、リスクオフ株下落の円キャリー巻き戻しみられず、強い円売り。この円売りは下記、(c)~(e)の影響と推測します。
(b)米国フィラデルフィア連銀景況指数、米国景気先行指数(強):ドル買い
(c)7/17ドル円急落を好機とした、安値ドル調達需要(日本実需、新NISA等の米国投資目的)
(d)7月日銀会合では景気悪化懸念から追加利上げできないとの見方
(e)恒常的円売り材料
の影響で約2円急騰しました(日足高値157.40-日足安値155.37=2.03)

日足レベルで下降ダウが完成しており、戻り売りが入りやすい環境ですが、4H足レベルで日足下降ダウが崩れるようなら、強い上昇を想定します。

②トランプトレード(株高、ドル高、金利高)影響
7/13トランプ氏銃撃事件から大統領返り咲き確率増を受けて、7/15からトランプラリーが相場の材料になりました。
Real Clear Politicsの掛けオッズでは、7/19取引開始時点の大統領勝利確率はトランプ氏61%で前日から低下、バイデン大統領は8%へ急低下。代わりに、ハリス副大統領が21%へ急伸しました。
本日、日本時間の午前中からトランプ氏の指名受諾演説が予定されており、トランプトレードが強まる可能性があります。

(a)トランプ氏の大統領返り咲き確率増→インフレ懸念→ドル買い
(b)海外投資家の安全資産米国債買い需要→リスクオフ自国通貨売り・ドル買い
(c)トランプ氏の大統領返り咲き確率増→株上昇(円キャリー促進)→円売り

トランプ氏が政権構想明かす、経済・防衛・外交網羅-FRB議長運命は(Bloomberg

③米国経済指標
最近の指標はインフレ鈍化・景気減速傾向ありますが、米国パウエルFRB議長を始め、FRB要人は総じて「利下げ前に追加データ必要」のスタンスが目立つようになりました。

本日も注目度の高い指標ありますが、インフレ鈍化・景気減速傾向を踏まえて基本は(c)(d)を想定します。
強い数値となればサプライズですが、7/16米国小売売上高(強)は初動のみ上昇、7/18米国フィラデルフィア連銀景況指数・米国景気先行指数(強)は上昇継続。
と、指標結果だけでは判断しにくい。少なくとも発表前の4H足や日足抵抗との位置関係から上げ余地や下げ余地の把握が必要と考えます。

現状の日足下降ダウが崩れなければ、(a)ドル円上昇しても一時的になりやすいと考えます。

(a)強い数値→初回9月利下げ期待織り込み剥落→巻き戻しのドル円上昇
(b)強い数値→リスクオフ株下落(円キャリー巻き戻し)ならドル円上げ止まりから下落
(c)弱い数値→初回7月利下げ・年内3回利下げ観測高進→ドル円下落
(d)弱い数値→リスクオン株上昇(円キャリー促進)→ドル円下げ止まりから上昇

④FRB要人発言
7/15米国パウエルFRB議長発言を含め、FRB要人は総じて「利下げ前向きのハト派発言、追加データ必要とするタカ派発言」のスタンスが目立つようになりました。
既に市場は初回9月利下げを完全に織り込んでいることから、同様の発言であればドル円反応は小さく、以下の発言であればドル円は動きやすいと考えます。

(a)初回9月利下げ否定のタカ派発言→ドル円上昇
(b)初回7月利下げ、年内3回利下げ示唆のハト派発言→ドル円下落

米利下げ、年内3回を織り込む動き強まる-ゴールドマンの分析受け(Bloomberg

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

6:29 報道
米国バイデン大統領、日曜日に大統領選辞退発表予定

【考察】代わりの候補者はオープンコンベンション開催で決める予定とされていますが、トランプ大統領当選確率低下に繋がることから、米国政情不安リスクオフ→ドル円下落。

7:14~要人発言
米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:6/246/28, 7/11, 7/16, 7/19)
:政策スタンスは中立。前回7/16ハト、タカ派発言。
SF連銀総裁、インフレ指標は極めて良好-物価安定は未達成(Bloomberg

【考察】ハト、タカ派発言(物価安定未達、失業率上昇懸念、利下げ時期示唆なし)

8:30 経済指標
日本消費者物価指数(CPI)(政府統計の総合窓口
(過去の発表日; 1/192/273/224/195/24, 6/21, 7/19)
日銀物価目標2.0%。日銀政策金利0.0-0.1%
前年比:前回2.8%、予想2.9%、結果2.8%(△)
コア前年比:前回2.5%、予想2.7%、結果2.6%(△)
コアコア前年比:前回2.1%、予想2.2%、結果2.2%(○)

【考察】弱い数値→7月日銀会合追加利上げ観測後退→ドル円上昇

東京マーケット(9:00~15:00)

9:55 実質五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。

10:41~要人発言
米国トランプ次期大統領候補(演説プレビュー)
トランプ氏、国内産業保護の関税引き上げや減税を公約-指名受諾演説(Bloomberg

【考察】トランプ氏当選期待増。ドル円上昇

11:15 要人発言
内閣府
24年度成長率0.9%に下げ 個人消費鈍化、物価2.8%上昇(日本経済新聞

【考察】景気後退、物価上昇のスタグフレーション懸念→7月日銀会合追加利上げ観測後退→ドル円上昇

11:33~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:7/2, 7/5, 7/9, 7/12, 7/19)
:前回7/12円安牽制発言
河野デジタル相の円安けん制発言「慎重に」 鈴木財務相(日本経済新聞

11:51 要人発言
「日銀に直接求めていない」 河野太郎デジタル相が利上げ要求発言を釈明(産経新聞

11:55~要人発言
岸田首相「金融政策の正常化で経済後押し」 経団連講演(日本経済新聞

【考察】鈴木財務相から7/17の河野太郎デジタル相の利上げ発言牽制、河野デジタル相からも利上げ火消し発言、更に岸田首相発言の円安牽制発言。発言と交錯するも、7/17発言の影響が大きかったため巻き戻しのドル円上昇。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

15:34~要人発言
世界で大規模システム障害、航空便欠航-JPモルガン一部取引に支障(Bloomberg

【考察】世界的リスクオフ→ドル円急落。

16:11 要人発言
日銀、債券市場参加者会合議事要旨(日本銀行
日銀の債券市場会合、「段階的」「慎重な」減額支持目立つ 議事要旨で(Reuters

22:25 報道
バイデン氏が家族と話し合い開始、選挙戦撤退の計画で-NBC(Bloomberg

23:45 報道
マイクロソフト、影響あったアプリとサービスは全て復旧、監視期間入り

23:51~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:7/17/3, 7/5, 7/17, 7/19)
:政策スタンスは中立。前回7/17ハト、タカ派発言
NY連銀総裁、低い中立金利の長期トレンドは続いていると強調(Bloomberg

【考察】追加データ必要のタカ派発言

25:21 要人発言
米国バイデン大統領
バイデン氏、来週に選挙戦再開と表明-撤退巡り家族と協議との報道も(Bloomberg

28:30 経済指標
IMM通貨先物時点(ポジション推移
円ショート大幅減

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値157.35後、米国バイデン大統領の日曜日に大統領選辞退発表予定報道、米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁の失業率上昇懸念発言を受けて、157.11へ下落。

しかし、米国バイデン大統領の大統領選辞退は報道レベルで未確定。更に日本消費者物価指数(弱)が発表されると、実質五十日仲値のドル買い需要も加わり、1H足押し安値157.15押し目買いからドル円上昇。


東京始値157.18後、内閣府から24年度経済見通し(景気後退・物価上昇のスタグフレーション懸念)、河野デジタル相の7/17利上げ火消し発言を受けドル円上昇継続、日足・東京高値157.87を付けました。

前日の米国株同様にリスクオフ日本株下落するも円キャリー巻き戻しは見られず、158円台付近までは一旦の安値ドル調達需要(日本実需、新NISA等の米国投資目的)ドル買い・円売りが優勢となっている様子。

【日本市況】株式が続落、米国株と政治に不透明感-円は対ドルで下落(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン直前、サプライズの世界的大規模システム障害が発生したことが伝わると、リスクオフ欧州株下落に連れて日足安値156.96を付けました。

欧州・NYマーケットからは、システム障害の市場取引障害・情報錯綜の大混乱、米国バイデン大統領の選挙戦撤退・再開発言による米国政情不安が交錯し、リスクオフドル買い・円買い交錯し、ドル円も引けに掛けて乱高下が続きました。
日足終値157.48

【米国市況】株続落、大型ハイテク決算控え商い慎重-ドル157円半ば(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・7/13~トランプ氏銃撃事件から大統領返り咲き確率増→トランプトレード活発化→財政支出拡大、減税、規制緩和、対中関税増、不法移民抑制→インフレ懸念、米国景気浮揚→株高、ドル高、金利高
・世界的大規模システム障害発生リスクオフ
・米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁のタカ派発言
・米国バイデン大統領の選挙戦再開発言→トランプ氏の当選確率増

売り材料:
・米国バイデン大統領、日曜日に大統領選辞退発表予定→トランプ氏の当選確率低下
・原油先物価格下落

<円買い優勢>
買い材料:
・米国バイデン大統領、日曜日に大統領選辞退発表予定→トランプ氏の当選確率低下
・岸田首相の円安牽制発言
・世界的大規模システム障害発生リスクオフ
・IMM通貨先物7/16時点:円ショート大幅減
・原油先物価格下落

売り材料:
・日本消費者物価指数(弱)
・内閣府:24年スタグフレーション懸念
・河野デジタル相:7/17の利上げ火消し発言 
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増[特に夏ボーナス買い]、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回7月31日公表:据え置き95.3→95.3%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ93.5→93.5%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利450~475bps相当

米利下げ、年内3回を織り込む動き強まる-ゴールドマンの分析受け(Bloomberg

テクニカル分析

Trade

  • 月足:7月陰線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:7/15週、陰線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:7/18陽線。下降トレンド。
  • 4H足:下降チャネル。
  • 1H足:上昇トレンド。
  • 15M足:上昇トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足押し安値157.149付近へ下落→転換上昇→目標日足高値157.401
(B) (A)後、日足高値157.401をダウ上昇→目標4H足レンジ安値157.705

②Short
(C) (A)後、1H足押し安値157.149かつ1H足20MAをダウ下落→目標4H足安値156.418

7月通算:12勝6敗、勝率66.7%、+168.4pips

(Trading View)

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