ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)2/8の欧米マーケット影響:パウエル議長ハト派・タカ派発言交錯の影響を引き継いでドル円乱高下していたものの、FRB要人の相次ぐタカ派発言でドル円上昇優位となり、下落しても直ぐに上昇し、131円台前半キープ。
(2)米国経済指標(⑥):米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数。2/3米国雇用統計がサプライズの強い数値であったことから、雇用関連指標への注目度が高まっている。
(3)米国要人発言(②):FRB当局者
(4)その他:
日銀総裁、副総裁を巡る要人発言や報道(2/6, 2/7, 2/8はドル円下落)
2/9は、2/8のFRB当局者の相次ぐタカ派発言を受けてドル円上昇想定。また、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数でも強い数値が出れば更にドル円上昇の可能性あり。
モーニングサテライト、ドル円参考情報
本日のドル円予想レンジ:130.00~132.00
昨日はポンドが強く豪ドルが弱かったが、ドルと円の差は小さくドル円は揉み合う展開。
注目ポイント:ターミナルレートの織り込み度合い
ドル円の動きを考える時、ドルと円のそれぞれの要因を考えなければいけないが、ターミナルレートの織り込み具合が重要。
2021年頭から2022年11月9日までの主要通貨の対円騰落率を見ると、米ドルが最強で円が最弱通貨であった。
ドルが強かった理由は、2021年は米経済の一人勝ち、2022年は米利上げ期待の高まりでターミナルレートが上昇した時期。
円安の理由は、貿易収支の急激な悪化と他国との金利差拡大、金融政策の違いであった。
しかし、2021年11月10日から2023年2月3日までの主要通貨の対円騰落率を見ると、円が最も強く米ドルが最弱となった。
この理由は、米CPIが予想を下回って米利上げ期待の頭打ち。ターミナルレートが5%で頭打ちして横ばいとなりドルが弱くなり始めた。
また、2022年12月20日の日銀金融政策でイールドカーブバンド拡大したことで、金融政策正常化への期待で円が買われて一番強い通貨になった。そこからドル円150から127付近まで動いた。
しかしながら、先週の米雇用統計の数字が非常に強かったことで、再びFRB利上げ期待が高まりターミナルレートが上昇している。
現在のFF金利先物が織り込みターミナルレートは、22年11月10日米CPIが予想を下回ってドルが弱い通貨になり始める直前のレートまで上昇。そしてドルが強くなり始めている。
逆に、日本経済新聞報道で日銀雨宮副総裁が次期総裁になる可能性が出てきていることで、日銀金融政策がドラスティックに変化する期待が後退して、円が弱くなってきている。
つまり、過去2年くらいと同じような展開になってきている。
本日、改善が続いている米新規失業保険申請件数が発表されるので、強い結果になるとターミナルレートの織り込みが大きく上昇し、ドルが上昇する可能性がある。
マーケットの動き
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
14:45 要人発言
自民党議員(Bloomberg)
「次期日銀総裁が山口元副総裁の場合は党内がまとまらない」
【考察】人事が難航しているということは、ハト派雨宮新総裁でなくタカ派人事になる可能性あることで、警戒感から円買いドル円急落。しかし、確定ではないことから急反動でドル円急騰し、乱高下。
欧州マーケット(17:00~25:30)
22:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数(Bloomberg)
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回18.3万件(改定)、予想19.0万件、結果19.6万件(×)
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回165.5万件(改定165.0)、予想165.8万件、結果168.8万件(×)
【考察】弱い数値でドル円下落継続。
22:43 要人発言
米国バーキン・リッチモンド連銀総裁(2023年FOMC投票権なし)(Bloomberg)
「利上げ継続が必要」
「インフレピークは過ぎているが物価上昇抑制には時間が掛かる」
【考察】タカ派発言でドル円上昇
NYマーケット(23:30~30:00)
27:00 経済指標
米国30年債入札(Upcoming Auctions)
「入札好調→利回り低下→ドル売り材料」、「入札不調→利回り上昇→ドル買い材料」
最高落札利回り:前回3.585%、結果3.686%(×)
【考察】入札不調→30年債利回り上昇→ドル買いドル円上昇
東京マーケット:自民党議員の日銀次期総裁が難航との発言でドル円乱高下。
欧米マーケット:米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数の弱い数値でドル円下落、米国バーキン・リッチモンド連銀総裁のタカ派発言、米国30年債入札でドル円上昇。ドル円は急落からほぼ全戻しの急騰で132.62付近で引け。
NYマーケットで株先物・株価指数急落リスクオフや米国債利回り急騰のドル買い主導でドル円急騰。
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
NYマーケットクローズ時点の通貨強弱
- GBP(リスクオン通貨):英中銀金融政策委員会メンバーのタカ派発言で買い。
- NZD(資源国リスクオン通貨):
- EUR(リスクオン通貨):
- AUD(資源国リスクオン通貨):
- USD(基軸通貨):株先物・株価指数急落リスクオフ、米国債利回り急騰で買い。
- CAD(資源国[産油国]リスクオン通貨):
- JPY(リスクオフ通貨):
- CHF(リスクオフ通貨):
米国債イールドカーブ
2/9(木)は2/8(水)に対してベア(短期金利上昇、長期金利上昇、逆イールド縮小)でドル買い材料。しかし、ドルインデックス日足陰線でありイールドカーブの動きと不一致。これは東京・欧州マーケットでの強いドル売りをNYマーケットで回復できなかったため。正確に分析するにはマーケット毎に切り分ける必要がありそう。
ドル円日足陽線は円売りだけでなくドル買いの影響強い。
*逆イールドはリセッションのサイン見なされている(Bloomberg)
3月FOMCでの利上げ幅0.25%市場コンセンサスは90.8%(CME FedWatch Tool)
テクニカル分析
ドル円トレード
- 月足:2月陰線形成中。ボリンジャーバンド+1σ下抜け。
- 週足:2/6週、陰線形成中。ボリンジャーバンド-1σ上抜け。20MAに向かい上昇可能性あり。
- 日足:2/8下長ヒゲ陽線。ボリンジャーバンド+1σ付近推移。
- 4H足:上昇チャネル形成しつつあり。上値は20MAに抑えあり。
- 1H足:上昇チャネル形成しつつあり。下値は20MAに支えられ上昇優位か。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①ロング
(A)1H足レジスタンス131.453を1H足ダウで上抜け→目標4H足レジスタンス131.727
②ショート
(B)1H足サポート131.087を1H足ダウで下抜け→目標1H足サポート130.668
【前提】
目標:リスクリワード2.0以上、値幅20pips以上。しかし、目標到達付近で反発して15M足ダウ転換生じれば早めにT/Pする。
経済指標、要人発言や報道で大きく動いた際はレジサポなくともエントリー。
・1H足ダウなく、シナリオ条件未達でトレードなし
2月通算:3勝1敗、勝率75.0%、平均RR 2.21、獲得Pips +96.6
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