2022年2月4日(金)ドル円初心者戦略と結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

注目材料

1. 前日NYマーケットの流れ引継ぎ
英国BOEや欧州ECBが相次いでタカ派の金融政策を発表したことで、「英欧国債利回り上昇→欧州株価下落」となりました。

「ポンド、ユーロ買い→ドル売り円売り材料」ですが、米国債もつられたことで「米国債利回り2年,10年上昇→ドル買い」、「米国主要3指数下落→円売り」、「ドル買い円売り」→ややドル円上昇推移となりました。

また、米国主要3指数は急落しましたが、NYマーケット直後のアマゾン決算が強く「時間外株価15%上昇→株先物(ダウ、日経)切り返し上昇」

よって、本日「株先物(ダウ、日経)上昇→日経平均株価上昇→円売り」、「米国債利回り2年,10年上昇→ドル買い」、「ドル買い円売り」でドル円上昇継続の可能性があります。

2. 注目経済指標
米国雇用統計
今週、金融当局者から相次いで、米国雇用統計はオミクロン株の影響で悪い数値になるとの発言が続いていました。そのためか、米国ADP雇用数(2/2)がサプライズの低い数値だったにも関わらず、ドル円は一時的な下落に留まり、強いドル買いに転換してドル円が急上昇。これは、米国金融当局者発言で、ADPも低い数値は織り込み済で、Buy the factになった可能性があります。

本命の雇用統計の非農業部門雇用者数も、ADP結果と同じような動きになる可能性があります。
一方、失業率は既に完全雇用レベルとされていますので予想同等、平均時給は上がる可能性が高い。よって、失業率と平均時給は総じてドル買いになりやすいと考えます。

3.米国債イールドカーブ
2/2に対して、2/3はベアスティーブニングとなりました。景気回復や金融引き締めを示唆しており、ドル買い材料と考えられます。

4.ウクライナ情勢緊迫化
バイデン政権は着々と対ロシア制裁案を協議(1/29,Bloomberg)
ロシアのラブロフ外相とブリンケン米国務長官の電話会談も事態の打開に至りませんでした(2/1, Bloomberg)
米軍が東欧に3000人規模の部隊増派し、ロシアが非難(2/2, Bloomberg)
日に日に、軍事衝突が現実的になりつつあります。引き続き「地政学リスク→強い円買い→ドル円下落」の可能性に注意すべきと判断します。

突発材料3.の懸念はありますが、総じてドル円上昇優勢と考えます。但し、ドル円上昇継続したとしても、雇用統計前にロング勢の利確決済が入って下落が生じる可能性もあると推測します。

マーケットの動き

東京マーケット前
7:00 取引開始時間
・ドル円:114.935。前日終値114.985からギャップダウンスタート。

東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円:114.985
ギャップダウンスタートからトレンドラインに支えられて窓埋め上昇。よって、テクニカル分析シナリオ(A)ロング可と判断。

・日経平均株価:27095.90。前日終値27227.16からギャップダウンスタートでしたが、
日経先物上昇を引き継いで、日経平均株価も即上昇。
「日経平均株価上昇→円売り→クロス円上昇」しておりドル円上昇。

日経平均株価や日経先物上昇が円売りだったり円買いになり、ドル円と相関したり逆相関になったりと、日経平均株価の動きとドル円との結びつきをどう考えるか悩ましいところでした。

今回のように、オープン時からの動きで、「日経平均株価や日経先物上昇→ドル円上昇」の相関が見られれば、少なくとも東京マーケットは相関で動きやすいと仮定して考えをまとめても良いかもしれません。

9:55 週末仲値
・ドル円:114.988
オープン直後に上昇し115.053到達後、ラウンドナンバー115.000でのロング利確勢や逆張りショート勢に押されたためか、下落に転じてトレンドライン下抜け。シナリオ(A)ロング不成立。

・日経平均株価、日経先物:
今回オープン後の流れから「日経平均株価、日経先物上昇→ドル円上昇」の相関があると仮定すれば、オープンで日経平均・先物ともに大きく上昇しましたが、日経平均15M足レジスタンス27316.28かつ、日経先物1H足レジスタンス27275と15M足200MA、更にドル円ラウンドナンバー115.000に一気に到達したことから、ドル円上昇も一服する可能性を考えるべきでした。

11:15
・ドル円:1H足押し安値114.833付近で15M足包み足発生→上昇期待
・日経先物:4H足レジスタンス27070を下ヒゲピンバーで反発後、1H足トレンドライン上抜けかつ20MA下ヒゲピンバーで反発、15M足下ヒゲピンバーで反発→上昇期待
・日経平均株価:サポート27092.42で下ヒゲ反発→上昇期待
・ドルインデックス:1H足レジスタンス95.283下抜けてレジサポ→下落期待

ドルインデックスがドル円上昇へのマイナス材料でしたが、本日は日経平均株価や日経先物とドル円が相関すると仮定の上では、ドル円上昇しやすいと判断しても良かったです。

15:00 クローズ
・ドル円:114.933
・日経平均株価:27439.92

16:52 要人発言
ベイリーBOE総裁
「我々がすべきことは物価の悪化をふせぐこと」
「賃金抑制なしでは、インフレは制御不能になる」
「インフレを目標値戻すためにすべきことは全て行う」

【考察】
BOE会合後(2/3)の発言とは変わってタカ派発言→ポンド買いドル売り円売り材料

欧州マーケット(17:00~1:30)

17:00 オープン
・ドル円:115.103
Wトップネックライン付近の戻り高値115.123到達後は一気に下落へ。米国雇用統計前にロング勢の決済売りが入るには良い位置だったようです。

21:40 要人発言
ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「積極的に利上げをするとは予想しない」「実質賃金の上昇は緩やかだと予想」


【考察】
BOE会合後のベイリーBOE総裁(2/3)発言と同様にポンド高の牽制発言→ポンド売りドル買い円買い材料

22:30 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国雇用統計 1月度 (Bloomberg)(Reuters)
非農業部門雇用者数:前回19.9万人、予想15.0万人、結果46.7万人(◎)

失業率:前回3.9%、予想3.9%、結果4.0%(×)
平均時給:(前月比)前回0.6%、予想0.5%、結果0.7%(◎)、(前年比)前回4.7%、予想5.2%、結果5.7%(◎)

【見通し】
今週、金融当局者から相次いで米国雇用統計は悪いとの発言が続いていました。そのためか、米国ADP雇用数(2/2)がサプライズの低い数値だったにも関わらず、ドル円は一時的な下落に留まり、強いドル買いに転換してドル円が急上昇しました。これは、米国金融当局者発言で、ADPも低い数値は織り込み済で、Buy the factになった可能性があります。

本命の雇用統計の非農業部門雇用者数結果が、ADP結果と同様になっても、失業率と平均時給の結果次第で反対に大きく振れる可能性があると考えられます。

想定として、失業率は既に完全雇用レベルとされていますので予想同等、平均時給は上がる可能性が高い。よって、失業率と平均時給は総じてドル買いになりやすいと考えます。

【考察】
市場予想を遥かに上回る増加でサプライズ。事前に金融当局者からのネガティブ発言が相次いで多くの投資家が身構えていた中での強い数値だったことも反動となって、「米国債利回り2年,10年急騰→ドル買い」、ドル円急騰しました。

NYマーケット(23:30~6:00)

23:30 オープン
・ドル円:115.299
・米国主要3指数:米国債利回り急騰に伴い急落すると思いきや上昇スタート。しかし、その後は下落に転換。

1:30 欧州クローズ
・ドル円:115.237

6:00 クローズ
・ドル円:115.191
・米国主要3指数:ダウ平均は小幅下落だったものの、S&P500とナスダックは上昇。米国債利回り急騰で株価指数急落になるとか考えましたが、米企業決算(特に前日はアマゾン)が予想より強かったことで株価指数を支えたようです。

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

通貨強弱

NYマーケットクローズ時点の通貨強弱

  1. EUR(リスクオン通貨):前日1位→2/3ECB金融政策タカ派
  2. USD(基軸通貨):前日4位
  3. JPY(リスクオフ通貨):前日8位
  4. CHF(リスクオフ通貨):前日7位
  5. GBP(リスクオン通貨):前日3位→2/3英中銀金融政策タカ派
  6. CAD(資源国リスクオン通貨):前日6位
  7. NZD(資源国リスクオン通貨):前日2位
  8. AUD(資源国リスクオン通貨):前日5位

通貨としてはリスクオンとリスクオフが交錯した流れでした。金融政策がタカ派になったEUR, USD,GBPが上位なのは分かりますが、利上げから遠いJPYが上位なのは理解が難しい。日本でもインフレ高進が見えてきたこと、欧米株価下落懸念、ウクライナ情勢緊迫化でJPYが買われやすかったのかも知れません。

米国債イールドカーブ

  • 2/4(金)は、2/3(木)や1/26FOMCに対して、長短金利が上昇しかつ長短金利差縮小のベアフラットニングとなりました。景気過熱や金融引き締めを示唆しており、ドル買い材料と考えられます。

材料まとめ

ドル買い材料

  • 金融政策
    • FOMC(1/26):政策金利据え置き、但し、金融引き締めに前向きな見解(3月テーパリング終了確定、3月利上げほぼ確実)。市場では3月0.5%利上げ観測や年内利上げ5回以上予想見られる。
    • 日米金利差拡大:米国は金融引き締め、日本は金融緩和継続
  • 政治、経済
    • 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み
    • エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇
    • 米企業決算総じて良好
    • 米国GDP第4四半期(1/27):良好
    • 米国雇用統計(2/4):サプライズの強い数値
  • 要人発言
    • パウエルFRB議長会見(1/26):「利上げとバランスシート縮小可能」「毎回のFOMC会合で、利上げする可能性を排除しない」「金利を引き上げる余地はかなりある」→タカ派発言
  • 新型コロナ
    • オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
    • FDAワクチン諮問委員:オミクロン株のピークは2~3週間の見込み
  • 地政学リスク
    • ウクライナへロシア侵攻すれば米国制裁→ロシア産原油のドル建て決済不可→原油先物価格上昇→インフレ加速

ドル売り材料

  • 政治、経済
    • 米国貿易赤字が過去最大規模
    • 世界経済が回復する中、欧州株、アジア新興市場株や債券、資源国通貨、金や銀に資産を移すべきとのマネーマネージャーが増えているとの報道(1/13, Bloomberg)
    • 気候変動・社会保障関連歳出法案:マンチン上院議院反対で採決先送り
    • 中国春節の7連休(1/31~2/6):中国国内での消費のためにドル保有投資家や企業がドルを人民元に両替。中国の経済規模は大きいたドル売り人民元買いの影響が大きいと推測。高インフレに伴うバイデン政権支持率低下
  • 新型コロナ
    • 米国内のワクチン接種率向上しない、マスクをしない人も多い→感染拡大で人員不足
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係悪化
    • ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化:
      • ロシア、米国、NATOの協議不調。
      • ロシア制裁でドル決済が使えなくなったら、ロシアはドル売り中国人民元買いの可能性

円買い材料

  • 金融政策
    • 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリング。
  • 政治、経済
    • 長期金利が一時0.185%(2016年1月以来):2/1から大手銀行5行が10年固定の住宅ローン基準金利を0.05~0.10%引き上げ。
  • 要人発言
    • 岸田首相発言「新しい資本主義」:投資家軽視→リスクオフ株価下落
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係
    • ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
    • 北朝鮮の軍事行動:ミサイル発射は1月に7回
  • IMM通貨先物
    • 1/25時点、円ショート縮小(ネット-80,879→-68,273、前週比+12,606)

円売り材料

  • 金融政策
    • 2021.12.17 に引き続き、2022.1.18日銀金融政策決定会合で、政策金利-0.1%維持、金融緩和継続、必要なら追加緩和方針。
    • 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い。
  • 要人発言
    • 日銀黒田総裁(1/18):「利上げや緩和的な政策変える必要ないし議論もない」
  • 政治、経済
    • 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
  • 新型コロナ
    • 日本政府 「まん延防止等重点措置」 13都県に1/21から適用。期間は1月21日から2月13日の約3週間。27日に18都府県追加。合計34都道府県→日本経済停滞

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: 月足トレンドライン付近まで下落して反発。
  • 週足: 長い下ヒゲ陰線形成中。トレンドライン付近まで下落したことから、週足レベルで押し目買いが入って上昇したと推測します。
  • 日足: 下落が続く可能性を見込んでいましたが大陽線で一気に上昇。上値目処は115.328。
  • 4H足: トレンドライン、200MA、20MAと戻り高値114.759を一気に上抜けて上目線へ転換。上値目処はWトップネックライン付近の戻り高値115.123。その上は日足レジスタンス115.328。
  • 1H足: トレンドライン上抜けまで上目線。トレンドライン反発すれば戦略は4H足と同じ。トレンドライン下抜けても4H足サポート114.759かつ1H足20MAで下げ止まれば、反発から上値目処115.123。
    114.759下抜けで下値目処は4H足レジスタンス114.323、その下は114.233。
  • 15M足: トレンドラインかつ20MA反発すれば戦略は1H足と同じ。

【シナリオ】
①ロング
(A)1H足トレンドライン反発すれば、目標はWトップネックライン付近の戻り高値115.123。
(B)115.123を上抜けてレジサポすれば、目標は日足レジスタンス115.328。
(C)トレンドライン下抜けても4H足サポート114.759かつ1H足20MAで下げ止まれば、目標は115.123。

②ショート
(D) 4H足サポート114.759かつ1H足20MA下抜けてレジサポすれば、目標は4H足押し安値114.233。オーバーシュートで114.233。

全時間足が上目線であるため、ロング狙い優先。

【考察】
9:55 トレンドラインに支えられ上昇したことでテクニカル分析シナリオ(A)ロング可と判断しましたが、ラウンドナンバー115.000で下落に転じてトレンドライン下抜け。シナリオ(A)ロング不成立。

次に、114.759反発か下抜けで(C)ロングや(D)ショートを考えていましたが、実際には1H足20MAかつ押し安値114.833で反発して、ロング目標の115.123さらには115.328に到達しました。

ロング優先の狙いは良かったですが、1H足押し安値114.833で反発する可能性があったをシナリオに加えていなかったのが失敗でした。

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