2024年8月27日(火)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標
・米国住宅価格指数
・米国S&Pケースシラー住宅価格指数
・米国コンファレンスボード消費者信頼感指数
・米国リッチモンド連銀製造業指数
・米国2年債入札

2.要人発言
・政府、日銀
・FRB

3.その他
・月末最終週、大口投資家のポジション調整
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引(促進or巻き戻し)、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。
・来週は円下落か、米利下げ織り込み過ぎの修正でドルに上昇余地(Bloomberg
・【債券週間展望】長期金利上昇か、日銀正常化姿勢崩さず-米金利支え(Bloomberg
・【日本株週間展望】一進一退、市場を左右するエヌビディア決算を注視(Bloomberg

5.本日の注目材料
(1)8/26(月)マーケット影響
①8/23織り込み過ぎたFRB9月0.5%利下げ剥落の米国債利回り上昇
②中東地政学リスクオフやリビア石油生産中止の原油先物価格急上昇
③FRB要人の相次ぐハト派発言

①~③が交錯し、揉み合いがらもドル円上昇となりました(1H足上昇チャネル形成)。
新規材料出るまでは、本日も揉み合い継続を想定します。

(2)米国経済指標
本日は注目度の高い指標が続きます。
8/23(金)ジャクソンホール会議の米国パウエルFRB議長講演において、9月利下げほぼ明言のハト派と労働市場減速懸念が示されました。但し、利下げタイミングとペースはデータ次第。
従って、注目は9月0.50%大幅利下げの有無となります。

また、先々週はIMM通貨先物の円ロング転換から株先物・株指数とドル円の相関性が崩れていましたが、先週から再び株価(円キャリー取引)とドル円の相関を示すようになりました。よって、指標発表後の株先物・株指数の動向でもドル円の方向性が判断しやすくなったと言えます。

(a)強い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み剥落→ドル円上昇
(b)強い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み剥落→株下落(円キャリー巻き戻し)→ドル円下落
(c)弱い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み高進→ドル円下落
(d)弱い数値→FRB9月0.5%利下げ織り込み高進→株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇

(3)地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
7/30以降は中東情勢が悪化し、8/7以降はウクライナ情勢も一気に緊張が高まりました。
・イスラエル、レバノン南部のヒズボラ拠点攻撃-ヒズボラ側も報復開始(Bloomberg)
・ロシア、キーウ含む数都市を無人機とミサイルで攻撃-ウクライナ政府(Bloomberg

下記材料が想定されますが、最近の傾向は(a)ドル売り主導のドル円下落が生じており、中東戦争勃発となればドル円急落の可能性が高いと推測します。

(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→ドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇(円キャリー促進)→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

14:00 経済指標
日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標(日本銀行
加重中央値:前回1.4%、結果1.1%(×)
最頻値:前回1.6%、結果1.5%(×)
刈込平均値:前回2.1%、結果1.8%(×)

【考察】弱い数値。ドル円上昇。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:19 要人発言
IAEA事務局長がロシア・クルスク原発視察、「原子力事故の恐れ」(Reuters

【考察】地政学リスクオフ。ドル円下落。

22:00 経済指標
米国住宅価格指数
前月比:前回0.0%(改定)、予想0.0%、結果-0.1%(×)

22:00 経済指標
米国S&Pケースシラー住宅価格指数
前年比:前回6.81%(改定6.88)、予想%、結果6.47%(×)

【考察】弱い数値。ドル円下落継続。

23:00 経済指標
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数
米国ミシガン大学消費者信頼感指数と同様、経済活動全体に重要な役割を果たす個人消費に関する重要指標。
前回100.3(改定101.9)、予想100.5、結果103.3(◎)

23:00 経済指標
米国リッチモンド連銀製造業指数
基準0、前回-17、予想-14、結果-19(×)

【考察】強弱混在。ドル円もみ合い下落。

26:00 経済指標
米国2年債入札(Upcoming Auctions
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもある。

発行額(Offering Amount):690億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.434%、結果3.874%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.81倍、結果2.68倍(×)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回76.57%、結果69.9%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回-0.21bps、結果bps-0.60(◎)。3.874-3.880=-0.006
WI:3.880%

【考察】総じて入札好調。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値144.56
取引開始後、前日(8/23織り込み過ぎたFRB9月0.5%利下げ期待の一部剥落、中東地政学リスクオフやリビア石油生産中止の原油先物価格急上昇、FRB要人の相次ぐハト派発言)の影響交錯から、日通し安値144.23をつけると、FRB9月利下げ期待の日本株上昇(円キャリー促進)に連れて、前日日足始値144.24・4H足BB-1σ・1H足20MAからの押し目買いが入り、日通し高値144.98へ急上昇(1H足上昇チャネル継続)。

一方、切番145.00付近はFRB9月利下げ期待を背景とする戻り売り勢が参入しやすいためかドル円下落するも、日銀の基調的なインフレ率を捕捉するための指標(弱)が支えとなり、引けにかけてもみ合いました。

【日本市況】円が下落、パウエル議長発言後のドル安修正-株式は反発(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープンすると、欧州株上昇(円キャリー促進)に連れて、日足高値145.18へ上昇。
ここでも、切番145.00付近はFRB9月利下げ期待を背景とする強い戻り売り発生。
また、リビア石油生産停止の影響が過大評価だったことで巻き戻しの原油先物価格急落が発生し、日足・4H足レンジ安値145.13、4H足20MAと1H足上昇チャネル上限が重なる位置からドル円急落しました(1H足上昇チャネル下抜け)。

更に、IAEAのクルスク原子力発電所事故警告(リスクオフ安全資産米国債買い、円買い)、米国住宅価格指数・米国S&Pケースシラー住宅価格指数・米国リッチモンド連銀製造業指数(弱)、米国2年債入札(強)を受けて、日足安値143.92へ下落して引けました。
日足終値143.95(4H足下降チャネル下限付近)

【米国市況】株は小幅高、エヌビディア決算待ち-ドルは144円前後(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売り優勢>
買い材料:
・8/23米国パウエルFRB議長発言で過剰に織り込んだFRB9月0.5%利下げ期待一部剥落
・米国コンファレンスボード消費者信頼感指数(強)
・8/23中東地政学リスクオフ、リビア石油生産停止影響→原油先物価格上昇

売り材料:
・IAEA:クルスク原子力発電所、事故の恐れ→地政学リスクオフ→安全資産米国債買い
・米国住宅価格指数、米国S&Pケースシラー住宅価格指数、米国リッチモンド連銀製造業指数(弱)
・米国2年債入札(強)
・リビア石油生産停止の影響過大評価→巻き戻し原油先物価格急落→インフレ懸念後退

<円売り優勢>
買い材料:
・IAEA:クルスク原子力発電所、事故の恐れ→地政学リスクオフ
・リビア石油生産停止の影響過大評価→巻き戻し原油先物価格急落→日本貿易収支改善

売り材料:
・8/23米国パウエルFRB議長発言からFRB9月利下げ期待→日本株、欧米株上昇(円キャリー促進)
・日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標(弱)
・8/23中東地政学リスクオフ、リビア石油生産停止影響→原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回9月18日公表:25bps引き下げ69.5→65.5%、50bps引き下げ30.5→34.5%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:8月陰線形成中。上昇チャネル。20MA付近。
  • 週足:8/19週、陽線形成中。下降トレンド。
  • 日足:8/26陽線。レンジ下限かつBB-1σ付近。
  • 4H足:下降チャネル。4H足チャネル下限からの上昇と4H足押し安値ヒゲ先へのレジサポ下落が交錯。
  • 1H足:上昇トレンド。
  • 15M足:上昇チャネル。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足押し安値144.144付近へ下落→転換上昇→目標1H足押し安値144.454
(B)1H足押し安値144.738をダウ上昇→目標4H足押し安値145.129

②Short
(C)4H足押し安値145.129付近へ上昇→転換下落→目標1H足押し安値144.738
(D) (C)後、1H足押し安値144.738かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足押し安値144.144

本日:2勝1敗、+52.6pips
8月通算:20勝13敗、勝率60.6%、RR 1.97、+469.4pips

(Trading View)

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