ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日本20年国債入札
・米国フィラデルフィア連銀景況指数
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数
・米国景気先行指数
・米国中古住宅販売件数
2.要人発言
・植田日銀総裁
・政府日銀円安牽制
・FRB
3.その他
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤米国大統領選挙、⑥円キャリー取引(促進or巻き戻し)に分類できます。
5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
注目は米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数です。
(2024年11~12月、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数発表日のドル円動きまとめ)
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:30)
12:35 経済指標
日本20年債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:1兆円程度
最高落札利回り:前回1.820%、結果1.907%(×)
応札倍率:前回3.04倍、結果3.52倍(◎)
テール:前回29銭、結果13銭(◎)
【考察】総じて入札好調。
14:20~発言
植田日銀総裁(パリ・ユーロプラス ファイナンシャル・フォーラム2024)
(発言:10/31, 11/9休場中, 11/18, 11/21)
:前回11/18タカ、ハト派発言
12月会合の「予測は不可能」と植田日銀総裁、ライブになることを示唆(Bloomberg)
【考察】データ次第で政策修正示唆のタカ派発言。ハト派発言。ドル円揉み合い。
15:07~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:9/6, 9/26, 10/10, 11/15, 11/21)
:政策スタンスは中立。前回11/15金融政策や経済見通しについてコメントなし。
NY連銀総裁、物価の落ち着きには「まだ至っていない」(Bloomberg)
【考察】タカ、ハト派発言。ハト派発言が材料視されドル円下落継続
16:28~要人発言
ロシアがICBM発射、ウクライナ発表-今回の戦争で初の使用か(Bloomberg)
【考察】地政学リスクオフ。ドル円下落継続。
欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)
19:04 要人発言
米国バーキン・リッチモンド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:11/12, 11/14, 11/15, 11/21)
:政策スタンスはタカ派。前回11/15タカ派発言。
米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁=FT(Reuters)
【考察】金融政策や経済見通しについてコメントなし。
21:07 要人発言
国際刑事裁判所、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を発行(Bloomberg)
【考察】地政学リスクオフ。ドル円下落
22:30 経済指標
米国フィラデルフィア連銀景況指数
米国ISM製造業購買担当者景気指数の先行指標。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
基準0、前回10.3(改定-)、予想5.0、結果-5.5(×)
22:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。失業保険継続申請件数より注目度は高い。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回21.7万件(改定21.9)、予想21.9件、結果21.3万件(◎)
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回187.3万件(改定187.2)、予想188.4万件、結果190.8万件(×)
【考察】強弱混在。市場の注目は地政学リスクオフ悪化(ウクライナ・ロシア、中東)となっており、ドル円下落継続。
23:03~要人発言
米国ハマック・クリーブランド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:10/2, 10/24, 11/21)
:政策スタンス。前回10/24タカ派発言。
【考察】金利見通しについてコメントなし。
24:00 経済指標
米国景気先行指数
前月比:前回-0.5%(改定-)、予想-0.3%、結果-0.4%(△)
【考察】弱い数値。
24:00 経済指標
米国中古住宅販売件数
住宅市場は消費に大きな影響を与えることから景気の先行指標として米国新築住宅販売件数とともに重要。
件数:前回384万件(改定)、予想388万件、結果万396件(◎)
前月比:前回-1.0%(改定-1.3)、予想1.0%、結果3.4%(◎)
【考察】強い数値。
23:43 要人発言
ロシア、中距離弾道ミサイル発射と米当局者 ウクライナはICBMと主張(Reuters)
【考察】地政学リスクオフ後退。ドル円上昇。
26:12~要人発言
ロシアが「新型ミサイル」でウクライナ攻撃、プーチン氏が確認(Bloomberg)
【考察】紛争激化懸念。地政学リスクオフ。ドル円下落。
26:25~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言: 10/10, 10/17, 11/15, 11/21)
:政策スタンスは中立。前回11/15タカ、ハト派発言。
シカゴ連銀総裁、来年にかけ金利「かなり下がる」-インフレ鈍化進む(Bloomberg)
【考察】ハト派発言。ドル円下落。
27:24~要人発言
米国シュミッド・カンザスシティ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言: 8/22, 10/22, 11/13, 11/19, 11/21)
:政策スタンスはタカ派。前回11/19タカ派、ハト派発言
「現在の金利が過剰に景気抑制的だとは思わない」
【考察】タカ派発言。ドル円上昇。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値155.43
取引開始直後に日足高値155.43を付けると、11/20NYクローズ後の米国コリンズ・ボストン連銀総のハト派発言の影響、NVIDIA好決算後のSell the factを受けた日本株下落(円キャリー巻き戻し)に連れて日通し安値154.86へ下落。
注目の植田日銀総裁発言は12月会合に向けてデータ次第としただけでドル円もみ合いとなりましたが、
直後の米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁のハト派発言を受けて日通し安値154.56へ急落して引けました。
総じて、前日のドル円急上昇からの上昇継続を期待したロング勢の損切巻き込みでドル円急落の流れ。
【日本市況】債券は中長期債下落、日銀利上げ警戒で円上昇-株式続落(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン直前にロシアがICBM初発射とウクライナ軍から発表されると、地政学リスクオフで欧州株下落(円キャリー巻き戻し)に連れて日通し安値154.08へ急落。
ウクライナ・ロシア関連続報なく154.72へ戻すも、国際刑事裁判所のイスラエル・ネタニヤフ首相らに逮捕状発行の地政学リスクオフで再び下落。
米国経済指標は強弱交錯しましたが、市場の注目は地政学リスクオフ悪化(ウクライナ・ロシア、中東)となっており、日足安値153.91へ急落。
その後、米国当局者からロシアはICBMではなく中距離弾道ミサイル発射と伝わると地政学リスクオフ後退から154.70まで上昇するも、露プーチン大統領の新型ミサイル攻撃発言を受けた地政学リスクオフと米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のハト派発言、米国シュミッド・カンザスシティ連銀総裁のタカ派発言が交錯し、ドル円下落から揉み合いで引けました。
日足終値154.54
【米国市況】株上昇、トランプ政権への期待-円は堅調で一時153円台(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売りから買い推移>
買い材料:
・地政学リスクオフ→原油先物価格上昇→インフレ懸念
・米国新規失業保険申請件数(強)、米国中古住宅販売件数(強)
・米国シュミッド・カンザスシティ連銀総裁のタカ派発言
売り材料:
・11/20米国コリンズ・ボストン連銀総のハト派発言の影響
・米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁のハト派発言
・米国失業保険継続申請件数(弱)、米国フィラデルフィア連銀景況指数(弱)、米国景気先行指数(弱)
<円買い優勢>
買い材料:
・11/20NVIDIA好決算後Sell the factを受けた日本株下落(円キャリー巻き戻し)
・ロシアがICBM初発射とウクライナ軍発表→地政学リスクオフ
・国際刑事裁判所:イスラエル・ネタニヤフ首相らに逮捕状発行→地政学リスクオフ
・露プーチン大統領:ウクライナを新型ミサイル攻撃→地政学リスクオフ
売り材料:
・日本20年債入札(強)
・地政学リスクオフ→原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・ロシア、ICBMではなく中距離弾道ミサイル発射→地政学リスクオフ後退
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利450-475bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回12月18日(水)公表:据え置き44.3→44.1%、25bps引き下げ55.7→55.9%、50bps引き下げ0.0→0.0%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利425~450bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:11月陽線形成中。レンジ。BB+1σ付近。
- 週足:11/18週、陽線形成中。レンジ。BB+1σ付近
- 日足:11/20陽線。上昇チャネル。BB+1σ~+2σ間
- 4H足:レンジ。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)4H足押し安値154.653付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ安値155.222
(B)日足高値155.890をダウ上昇→目標日足レンジ高値156.266
②Short
(C)日足レンジ高値156.266付近へ上昇→転換下落→目標日足高値155.890
(D)1H足レンジ安値155.222かつ4H足20MAをダウ下落→目標4H足押し安値154.653
本日:シナリオ外のためトレードなし
11月通算:9勝9敗、勝率50.0%、RR2.01 、+136.6pips
コメント