2024年8月26日(月)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・米国耐久財受注速報値
・米国アトランタ連銀GDP Now

2.要人発言
・政府、日銀
・FRB

3.その他
・英国祝日休場(サマーバンクホリデー)
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引(促進or巻き戻し)、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。
・来週は円下落か、米利下げ織り込み過ぎの修正でドルに上昇余地(Bloomberg
・【債券週間展望】長期金利上昇か、日銀正常化姿勢崩さず-米金利支え(Bloomberg
・【日本株週間展望】一進一退、市場を左右するエヌビディア決算を注視(Bloomberg

5.本日の注目材料
(1)8/23(金)マーケット影響
①植田日銀総裁発言:金融緩和維持のハト派発言と、経済・物価見通しの確度が高まれば金融緩和の度合いを調整する基本的な姿勢維持のタカ派発言。7月日銀会合後の市場混乱を受けて警戒されたハト派寄りへの転換なくデータ次第で金融正常化のタカ派スタンス維持→ドル円下落。
②米国パウエルFRB議長発言:9月利下げほぼ確定のハト派発言。市場は9月0.25%利下げ織り込み済みですが、労働市場減速懸念発言の影響から、0.50%大幅利下げ織り込み高進→ドル円急落


本日、両中銀総裁発言の影響を引き継いでドル円下落優位と考えますが、下記(c)によりドル円急上昇もあり得ます。従って、株先物・株指数に連れた節目(日足・4H足抵抗や切番付近)へのドル円上昇から戻り売りが低リスクと考えます。

(a)植田日銀総裁タカ派発言影響→株下落、日本国債利回り上昇→円買い
(b)米国パウエルFRB議長発言ハト派発言の影響→但し、FRB9月0.25%利下げは織り込み済みのため、0.5%利下げ織り込みが進む材料(労働市場減速データ等)が出なければドル売りは続きにくい。
(c)FRB利下げ期待の株上昇(円キャリー促進)→円売り

(2)地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
7/30以降は中東情勢が悪化し、8/7以降はウクライナ情勢も一気に緊張が高まりました。
・イスラエル、レバノン南部のヒズボラ拠点攻撃-ヒズボラ側も報復開始(Bloomberg
・プーチン氏が司令官らと協議、ウクライナ大統領「公正な和平」に言及(Bloomberg

下記材料が想定されますが、最近の傾向は(a)ドル売り主導のドル円下落が生じており、中東戦争勃発となればドル円急落の可能性が高いと推測します。

(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→ドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇(円キャリー促進)→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

17:58 要人発言
中国軍機の領空侵犯、防衛省が初確認 政府は厳重抗議(日本経済新聞

【考察】日中地政学リスクオフ

19:21 報道
リビア東部政府、石油生産・輸出全面停止-中銀総裁人事で西部と対立(Bloomberg

【考察】原油先物価格上昇によるドル円上昇

21:30 経済指標
米国耐久財受注速報値:設備投資の先行指標
前月比:前回-6.7%(改定-6.9)、予想4.6%、結果9.9%(◎)
コア前月比:前回0.4%(改定0.1)、予想0.1%、結果-0.2%(×)

22:56~要人発言
米国バーキン・リッチモンド連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:7/178/2, 8/8, 8/26)
:政策スタンスはタカ派。前回8/8雇用安定発言。

【考察】利下げ支持のハト派発言、労働市場減速懸念発言

23:30 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 8/15, 8/16, 8/26, 8/30)
Q2:前回2.0%、予想2.0%、結果2.0%(○)

27:04~要人発言
米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:7/117/167/19, 8/6, 8/26)
:政策スタンスは中立。前回8/6タカ派発言。
SF連銀総裁、米利下げ開始を支持-パウエル議長の言い回しを拝借(Bloomberg

【考察】9月利下げほぼ確定のハト派発言。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値144.23
取引開始直後から、8/23植田日銀総裁発言のタカ派発言(経済・物価見通しの確度が高まれば金融緩和の度合いを調整する基本的な姿勢維持)と米国パウエルFRBのハト派発言(9月利下げほぼ確定、労働市場減速懸念発言)の影響引き継いだ日米金利差縮小・日本株下落(円キャリー巻き戻し)、加えて中東地政学リスクオフ円買い(安全資産スイスフラン買い、資源国通貨売りと連動した典型的なリスクオフ)により、日足安値143.45へ下落。

一方、FRB9月0.25%利下げは既に織り込み済みであり、0.5%利下げ織り込みが進むには材料不足(労働市場減速データ等)と判断され安値ドル需要や、中東地政学リスクオフ由来の原油先物価格上昇も後押ししても、4H足押し安値ヒゲ先143.46からの押し目買い入り、日通し高値144.22を付けました。
(4H足下降チャネル下限付近で、1H足レンジ形成)。

【日本市況】円が143円台に上昇、米利下げ開始を確信-株安・債券高(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン前に143.60へ下押しするも、8/23米国パウエルFRB議長講演で過剰に織り込んだFRB9月0.5%利下げ期待の一部剥落による米国債利回り上昇、中東地政学リスクオフやリビア石油生産中止の原油先物価格急上昇と、FRB要人の相次ぐハト派発言が交錯したことで揉み合いながら、日足高値144.65へ上昇して引けとなりました
(1H足上昇チャネル継続)。
日足終値144.52

【米国市況】テク株主導でS&P下落、国債も安い-ドル144円台半ば(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・8/23米国パウエルFRB議長発言で過剰に織り込んだFRB9月0.5%利下げ期待一部剥落
・中東地政学リスクオフ、リビア石油生産停止→原油先物価格上昇

売り材料:
・8/23米国パウエルFRB議長発言影響継続:9月利下げほぼ確定のハト派発言かつ労働市場減速懸念発言
・米国バーキン・リッチモンド連銀総裁のハト派,労働市場減速懸念発言
・米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁のハト派発言

<円買い優勢>
買い材料:
・8/23植田日銀総裁発言影響継続:7月日銀会合後の市場混乱を受けて警戒されたハト派寄りへの転換なくデータ次第で金融正常化のタカ派スタンス維持→日米金利差縮小、日本株下落(円キャリー巻き戻し)
・中東地政学リスクオフ→安全資産スイスフランと連動しリスクオフ円買い

売り材料:
・中東地政学リスクオフ、リビア石油生産停止→原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回9月18日公表:25bps引き下げ66.5→69.5%、50bps引き下げ34.5→30.5%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:8月陰線形成中。上昇チャネル。20MAから上昇中。
  • 週足:8/19週、大陰線確定。下降トレンド。
  • 日足:8/23陰線。レンジ下限、BB-1σ付近。
  • 4H足:下降チャネル下限付近。
  • 1H足:下降トレンド。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)4H足押し安値ヒゲ先144.454をダウ上昇→目標1H足押し安値実体144.738
(B)1H足押し安値実体144.738をダウ上昇→目標4H足押し安値実体145.129

②Short
(C)4H足押し安値実体145.129付近へ上昇→転換下落→目標4H足押し安値ヒゲ先144.454
(D)日足安値144.048をダウ下落→目標1H足押し安値143.444

本日:0勝2敗、-31.5pips
8月通算:18勝12敗、勝率60.0%、RR 1.95、+416.8pips

(Trading View)

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