2022年4月21日(木)ドル円初心者戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

注目材料

1. ウクライナ情勢緊迫化
ロシアにとって重要な5/9「戦勝記念日」に勝利宣言する可能性が浮上しており、ロシアはウクライナ東部への大規模攻撃を開始、首都キーウ含めた中枢への攻撃も明言しています。戦況が急速に悪化しておりリスクオフ後退に繋がる報道や要人発言に要注目したい。

2.円売り加速
①日本の金融緩和継続(4/20に指し値オペ実施通告)、②安全資産としての円魅力低下、③日本の経済成長率低下、④日本の貿易収支悪化(特にエネルギーや食料価格高騰)が円売り要因。
①~④のいずれも改善が見えないことから、円売りが続く可能性が高い。

日本要人から円安牽制発言は同じ内容の繰り返しですが、円買い効果が出たりでなかったりと、まちまな動き。口先だけの円安牽制発言は本質的な問題解決には繋がらないことから、一時的にドル円が下落しても、押し目買いの良い材料になると考えます。
本日もこの流れは変わらない見込みですが、ドル円週足・日足陽線続きで上昇していることから、調整の下落にも警戒したい。ラウンドナンバー129.000、130.000が付近で停滞すればロング勢の利確や失望売りが入りそう。

3. 経済指標・要人発言
G20財務相・中央銀行総裁会議を受けて、米国を巻き込んだ強い円安牽制発言が出るようなことあれば円買いドル円下落が生じる可能性あり。円安牽制に繋がる発言なければ失望から円売りドル円上昇になると推測します。現実的には米国が円安牽制に協力するメリットが見えないことから、円売り継続の可能性が高い。

また、5月FOMCを控えてブラックアウト期間前の米国パウエルFRB議長発言が本日最大の注目材料。タカ派発言でドル買いドル円上昇、サプライズのハト派発言出ればドル売りドル円下落と考えます。

マーケットの動き

東京マーケット前
6:00 取引開始
・ドル円: 127.824 (前営業日終値 127.876 から -5.20 pips )
・米国債2年利回り: 2.582 %
・米国債10年利回り: 2.834 %

【考察】
ドル円ギャップダウンスタートから直ぐに窓埋め上昇。

7:36 要人発言
国際通貨基金(IMF)
「円安はファンダメンタルズ主導であり、日本の経済政策変更の理由とはならない」

【考察】
円安容認発言でしたが、突発的な円買い発生し、ドル円128.225から127.822まで下落。
発言内容とドル円の方向性の齟齬が気になる点。
しかし、ドル円15M足20MAとレジサポ127.882で綺麗に支えられたことで、テクニカル的には押し目買い狙いやすい位置。

東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円: 127.982 (始値比 +15.80 pips )
・米国債2年利回り: 2.592 (始値比 +0.010 % )
・米国債10年利回り: 2.848 (始値比 +0.014 % )
・日経平均株価: 27259.14 (前日営業日終値 27217.18 から +41.96)・TOPIX 1915.89 (前日営業日終値 1915.15 から +0.74

【考察】
ドル円は15M0MAかつサポート127.882が効いて、「ドル買い」「円売り」によって強い上昇。
前日米国主要3指数は企業決算強弱を受けてまちまちの結果でしたが、日本株価指数はギャップアップスタート。

9:55 仲値
・ドル円: 128.257 (始値比 +43.30 pips )(東京マーケット始値比 +27.50 pips )

【考察】
ドル円は仲値に向けて128.477まで上昇したものの、仲値通過前から「ドル売り」「円買い」で128.109まで急落。

10:10 要人発言
日銀、連日で指し値オペ実施を通告

【考察】
予定通りのことでドル円反応薄かと考えましたが、強い「円売り」でドル円上昇。
ドル円15M足レジサポ128.150が機能し、128.109から反発上昇。

11:49 要人発言
黒田日銀総裁
「為替はファンダメンタルズに反映して安定推移が望ましい」

11:55 要人発言
鈴木財務相
「為替レートは市場において決定」
「声明文に為替への言及はなく、G7の考え方を維持」

【考察】
G7声明に為替の言及ないことは実質、円安容認発言。警戒された強い円安牽制発言なかったことで、「円売り」でドル円128.640まで上昇。

15:00 クローズ
・ドル円: 128.200 (始値比 +37.60 pips )(東京マーケット比 +21.80 pips )
・米国債2年利回り: 2.617 (始値比 +0.035 % )
・米国債10年利回り: 2.871 (始値比 +0.037 % )
・日経平均株価: 27552.99 (前営業日比 +335.21 、 +1.23 %)
(東京マーケット始値比 293.85 、 +1.08 %)
・TOPIX 1928.00 (前営業日比 +12.85 、 +0.67 %)
(東京マーケット始値比 12.11 、 +0.63 %)

【考察】
円売り材料のオンパレードでドル円急騰の可能性高いと考えましたが、128.640で頭打ち。
何か伝わっていない「円買い」材料があるのか、Sell the factの動き。
円主導というより、ドルが軟調になってきた影響か。
ドル売りが強まると、ドル円方向性が分りにくため静観が適切か。

15:33 要人発言
デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁

「データ次第で7月に利上げを行う可能性がある」
ECBは7月利上げに道開く、同月にQE終了で-デギンドス副総裁(Bloomberg)

【考察】
タカ派発言で、「ユーロ買い」「ドル売り」に傾いたことで、ドル円15M足サポート128.150をあっさり下抜けて、次のサポート127.882付近の127.866まで下落。


欧州マーケット(17:00~25:30)
17:00 オープン
・ドル円: 128.018 (始値比 +19.40 pips )・米国債2年利回り: 2.615 (始値比 +0.033 % )
・米国債10年利回り: 2.880 (始値比 +0.046 % )

【考察】
ドル円15M足サポート127.882で反発上昇したものの、急激なユーロ買いで、ドルと円の動きが不安定。

21:30 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国新規失業保険申請件数:前回18.5万件(改定18.6)、予想18.0万件、結果18.4万件(△)

米国失業保険継続申請件数:前回147.5万件、予想145.5万件、結果141.7万件(◎)
米失業保険申請件数、2000件減の18.4万件-タイトな労働市場示す(Bloomberg)

米国フィラデルフィア連銀景況指数4月度:前回27.4、予想21.4、結果17.6(✕)
米フィラデルフィア連銀業況指数、4月は17.6に低下 雇用は堅調(Reuters)

【考察】
米国フィラデルフィア連銀景況指数がサプライズの悪化。「ドル売り」「円買い」でドル円下落。

NYマーケット(22:30~29:00)
22:30 オープン
・ドル円: 128.245 (始値比 +42.10 pips )
・米国債2年利回り: 2.647 (始値比 +0.065 % )
・米国債10年利回り: 2.875 (始値比 +0.041 % )
・ダウ平均: 35258.80 (前営業日終値 35161 から +97.80 )
・S&P500: 4489.17 (前営業日終値 4459.46 から +29.71 )
・ナスダック: 13623.70 (前営業日終値 13453.06 から +170.64 )

【考察】
ドル円は上昇チャネル形成。
米国主要3指数はギャップアップスタート。

23:00 経済指標
米国景気先行指数3月度:前回0.3%(改定0.6)、予想0.3%、結果0.3%(○)

24:31 要人発言
米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁
「0.25、0.50あるいは0.75%利上げを検討」
「今後のFOMCで0.50%の利上げを実施する可能性は高い」


【考察】
0.75%利上げ検討はタカ派発言。「米国債利回り急騰→ドル買い」「円売り」でドル円上昇。

25:30 欧州クローズ
・ドル円: 128.635 (始値比 +81.10 pips )
・米国債2年利回り: (始値比 -2.582 % )
・米国債10年利回り: (始値比 -2.834 % )

【考察】
NYマーケットに入ってからもドル円は上昇を続け1H足実体128.601を上抜けたものの、1H足確定では実体が128.601ブレイクできず。
1H足十字線形成後、15M足トレンドラインかつ128.601下抜け。失望売りで急落。

26:15 要人発言
米国ブラード・セントルイス連銀総裁

「0.75%利上げが過去に実施された時、世界は終わりを迎えていない」

26:16 要人発言
米国パウエルFRB議長

「5月FOMCでは0.50%の利上げが議題」
「FRB当局者の多くは1回以上の0.50%の利上げが合理的と認識」
「目標は景気後退なしにインフレ抑制すること」

パウエルFRB議長、利上げ前倒し支持-5月0.5ポイントも選択肢(Bloomberg)

【考察】
総じてタカ派発言ですが、パウエル議長の5月FOMC0.50%利上げ発言によって、5月0.75%以上を織り込んでいた分が剥がれ落ちたためか「米国債利回り下落→ドル売り」。また、「米国主要3指数急落→円買い」によって、ドル円下落。

29:00 NYクローズ
・ドル円: 128.283 (始値比 +45.90 pips )
・米国債2年利回り: 2.674 (始値比 +0.092 % )
・米国債10年利回り: 2.906 (始値比 +0.072 % )
・ダウ平均: 34792.77 (前営業日比 -368.03 、 -1.05 %)
(NYマーケット始値比 -466.03 、 -1.32 %)
・S&P500: 4393.67 (前営業日比 -65.79 、 -1.48 %)
(NYマーケット始値比 -95.50 、 -2.13 %)
・ナスダック: 13174.66 (前営業日比 -278.40 、 -2.07 %)
(NYマーケット始値比 -449.04 、 -3.30 %)

【考察】
5月FOMCの0.50%利上げは織り込み済みと考えていましたが、パウエルFRB議長発言で株式市場の警戒感が高まり米国主要3指数急落。本日東京マーケットも下落スタートの可能性大。
「株価指数下落→リスクオフ円買い」となればドル円と推測します。

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

通貨強弱

NYマーケットクローズ時点の通貨強弱

  1. USD(基軸通貨):前日8位
  2. EUR(リスクオン通貨):前日5位
  3. GBP(リスクオン通貨):前日6位
  4. JPY(リスクオフ通貨):前日4位
  5. CHF(リスクオフ通貨):前日7位
  6. CAD(資源国リスクオン通貨):前日3位
  7. AUD(資源国リスクオン通貨):前日2位
  8. NZD(資源国リスクオン通貨):前日1位

【考察】
4/20上位を占めていた資源国通貨が一気に売られ下位へ。
要人発言のタカ派発言でUSD, EUR, GBP買い。
米国主要3指数急落によるリスクオフでJPY買い。

米国債イールドカーブ

4/21(木)は4/20(水)に対して、ベア・フラットニング(短期金利上昇、長期金利上昇、長短金利差縮小)。

*ベア・フラットニング:直近の景気良好→景気過熱抑制のために政策金利上げの可能性浮上→長短金利上昇→長期金利高く将来も利上げ見込み→利上げが続く可能性あり→景気にブレーキ掛かりそう→リスクオン終焉に近い→ドル買い後退示唆

【考察】
将来はドル売りの可能性あるも、直近はドル買いドル円上昇と推測します。

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: ボリンジャーバンド+2σをバンドウォークし強い上昇トレンド。
  • 週足: ボリンジャーバンド+2σをバンドウォークし強い上昇トレンド。
  • 日足: 大陰線で引け。2日連続で129.000を日足実体で超えられなかったことで失望売りが入りやすいか。しかし、ボリンジャーバンド+2σをバンドウォークし強い上昇に変わりなし。
  • 4H足:ボリンジャーバンドスクイーズ移行中で20MA支えあり。
  • 1H足:ボリンジャーバンドはスクイーズ移行中で下降チャネル形成。
  • 15M足:ボリンジャーバンドはスクイーズ。

【シナリオ】
①ロング
(A)1H足戻り高値128.181上抜け→レジサポ→目標日足実体128.815。
(B)日足実体128.815上抜け→レジサポ→目標4H足実体129.257。

②ショート
(C)4H足20MAかつ1Hサポート127.551下抜け→レジサポ→目標ラウンドナンバー127.000

日足以上の上昇トレンドが崩れていないためロング優先ですが、注目度の高い要人発言が予定されているため強烈な円安牽制発言が出れば一時的なドル円下落が発生すると考えます。日足トレンドライン下抜けない限りは押し目買いを検討したい。

【考察】
10:00 1H足戻り高値128.181上抜け→レジサポ→(A)ロング可。
14:45 目標日足実体128.815→128.181下抜け→(A)ロング不成立

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