ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
注目材料
1. ウクライナ情勢緊迫化
ロシアにとって重要な5/9「戦勝記念日」に勝利宣言する可能性が浮上しており、ロシアはウクライナ東部への大規模攻撃を開始、首都キーウ含めた中枢への攻撃も明言。停戦交渉の見通しなく、戦況が急速に悪化しておりリスクオフ後退に繋がる報道や要人発言に要注目したい。
2.円売り加速
①日本の金融緩和継続(4/20~21指し値オペ実施通告)、②安全資産としての円魅力低下、③日本の経済成長率低下、④日本の貿易収支悪化(特にエネルギーや食料価格高騰)が円売り要因。
①~④のいずれも改善が見えないことから、円売りが続く可能性が高い。
日本要人から円安牽制発言は同じ内容の繰り返しですが、円買い効果が出たりでなかったりと、まちまな動き。口先だけの円安牽制発言は本質的な問題解決には繋がらないことから、一時的にドル円が下落しても、押し目買いの良い材料になると考えます。
本日もこの流れは変わらない見込みですが、ドル円週足陽線続きで上昇していることから、調整の下落にも警戒したい。
3. 経済指標・要人発言
5月FOMCを控えてブラックアウト期間前の米国パウエルFRB議長のタカ派発言で「米国債利回り上昇→ドル買い」によるドル円上昇を想定していましたが、実際には「米利上げ警戒→米国主要3指数急落→リスクオフ円買い」によるドル円下落が生じました。
本日、この流れを引き継いで「ドル買い」「円買い」の綱引きでドル円は大きく上下に振れる可能性があります。
週末であることも踏まえると本日は様子見のみが適切かもしれません。
マーケットの動き
東京マーケット前
6:00 取引開始
・ドル円: 128.349 (前営業日終値 128.384 から -3.50 pips )
・米国債2年利回り: 2.693 %
・米国債10年利回り: 2.913 %
【考察】
ドル円ギャップダウンスタートから直ぐに上昇で窓埋め。
8:27 要人発言
鈴木財務相
「イエレン米財務長官との2国間会談を行った」
「金融市場動向と円相場について議論した」
「直近の円安が急激と数字で示した」
【考察】
円安牽制発言ですが、協議だけでは効果薄く、米国が円安抑制に協力する可能性は低いとの考えが強いためか「円売り」でドル円上昇継続。
8:50 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
日本消費者物価指数3月度
前年比:前回0.9%、予想1.2%、結果1.2%(○)
コア前年比:前回0.6%、予想0.8%、結果0.8%(○)
東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円: 128.440 (始値比 +9.10 pips )
・米国債2年利回り: 2.726 (始値比 +0.033 % )
・米国債10年利回り: 2.934 (始値比 +0.021 % )
・日経平均株価: 27197.80 (前日営業日終値 27552.99 から -355.19 )・TOPIX 1908.22 (前日営業日終値 1928 から -19.78 )
【考察】
「ドル買い」「円売り」でドル円上昇継続。
前日米国主要3指数を引き継いで日本株価指数もギャップダウンスタート。
9:55 仲値
・ドル円: 128.627 (始値比 +27.80 pips )(東京マーケット始値比 +18.70 pips )
【考察】
仲値に向けてドル円上昇し1H足実体上限128.589到達。仲値通過後、1H足実体上限付近で小幅レンジ推移。
10:10 要人発言
日銀、連続指し値オペ通告
【考察】
円売り材料ですが、サプライズなくなったことでドル円反応薄。
12:15
仲値通過後、ドル円128.683まで上昇しものの1H足ヒゲ先128.688を超えられず。
「ドル売り」「強い円買い」発生し、15M足レンジ下限128.524下抜けて1H足押し安値128.314まで急落。
13:22 報道
TBS、日米財務相会談で協調介入も議論
ドル・円が反落、日米財務相が協調介入協議と一部報道-127円台(Bloomberg)
【考察】
真偽不明の飛ばし報道ですが、円安牽制への警戒感からか、「ドル売り」「強い円買い」でドル円下落継続。
15M足レジン時下限128.524かつ20MAからの戻り売りに乗って、1H足押し安値128.314下抜けて、次の1H足押し安値128.130付近の128.049まで急落。
15:00 クローズ
・ドル円: 127.908 (始値比 -44.10 pips )(東京マーケット比 -53.20 pips )
・米国債2年利回り: 2.707 (始値比 +0.014 % )
・米国債10年利回り: 2.934 (始値比 +0.021 % )
・日経平均株価: 27105.19 (前営業日比 -447.78 、 -1.63 %)
(東京マーケット始値比 -92.61 、 -0.34 %)
・TOPIX 1905.15 (前営業日比 -22.85 、 -1.19 %)
(東京マーケット始値比 -3.07 、 -0.16 %)
【考察】
ドル円は「日米財務相会談で協調介入も議論」報道の警戒感が続き、「ドル売り」「強い円買い」で4H押し安値実体127.807付近の127.728まで急落。
株価指数は米国金融引き締めに伴う米国債利回り急騰を警戒して日足陰線で引け。
16:14 要人発言
松野官房長官
「日米財務相会談でドル円相場の動きも議論した」
「為替の安定は重要であり、急速な変動は望ましくない」
「日米財務相会談の詳細を答えることは控える」
【考察】
円安牽制発言であるもの具体性がなく、米国が円買いに協力するメリットが見当たらないことから口先介入だけと判断されたためか
急速に「円売り」ドル円急騰へ転換。
欧州マーケット(17:00~25:30)
17:00 オープン
・ドル円: 128.067 (始値比 -28.20 pips )
・米国債2年利回り: 2.743 (始値比 +0.050 % )
・米国債10年利回り: 2.953 (始値比 +0.040 % )
【考察】
ドル円4H押し安値127.807を1H・15M足下ヒゲピンバーで反発し128.516まで急上昇。
21:56 要人発言
米国財務省
「日米財務相会談で外為市場を含む金融市場の動向を議論」
日米財務相、外為市場の動向について21日に協議=米財務省(Reuters)
【考察】
円安牽制に繋がる声明がなかったことでドル円反応薄。
NYマーケット(22:30~29:00)
22:30 オープン
・ドル円: 128.489 (始値比 +14.00 pips )
・米国債2年利回り: 2.785 (始値比 +0.092 % )
・米国債10年利回り: 2.932 (始値比 +0.019 % )
・ダウ平均: 34727.38 (前営業日終値 34792.77 から -65.39 )
・S&P500: 4385.83 (前営業日終値 4393.67 から -7.84 )
・ナスダック: 13168.80 (前営業日終値 13174.66 から -5.86 )
【考察】
前日に引き続き、米国金融引き締めを警戒してか、米国主要3指数はギャップダウンスタート。
22:45 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国製造業PMI速報値4月度:基準50、前回58.8、予想58.2、結果59.7(◎)
米国サービス業PMI速報値4月度:基準50、前回58.8、予想58.0、結果54.7(✕)
米国総合PMI速報値4月度:基準50、前回57.7、予想57.9、結果55.1(✕)
米総合PMI、4月は価格指数が記録的な高水準-インフレ圧力強まる(Bloomberg)
【考察】
強弱入り混じる結果でしたが、「ドル買い」「円売り」でドル円上昇。
しかし、NYオープン直後、ドル円大きく上下に振れており方向性が分かりにくい。
24:01 要人発言
黒田日銀総裁
「円が下落しても積極的な金融緩和を維持」
「日本は景気過熱を懸念すべき状況にない」
「日銀はイールドカーブコントロールの枠組みで政策継続」
「日本の中長期的なインフレ予想は上昇していない」
黒田総裁:日銀は強力な緩和継続する必要-講演では円に言及せず(Bloomberg)
【考察】
世界に向けて円安容認発言で、「ドル買い」「強い円売り」でドル円129.109まで急騰。
24:23 要人発言
米国イエレン財務長官
「高インフレは天井を打った可能性」
【考察】
インフレ懸念後退発言で「米国債利回り低下→ドル売り」「円買い」でドル円129.109から128.624まで下落。ラウンドナンバー129.000達成してロング勢利確も入ったと推測。
25:30 欧州クローズ
・ドル円: 128.854 (始値比 +50.50 pips )
・米国債2年利回り: 2.722 (始値比 +0.029 % )
・米国債10年利回り: 2.906 (始値比 -0.007 % )
26:30
日足実体上限128.848付近を推移していましたが、「ドル買い」「強い円買い」が突然発生し、ドル円128.432まで急落。
27:16 報道
24:00頃の黒田日銀総裁発言で「円が下落しても積極的な金融緩和を継続する必要」と報じられたものの、円については言及しなかった、との訂正あり。
26:30の強い円買いは、この訂正が分かっていたことの動きか。
28:14 要人発言
米国メスター・クリーブランド連銀総裁
「年末までに中立金利2.50%に引き上げたい」
「中立金利2.50%引き上げのために、複数回の0.50%利上げ予定」
「0.75%の利上げは必要ない」
米FRB、75bpの利上げ現時点で不要 =クリーブランド連銀総裁(Reuters)
【考察】
0.75%の利上げ否定でハト派発言。「米国債利回り低下→ドル売り」「円買い」でドル円下落。しかし、NYクローズ直前だったためか反応薄。
29:00 NYクローズ
・ドル円: 128.539 (始値比 +19.00 pips )
・米国債2年利回り: 2.697 (始値比 +0.004 % )
・米国債10年利回り: 2.901 (始値比 -0.012 % )
・ダウ平均: 33811.41 (前営業日比 -981.36 、 -2.82 %)
(NYマーケット始値比 -915.97 、 -2.64 %)
・S&P500: 4271.79 (前営業日比 -121.88 、 -2.77 %)
(NYマーケット始値比 -114.04 、 -2.60 %)
・ナスダック: 12839.28 (前営業日比 -335.37 、 -2.55 %)
(NYマーケット始値比 -329.52 、 -2.50 %)
【考察】
米国金融引き締め加速懸念から米国主要3指数は2日連続の大陰線で引け。
米利上げ期待ドル買い、リスクオフドル買い・円買い交錯し、ドル円は4H足レンジ内で大きく上下に変動し方向性なし。
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
NYマーケットクローズ時点の通貨強弱
- USD(基軸通貨):前日1位
- JPY(リスクオフ通貨):前日4位
- EUR(リスクオン通貨):前日2位
- CHF(リスクオフ通貨):前日5位
- CAD(資源国リスクオン通貨):前日6位
- NZD(資源国リスクオン通貨):前日8位
- GBP(リスクオン通貨):前日3位
- AUD(資源国リスクオン通貨):前日7位
【考察】
米利上げ期待USD買い、米国主要3指数急落リスクオフUSD買い・JPY買い。
要人発言のタカ派発言でUSD, EUR買い。
英国小売売上高がサプライズの悪化でGBP売り。
原油先物急落でCAD売り。
米国債イールドカーブ
4/22(金)は4/21(木)に対して、ベア・フラットニング(短期金利上昇、長期金利上昇、長短金利差縮小)。
*ベア・フラットニング:直近の景気良好→景気過熱抑制のために政策金利上げの可能性浮上→長短金利上昇→長期金利高く将来も利上げ見込み→利上げが続く可能性あり→景気にブレーキ掛かりそう→リスクオン終焉に近い→ドル買い後退示唆
【考察】
将来はドル売りの可能性あるも、直近はドル買いドル円上昇と推測します。
テクニカル分析
ドル円チャート
- 月足: ボリンジャーバンド+2σをバンドウォークし強い上昇トレンド。
- 週足: ボリンジャーバンド+2σをバンドウォークし強い上昇トレンド。
- 日足: 陽線で引け。ボリンジャーバンド+2σをバンドウォーク終了したものの上昇トレンド継続。
- 4H足:ボリンジャーバンドスクイーズでレンジ。
- 1H足:ボリンジャーバンドスクイーズでレンジ。
- 15M足:ボリンジャーバンドスクイーズでレンジ。
【シナリオ】
①ロング
(A)日足実体128.848上抜け→レジサポ→目標4H足実体129.273。
②ショート
(C)1H足押し安値127.676かつ日足トレンドライン下抜け→レジサポ→目標ラウンドナンバー127.000
日足以上の上昇トレンドが崩れていないためロング優先ですが、注目度の高い要人発言が予定されているため強烈な円安牽制発言が出れば一時的なドル円下落が発生すると考えます。日足トレンドライン下抜けない限りは押し目買いを検討したい。
【考察】
日足実体128.868上抜けるもレジサポなし→(A)ロング不成立。
ドル円は4H足レンジ内で大きく上下に変動し方向性ないことからエントリー困難。
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