ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
(1)経済指標
・日本10年国債入札
・米国JOLTS求人件数
(2)要人発言
・政府、日銀円安牽制発言
・パウエルFRB議長発言
(3)その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。
特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・欧州政情不安リスクオフ
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
(4)参考情報
【日本株週間展望】上昇、国内金利高で金融株買い-米雇用にらむ(Bloomberg)
(5)本日の注目材料
①日銀早期金融政策正常化観測、政府・日銀為替介入観測
7/1一気に162円台目前の161.73へ急上昇したことで、政府・日銀為替介入警戒感、強い円安牽制発言が続くことが想定されます。
一方で、恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、日本デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)に加え、新規円売り(自動車認証不正問題の日本経済悪化波及、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)も生じていることから、ドル円下落は一時的で押し目が入りやすい相場環境は続くと考えます。
②パウエルFRB議長発言
6/12FOMC公表後のパウエルFRB議長会見はタカ派発言でドル円上昇しました。FOMC以降、インフレ指標は総じて鈍化していることからタカ派姿勢に変化ないか注目したい。
基本は(a)タカ派見込みですが、(b)ハト派も要警戒。但し、ドル円下落が生じても円売りが下値を支える環境に変わりないことから一時的で押し目買い機会と考えます。
(a)タカ派発言→米国債利回り上昇→ドル円上昇
(b)ハト派発言→米国債利回り低下→ドル円下落
③米国経済指標
注目は米国JOLTS求人件数。前日は米国大統領選挙でトランプ氏優勢が強まったことのインフレ懸念が材料視され、米国ISM製造業(弱)は押し目買い材料となりドル円急騰しました。
よって、下記(a), (b)を想定します。
(a)強い数値→ドル円上昇
(b)弱い数値→ドル円下落一時的。上昇へ転換。
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
11:05~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:6/4, 6/7, 6/18, 6/21, 6/24, 6/25, 6/27, 6/28, 7/2)
:前回6/28円安牽制発言
為替には複数要因絡む、アベノミクスも円安の「一つの要素かも」=財務相(Reuters)
【考察】円安牽制発言。ドル円下落。しかし直ぐに全戻し。
12:35 経済指標
日本10年国債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回1.051%、結果1.093%(×)
応札倍率:前回3.66倍、結果3.23倍(×)
テール:前回2銭、結果2銭(○)
【考察】強弱混在するも、テールが好感され市場は入札好調と判断の様子。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
16:04~要人発言
林官房長官
金利は市場で決まる、上昇は財政圧迫要因にも=林官房長官(Reuters)
【考察】金利上昇懸念発言。ドル円反応薄。
16:46~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言:6/14, 6/18, 6/20, 6/24, 7/2)
:政策スタンスは中立。前回6/24緩和示唆のハト派発言。
シカゴ連銀総裁、当局者は利下げに備える必要-インフレ減速続けば(Bloomberg)
【考察】緩和示唆のハト派発言。ドル円下落。
17:25~要人発言
神田財務官
(過去の発言:6/20, 6/21, 6/24, 6/26, 7/2)
:前回6/26円安牽制発言。
神田財務官、金利一段高で国債格付け動向に注意-私的懇談会で報告書(Bloomberg)
【考察】国債格付け警戒、円安牽制発言。ドル円下落。
22:37~ 要人発言
米国パウエルFRB議長(Fed News & Events, Calendar)
(発言:5/1, 5/14, 5/19, 6/12, 7/2)
:政策スタンスは中立。前回6/12タカ派発言
パウエル議長、最新データを歓迎-利下げにはさらなる確信必要(Bloomberg)
【考察】ディスインフレのハト派、データ不足で利下げ慎重タカ派発言。ドル円下落から上昇。
23:00 経済指標
米国JOLTS求人件数(過去の発表日; 7/6, 8/1, 8/29, 10/3, 11/1, 12/5, 1/3, 1/30, 3/6, 4/2, 5/1, 6/4, 7/2)
(Bureau of Labor Statistics)
前回805.9万件(改定791.9)、予想786.6万件、結果814.0万件(◎)
【考察】強い数値。ドル円上昇。
24:07~要人発言
米国グールズビー・シカゴ連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(発言:6/14, 6/18, 6/20, 6/24, 7/2)
:政策スタンスは中立。前回6/24緩和示唆のハト派発言。
【考察】景気後退懸念。ドル円下落。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値161.47
取引開始直後に日通し安値161.41を付けてからは、「前日仏政情不安後退→リスクオン日本株上昇」、「6/30、7/1米国大統領へのトランプ氏返り咲き確度増→インフレ懸念」を受けて、東京始値161.51
から東京高値161.74(1989年12月以来高値更新)へと上昇。
一方で、162円台目前では相変わらず、政府・日銀為替介入警戒感は根強く引けに掛けて揉み合い。
東京終値161.71
【日本市況】TOPIX最高値接近、日銀利上げ観測で-円は安値更新(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープンすると、7/7仏第2回投票に向けて仏政情不透明感が嫌気され株下落(リスクオフ&キャリー巻き戻し)、米国グールズビー・シカゴ連銀総裁のハト派発言、神田財務官の円安牽制発言、パウエルFRB議長発言を警戒したポジション調整でドル円揉み合いから下落。
注目の米国パウエルFRB議長発言は、ディスインフレのハト派発言を受けて日足安値161.27を付けるも、利下げ慎重タカ派発言・米国JOLT求人件数(強)・リスクオン米株上昇を受けてドル円乱高下で引けました。
日足終値161.47(日足十字線)
【米国市況】S&P500再び最高値更新、国債利回り低下-161円台半ば(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売買交錯>
買い材料:
・6/28米国大統領選候補者第1回テレビ討論会の影響継続:トランプ氏政策(対中関税大幅増、不法移民強制送還、大型減税延長)に伴うインフレ懸念
・7/1米連邦最高裁、トランプ氏の免責特権一部認定の影響継続:トランプ氏返り咲き確度増
・米国JOLTS求人件数(強)
・米国パウエルFRB議長のタカ派発言
・原油先物価格上昇
売り材料:
・米国グールズビー・シカゴ連銀総裁、米国パウエルFRB議長のハト派発言
<円売り優勢>
買い材料:
・鈴木財務相、神田財務官の円安牽制発言
・日銀7月会合での国債買い入れ減額、追加利上げ警戒感
売り材料:
・日本10年国債入札(強)
・仏政情不安後退→リスクオン株上昇(キャリー促進)
・米国パウエルFRB議長のハト派発言→米国債利回り低下→リスクオン株上昇(キャリー促進)
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・新規円売り(自動車認証不正問題、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回7月31日公表:据え置き91.2%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ61.5%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:7月陽線形成中。上昇トレンド。
- 週足:7/1週、陽線形成中。上昇トレンド。
- 日足:7/1陽線。上昇トレンド。
- 4H足:上昇チャネル。
- 1H足:上昇トレンド。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)1H足押し安値161.284付近へ下落→転換上昇→目標4H足ダウ高値161.524
(B)4H足ダウ高値161.122付近へ下落→目標4H足ダウ高値161.524
(C) (A) or (B)後、日足高値161.730をダウ上昇→目標切番162.000
②Short
(D)日足高値161.730付近へ上昇→1H足20MAをダウ下落→目標1H足押し安値161.284
7月通算:2勝0敗、+42.8pips
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