2024年8月12日(月)ドル円戦略と結果

ファンダメンタルズ分析
テクニカル分析
1. Trade

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

１．経済指標
・米国Ny連銀インフレ期待調査

２．要人発言
・予定特になし

３．その他
・日本祝日
・地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）

４．参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引（促進or巻き戻し）、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。

・来週の円相場は下落か、米景気指標で過度な利下げ期待が後退の可能性（Bloomberg）
・【債券週間展望】長期金利は上昇か、市場大混乱によるリスク回避反動（Bloomberg）
・【日本株週間展望】反発、米経済への過度の悲観和らぐ－様子見も強い（Bloomberg）
・お盆休み前の日本列島、巨大地震や台風で警戒続く－市場の混乱一服も（Bloomberg）

５．本日の注目材料

（１）8/9(金)マーケット、8/10,11情報影響
・8/8米国新規失業保険申請件数（強）→米国景気減速懸念後退の影響→株上昇（円キャリー促進）→円売り
・地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア、日本国内大地震）→株下落（円キャリー巻き戻し）→円買い
・米国コリンズ・ボストン連銀総裁のハト派発言→ドル売り
・地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）→原油先物価格上昇→ドル買い、円売り
・地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）→安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
・週末ポジション調整→ドル売り、円買い

・8/11 要人発言の影響
米国ボウマンFRB理事
（過去の発言：5/3, 5/10, 5/17, 5/28, 6/25, 6/28, 8/11）
：政策スタンスは中立。前回6/28タカ派発言。
ボウマンＦＲＢ理事、インフレ上振れリスク想定－利下げ慎重姿勢示唆（Bloomberg）

本日は日本祝日であることから、スタートは乏しい値動きもしくは閑散相場を狙った投機筋の仕掛けによる急変動を想定します。基本は値動き乏しい展開。
欧米マーケットでは注目経済指標もないことから、値動き乏しい展開は続きそうですが、円キャリー取引（株の動き）、地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）ヘッドラインに注意したい。

（２）地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）
7/30以降は中東情勢が悪化し、8/7以降はウクライナ情勢も一気に緊張が高まりました。
・イスラエル軍がガザの学校空爆､約100人死亡－欧米首脳らが非難（Bloomberg）
・ロシアがウクライナの越境攻撃に反撃、キーウ近郊で２人死亡（Bloomberg）
・ザポリージャ原子力発電所の火災報道
Ukraine and Russia trade accusations over fire at occupied nuclear plant（Reuters）

下記のドル・円材料が想定されますが、市場織り込みが完了までは、ドル買い・円買いが交錯してドル円も乱高下しやすいと考えます。

(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→ドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇（円キャリー促進）→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落（円キャリー巻き戻し）→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い：◎、予想以上：〇、予想より悪い：△、前回かつ予想より悪い：×)

東京マーケット前

28:02 要人発言
ウクライナ・ゼレンスキー大統領（X）
Ukraine and Russia trade accusations over fire at occupied nuclear plant（Reuters）

【考察】ザポリージャ原子力発電所火災発生→地政学リスクオフ。ウクライナ側はロシア軍放火が原因とし、ロシア側はウクライナ軍の攻撃が原因として非難の応酬。

29:13 要人発言
ザポリージャ原発、火災後も放射線レベルは正常－ＩＡＥＡ（Bloomberg）

【考察】地政学リスクオフ後退

6:00 報道
日銀は年内利上げ無理、市場急変で早くても来年３月まで－桜井元委員（Bloomberg）

【考察】何の決定権もありませんが、IMM通貨先物8/6時点で円売りポジションがほぼ解消されたこともあり、日本祝日で材料薄の中、新規円売りポジションの材料として利用された様子。

東京マーケット(9:00~15:00)

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

22:04 報道
Iran could attack Israel in less than 24 hours, sources say, as Western powers issue Tehran a warning（FOX NEWS）

【考察】中東地政学リスクオフ。原油先物価格上昇、安全資産米国債買い・スイスフラン買い、米国株下落（円キャリー巻き戻し）交錯しながら、ドル円下落。

24:00　経済指標
米国Ny連銀インフレ期待調査（NY FED SURVEY OF CONSUMER EXPECTATIONS）
1年後：前回3.0%、結果3.0%（◎）
3年後：前回2.9%、結果2.3%（×）。2013年以来低水準。
5年後: 前回2.8%、結果2.8%（◎）

【考察】強弱混在。

28:30 要人発言
イスラエル当局者
「大規模攻撃対して、ヒズボラへ先制攻撃の準備完了」

【考察】中東地政学リスクオフ

＜まとめ＞
東京マーケット：
日足始値146.64
本日未明のザポリージャ原子力発電所火災から地政学リスクオフが高まったものの、直ぐに火災鎮火かつ放射能レベルは正常と伝わりリスクオフ後退。

取引開始直後、日足安値146.63を付けるとリスクオフ後退から典型的なリスクオン（資源国通貨[豪ドル、ニュージーランドドル］買い・安全資産スイスフラン売り）。
8/11米国ボウマンFRB理事のタカ派発言もあり。
更に、IMM通貨先物8/6時点で円売りポジションがほぼ解消されたことが判明した状況下で、普段は何の影響力もない桜井元日銀審議委員の日銀年内利下げ無理発言が、新規円売りポジションの材料として利用されたためか円キャリー加速。
地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）を嫌気した原油先物価格上昇も加わり、日通し高値147.23へ上昇。
東京終値147.20

欧米マーケット：
欧州オープンもリスクオン欧州株上昇（円キャリー促進）や原油先物価格上昇に連れてドル円上昇継続し、NYオープン直後には日足高値148.23を付けました。

しかし、明確な材料がない中、切番148.00や4H足戻り高値148.23付近ではロング勢決済や戻り売りも入りやすく、イランの24h以内のイスラエル攻撃可能性報道をきっかけに地政学リスクオフの安全資産米国債買いのドル売りに連れてドル円急落から揉み合いで引けました。
日足終値147.20

【米国市況】Ｓ＆Ｐ500はほぼ変わらず、地政学懸念－ドル147円台前半（Bloomberg）

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

＜ドル売買交錯＞
買い材料：
・8/11米国ボウマンFRB理事のタカ派発言
・地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）→原油先物価格上昇→インフレ懸念

売り材料：
・イラン、24h以内のイスラエル攻撃可能性報道→中東地政学リスクオフ→安全資産米国債買い→米国債利回り低下

＜円売り優勢＞
買い材料：
・

売り材料：
・桜井元日銀審議委員の日銀年内利上げ無理発言、IMM通貨先物8/6時点で円売りポジションほぼ解消→新規円売りポジション構築観測
・リスクオン資源国通貨（豪ドル、ニュージードル）買い→安全資産スイスフラン売り→円キャリー促進
・欧米株上昇（円キャリー促進）
・地政学リスクオフ（中東、ウクライナ・ロシア）→原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・恒常的円売り（日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増）
・その他円売り（自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念）