2024年6月25日(火)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>

(1)経済指標
・日本20年国債入札
・日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標
・米国住宅価格指数
・米国S&Pケースシラー住宅価格指数
・米国コンファレンスボード消費者信頼感指数
・米国リッチモンド連銀製造業指数
・米国2年債入札
・カナダ消費者物価指数

(2)要人発言
・政府、日銀円安牽制発言
・FRB要人発言

(3)その他
・五十日仲値
・欧州政情不安リスクオフ
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
来週のドル・円は160円を試すか、日本当局の介入時期が焦点(Bloomberg
【債券週間展望】長期金利は上昇か、買い入れ大幅減額や20年入札警戒(Bloomberg
【日本株週間展望】下落、米景気懸念で円高リスク-仏政治不安も重し(Bloomberg

本日の注目材料は5点。

①月末・四半期末最終週ポジション調整
前日は月末・四半期末最終週ポジション調整と推測される欧州通貨(ポンド・ユーロ)買い・ドル売りが発生し、欧州序盤にドル円乱高下する場面もありました。
今週、心理的節目として意識される160円付近は、需給要因で突発的な乱高下が続く可能性が出てきたことから上値追いはリスク高く、急落後の押し目狙いのみが適切かもしれません。

円は160円の節目意識、月末要因で一段安も-一時急反発も上げ縮小(Bloomberg

②日銀早期金融政策正常化観測、政府・日銀為替介入観測
日足陽線は7営業日連続でストップ。160円台目前まで値を伸ばしたことで、政府・日銀為替介入警戒感が一気に高まり、強い円安牽制発言が続くことが想定されます。
従って、積極的な上値追いよりも押し目買い狙いが適切と考えます。

③米国経済指標
注目度の高い材料が続きます。
基本は(1)か(3)ですが、米国株が大きく動けば(2)と(4)も生じやすい。
但し、(2)や(3)でドル円下落が生じても一時的で押し目買い機会と考えます。

(1)強い数値→米国債利回り上昇→ドル円上昇
(2)強い数値→リスクオフ株下落→ドル円下落
(3)弱い数値→米国債利回り低下→ドル円下落
(4)弱い数値→リスクオン株上昇→ドル円上昇

④FRB要人発言
6/12FOMC公表・パウエルFRB議長会見はタカ派以降、複数のFRB要人からタカ派発言が相次いでいましたがハト派寄りの発言も出てきました。
引き続き基本は(1)を想定しますが、ハト派発言増から(3)や(4)も要警戒。いずれにせよドル円下落にもが生じても一時的で押し目買い機会と考えます。

(1)タカ派発言→米国債利回り上昇→ドル円上昇
(2)タカ派発言→リスクオフ株下落→ドル円下落
(3)ハト派発言→米国債利回り低下→ドル円下落
(4)ハト派発言→リスクオン株上昇→ドル円上昇

⑤欧州政情不安リスクオフ影響
6/10から欧州政情不安リスクオフが続いていますが、影響は欧州マーケットに強く表れており、東京マーケット、NYオープン後や欧州クローズ後はリスクオフ後退しています。
また、6/16(日)仏極右政党・国民連合(RN)を率いるルペン氏が、マクロン大統領と協力する意向を示したことからリスクオフ後退していますが、新たなヘッドラインで動きが変わりやすいため引き続き注意したい。

(1)欧州政情不安ヘッドラインあり→リスクオフ株下落→ドル円下落
(2)欧州政情不安ヘッドラインなし→リスクオン株上昇→ドル円上昇

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。

【考察】月末、四半期末実需筋ドル売り円買いにより、ドル買い期待のロング勢損切を巻き込んで急落。

10:40~要人発言
林官房長官
為替の過度な変動は望ましくない、適切な対応取る=官房長官(Reuters

【考察】円安牽制発言。ドル円下落。

10:41~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:6/46/76/18, 6/21, 6/24, 6/25)
:前回6/24円安牽制発言

【考察】円安牽制発言。ドル円下落。

12:35 経済指標
日本20年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:1兆円程度
最高落札利回り:前回1.742%、結果1.849%(×)
応札倍率:前回3.65倍、結果3.27倍(×)
テール:前回11銭、結果7銭(◎)

【考察】強弱混在するもテール好感の入札好調。ドル円上昇。

14:00 経済指標
日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標(日本銀行
加重中央値:前回1.1%、結果1.3%(◎)
最頻値:前回1.6%、結果1.5%(×)
刈込平均値:前回1.8%、結果2.1%(◎)

【考察】総じて強い数値。ドル円下落。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

16:46~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:6/46/76/18, 6/21, 6/24, 6/25)
:前回6/24円安牽制発言
日韓が通貨スワップ協定の強化を検討へ、通貨安に「深刻な懸念共有」(Bloomberg

【考察】円安牽制発言。しかし、リスクオフ欧州株下落や月末・四半期末最終週の需給要因ポジション調整と推測されるドル買い交錯し、ドル円揉み合い。

20:00~要人発言
米国ボウマンFRB理事(Fed News & Events, Calendar
(過去の発言:4/24/54/104/185/35/105/17, 5/28, 6/25)
:政策スタンスは中立。前回5/28タカ派発言。
米物価上振れリスク警告、利下げはまだ不適切-ボウマンFRB理事(Bloomberg

【考察】タカ派発言。しかしリスクオフ欧州株下落円買いと交錯しドル円揉み合い。

21:30 経済指標
カナダ消費者物価指数(CPI)
米国と貿易関係等で密接な関係であり、サプライズの数値は米国インフレの先行指標となり得ることから注目されます。
特に注目度の高い米国経済指標発表がない日は米国債利回りに波及しやすい。但し、あくまでカナダ指標であり短期的な影響に留まりやすい。
前月比:前回0.5%、予想0.4%、結果0.6%(◎)
前年比:前回2.7%、予想2.6%、結果2.9%(◎)
カナダCPI、予想外に伸び加速-7月追加利下げの可能性後退(Bloomberg

【考察】6月会合で0.25%利下げ実施、次回会合で追加利下げ予想のなかでサプライズの強い数値。追加利下げ見送りの可能性が高まり、米国利下げ観測後退に波及しドル円上昇。

22:00 経済指標
米国住宅価格指数
前月比:前回0.1%(改定0.0)、予想0.2%、結果0.2%(◎)

22:00 経済指標
米国S&Pケースシラー住宅価格指数
前年比:前回7.38%(7.46改定)、予想7.10%、結果7.20%(○)

【考察】強い数値。ドル円上昇。

23:00 経済指標
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数
米国ミシガン大学消費者信頼感指数と同様、経済活動全体に重要な役割を果たす個人消費に関する重要指標。
前回102.0(改定101.3)、予想100.1、結果100.4(○)

23:00 経済指標
米国リッチモンド連銀製造業指数
基準0、前回0、予想-2、結果-10(×)

【考察】米国コンファレンスボード消費者信頼感指数(強)、米国リッチモンド連銀製造業指数(弱)混在するも、より注目度が高い米国コンファレンスボード消費者信頼感指数(強)を受けドル円上昇。

25:00~要人発言
米国クックFRB理事(Fed News & Events, Calendar
(過去の発言:4/2, 5/8, 6/25)
:政策スタンスは中立。前回5/8経済見通しや金融政策についてはコメントなし。
クックFRB理事、利下げは「ある時点で」必要-時期は見通せず(Bloomberg

【考察】利下げ時期への言及ないタカ派発言。ドル円上昇。

26:00 経済指標
米国2年債入札(Upcoming Auctions
(過去の発表日:5/28, 6/25)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもある。

発行額(Offering Amount):690億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.917%、結果4.706%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.41倍、結果2.75倍(◎)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回57.9%、結果65.58%(◎)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回+1.0bps、結果0.0bps(◎)

【考察】入札好調。ドル円下落

27:10~要人発言
米国ボウマンFRB理事(Fed News & Events, Calendar
(過去の発言:5/35/105/17, 5/28, 6/25)
:政策スタンスは中立。前回5/28タカ派発言。

【考察】金融政策や経済についてコメントなし。

29:38 要人発言
首相官邸
北朝鮮が弾道ミサイル発射の可能性 防衛省発表(日本経済新聞

【考察】地政学リスクオフ。ドル円小幅下落

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値159.62
日通し高値159.71、東京始値159.70を付けた直後、五十日仲値に向けて月末、四半期末実需筋ドル売り円買いにより、ドル買い期待のロング勢損切を巻き込んで東京安値159.19へ急落。
一旦、159.51へ持ち直すも、林官房長官と鈴木財務相の円安牽制発言、リスクオン日本株上昇、日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標(強)が交錯し、揉み合いで東京引けとなりました(1H足下降チャネル内推移)。
東京終値159.45。

【日本市況】金融株先導しTOPIXは2カ月ぶり大幅高、債券は下落(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後、日韓財務対話声明で再び鈴木財務相円安牽制発言。しかし、リスクオフ欧州株下落や月末・四半期末最終週の需給要因ポジション調整と推測されるドル買い交錯し、ドル円揉み合い。
米国ボウマンFRB理事の強いタカ派発言と、カナダ消費者物価指数(強)の米国利下げ観測後退波及、米国経済指標の総じて強い数値により日足高値159.76へ上昇。

その後、米国クックFRB理事のタカ派発言、米国2年債入札(強)、リスクオフ米株下落が交錯し、引けに掛けて揉み合いました。
日足終値159.68

【米国市況】S&P500種反発、ハイテクが押し上げ-円は159円台後半(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・米国ボウマンFRB理事、米国クックFRB理事のタカ派発言
・リスクオフ欧州株下落
・カナダ消費者物価指数(強)→米国利下げ観測後退に波及
・米国住宅価格指数、米国S&Pケースシラー住宅価格指数、米国コンファレンスボード消費者信頼感指数(強)

売り材料:
・五十日仲値:月末、四半期末実需筋ドル売り
・米国リッチモンド連銀製造業指数(弱)
・米国2年債入札(強)

<円買い優勢>
買い材料:
・五十日仲値:月末、四半期末実需筋円買い
・鈴木財務相、林官房長官の円安牽制発言
・日銀、基調的なインフレ率を捕捉するための指標(強)→日本国債利回り上昇
・リスクオフ欧州、米国株下落

売り材料:
・リスクオン日本株上昇(海外投資家為替ヘッジ)
・日本20年国債入札(強)
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、日本デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・自動車認証不正影響

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回7月31日公表:据え置き89.7%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ61.1%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:6月陽線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:6/24週、陰線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:6/24下ヒゲピンバー陰線。レンジ
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:下降チャネル。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)4H足ダウ高値159.104付近へ下落→転換上昇→目標4H足ダウ安値159.392
(B) (A)後、4H足ダウ安値159.392をダウ上昇→目標4H足ダウ高値159.822

②Short
(C)4H足ダウ安値159.392かつ4H足20MAをダウ下落→目標4H足ダウ高値159.104

6月通算:16勝6敗、勝率72.7%、+301.7pips

(Trading View)

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