2022年1月31日(月)ドル円初心者戦略と進捗

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

注目材料

1. 先週末NYマーケットの流れ引継ぎ
1/28の米国経済指標の結果は良し悪しが入り混じっていましたが、1/26パウエル議長会見で注目されていたのは米国PCEデフレータより米国雇用コスト指数だったようで米国雇用コスト指数低下に市場が反応して、「米国債利回り2年,10年下落→ドル売り」が止まらずドル円が一気に下落しました。
NYクローズが近づくにつれてドル円下落は収まりましたが、東京マーケットではドル円下落の流れを引ぐ可能性があります。
但し、1/30は月末仲値に向けてドル円上昇には注意したい。

一方、米国主要3指数は引け1時間前から急激に上昇を見せました。クロス円もやや上昇。この動き継いで「日本株上昇→強い円売り」となれば、強いドル円上昇も考えねばなりません。

2. ドル円ポジション(1/29 7:00時点、OANDAラボ
・オープンポジション:115.238を境に、ロングとショートの含み損は同程度に見えます。
しかし、115.238付近に注目するとロング含み損勢が多い様子。つまり、ロング損切を巻き込めば大きくドル円下落しやすい。
・オープンオーダー:サポート候補は115.000~115.100、レジスタンス候補は115.650~115.700。115.238から近いのはサポートですので、ドル円ショートへの仕掛けが入りやすいかもしれません。

3.ウクライナ情勢緊迫化
ロシア外務省アレクセイ・ザイツェフ報道官会見「ロシアはウクライナとの戦争は想定外だと考えている」、また、2週間以内に開催予定のウクライナおよび仏独との4カ国協議までは、大規模な軍事衝突が発生するリスクは低いと考えます。
一方で、バイデン政権は着々と対ロシア制裁案を協議しており予断を許しません(1/29,Bloomberg)
引き続き「地政学リスク→強い円買い→ドル円下落」の可能性に注意すべきと判断します。

マーケットの動き

東京マーケット前
7:00 取引開始時間
・ドル円:115.280、ギャップスタート。テクニカル分析ではショート狙い優先でしたが、(A)ロングで推移。月末仲値に向けて上昇続きそう。

東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円:115.264
テクニカル分析(A)115.330到達したために、月末仲値に向けて、次のテクニカル分析(B)目標115.416に到達するかと見えました。
しかし、オープン前、8:15に115.377から115.242まで失速。

但し、15M足20MAに対して下ヒゲピンバーで下げ止まりを見せたことから、テクニカル分析(B)目標115.416狙いはリスク取る価値はあったかもしれません。

9:55 月末仲値
・ドル円:115.423
15M足20MAかつトレンドライン付近115.259から反発した後、月末仲値前にテクニカル分析(B)目標115.416に到達しました。つまり、テクニカル分析で優先して考えていたドル円下落ではなく、テクニカル分析(A),(B)ロングが正解でした。

15:00 クローズ
・ドル円:115.428
15M足20MAかつトレンドライン付近115.259から反発した後、月末仲値前にテクニカル分析(B)目標115.416に到達しました。

つまり、テクニカル分析で優先して考えていたドル円下落ではなく、テクニカル分析(A),(B)ロングが正解でした。
しかし、115.416到達後も上昇を続け、週足実体上限115.555かつ1H足ボリンジャーバンド+1σ付近の115.593まで上昇しました。
つまり、想定していた1H足20MA反発を狙った(C)ショートの条件は成立しませんでした。

その後、「米国債利回り2年,10年下落→ドル売り」、「株先物(ダウ、日経)、日経平均株価上昇→円売りでなく円買い」、「ドル売り円買い」でドル円下落で推移して引けました。

欧州マーケット(17:00~1:30)
17:00 オープン
・ドル円:115.435
東京クローズ後、下降チャネルで下落を続けていましたが、15M足200MAかつトレンドライン付近レジサポ115.366で強い反発を示しました。しかし、上昇継続せずにレンジ推移。

22:30
・ドル円:115.471

「急激なユーロ、ポンド、ゴールド買い」、「資源国通貨(豪ドル、ニュージーランドドル)買い→「米国債利回り2年,10年下落→ドル売り」、「株先物(ダウ、日経)やや買い→円買い」→「ドル売り円買い」→ドル円急落

15M足トレンドラインかつ200MAをローソク足実体で下抜け。1H足Wトップからネックライン115.416も下抜けたため、目標は1H足押し安値115.259。下落勢いが強いため115.209に到達しそう。

何か材料(報道や要人発言等)があった訳ではなく、参入してきたNY勢の動かしたい方向性がドル円下落だったのか。下落トレンドが続くなら、テクニカル分析(D)で115.330からの戻り売りあり得そう。


NYマーケット(23:30~6:00)

23:30 オープン
・ドル円:115.370
「米国債利回り2年,10年上昇→ドル買い」、「米国主要3指数全て強い上昇スタート→円売り」、「ドル買い円売り」→ドル円上昇スタート

15M足レベルでも下落トレンドが続くなら、テクニカル分析(D)で115.330から戻り売り狙ってみたいところでしたが、1H足115.259からの反発強くショート見送り。

次は、15M足トレンドラインかつ200MAからの反発や1H足ネックライン115.416で反発してレジサポし、「ドル売り円買い」への転換が見られれば、テクニカル分析(D)のショート検討したい。115.416を15M足実体で上抜けるなら、本日は見送りで終わり。

23:45 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国シカゴ購買部協会景気指数1月度:基準50、前回63.1、予想62.0、結果65.2(◎)

【見通し】ISM製造業景気指数の先行指標として利用されていますが、サプライズなければ確認のみ。
【考察】米国主要3指数上昇、ドル買いに追い風。ドル円上昇継続。よって、テクニカル分析(D)のショート検討はスルー。

24:30 経済指標
米国ダラス連銀製造業活動指数1月度:前回8.1(改定7.8)、予想8.0、結果2.0(✕)

【見通し】注目度は低いため確認のみ。
【考察】2020年7月来の低水準でサプライズの悪化。ドル売り継続。


1:00 ロンドンフィックス
・ドル円:115.228

月末ロンドンフィックス向けて、日本の仲値のようなドル買いに傾きやすいといった傾向ありませんが、今回はロンドンフィックス前からのドル売り継続しましたが、ドル円も下落で推移しましたが、大きく上下に振れてローソク足は長いヒゲを生じました。

結局、テクニカル分析(D)のショート狙えましたが、急激な動きで刈られる可能性があったため、エントリースルーで良かったと考えます。

1:30 欧州クローズ
・ドル円:115.209

1:39 要人発言
米国デイリー、サンフランシスコ連銀総裁「早ければ3月に利上げを見込む」


【考察】
CME FedWatch Toolの3月FOMC利上げは1回以上が100%となっており織り込み済。よって、米国債利回り2年,10年上昇なく、「米国債利回り2年,10年下落→ドル売り」、「米国主要3指数上昇」の流れは変わらず。

2:38 要人発言
米国デイリー、サンフランシスコ連銀総裁「年末までに政策金利1.25%に達すれば一定の金融引き締め果を発揮するが、緩和的な環境を維持する」

2:45 要人発言
米国ジョージ、カンザスティ連銀総裁「より早期のバランスシート縮小は適切になり得る」

【考察】

タカ派発言ですが、織り込み済みのためか、「米国債利回り2年,10年下落→ドル売り」、「米国主要3指数上昇」の流れは変わらず。

3:38 要人発言
米国ボスティック、アトランタ連銀総裁「3月FOMCでの0.50%利上げは好ましくない」

【考察】
久しぶりに米国金融当局者からハト派的な発言が出たように思えました。そのためか、「米国債利回り2年,10年低下→ドル売り」、「米国主要3指数上昇→円売りでなく円買い」、「ドル売り円買い」→ドル円下落継続。

6:00 クローズ
・ドル円:115.082
・米国主要3指数:全て上昇。「米国債利回り低下→ドル売り」

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

通貨強弱

NYマーケットクローズ時点の通貨強弱

  1. AUD(資源国リスクオン通貨):前日8位→2/1豪中銀政策金利での利上げ期待織り込みの様子
  2. EUR(リスクオン通貨):前日3位
  3. NZD(資源国リスクオン通貨):前日7位
  4. CHF(リスクオフ通貨):前日5位
  5. GBP(リスクオン通貨):前日2位→連日強い。利上げ観測か。
  6. CAD(資源国リスクオン通貨):前日6位
  7. JPY(リスクオフ通貨):前日1位
  8. USD(基軸通貨):前日4位

特徴的なのは、
AUDが先週末の最下位から最上位に転換。2/1豪中銀政策金利での利上げ期待の影響の様。政策金利発表後、Sell the factや失望売りにも要警戒。

米国債イールドカーブ

  • 1/31(月)は1/28(金)に対して、ベア・フラットニング(全体的に利回り上昇かつ、長短利回り差縮小)となりました。

材料まとめ

ドル買い材料

  • 金融政策
    • FOMC(1/26):政策金利据え置き、但し、金融引き締めに前向きな見解(3月テーパリング終了確定、3月利上げほぼ確実)。市場では3月0.5%利上げ観測や年内利上げ5回以上予想見られる。
    • 日米金利差拡大:米国は金融引き締め、日本は金融緩和継続
  • 政治、経済
    • 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み
    • エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇→利上げ観測前進
    • 米国雇用統計(1/7):失業率(ほぼ完全雇用)と平均時給が良好。→インフレ懸念
    • 米企業決算総じて良好
    • 米国GDP第4四半期(1/27):良好
  • 要人発言
    • パウエルFRB議長会見(1/26):「利上げとバランスシート縮小可能」「毎回のFOMC会合で、利上げする可能性を排除しない」「金利を引き上げる余地はかなりある」→タカ派発言
  • 新型コロナ
    • オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
    • FDAワクチン諮問委員:オミクロン株のピークは2~3週間の見込み
  • 地政学リスク
    • ウクライナへロシア侵攻すれば米国制裁→ロシア産原油のドル建て決済不可→原油先物価格上昇→インフレ加速

ドル売り材料

  • 政治、経済
    • 米国貿易赤字が過去最大規模
    • 世界経済が回復する中、欧州株、アジア新興市場株や債券、資源国通貨、金や銀に資産を移すべきとのマネーマネージャーが増えているとの報道(1/13, Bloomberg)
    • 気候変動・社会保障関連歳出法案:マンチン上院議院反対で採決先送り
    • 中国春節の7連休(1/31~2/6):中国国内での消費のためにドル保有投資家や企業がドルを人民元に両替。中国の経済規模は大きいたドル売り人民元買いの影響が大きいと推測。高インフレに伴うバイデン政権支持率低下
    • 雇用回復鈍化:米国新規失業保険申請件数が一時20万人下回ったものの増加傾向
  • 新型コロナ
    • オミクロン株の感染拡大や重症化リスクが払拭されていない→経済活動停滞や景気回復鈍化懸念
    • オミクロン株はデルタ株より入院率は低いが医療システム逼迫懸念
    • 米国内のワクチン接種率向上しない、マスクをしない人も多い→感染拡大で人員不足
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係悪化
    • ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化:
      • ロシア、米国、NATOの協議不調。
      • ロシア制裁でドル決済が使えなくなったら、ロシアはドル売り中国人民元買いの可能性

円買い材料

  • 金融政策
    • 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリング。
  • 政治、経済
    • 長期金利が一時0.185%(2016年1月以来):2/1から大手銀行5行が10年固定の住宅ローン基準金利を0.05~0.10%引き上げ。
  • 要人発言
    • 岸田首相発言「新しい資本主義」:投資家軽視→リスクオフ株価下落
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係
    • ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
    • 北朝鮮の軍事行動:ミサイル発射は1月に7回
  • IMM通貨先物
    • 1/25時点、円ショート縮小(ネット-80,879→-68,273、前週比+12,606)

円売り材料

  • 金融政策
    • 2021.12.17 に引き続き、2022.1.18日銀金融政策決定会合で、政策金利-0.1%維持、金融緩和継続、必要なら追加緩和方針。
    • 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い。
  • 要人発言
    • 日銀黒田総裁(1/18):「利上げや緩和的な政策変える必要ないし議論もない」
  • 政治、経済
    • 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
  • 新型コロナ
    • 日本国内での新型コロナ感染急拡大(1/28, 全国で新規感染者8万人超、4日連続過去最多)
    • 日本政府 「まん延防止等重点措置」 13都県に1/21から適用。期間は1月21日から2月13日の約3週間。27日に18都府県追加。合計34都道府県→日本経済停滞
    • トヨタ、コロナ拡大で工場稼働停止を延長-減産規模は計6万5000台に(1/24, Bloomberg)

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: トレンドラインで反発し上昇トレンド継続だが、十字線形成中。下値目処は月足押し安値113.051。上値目処は2017年1月の118円台前半。
  • 週足: 先週は大陽線で上値実体115.555到達し上ヒゲ反発して引け。上限115.555、下限113.659のレンジ。
  • 日足: 週足実体115.555かつ日足ボリンジャーバンド+1σで反発し上ヒゲピンバー陰線で引け。下落勢いあり。下値目処20MA付近114.787、その下はボリンジャーバンド-1σ付近114.128。115.555上抜ければ上値目処116.085。
  • 4H足: 押し安値115.330かつトレンドライン下抜けており下目線。下値目処は日足かつ4H足20MA付近114.787。
  • 1H足: レンジ形成中。20MA付近まで上昇して反発、もしくは115.209下抜ければ、下値目処114.787。
    115.555上抜ければ上値目処116.085。
  • 15M足: ボリンジャーバンドスクイーズしながら三角持ち合い形成中。持ち合い上限抜ければ上値目処は1H足戻り高値115.330、その上は1H足20MA付近115.416。しかし日足,4H足,1H足下目線のため上値狙いにくい。
    三角持ち合い下抜けで下値目処114.787。

【シナリオ】
①ロング
(A)15M足三角持ち合い形成上抜けたらロング狙い。目標は1H足戻り高値115.330。
(B)1H足戻り高値115.330上抜けたらロング狙い。目標は1H足20MA付近115.416。

②ショート
(C)15M足三角持ち合いかつ1H足押し安値115.209下抜けでショート狙い。目標は日足と4H足20MA付近114.787。
(D)1H足20MA付近で反発あればショート狙い。目標は(C)と同じ。
(E)日足と4H足20MA付近114.787下抜けれでショート狙い。目標は日足ボリンジャーバンド-1σ付近114.128。

日足,4H足,1H足下目線のため、優先はショート狙い。但し、ロング(A),(B)後からショート(D)狙いもあり得る。

【考察】
優先はショート狙いでしたが、ギャップスタートからロング(A),(B)推移となりました。15M足20MAやトレンドライン反発からショート優先の考えを切り替えてロング狙ってみるべきでした。

ロングの上値目処は115.416でしたが、あっさり上抜けて週足実体上限115.555到達したことから、この辺りでレンジ形成するならショート狙いを考えても良かったです。

その後、115.416が1H足ネックラインとなり、このネックラインと、15M足高値切り下げてトレンドライン下抜けかつ200MA下抜けたことから、ショート(D)で推移しました。
15M足トレンドライン、200MAかつ20MAへの戻りは絶好の戻り売りショート狙えましたが、時間が米国指標やロンドンフィックスとバッティングしたために見送り。

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