ドル円トレードだけでなく、今後他通貨やコモディティー取引に向けて、幾つかの通貨の材料も少しづつまとめたいと思います。
今の時点では、集めた材料のほとんどはドル円動きの後付けとなっており、トレードに活かせていませんが、少なくとも世界の政治や経済等の勉強にもなると割り切って整理します。
ドル(USD)
ドル買い材料
- 金融政策
- 1/26 FOMC:政策金利据え置き、但し、金融引き締めに前向きな見解(3月テーパリング終了確定、3月利上げほぼ確実)。市場では3月0.5%利上げ観測や年内利上げ5回以上予想見られる。
- 日米金利差拡大:米国は金融引き締め、日本は金融緩和継続
- 政治、経済
- 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み
- エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇→利上げ観測前進
- 米国雇用統計(1/7):失業率(ほぼ完全雇用)と平均時給が良好
- 米企業決算総じて良好
- 米国GDP第4四半期(1/27):良好
- 要人発言
- パウエルFRB議長会見(1/26):「利上げとバランスシート縮小可能」「毎回のFOMC会合で、利上げする可能性を排除しない」「金利を引き上げる余地はかなりある」→タカ派発言
- パウエルFRB議長会見(1/26):「利上げとバランスシート縮小可能」「毎回のFOMC会合で、利上げする可能性を排除しない」「金利を引き上げる余地はかなりある」→タカ派発言
- 新型コロナ
- オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
- FDAワクチン諮問委員:オミクロン株のピークは2~3週間の見込み
- 地政学リスク
- ウクライナへロシア侵攻すれば米国制裁→ロシア産原油のドル建て決済不可→原油先物価格上昇→インフレ加速
ドル売り材料
- 政治、経済
- 米国貿易赤字が過去最大規模
- 世界経済が回復する中、欧州株、アジア新興市場株や債券、資源国通貨、金や銀に資産を移すべきとのマネーマネージャーが増えているとの報道(1/13, Bloomberg)
- 気候変動・社会保障関連歳出法案:マンチン上院議院反対で採決先送り
- 中国春節の7連休(1/31~2/6):中国国内での消費のためにドル保有投資家や企業がドルを人民元に両替。中国の経済規模は大きいたドル売り人民元買いの影響が大きいと推測。
- 雇用回復鈍化:米国新規失業保険申請件数が一時20万人下回ったものの増加傾向
- 新型コロナ
- オミクロン株の感染拡大や重症化リスクが払拭されていない→経済活動停滞や景気回復鈍化懸念
- オミクロン株はデルタ株より入院率は低いが医療システム逼迫懸念
- 米国内のワクチン接種率向上しない、マスクをしない人も多い→感染拡大で人員不足
- 地政学リスク
- 台湾情勢を巡る米中関係悪化
- ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
- ロシア、米国、NATOの協議不調。ロシアのウクライナ侵攻の懸念増大
- ロシア制裁でドル決済が使えなくなったら、ロシアはドル売り中国人民元買いの可能性
総じて、ドルは買い材料が優勢と推測します。
円(JPY)
円買い材料
- 金融政策
- 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリング
- 要人発言
- 岸田首相発言「新しい資本主義」:投資家軽視→リスクオフ株価下落
- 地政学リスク
- 台湾情勢を巡る米中関係
- ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化
- 北朝鮮の軍事行動:ミサイル発射は1月に6回
- IMM通貨先物
- 1/25時点、円ショート縮小(ネット-80,879→-68,273、前週比+12,606)
円売り材料
- 金融政策
- 2021.12.17 に引き続き、2022.1.18日銀金融政策決定会合で、政策金利-0.1%維持、金融緩和継続、必要なら追加緩和方針。
- 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い。
- 要人発言
- 日銀黒田総裁(1/18):「利上げや緩和的な政策変える必要ないし議論もない」
- 政治、経済
- 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
- 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
- 新型コロナ
- 日本国内での新型コロナ感染急拡大(1/28, 全国で新規感染者8万人超、4日連続過去最多)
- 日本政府 「まん延防止等重点措置」 13都県に1/21から適用。期間は1月21日から2月13日の約3週間。25日には8都府県追加予定。
- トヨタ、コロナ拡大で工場稼働停止を延長-減産規模は計6万5000台に(1/24, Bloomberg)
総じて、円は売り材料が優勢と推測します。 但し、突発的なリスクオフ円買いに注意が必要です。
ユーロ(EUR)
ユーロ買い材料
- 金融政策
- 2021年12月ECB理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を予定通り2022年3月終了と決定
- 政治、経済
- 欧ZEW, 独ZEW景況感指数1月度(1/19):2021年7月以来の強い数値でサプライズ→新型コロナからの回復期待
- 独生産者物価指数12月度(1/20):(前月比)前回・予想+0.8%、結果+5.0%と、予想から大きく上振れ→インフレ懸念
- 独非製造業・製造業PMI 1月度(1/24):前回かつ予想より強い数値→リスクセンチメント改善。非製造業で景気判断基準50を上回ったことは大きい。
- 欧製造業PMI 1月度(1/24):前回かつ予想より強い数値→リスクセンチメント改善
- 独Ifo景況感指数 1月月度(1/25):前回かつ予想より強い数値
- 要人発言
- ビルロワドガロー仏中銀総裁(1/19):「仏経済の成長は順調だが、インフレは高すぎる」→利上げ期待
- 新型コロナ
- WHO欧州地域事務局長:新型コロナのパンデミックは欧州での終わりが近い考え。集団免疫達成でリスク度合い低下の可能性。アイルランドやフランスの一部規制緩和。
- IMM通貨先物
- 1/25時点、ユーロロング拡大(ネット+24.584→+31,560、前週比+6,976)
ユーロ売り材料
- 金融政策
- 欧米金利差拡大:米国は金融引き締め、欧州は金融緩和継続
- 政治、経済
- 英国とEUの北アイルランド議定書議論難航
- ドイツエネルギー当局:ノルドストリーム2(独露間をつないだ天然ガスパイプライン)稼働前の認証プロセス停止→天然ガス価格高騰→ユーロ圏景況悪化懸念
- 要人発言
- デコス・スペイン中銀総裁(1/20):「2022年にECBの利上げは予想しない」
- ラガルドECB総裁(1/20):「ユーロ圏のインフレが2022年中に安定し鈍化していく」見通し
- 新型コロナ
- オミクロン株感染拡大→経済活動停滞、景気回復鈍化
- 地政学リスク
- ウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化:ロシアとNATOが協議を重ねたが妥協点に到達できず。ロシアのウクライナ侵攻の懸念、ロシアの天然ガス供給抑制懸念
総じて、ウクライナ情勢が更に悪化すればユーロ売り優勢、そうでなければユーロ買い優勢と推測します。
ポンド(GBP)
ポンド買い材料
- 金融政策
- 英中銀(BOE)会合(2/3):市場では0.25%追加利上げ織り込み済み。しかし、市場予想に反して2021年11月利上げ見送り、12月利上げ決定がなされており、サプライズに要警戒。
- 政治、経済
- 英国雇用者数12月度:過去最大の伸び
- 英国ILO失業率11月度:2020年6月以来の低水準
- 英国消費者物価指数・生産者物価指数・小売物価指数12月度:総合的に高い数値。消費者物価指数前年比は30年ぶりの高水準→早期追加利上げ前進
- 要人発言
- ベイリーBOE総裁(1/19):「インフレ見通し悪化」「賃金上昇圧力懸念」→追加利上げ期待
- マン金融政策委員会(MPC):インフレ長期化懸念、追加利上げ支持
- 新型コロナ
- 英政府は新型コロナ感染のピーク過ぎたと判断し、コロナ制限措置を解除
ポンド売り材料
- 金融政策
- BOE会合(2/3):市場では0.25%追加利上げ織り込み済み。Sell the factあり得る。
- 政治、経済
- 北アイルランド議定書の効力停止懸念
- ロックダウン下でのパーティー開催でジョンソン英首相への辞任要求が高まっている→仮に辞任すれば政情不安
- 英国小売売上高12月度:サプライズの弱い数値
- 英国非製造業・製造業PMI 1月度(1/24):前回かつ予想より弱い数値→リスクセンチメント悪化
- 要人発言
- ベイリーBOE総裁(1/19):「インフレのいくつかの側面は一時的なもの」→利上げ期待後退
- IMM通貨先物
- 1/25時点、ショート大幅拡大(ネット-247→-7,763、前週比-7,516):2/3英中銀政策金利利上げ見込みに対する織り込みでショート縮小かと考えていましたが逆の動き。1/25以降に織り込み買いを入れたのか、英中銀利上げ見送りの可能性があるのか。
総じて、ポンドは買い材料が優勢と推測します。
豪ドル(AUD)
豪ドル買い材料
- 金融政策
- オーストラリア準備銀行政策決定会合(2/1):債券購入プログラム終了予想優勢、利上げ前倒し予想増加
- 政治、経済
- 豪雇用統計12月度(1/20):雇用者数と失業率改善→豪州大手金融機関は利上げ予想を前倒し
- 豪消費者物価指数 第4四半期(1/24):良好な結果
- 中国人民銀行が最優遇貸出金利(ローンプライムレート)引き下げ→中国経済回復期待→中国経済の影響を大きく受ける豪州経済回復
- 要人発言
- モリソン豪首相(1/10):ゼロコロナ政策を止めてロックダウンせずに経済活動回復優先
- IMM通貨先物
- 1/25時点、ショート縮小(ネット-88,454→-83,273、前週比+5,181)
- 投機筋のネットショート高水準:ポジションが偏り過ぎた場合、巻き戻しが始まると豪ドル買いが加速する危険性あり。
豪ドル売り材料
- 政治、経済
- 米国株下落でリスクオフの影響受けやすい
- 新型コロナ
- 中国が新型コロナ感染拡大抑制のために、春節休暇(1/31~2/6、7連休)中、北京市民に移動を控えるよう呼びかけ→中国消費減速、景気悪化→中国への輸出依存度が高い豪州景気悪化懸念
総じて、豪ドルは買い材料が優勢と推測します。
カナダドル(CAD)
カナダドル買い材料
- 金融政策
- カナダ中銀(BOC)政策会合(1/26):政策金利0.25%据え置いたものの、「貸出金利の引き上げは行わない」文言削除→今後の金融引き締め示唆。3月会合での0.50%利上げ織り込み、年内5回利上げ予想
- 政治、経済
- 冬季の原油供給逼迫→原油先物WTIは約7年ぶり高水準→原油先物堅調
- OPEC+の閣僚級会合で小幅増産方針維持で合意
- カナダ消費者物価指数12月度(1/19):前年比4.8%。30年ぶり高水準、9か月連続でBOCのインフレ目標(1~3%)を超えている。BOCが景気を判断するCPIコロン+2.1%で2012年以来の高い数値
- BOC調査公表(1/17):国内企業が人材不足感や賃金圧力上昇の見方。需要増とサプライチェーン停滞が原因
- 要人発言
- マックレムBOC総裁(1/26):「インフレ抑制のため、金利を引き上げる必要がある」「金利上昇を明確に示したい」「BOCはオミクロンの影響を考慮して金利を据え置いた」→今後の早期利上げ示唆
- 新型コロナ
- オミクロン株重症化リスク低い→景気回復に伴るエネルギー需要増→原油相場堅調な動き→産油国通貨下支え。
- IMM通貨先物
- 1/25時点、ロング拡大(ネット+7,492→+12,317、前週比+4,825):利上げ期待影響か
カナダドル売り材料
- 金融政策
- BOC政策金利0.25%据え置き(1/26):市場で利上げ織り込んでいたため期待外れ
総じて、カナダドルは買い材料優勢と推測します。
中国人民元(CNH)
中国人民元買い材料
- 政治、経済
- 中国春節の7連休(1/31~2/6):中国国内での消費のためにドル保有投資家や企業がドルを人民元に変えたい。中国の経済規模は大きいたドル売り人民元買いの影響が大きいと推測。
- 地政学リスク
- ウクライナへロシア侵攻すれば米国制裁→ロシア産原油のドル建て決済不可→ロシアがドル売り、友好的国の中国人民元買いに向かう可能性
中国人民元売り材料
- 金融政策
- 中国人民銀行が最優遇貸出金利(ローンプライムレート)引き下げ
- 政治、経済
- 中国実質GDP第4四半期、小売売上高12月度鈍化
総じて、中国人民元は買い材料優勢と推測します。
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