ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
注目材料
1. ウクライナ情勢緊迫化
ウクライナとロシアの交渉に急展開なく、ロシアが新たな軍隊派遣との報道からリスクオフ。
「リスクオフ→ドル買い→ドル円上昇」になりやすいですが、強いサプライズの報道や要人発言なければドル円への影響は小さいと考えます。
2.円売り加速
①日本の金融緩和継続(日銀指し値オペ通告)、②安全資産としての円魅力低下、③日本の経済成長率低下、④日本の貿易収支悪化(特にエネルギーや食料価格高騰)が円売り要因。
①~④のいずれも改善が見えないことから、円売りが続く可能性が高い。円売り勢の決済で円買いが入っても一時的になると考えます。
一方、125円台は黒田日銀総裁が2015年6月に懸念を示した「黒田ライン」と呼ばれており125.000が強いレジスタンスとして意識されると考えます。
また、円安牽制の要人発言も出てきており、一時的に急な円買いに注意が必要。
3.米国経済指標
米国のインフレターゲットとなっているPCEデフレータが発表予定。前回かつ予想より強い数値が出ればドル買いドル円上昇、サプライズの弱い数値が出ればドル売りドル円下落を想定します。
マーケットの動き
東京マーケット前
6:00 取引開始
・ドル円: 121.817 (前営業日終値 121.821 と同等スタート)
東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円: 122.021
・日経平均株価: 27809.97 (前日営業日終値 28027.18 )
・TOPIX 1952.96 (前日営業日終値 1967.60 )
株価指数ギャップダウンスタートから直ぐ上昇。
「日経平均株価上昇→円売り」、ドル売り、強さ「ドル>円」でドル円上昇。
9:55 月末仲値
・ドル円: 122.382
仲値直前に122.439から121.917まで急落し、仲値に向けて122.454までV字戻し。この時、ドルはやや下落でしたが、円のみが急な上下に振られており、円に何かの操作が入った様子。
仲値通過後に再び下落の流れ。
14:57 要人発言
岸田首相
「為替の安定は重要、急速な変動は望ましくない」
【考察】円安牽制発言で「日経平均株価下落→円買い」。「米国債利回り2年,10年下落→ドル売り」でしたが、強さ「円>>ドル」なりドル円急落。
15:00 クローズ
・ドル円: 122.056
・米国債2年利回り: 2.310 %
・米国債10年利回り: 2.349 %
・日経平均株価: 27821.36 (前営業日比 -205.82 、 -0.73 %)
・TOPIX 1946.40 (前営業日比 -21.20 、 -1.08 %)
欧州マーケット(17:00~25:30)
17:00 オープン
・ドル円: 121.640
・米国債2年利回り: 2.290 %
・米国債10年利回り: 2.322 %
17:08 報道
日銀、4-6月期の国債買い入れ増額発表
日銀4-6月国債買い入れ予定、中長期の増額と超長期の回数増加(Bloomberg)
【考察】強い円売り材料。加えて「米国債2年,10年利回り→ドル買い」でドル円急騰。
19:25 要人発言
イタリア・ドラギ首相
「プーチン大統領はゼレンスキー大統領との会談は時期尚早だと言った」
「プーチン大統領は停戦の条件が満たされていないと言った」
【考察】リスクオフ後退。サプライズではないものの、リスクオフドル買い円買い、強さ「円>ドル」でドル円下落。
21:09 要人発言
OPECプラス
「5月生産は日量43.2万バレル引き上げで合意」
「現行維持で合意」
「次回会合は5月5日」
OPECプラス、5月生産は予想通りの引き上げ幅で合意-代表(Bloomberg)
【考察】増産枠拡大なくドル買い円売り材料。サプライズではありませんでしたがドル円上昇。
21:30 経済指標
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
米国PCEデフレータ2月度
前年比:前回6.1%、予想6.4%、結果6.4%(○)
前月比:前回0.5%、予想0.4%、結果0.4%(○)
コア前年比:前回5.2%、予想5.5%、結果5.4%(△)
米PCE価格指数、2月は前年比6.4%上昇 伸びさらに加速(Reuters)
米国新規失業保険申請件数:前回18.7万件、予想19.6万件、結果20.2万件(✕)
米国失業保険継続申請件数:前回135.0万件、予想135.0万件、結果130.7万件(◎)
米新規失業保険申請件数、予想上回る増加-低水準は維持(Bloomberg)
米国個人所得2月度:前回0.0%、予想0.5%、結果0.5%(○)
米国個人支出2月度:前回2.1%、予想0.5%、結果0.2%(✕)
米個人消費支出、インフレ調整後ベースで減少-物価高が需要抑制(Bloomberg)
【考察】インフレターゲットとなっているPCEデフレータが総じて予想通りで、その他もサプライズなかったためか、ドル円方向性なしの反応。
NYマーケット(22:30~29:00)
22:30 オープン
・ドル円: 121.703
・米国債2年利回り: 2.314 %
・米国債10年利回り: 2.338 %
・ダウ平均: 35201.52 (前営業日終値 35228.8 )
・S&P500: 4599.02 (前営業日終値 4602.46 )
・ナスダック: 14444.78 (前営業日終値 14442.28 )
ダウ平均とS&P500はギャップダウン、ナスダックはギャップアップスタート。
22:45 経済指標
米国シカゴ購買部協会景気指数(PMI)3月度:基準50、前回56.3、予想57.0、結果62.9(◎)
【考察】サプライズの強い数値でしたが、「米国主要3指数軟調スタート→円買い」の影響が強かったためかドル円下落継続。
25:00 ロンドンフィックス
・ドル円:121.594
25:30 欧州クローズ
・ドル円: 121.649
・米国債2年利回り: 2.304 %
・米国債10年利回り: 2.331 %
29:00 NYクローズ
・ドル円: 121.722
・米国債2年利回り: 2.320 %
・米国債10年利回り: 2.331 %
・ダウ平均: 34678.36 (前営業日比 -550.46 、 -1.56 %)
・S&P500: 4530.42 (前営業日比 -72.04 、 -1.57 %)
・ナスダック: 14220.53 (前営業日比 -221.75 、 -1.54 %)
引け間際に米国主要3指数急落。日本株も下落引継ぎスタートしそう。
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
NYマーケットクローズ時点の通貨強弱
- JPY(リスクオフ通貨):前日1位
- GBP(リスクオン通貨):前日5位
- USD(基軸通貨):前日8位
- CHF(リスクオフ通貨):前日2位
- CAD(資源国リスクオン通貨):前日6位
- AUD(資源国リスクオン通貨):前日7位
- NZD(資源国リスクオン通貨):前日4位
- EUR(リスクオン通貨):前日3位
【考察】
売られ続けていたJPYが要人の円高牽制もあったためか連日買戻し。
OPECプラスで増産拡大なくCAD買い。
ロシア・プーチン大統領が非友好国に対して4月以降の天然ガス代金をルーブルで支払うよう命じたことで欧州経済悪化懸念からEUR売りになったよう。
米国債イールドカーブ
3/31(木)は3/30(水)に対して、ブル(短期金利低下、長期金利低下、長短金利差同等)。
3年~10年利回りの逆イールド継続。
*債券ブル:「安全資産債券買い→債券利回り低下」、「リスク資産売り(株式等)→安全資産債券買い」、景気後退
テクニカル分析
ドル円チャート
- 月足: ボリンジャーバンドエクスパンションし上昇トレンド。
- 週足: ボリンジャーバンドエクスパンションし上昇トレンド。
- 日足: トレンドライン下抜けし上昇トレンド終了。ボリンジャーバンドBB+1σで反発。
- 4H足:ボリンジャーバンドスクイーズしレンジ。下降チャネル形成。
- 1H足: ボリンジャーバンドスクイーズしレンジ。下降チャネル形成。
- 15M足:ボリンジャーバンドスクイーズしレンジ。
【シナリオ】
①ロング
(A)下降チャネル、4H・1H足ヒゲ先122.230上抜け→レジサポ→目標4H足戻り高値実体122.820。オーバーシュートで4H足戻り高値ヒゲ先123.156。
(B)4H足ヒゲ先123.156上抜け→レジサポ→目標4H足戻り高値実体123.707
②ショート
(C)4H足押し安値実体121.448下抜け→下降チャネル上限付近反発・レジサポ→目標4H押し安値実体120.705。
円安材料が多いためロング優先ですが、円安牽制の円買い要注意。
また、ウクライナ情勢リスクオフや米国債利回り逆イールド化が原因と考えられるドル売りが生じています。
よって、円買いドル売りが重なって大きなドル円下落もあり得る推測します。
【考察】
122.230レジサポなくロング見送り。その後、121.448~122.230レンジ推移でエントリー困難と判断。
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