2022年1月19日(水)ドル円初心者戦略と結果

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

注目材料

1.国内コロナ感染初の3万人超え
日本政府 「まん延防止等重点措置」 13都県を本日決定予定。期間は1月21日から2月13日の約3週間。
「日経平均株価→強い円買い→ドル円下落」となる可能性があります。

2米利上げ
3月FOMCで0.25%の利上げ予想が現在のコンセンサスですが、1/161/18のBloomberg報道で0.50%利上げが必要との主張も出てきました。3月0.50%利上げが実施されればサプライズとなり、リスクオフ円買いが強くなり、ドル円急落の可能性があると考えます。

現在、「米利上げ期待→米長短金利上昇→ドル買い」だけでなく、利上げ警戒で「日米先物、株価指数下落→円買い」、つまり「ドル買い円買い」が同時に発生することが多いです。

前日NYマーケットもレンジ相場でしたが、本日もドル円の方向性が分かりにくい状況が続きそうです。よって、様子見で終える日になりそうです。


3.ホワイトハウスから「ロシアはいつでもウクライナを攻撃する可能性がある」「非常に危険な状況」との報道がありました。突発的な報道で、「地政学リスク→強い円買い→ドル円下落」に要注意です。


4.米国主要企業決算発表
インフレや供給制約が意識される中でも、米国企業の業績良好であれば日本株の支援材料になると期待されます。
前日のNYマーケット前に発表されたゴールドマン・サックス決算結果が不調だったことが、ダウ平均のギャップダウンスタートの一因と考えられます。本日も決算結果と米株価の動きに注意が必要です。

マーケットの動き

東京マーケット前

7:00 取引開始時間
・ドル円始値:114.592
・ドルインデックス:95.742
・米国債利回り: 2年1.069%、10年1.879%

7:27 報道(Bloomberg)
イラクとトルコ結ぶ重要パイプラインが停止、爆発

地政学リスク→円買い
原油先物価格上昇→インフレ懸念→米利上げ期待加速→ドル買い

東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 オープン
・ドル円:114.555。「日米金利差拡大→強いドル買い」
・米国債利回り: 2年1.053%、10年1.886%
・ダウ先物:35242
・日経平均株価:ギャップダウンスタート。下記①~③が原因と考えます。
①1/18 報道「トヨタ 今年度生産計画 “900万台規模”の水準下回る見込み」の影響で日本の製造業への打撃が大きいことが懸念されたリスクオフ
②「地政学リスクのウクライナ情勢→原油先物85ドル台→インフレ懸念→米国債2年と10年利回り上昇→株先物(ダウ、日経)下落」もあったともいます。
③国内コロナ感染初の3万人超え

しかしながら「株価指数下落→円買いでなく円売りの反応」。「地政学リスク→円買い」と「日本のコロナ感染拡大、まん延防止等重点措置→円売り」が競合して、この時点では円売りが強かった様子です。

15:00 クローズ
・ドル円:114.253
・ドルインデックス:95.663
・米国債: 2年利回り1.065%、10年利回り1.879%
・日経平均株価:27467.23円(前日比-790.02)
・日経先物:27435。15M足下降トレンド中。
・ダウ先物:35077。

欧州マーケット(17:00~1:30)

17:00 オープン
・ドル円:114.253
・ドルインデックス:95.713
・米国債利回り: 2年1.065%、10年1.879%
・日経先物:27515
・ダウ先物:35063

21:00 経済指標
米国MBA住宅ローン申請指数(1/8~1/14)

前回1.4、結果2.3%
【見通し】
前回は1か月ぶりのプラス値。注目度が高い指標ではないため今回も確認のみ。

【考察】
2021年10月以来の強い数値。


22:30 経済指標
米国住宅着工件数 12月度:前回167.9万件、予想165.0万件、結果170.2万件(◎)
米国住宅建築許可件数12月度:前回171.2万件、予想170.0万件、結果187.3万件(◎)


【見通し】
「住宅購入→家具・家電などの消費財購入→個人消費増」への効果が大きいことから注目されます。
11月度は8カ月ぶり高水準でした。12月度予想は前回より低いですが、160万件オーバーは共に高い水準。ドル円が大きく動くとは考えにくいため確認のみ。

【考察】
サプライズの強い数値。
「インフレ懸念増→米利上げ織り込み加速→米国債2年と10年利回り上昇→ドル買い」、「米利上げ織り込み警戒→先物(ダウ、日経)下落→円買い」、通貨強弱「円>ドル」、ドル買い円買い交錯でドル円方向性判りにくい。

21:45 米国2021年度第4四半期決算発表
【見通し】
「米企業決算良好→ダウ先物上昇→円売りドル買い」と「米国債2年,10年利回り上昇→ドル買い」→ドル買い円買い→ドル円上昇。NYオープンから米国株価指数の上昇期待あり

バンクオブアメリカ
売上:予想222.0億ドル、結果221.7億ドル(✕)
EPS:予想0.76ドル、結果0.82ドル(〇)

モルガンスタンレー
売上:予想146.0億ドル、結果145.2億ドル(✕)
EPS:予想1.91ドル、結果2.01ドル(〇)

ゴールドマンサックス
売上:予想120.8億ドル、結果126.4億ドル(〇)
EPS:予想11.76ドル、結果10.81ドル(✕)

P&G
売上:予想20.34億ドル、結果21.0億ドル(〇)
EPS:予想1.65ドル、結果1.66ドル(〇)

NYマーケット(23:30~6:00)

【見通し】
1/25~26のFOMCを控えてFRB当局者が金融政策についての発言を禁じられるブラックアウト期間に入り金融引き締めが警戒されるような材料は出にくくなる見込みです。
しかし、FOMCに向けての米利上げ織り込みで「米国債利回り上昇→ドル買い」と「米株価指数下落→円買い」が考えられます。ドル買い円買いとなればドル円の方向性が定めにくいため様子見します。

23:30 オープン
・ドル円:114.153
・ドルインデックス:95.557
・米国債利回り: 2年1.031%、10年1.857%
・原油先物WTI:85.62
・日経先物:27845
・ダウ先物:35063
・ダウ平均:35440.56
・S&P500:4593.06
・ナスダック:14582.22
米主要3指数全てギャップアップスタート。NY寄り前の米国企業決算が良かったため。

「米主要3指数良好→しかしリスクオンドル買いならず。
「米国債利回り2年,10年下落→ドル売り」

0:00 米主要3指数急落、株先物(ダウ、日経)急落、ゴールド急騰、円買い、ドル買い、ドル円下落
新規材料が出てきた訳ではありませんが、地政学リスク(ウクライナ情勢の緊張高まる)で安全資産のゴールド買いになったかも知れません。

3:00 経済指標
米国20年債入札

【見通し】
入札良好なら米国債利回り低下、入札不調なら米国債利回り上昇です。
1/11米国債3年債入札は好調、1/12米国債10年入札は不調、1/13米国30年債入札不調となっており、長期債入札は不調の傾向があります。

【考察】
予想に反して米国債20年入札は好調。20年債利回りだけでなく30年と10年債利回りも低下しましたが、2年債利回り上昇しました。逆イールドの動き。ドル円はやや下落した程度でした。

6:00 クローズ
・ドル円:114.286
・ドルインデックス:95.571
・米国債利回り: 2年1.039%、10年1.850%(クローズ直前に急落)
・原油先物WTI:85.41
・日経先物:27605
・ダウ先物:34912
・ダウ平均:35028.65(前日比-339.82)
・S&P500:14340.25(前日比-166.64)
・ナスダック:4532.76(前日比-44.35)
「米国債利回り2年,10年クローズ直前に急騰→米国主要3指数と先物(日経、ダウ)急落」

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

米国債イールドカーブ

材料まとめ

ドル買い材料

  • 金融政策
    • 政策金利:2021.12.15 FOMCで2022年末までに0.25%ずつ3回利上げ方針
    • 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→織り込み増加
  • 経済
    • 暖房用と米経済回復による原油需要拡大→需要ひっ迫警戒感→原油価格上昇→インフレ高進懸念→米利上げ織り込み→米国債金利上昇
    • 米国債利回り急上昇、22年最初の取引-早期利上げ観測強まるとの見方(1/4, Bloomberg)
    • 米国インフレが一時的(transitory)でなく持続的:エネルギー需要増&供給不足、労働賃金上昇→利上げ観測前進
    • 米国ADP雇用者数が強い数値(1/5)→米国雇用統計(1/7)期待感で織り込み増加
    • 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念
  • 要人発言
    • 米国金融当局者の相次ぐタカ派発言。一般的にはドル買い材料のはずですが、最近はドル売りで反応することも多く、材料としての判断が難しい。
  • 新型コロナ
    • オミクロン株はデルタ株に比べて重症化事例が少ない→経済活動回復期待
    • ワクチンや経口薬開発が進んでいる→経済活動回復期待
    • FDAワクチン諮問委員:オミクロン株のピークは2~3週間の見込み

ドル売り材料

  • 政治、経済
    • 米国貿易赤字が過去最大規模
    • 米国雇用統計(1/7):非農業部門雇用者数が大幅減
    • 米国小売売上高(1/14):サプライズの弱い数値。米国GDP悪化の懸念大。
    • 世界経済が回復する中、欧州株、アジア新興市場株や債券、資源国通貨、金や銀に資産を移すべきとのマネーマネージャーが増えているとの報道(1/13, Bloomberg)
  • 新型コロナ
    • オミクロン株の感染拡大や重症化リスクが払拭されていない→経済活動停滞や景気回復鈍化懸念→利上げ時期後退の可能性
    • オミクロン株はデルタ株より入院率は低いが医療システム逼迫懸念
    • 米国内のワクチン接種率向上しない、マスクをしない人も多い→感染拡大で人員不足
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化:ロシアとNATOが協議を重ねたが妥協点に到達できず

円買い材料

  • 金融政策
    • 日銀、量的緩和じわり修正 国債保有残高13年ぶり減少(1/5, 日経新聞):弱いながらも実質的なテーパリングとも考えられます。
    • 米国FOMC議事要旨公表(1/5)→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小示唆→株価下落→リスクオフ
    • 米国雇用統計(1/7):失業率と平均時給が良好→インフレ懸念→3月利上げ開始の可能性とバランスシート縮小の前進→株価下落→リスクオフ
    • パウエル米FRB議長再任指名承認公聴会(1/11):インフレ対策として利上げとバランスシート縮小について言及あり。発言後は「警戒したほどタカ派的な内容ではなかった」ことでドル売りとなりましたが、本質的にはドル買い材料と考えます。
  • 要人発言
    • 山際経済再生大臣「新しい資本主義は株価を意識しません」(1/13, プライムニュース)
  • 新型コロナ
    • 世界中で新型コロナのオミクロン株感染拡大:英国やドイツでもロックダウンが実施されるようなら株価下落でリスクオフ円買いあり得る。
  • 地政学リスク
    • 台湾情勢を巡る米中関係やウクライナ情勢を巡る露・欧米関係の緊迫化。1/18 ホワイトハウス「ロシアはいつでもウクライナを攻撃する可能性がある」「非常に危険な状況」
    • 北朝鮮の軍事行動:ミサイル発射は1月に4回

円売り材料

  • 金融政策
    • 2021.12.17 に引き続き、2022.1.18日銀金融政策決定会合で、政策金利-0.1%維持、金融緩和継続、必要なら追加緩和方針。
    • 日本以外でテーパリングや利上げ実施する国が増加→円を売って海外通貨買って利回りが良い海外国債などに投資した方が良い。
  • 要人発言
    • 2021.12.17 日銀金融政策決定会合で、黒田総裁が円安容認発言→発言直後、円売りが強まりドル円上昇となった。
    • 2022.1.18 日銀金融政策決定会合で、黒田総裁「利上げや緩和的な政策変える必要ないし議論もない」
  • 経済
    • 原油など資源価格高騰→輸入物価上昇→資源輸入への支払い増→日本の経常収支悪化
  • 新型コロナ
    • 日本国内での新型コロナ感染急拡大(1/19, 全国で初の4万人超感染)
    • 日本政府 「まん延防止等重点措置」 16都県に拡大。期間は1月21日から2月13日の約3週間。
  • IMM通貨先物
    • 1/11時点、円ショートポジション拡大

テクニカル分析

ドル円チャート

  • 月足: トレンドラインで反発し上昇トレンド継続中。直近4カ月で見れば綺麗なダウ形成中。下値目処は月足押し安値113.051。上値目処は2017年1月の118円台前半。
  • 週足: トレンドラインで反発かつレジサポライン114.212で踏み留まっており、今週は上昇スタート。上値目処は115.534。下値目処は押し安値112.774。
  • 日足: 下降トレンド中であり、トレンドライン上抜けまで下目線。トレンドラインと日足20MAから反発して上ヒゲ長い十字線形成しており、本日は下落圧力強い。下値目処114.128。
  • 4H足: レンジ推移。日足トレンドラインで反発しており、4H足押し安値114.466抜ければ下値目処114.128。トレンドライン抜け、かつ115.092やラウンドナンバー115.000上抜けで上値目処は日足戻り高値115.274
  • 1H足: レンジ推移。上値はMAなど抵抗多いですが114.620抜けてレジサポすれば、上値目処は200MA付近114.969。押し安値114.466抜ければ下値目処114.128。
  • 15M足: レンジ推移。ボリンジャーバンドがスクイーズしながら三角持ち合い形成。ブレイクアウト待ち。

【シナリオ】4H足以下がレンジですのでブレイクアウト待ち。
(A)4H足トレンドライン、かつ115.092やラウンドナンバー115.000上抜けでロング狙い。上値目処は日足戻り高値115.274。

(B) 4H足押し安値114.466抜ければショート狙い。下値目処114.128。


【考察】
シナリオ(B)の 4H足押し安値114.466抜けとなりましたが、下値目処114.128に届かず114.206で反発しました。エントリーしていれば、この反発上昇でストップロスでした。改めて見れば、1H足114.233がレジサポが意識されていました。

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