ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日本毎月勤労統計(特に実質賃金)
・日本10年国債入札
・米国貿易収支
・米国アトランタ連銀GDP Now
・米国3年債入札
2.要人発言
・政府、日銀
・FRB
3.その他
・米国主要企業決算
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
4.参考情報
来週の円相場は上昇か、米景気後退懸念でリスク回避の流れ継続も(Bloomberg)
【債券週間展望】長期金利上昇か、賃上げ確認し追加利上げ織り込みへ(Bloomberg)
【日本株週間展望】日本株は上昇へ、大幅安から一服し個別選別が進む(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)8/5(月)マーケット影響
東京マーケットは、7/31(水)植田日銀総裁の追加利上げ示唆タカ派発言の影響と8/2(金)米国雇用統計(サプライズ弱)を引き継いで、パニックの日本株暴落、欧米株急落(円キャリー巻き戻し)主導で約5.0円暴落(日足高値-日足安値=146.65-141.69=4.96)。
しかし、米国ISM非製造業景気指数(景気強、雇用強、インフレ強)を受けると、市場のセンチメントが回復し一気に144.90へと急騰しました。
本日は注目度の高い経済指標が予定されていませんが、前日の材料交錯し約5.0円幅のレンジ内を乱高下しやすいと想定します。
(2)中東地政学リスクオフ
7/30以降、急激に中東情勢が悪化し、週末の報道からも全面戦争が勃発するリスクが一気に高まりました*
*米国防総省、中東に艦船や戦闘機派遣へ-イスラエルにイランの脅威(Bloomberg)
イランの報復攻撃に備えるイスラエル、米国はガザ停戦合意を迫る(Bloomberg)
下記のドル・円材料が想定されますが、市場織り込みが完了までは、ドル買い・円買いが交錯してドル円も乱高下しやすいと考えます。
(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→ドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇(円キャリー促進)→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
6:12~要人発言
米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:6/24, 6/28, 7/11, 7/16, 7/19)
:政策スタンスは中立。前回7/19ハト、タカ派発言。
SF連銀総裁、労働市場の軟化確認-過度に減速させるわけにいかない(Bloomberg)
【考察】市場が景気後退懸念と見ている中でも追加データ必要とするタカ派発言
8:30 経済指標
日本毎月勤労統計(厚生労働省)
現金給与総額:前回1.9%(改定2.0)、予想2.1%、結果4.5%(◎)
実質賃金:前回-1.3%、予想-0.9%、結果1.1%(◎)
6月の実質賃金1.1%増、2年3カ月ぶり増加 夏の賞与伸び(日本経済新聞)
【考察】実質賃金は27カ月ぶりにプラス転換
東京マーケット(9:00~15:00)
12:20 報道
日銀・財務省・金融庁、午後3時から三者会談開催
【考察】日本株暴落を受けて日銀追加利上げ観測火消しの期待からドル円上昇
12:35 経済指標
日本10年国債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆6000億円程度
最高落札利回り:前回1.093%、結果0.981%(◎)
応札倍率:前回3.23倍、結果2.98倍(×)
テール:前回2銭、結果50銭(×)
【考察】入札不調
15:32~要人発言
三村財務官
政府・日銀が緊密な連携を確認、市場の乱高下受け三者会合を開催(Bloomberg)
【考察】期待された日銀追加利上げ観測の火消しなく、失望からドル円下落。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
18:26 報道
ヒズボラ、イスラエル北西部でドローン攻撃-複数の民間人が負傷(Bloomberg)
【考察】中東地政学リスクオフ
19:34 米国主要企業決算
キャタピラー
売上高:前回170.7億ドル、予想167.6億ドル、結果167.0億ドル(×)
EPS:前回5.60ドル、予想5.14ドル、結果5.99ドル(◎)
キャタピラー、通期利益は従来予想上回る見通し-4~6月は堅調(Bloomberg)
21:30 経済指標
米国貿易収支
前回-751億ドル(改定-750)、予想-726億ドル、結果-731億ドル(△)
24:00 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com)
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 8/1, 8/6, 8/8, 8/15, 8/16, 8/26, 8/30)
Q2:前回2.5%、予想2.5%、結果2.9%(◎)
26:00 経済指標
米国3年債入札(Upcoming Auctions)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
発行額(Offering Amount):580億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.399%、結果3.810%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.67倍、結果2.55倍(×)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回63.97%、結果64.4%(◎)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回+0.8bps、結果-0.8bps(◎)。3.810-3.812=-0.080
WI:3.812%
【考察】入札好調。ドル円下落。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値144.20
取引開始直後から、割安ドル調達需要(日本実需、新NISA等の米国投資目的)、8/5米国ISM非製造業景気指数(サプライズ強)、米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁のタカ派発言、8/5歴史的日本株暴落から日銀追加利上げ後退を受けて、日足高値146.38へ急上昇。
しかし、東京オープン直後、日本実質賃金(強)からの日銀追加利上げ観測、前日の日本株暴落継続を見込んだ株売り(円キャリー巻き戻し)が入ると、8/2日足安値146.42や1H足戻り高値146.50付近から戻り売りに押されて東京安値144.31へ急落。
一方、日本株暴落を受けた割安需要も強く株上昇(円キャリー促進)、更に日銀・財務省・金融庁の三者会談開催予定報道で日銀追加利上げ観測火消しへの期待からドル円再上昇して引けました。
東京終値145.87
東京クローズ後、三者会談後の三村財務官からは日銀追加利上げ観測の火消しなく失望から、日経平均先物下落(円キャリー巻き戻し)に連れてドル円下落。
【日本市況】日経平均上げ幅最大、米景気不安薄れリスク回避巻き戻し(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン後も、日銀・財務省・金融庁三者会談の影響や、緊張高まる中東地政学リスクオフの安全資産米国債買い・ドル買い、欧州株下落(円キャリー巻き戻し)に連れてドル円下落。
NYマーケットオープン直後には切番直前144.05まで下落すると、8/5(月)同様に米国ISM非製造業景気指数(サプライズ強)を好感した米国株上昇(円キャリー促進)と安全資産米国債需要減(利回り上昇)、更に米国3年債入札(強)が交錯し揉み合い上昇で引けました。
日足終値144.33(日足高値146.38-日足安値143.63=2.75)
総じて、日銀追加利上げ観測後退・再燃、米国景気減速懸念後退、米国3年債入札(強)、中東地政学リスクオフにより、ドル円乱高下となりました。
【米国市況】株反発、「売られ過ぎ」で押し目買い-ドル144円台前半(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル買い優勢>
買い材料:
・割安ドル調達需要(日本実需、新NISA等の米国投資目的)
・8/5米国ISM非製造業景気指数(サプライズ強)影響
・米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁のタカ派発言
・中東地政学リスクオフ→安全資産ドル買い
売り材料:
・米国3年債入札(強)
<円売り優勢>
買い材料:
・日本実質賃金(強)→日銀追加利上げ観測
・日本10年国債入札(弱)
・日銀、財務省、金融庁三者会談→日銀追加利上げ観測火消しなし
・中東地政学リスクオフ→株下落(円キャリー巻き戻し)
売り材料:
・8/5歴史的日本株暴落反動→割安日本株需要(円キャリー促進)、日銀追加利上げ後退観測
・8/5米国ISM非製造業景気指数(サプライズ強)→米国景気悪化懸念後退→日本株上昇(円キャリー促進)
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)回復→日本企業業績改善期待
・恒常的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増[特に夏ボーナス買い]、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回9月18日公表:25bps引き下げ15.5→29.5%、50bps引き下げ84.5→70.5%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:8月陰線形成中。上昇トレンドからレンジ移行中。
- 週足:8/5週、陰線形成中。レンジ。
- 日足:8/5下長ヒゲ陰線。下降トレンド。
- 4H足:下降トレンド。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:上昇トレンド。
【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値144.189をダウ上昇→目標日足高値144.909
(B)1H足レンジ安値142.233付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ高値143.461
②Short
(C)日足高値144.909付近へ上昇→転換下落→目標1H足レンジ高値144.189
(D)1H足レンジ安値143.461かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足レンジ安値142.233
8月通算:4勝1敗、勝率80.0%、+146.7pips
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