2024年8月20日(火)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日本20年国債入札
・カナダ消費者物価指数(CPI):6/25はドル円波及あり、7/16は米国小売売上高と交錯につき影響なし。

2.要人発言
・政府、日銀(特に円安牽制、追加利上げ示唆)
・FRB

3.その他
・五十日仲値
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①円キャリー取引(促進or巻き戻し)、②米国労働市場、③米国経済成長、④インフレ、⑤地政学リスクに分類できます。
・来週は円下落か、緩和織り込み修正でドル高余地-日米中銀トップ発言(Bloomberg
・【債券週間展望】長期金利は上昇か、リスク資産選好の流れが重しに(Bloomberg
・【日本株週間展望】上昇、米景気懸念が緩和-日米金融当局者が発言(Bloomberg

5.本日の注目材料
(1)8/19(月)マーケット影響
①8/16に判明したIMM通貨先物8/13時点の円ロングへ転換→円買い
②8/19未明の噂「8/21(水)、2023年4月から24年3月までの1年間における非農業部門雇用者数が大幅に下方修正」→米国景気減速懸念、日本株下落→ドル売り、円買い
③カナダコンビニ大手のセブン&アイ買収提案報道→買収に必要な円買い需要
④米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の労働市場減速懸念,ハト派発言→ドル売り
⑤FRB利下げ観測→欧米株上昇(円キャリー促進)

前日は材料薄の中、東京マーケットは噂や未決定の報道でドル円急落し、欧米マーケットの株上昇で切り返すも戻りが鈍い展開となりました。
本日も材料薄の為、思惑からドル円乱高下を想定します。

(2)地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
7/30以降は中東情勢が悪化し、8/7以降はウクライナ情勢も一気に緊張が高まりました。
・米国務長官、イスラエルは停戦案受け入れた-ハマスが応じる必要(Bloomberg
・ゼレンスキー大統領、ロシアへの越境攻撃は「緩衝地帯」作るため(Bloomberg

下記材料が想定されますが、最近の傾向は(a)ドル売り主導のドル円下落が生じており、中東戦争勃発となればドル円急落の可能性が高いと推測します。

(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→ドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇(円キャリー促進)→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあります。

12:35 経済指標
日本20年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:1兆円程度
最高落札利回り:前回1.917%、結果1.717%(◎)
応札倍率:前回3.80倍、結果3.42(×)
テール:前回5銭、結果17銭(×)

【考察】入札不調。

14:00 報道
Canadian bid for 7-Eleven owner likely to face US antitrust scrutiny(FINANCIAL TIMES

【考察】前日のセブン&アイ買収提案異議。巻き戻しの円売りでドル円上昇。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

16:36 要人発言
日銀、インフレ圧力持続の可能性を示唆する論文2本を公表(Bloomberg

【考察】日銀早期追加利上げ観測。ドル円下落。

21:30 経済指標
カナダ消費者物価指数(CPI)
米国と貿易関係等で密接な関係であり、サプライズの数値は米国インフレの先行指標となり得ることから注目されます。
特に注目度の高い米国経済指標発表がない日は米国債利回りに波及しやすい。但し、あくまでカナダ指標であり短期的な影響に留まりやすい。
前月比:前回-0.1%、予想0.2%、結果0.4%(◎)
前年比:前回2.7%、予想2.4%、結果2.5%(○)
6/25は米国債利回り上昇波及あり。
7/16は米国小売売上高と交錯につき影響なし。
カナダCPI鈍化、9月利下げほぼ確実に-国債利回り低下し通貨下落(Bloomberg

【考察】総じて強い数値。しかし、前年比2.5%は対前回で弱く2021年3月以来の低い伸びとなったことで9月利下げ確実と判断され、カナダ国債利回り低下が米国債利回り低下に波及し、ドル円下落。本日、注目される米国経済指標がないことで材料視された様子。

27:01~要人発言の影響
米国ボウマンFRB理事
(過去の発言:5/35/105/175/286/256/28, 8/11(休場中), 8/20)
:政策スタンスは中立。前回8/11タカ派発言
ボウマンFRB理事、依然緩和に慎重 「一指標に過剰反応せず」(Reuters

【考察】利下げ慎重のタカ派発言。しかし、リスクオフ(株売り、債券買い)の流れが強くドル円下落継続。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値146.60
取引開始後は前日欧米株上昇(円キャリー促進)に連れて、日通し高値146.87を付けましたが、五十日仲値に向けた実需の円買い調整が入り、東京オープン後には日通し安値145.85へ急落(1H足上昇トレンドライン割れてレンジ形成)。

仲値通過し円買い調整が一服すると、日本株上昇、前日のセブン&アイ買収提案異議報道(巻き戻しの円売り)を受けて、1H足レンジ下限146.04付近からの押し目買い入り、日通し高値147.33へと急騰しました(4H足下降トレンドライン割れてレンジ形成)。
145円台は「2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)」付近のためか強い材料出なければ下値目途と意識されている様子。

【日本市況】日経平均600円超上げ、円高一服し147円台-超長期債売り(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン前に日足高値147.35を付けるも、欧州株下落、日銀インフレ圧力持続示唆論文公表を受けて再び146.23へ急落の乱高下。

その後、揉み合いが続いていましたが、カナダ消費者物価指数が発表されると前年比2.5%が対前回で弱く2021年3月以来の低い伸びとなったことで9月利下げ確実と判断され、カナダ国債利回り低下が米国債利回り低下に波及し、日足安値145.20へ急落しました。本日、注目される米国経済指標がないことで材料視された様です。

更に、明日公表予定の米国雇用者数・基準改定値大幅下方修正への警戒も高まっていることから、織り込みの米国債利回り下落も加わっている様で、リスクオフ(米国株売り、米国債買い)もドル円下落を後押ししたと推測します。
日足終値145.27

【米国市況】株は反落、FRB議長の講演控えドル売り-145円台前半(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売り優勢>
買い材料:

売り材料:
・カナダ消費者物価指数(前年比の対前回値弱)→カナダインフレ鈍化と判断→米国債利回り低下へ波及
・8/21公表の米国雇用者数・基準改定値大幅下方修正への警戒感→織り込み米国債利回り下落(推測)

<円買い優勢>
買い材料:
・日本20年国債入札(弱)
・日銀インフレ圧力持続示唆論文公表→日銀早期追加利上げ観測

売り材料:
・日本株上昇(円キャリー促進)
・セブン&アイ買収提案異議報道→前日の巻き戻し
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上→日本企業業績改善期待
・恒常的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回9月18日公表:25bps引き下げ77.5→67.5%、50bps引き下げ22.5→32.5%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利450~475bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:8月陰線形成中。上昇チャネル。20MAから上昇中。
  • 週足:8/19週、陰線形成中。下降トレンド。
  • 日足:8/19陰線。20MA付近から下落しレンジ。
  • 4H足:下降トレンド。
  • 1H足:上昇チャネル。
  • 15M足:上昇チャネル。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値146.657をダウ上昇→目標4H足レンジ安値147.219
(B)日足安値145.188付近へ下落→転換上昇→1H足レンジ安値146.038

②Short
(C)1H足押し安値146.364をダウ下落→目標1H足レンジ安値146.038
(D)1H足押し安値146.038をダウ下落→目標1H足レンジ安値145.432

本日:2勝1敗、+43.9pips
8月通算:16勝9敗、勝率64.0%、RR 1.94、+402.7pips

(Trading View)

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