ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日銀金融政策決定会合公表
・外国為替平衡操作の実施状況
・米国ADP雇用者数
・米国雇用コスト指数第2四半期
・米国シカゴ購買部協会景気指数
・米国中古住宅販売成約指数
・米国四半期定例入札
・米国FOMC公表
2.要人発言
・植田日銀総裁会見
・米国パウエルFRB議長
3.その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・日銀会合関連リーク報道
・月末ロンドンフィックス
・米国主要企業決算(特にメタプラットフォームズ)
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
・スワップ3倍デー
4.参考情報
米四半期入札、選挙を控えデリケートな問題に-予想は規模据え置き(Bloomberg)
来週の円相場は下落か、日米金融政策決定後に円売り再開の可能性(Bloomberg)
【債券週間展望】日銀利上げでも長期金利上昇は限定か、一定織り込み(Bloomberg)
【日本株週間展望】値固め、日米金融政策発表後に買いも-円高は警戒(Bloomberg)
5.本日の注目材料とドル円動き想定
(1)日銀金融政策決定会合公表、植田日銀総裁会見
注目点は、
①国債買い入れ減額計画:市場予想は、現状の月6兆円買い入れを5兆円へ減額から今後1〜2年程度で月3兆円まで半減。
日銀会合注目点:追加利上げと国債購入の減額計画、同時決定あるか(Bloomberg)
(a)予想通り→ドル円揉み合い、又は材料通過の安心感でドル上昇
(b)予想より減額幅大→サプライズで強い円買い→ドル円急落
(c)予想より減額幅小→サプライズで強い円売り→ドル円急騰
②政策金利(現状0.0-0.1%):7/29は市場予想0.1%利上げの約50%織り込みでした。しかし、7/30に政策金利0.25%(0.15%利上げ)報道が出たことでドル円急落し織り込みが進みました。
(a)報道通り0.15%利上げ→前日の急落で織り込みが進みましたが、観測報道の域を出ていないことから報道通りでも1~2円急落か。
(b)0.25%利上げ→サプライズで強い円買い→ドル円暴落。150円割れ想定。
(c)据え置き。但し、今後の利上げ示唆→前日報道の利上げ織り込み剥落で初動ドル円急騰。その後、今後の利上げ観測からドル円揉み合いから下落見込み。
(d)据え置き。かつ、今後の利上げ否定→サプライズで強い円売り→前日報道の利上げ織り込み剥落に加え失望からドル円暴騰
但し、①,②で円買い・円売り交錯からドル円乱高下の可能性あり。
③植田総裁会見:市場予想はタカ派姿勢
(a)タカ派発言→利上げに積極的ならドル円下落
(b)ハト派発言→ドル円上昇
(2)FOMC公表、パウエルFRB議長会見
①政策金利(現状5.25-5.50%):市場予想は7月据え置き、9月0.25%利下げ
(a)市場予想通り据え置き。9月0.25%利下げ示唆→サプライズないためドル円小幅下落か揉み合い。
(b)据え置き。但し、9月0.50%利下げの可能性や年内利下げ2回以上示唆→ドル円急落
(c)0.25%利下げ→サプライズで強いドル売り→ドル円急落し。但し、利下げ好感の株上昇(円キャリー促進)でドル円急上昇へ転換の可能性も高い。
②パウエル議長会見
(a)ハト派発言、景気後退懸念→ドル円下落
(b)タカ派発言(追加データ必要、利下げ慎重)→ドル円上昇
(c) (a)&(b)交錯バランスとり→ドル円乱高下
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
11:58 要人発言
イスラエル、ハマス指導者をイランで殺害か-攻撃の応酬激化の恐れ(Bloomberg)
【考察】中東地政学リスクオフ悪化
12:56 経済指標
日銀金融政策決定会合公表(日本銀行)
(発表日:4/28, 6/16, 7/28, 9/22, 10/31, 12/19, 1/23, 3/19, 4/26, 6/14, 7/31, 9/20, 10/31, 12/19)
過去の傾向では正午付近の公表は会合参加者の意見の相違は少なく金融政策変更なし。13:00頃に近づくほど金融政策変更の可能性高い。
政策金利:前回0.0-0.1%、予想0.0-0.1%、結果0.25%(◎)。
(実質金利=政策金利-期待インフレ率=0.25-2.0=-1.75%)
声明:追加利上げし示唆のタカ派
日銀、国債買い入れ予定公表(現在6兆円):四半期毎4000億円ずつ減額、2026年1-3月2.9兆円
経済・物価情勢の展望(7月、基本的見解):
GDP見通し、2024年度+0.6%へ下方修正
物価見通し、2024年度+2.5%へ下方修正、2025年度+2.1%へ上方修正
日銀が政策金利0.25%に引き上げ、経済・物価想定通りなら利上げ継続(Bloomberg)
【考察】
発表前:7/30(火)事前リーク報道を受けてドル円下落するも、あくまで観測報道で利上げなしの見方も根強く発表控えて乱高下。直前152.62。
発表後:事前リーク報道通りの国債買い入れ減額計画、+0.15%利上げでしたが、利上げの市場織り込み不足の為、初動日通し安値151.60へ約1円急落。
しかし、+0.15%は一般的な1回の利上げ幅+0.25%より小さく、前日リーク報道起点154.57から151.60へ急落(約3円)で織り込み完了か。
加えて、7/25のドル円急落後の反発から、切番152.00、月足・週足ダウ安値151.86付近が円キャリー巻き戻しの防衛水準と見られていたことから、強い押し目買い入り日通し高値153.91へ急反発しました。
14:35 報道
Exclusive: New US rule on foreign chip equipment exports to China to exempt some allies(Reuters)
日韓とオランダ除外と報道、新たな米の対中半導体規制-ASML急伸(Bloomberg)
【考察】7/17(水)日本株上昇(円キャリー促進)。ドル円上昇。
15:30~要人発言
植田日銀総裁
(発言:6/4, 6/6, 6/14, 6/17, 6/18, 6/21, 7/31)
:前回6/21タカ派発言
「経済・物価見通し実現なら追加利上げ」
「短期金利0.5%は天井と意識しない」
【考察】
発表前:利上げに関する思惑交錯してもみ合い。
発表後:追加利上げ示唆、総じて強いタカ派発言。先日からのドル円急落を受けてハト派発言への期待もあったことから、ドル円急落継続。
19:00 経済指標
外国為替平衡操作の実施状況(財務省)
政府・日銀の為替介入、5兆5348億円-29日までの1カ月間(Bloomberg)
【考察】
予想:7/11(木)介入規模3.5兆円、7/12(金)介入規模2.1兆円の計5.6兆円
結果:6/27~7/29介入額5兆5348億円。市場予想と同程度につきサプライズなし。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:15 経済指標
米国ADP雇用者数(発表日:8/2, 8/30, 10/4, 11/1, 12/5, 1/4, 1/31, 3/6, 4/3, 5/1, 6/5, 7/3, 7/31)
後日発表の米国雇用統計との差異も注目されます。
前月比:前回15.0万人(改定15.5)、予想15.0万人、結果12.2万人(×)
【考察】弱い数値。
21:30 経済指標
米国雇用コスト指数第2四半期
指数の上昇は消費者物価指数や個人所得の増加につながる可能性が高い。最近はFRBも注目している指標と明言
前期比:前回1.2%(改定)、予想1.0%、結果0.9%(×)
【考察】弱い数値。初動150円割れの日通し安値149.79へ下落。一方、切番150.00はショート勢決済や押し目買い入りやすく反発上昇。
21:30 経済指標
米財務省、四半期入札の規模を据え置き-「数四半期」は規模維持(Bloomberg)
22:45 経済指標
米国シカゴ購買部協会景気指数
米国ISM製造業景気指数の前営業日に発表される同指標の先行指標。
基準50、前回47.4(改定)、予想44.0、結果45.3(○)
23:00 経済指標
米国中古住宅販売成約指数
売買契約が結ばれているものの、最終引渡しが行われていない物件の指数。引き渡しが済んだ中古住宅販売件数の先行指標として注目される。
前月比:前回-2.1%(改定-1.9)、予想1.5%、結果4.8%(◎)
前年比:前回-6.6%(改定-6.5)、予想-7.4%、結果-7.8%(×)
24:00 月末ロンドンフィックス
前後の時間帯でポジション調整によって不規則な乱高下生じやすい。
27:00 経済指標
米国FOMC公表
(発表日; 5/3, 6/14, 7/26, 9/20, 11/1, 12/13, 1/31, 3/20, 5/1, 6/12, 7/31, 9/18, 11/7, 12/18)
(Federal Open Market Committee)
①FRB政策金利:前回5.25-5.50%、予想5.25-5.50%、結果5.25-5.50%(○)
②FOMC声明:2つの責務、両サイドに対するリスクに注意払っている(Bloomberg)
【考察】
発表前:植田日銀総裁のタカ派発言で日通し安値149.63を付けた後、中東地政学リスクオフに伴う原油先物価格上昇、米国株上昇(円キャリー促進)に連れてドル円上昇。直前150.83。
発表後:声明は9月利下げ示唆なくタカ派で初動151.27へ上昇。パウエル議長会見控えて全戻し。
27:30~ 要人発言
米国パウエルFRB議長(Fed News & Events, Calendar)
(発言:5/1, 5/14, 5/19, 6/12, 7/2, 7/9, 7/10, 7/15, 7/31)
:政策スタンスは中立。前回7/15ハト派発言
パウエル議長、利下げは9月のFOMCで選択肢になる可能性も(Bloomberg)
【考察】いつも通りハト・タカ派のバランスを取った発言でしたが、声明文になかったインフレと雇用にサプライズ強い数字が出ない限り9月利下げ示唆により「米国債利回り低下→ドル売り」からドル円下落。
28:24 要人発言
イラン指導者ハメネイ師
イラン最高指導者、イスラエルへの報復攻撃を命じる-NYT紙(Bloomberg)
【考察】中東全面戦争の可能性が急拡大。原油先物価格上昇。
29:08 米国主要企業決算
メタプラットフォームズ
売上高:前回286.5億ドル、予想383.4億ドル、結果390.7億ドル(◎)
EPS:前回2.20ドル、予想4.72ドル、結果5.16ドル(◎)
メタ株急伸、売上高が市場予想上回る-広告事業好調(Bloomberg)
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値152.78
①7/30日銀利上げリーク報道の影響継続→円買い
②中東地政学リスクオフの急速な悪化→安全資産米国債買い→ドル売り、リスクオフ円買い
③日銀会合政策金利0.25%(+0.15)へ引き上げ→円買い
④日韓とオランダ除外と報道、新たな米の対中半導体規制→7/17巻き戻し、日本株上昇(円キャリー促進)→円売り
⑤植田日銀総裁のタカ派発言(追加利上げ示唆)→円買い
取引開始直後から東京オープン直後は、①によって日通し安値152.11へ下落しましたが、あくまで観測報道で利上げなしの見方も根強く、②も交錯し乱高下。
日銀会合公表は、事前リーク報道通り①+0.15%利上げでしたが市場織り込み不足の為、初動日通し安値151.60へ約1円急落。
しかし、+0.15%は一般的な1回の利上げ幅+0.25%より小さく、切番152.00、月足・週足ダウ安値151.86付近が円キャリー巻き戻しの防衛水準と見られていたことから、強い押し目買い発生し日通し高値153.91へ急反発しました。
その後、④報道も加わり、植田日銀総裁会見控えて揉み合い。
東京終値152.88
東京クローズ後、⑤サプライズを受けてドル円急落
【日本市況】円は乱高下、日銀が追加利上げ決定-債券は下げ縮小(Bloomberg)
欧米マーケット:
①植田日銀総裁のタカ派発言(追加利上げ示唆)→円買い
②米国ADP雇用者数、米国雇用コスト指数(弱)→ドル売り
③中東地政学リスクオフ悪化→原油先物価格急上昇→ドル買い円売り
④米国FOMC・パウエルFRB議長ハト派姿勢期待織り込み→米国債利回り低下→米国株上昇(円キャリー促進)
⑤米国FOMC公表声明:9月利下げ示唆なしタカ派
⑥米国パウエル会見:声明文になかったインフレと雇用にサプライズ強い数字が出ない限り9月利下げ示唆のハト派
⑦イラン指導者ハメネイ師→イスラエルへの報復攻撃命令→中東全面戦争の中東地政学リスクオフ→米国株下落(円キャリー巻き戻し)
欧州オープン後も①影響強く日通し安値150.05へ急落。更に②を受けて日通し安値149.63と150円台割れとなりました。
NYオープンすると、③,④で下げ渋りから上昇。
⑤米国FOMC公表は初動151.27へ上昇するも、⑥パウエル議長会見を受けてドル円下落。更に、⑦中東地政学リスクオフもドル円下落後押しして、日足安値149.61を付けました。
日足終値149.99
【米国市況】円一時149円台に上昇、9月利下げ示唆で株・国債に買い(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売り優勢>
買い材料:
・イランの指導者ハメネイ師のイスラエルへの報復攻撃命令→中東地政学リスクオフ→原油先物価格急上昇→インフレ懸念
売り材料:
・中東地政学リスクオフ(イスラエル、ハマス指導者殺害)→安全資産米国債買い→米国債利回り低下
・米国ADP雇用者数、米国雇用コスト指数(弱)
・パウエルFRB議長のハト派発言
<円買い優勢>
買い材料:
・日銀政策金利引き上げ
・中東地政学リスクオフ(イスラエル、ハマス指導者殺害)
・植田日銀総裁のタカ派発言
売り材料:
・イランの指導者ハメネイ師のイスラエル報復攻撃命令→中東地政学リスクオフ→原油先物価格急上昇→日本貿易収支悪化
・日韓とオランダ除外と報道、新たな米の対中半導体規制→7/17巻き戻し、日本株上昇(円キャリー促進)
・恒常的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増[特に夏ボーナス買い]、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回9月18日公表:25bps引き下げ87.7→85.5%、50bps引き下げ14.5%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利450~475bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:7月陰線形成中。上昇トレンド。ダウ高値151.86付近から反発上昇
- 週足:7/29週、陰線形成中。レンジ。
- 日足:7/30陰線。下降トレンド。
- 4H足:下降トレンド。
- 1H足:下降トレンド。
- 15M足:下降トレンド。
【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ安値152.185付近へ下落→転換上昇→目標日足安値152.646
(B)日足押し安値151.320付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ安値ヒゲ先151.939
②Short
(C)日足安値152.646をダウ下落→目標1H足レンジ安値152.185
(D)1H足レンジ安値ヒゲ先151.939をダウ下落→目標日足押し安値151.320
7月通算:18勝10敗、勝率64.3%、+309.2pips
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