2025年6月17日(火)ドル円戦略と結果

ファンダメンタルズ分析
テクニカル分析
1. トレードシナリオと結果

ファンダメンタルズ分析

注目材料

１．経済指標
・日銀金融政策決定会合公表
・米国輸入、輸出物価指数
・米国小売売上高
・米国鉱工業生産指数、米国設備稼働率

２．要人発言
・植田日銀総裁
・米国トランプ大統領
・FEDウォッチャー、WSJ紙のニック氏(X投稿)：FRBブラックアウト期間（FOMC開催前週の土曜日から公表翌日までの13日間：6/7～6/19）につき

３．その他
・日銀会合直前リーク報道
・地政学リスクオフ（イスラエル・イラン、ウクライナ・ロシア）

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い：◎、予想以上：〇、予想より悪い：△、前回かつ予想より悪い：×)

東京マーケット前

8:31～要人発言
ホワイトハウス
「米国トランプ大統領、中東情勢対応のため今夜ワシントンに戻る」

8:54～要人発言
イスラエル中国大使館
「中国国民に対してイスラエルから退避勧告」

東京マーケット(9:00~15:30)

12:31 経済指標
日銀金融政策決定会合公表（日本銀行）
（発表日：1/24, 3/19, 5/1, 6/17, 7/31, 9/19, 10/30, 12/19）
過去の傾向では正午付近の公表は会合参加者の意見の相違は少なく金融政策変更なし。13:00頃に近づくほど金融政策変更の可能性が高いです。

①政策金利：前回0.50%、予想0.50%、結果0.50%（○）
（実質金利=政策金利-期待インフレ率=0.50-2.00=-1.50%。事実上の金融緩和環境継続）
②声明：ハト派
日銀、金融政策の維持決定　国債買い入れは26年4月から減額幅縮小（Reuters）

【考察】事前予想、報道通り

14:17～要人発言
米国トランプ大統領
「停戦理由でワシントンに戻っていない」

15:30～要人発言
植田日銀総裁
利上げ継続姿勢も、経済・物価「下振れリスク大きい」＝植田日銀総裁（Reuters）

【考察】ハト派発言

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:30 経済指標
米国輸入物価指数
前月比：前回0.1%（改定-）、予想-0.3%、結果0.0%（○）
前年比：前回0.1%（改定）、予想0.0%、結果0.2%（◎）

米国輸出物価指数
前月比：前回0.1%（改定）、予想-0.2%、結果-0.9%（×）
前年比：前回2.0%（改定1.9）、予想1.8%、結果1.7%（×）

21:30 経済指標
米国小売売上高
個人消費が米国GDPの約2/3を占めており、その動向を表す小売売上高の注目は高い。米国個人消費や米国消費者信頼感とも相関性があることからも重要な指標。特にコア指数が重要視されます。
（発表日; 1/16, 2/14, 3/17, 4/16, 5/15, 6/17）
総合前月比：前回0.1%（改定-0.1）、予想-0.7%、結果-0.9%（×）
コア前月比（自動車やガソリンなど価格変動が大きい項目を除外）：前回0.1%（改定0.0）、予想0.2%、結果-0.3%（×）
コントール前月比（自動車、ガソリン、外食、建築資材など、ボラティリティの高い項目をさらに広範囲に除外）：前回-0.2%（改定-）、予想0.3%、結果0.4%（◎）
米小売売上高、１月以来の大幅減少－関税による支出抑制を示唆（Bloomberg）

22:15 経済指標
米国鉱工業生産指数
鉱工業部門の生産動向を数値化したもので景気実態を把握する速報性に優れることから注目度が高い。
前回0.0%（改定0.1）、予想0.1%、結果-0.2%（×）

米国設備稼働率
生産能力に対する実際の生産量の比率。設備投資とインフレの先行指標であることから注目度高い。
前回77.7%（改定）、予想77.8%、結果77.4%（×）

23:12～要人発言
イスラエル軍
イランからミサイル発射

24:56～要人発言
米国トランプ大統領
「イラン上空を完全に制御した」

25:51 報道
米国トランプ大統領、イラン攻撃検討
トランプ氏、イランに「無条件降伏」迫る－イスラエルは攻撃強化へ（Bloomberg）

26:16 要人発言
イラン
テルアビブとハイファから避難要求

＜まとめ＞
東京マーケット
日足始値144.73
取引開始開始後、イスラエル・イラン紛争を巡る有事のドル買い、日銀金融政策決定会合公表ハト派織り込み円売りで日通し高値145.11へ上昇。
日銀会合公表は事前予想・報道通りでSell the factの動きで日通し安値144.40へ急落するも、有事のドル買いも強く上昇して引けました。

【日本市況】債券安く円じり高、株式は続伸－日銀の減額圧縮予想通り（Bloomberg）

欧米マーケット
植田日銀総裁ハト派発言で欧州オープン直後に145.03へ上昇。しかし、市場の注目は日銀会合よりイスラエル・イラン紛争の方が遥かに大きく報道や要人発言が錯綜するなか乱高下。
米国小売売上高総合・コア（弱）を受けて日通し安値144.39を付けましたが、コントロールグループ（強）で日通し高値145.29へ上昇。
その後、イスラエル・イラン紛争のリスクオフが高まる報道や要人発言が続き、有事のドル買いから日足高値145.38を付けて引けました。
日足終値145.29

【米国市況】株反落、米国の対イラン軍事介入を警戒－145円台前半（Bloomberg）

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

＜ドル買い優勢＞
買い材料：
・ホワイトハウス「米国トランプ大統領、中東情勢対応のため今夜ワシントンに戻る」→有事のドル買い
・イスラエル中国大使館「中国国民に対してイスラエルから退避勧告」→有事のドル買い
・米国トランプ大統領「停戦理由でワシントンに戻っていない」「イラン上空を完全に制御した」→有事のドル買い
・米国トランプ大統領、イラン攻撃検討報道→有事のドル買い
・米国小売売上高のコントロールグループ（強）

売り材料：
・米国小売売上高総合、コア（弱）
・米ドル回避の取引需要、アジアの金融機関で拡大－貿易摩擦の強まりで（Bloomberg）
・米国トランプ関税→貿易戦争激化→ドル信認低下
ドルが新たな「犠牲者」に－世界的な貿易戦争激化で信認脅かされる（Bloomberg）

＜円買い優勢＞
買い材料：
・
・2025年3月調査想定為替レート上期147.17（日本銀行、短観）以下推移→日本企業業績悪化、リスクオフ（円キャリー巻き戻し）

売り材料：
・植田日銀総裁のハト派発言
・構造的円売り（日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増）
・その他円売り（航空燃料不足、パイロット不足、クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念）