2024年1月18日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>
(1)1/17の欧米マーケット影響
日銀早期政策修正観測後退、FRB利下げ観測後退(前日までのFRB要人タカ派発言の影響継続、米国小売売上高の強い数値、株下落リスクオフドル買い)、中東地政学リスクオフの原油先物価格急上昇でドル円上昇。148円台乗せ。

(2)経済指標
・日本20年国債入札
・米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数
・米国住宅着工、住宅建築許可件数
・米国フィラデルフィア連銀景況指数

(3)要人発言
・全国銀行協会会長会見
・政府、日銀円安牽制発言(最近ドル円急騰につき)
・FRB要人

(4)その他
・中東地政学リスクオフ
・米国主要企業決算
・世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)(1/15~1/19)
【債券週間展望】長期金利は低下か、日銀の早期政策修正観測が後退(Bloomberg
【日本株週間展望】上値重い、高値警戒感や米政府機関の閉鎖リスク(Bloomberg

本日の注目材料は3点。
①米国経済指標:
1/16は米国NY連銀製造業景気指数がサプライズの弱い数値でドル円急落しても押し目買いの機会となり直ぐに全戻し。一方、前日1/17は米国小売売上高がサプライズの強い数値でドル円急上昇。
本日も注目度の高い指標が続きますが、今週の傾向通り強い数値なら素直にドル円上昇、弱い数値なら下落は一時的で上昇に転じやすいと推測します。

②FRB要人発言:
先週からFRB要人のタカ派発言が続いていましたが、本日もタカ派発言によりドル円上昇、ハト派発言が出ても下落は一時的で上昇に転じやすいと推測します。

③中東地政学リスクオフ悪化:
中東地政学リスクオフ(原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い)による材料交錯が生じるため、どの材料の影響が強いか見極め必要。基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすいと考えます。

マーケットの動き

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

12:35 経済指標
日本20年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回1.467%、結果1.39%(◎)
応札倍率:前回2.58倍、結果3.13倍(◎)
テール:前回82銭、結果24銭(◎)
発行予定額:前回1兆2,000億円、今回1兆円

【考察】総じて入札好調。しかし、発行予定額が減ったことが原因と判断され入札不調となり利回り上昇。1H足下降ダウの流れと一致してドル円下落。

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)

21:51~要人発言
米国ボスティック・アトランタ連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
:政策スタンスはハト派。しかし前回1/8はタカ派発言。
(過去の発言:11/311/911/1011/2912/1512/19, 1/8, 1/18)
ボスティック総裁、米利下げ開始は7-9月期との予想あらためて示す(Bloomberg

【考察】タカ派発言でドル円上昇。

22:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回20.2万件(改定20.3)、予想20.5万件、結果18.7万件(◎)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回183.4万件(改定183.2)、予想184.4万件、結果180.6万件(◎)

22:30 経済指標
米国住宅着工
住宅購入に伴い、家電などの耐久消費財も購入されることが多く、個人消費への波及効果が大きいため注目される。また、最近はFRB当局者が住宅関連指標をインフレ把握のために注目していることから、更に重要度が上がっている。

件数:前回156.0万件(改定152.5)、予想141.0万件、結果146.0万件(○)
前月比:前回14.8%(改定10.8)、予想-9.3%、結果-4.3%(○)

米国住宅建築許可
件数:前回146.0万件(改定146.7)、予想147.0万件、結果149.5万件(◎)
前月比:前回-2.5%(改定-2.1)、予想0.8%、結果1.9%(◎)

22:30 経済指標
米国フィラデルフィア連銀景況指数
米国ISM製造業購買担当者景気指数と相関性あるため注目される。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
基準0、前回-10.5(改定-12.8)、予想-6.0、結果-10.6(△)

【考察】総じて強い数値でドル円急騰

24:16 要人発言
米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:10/210/1610/1810/2011/9, 1/18)
フィラデルフィア連銀総裁、「ソフトデータ」も引き続き重要な指針に(Bloomberg

【考察】金融政策の見通しについてはコメントなし

28:09 要人発言
米上院、政府機関の閉鎖回避に向けたつなぎ予算案を可決-下院に送付(Bloomberg

【考察】米国政府閉鎖回避でドル円上昇

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値148.16
東京始値148.14
東京高値148.25
東京安値147.86
東京終値147.88
きょうの国内市況(1月18日):株式、債券、為替市場(Bloomberg

明確な材料なく東京安値147.86までじり下げ。連日の急騰で148円台乗せにつき政府日銀からの急変動牽制発言への警戒感からか、投機筋や実需筋による一部ロングポジションの調整と推測。

欧米マーケット:
欧州始値147.79
NY始値148.00(切番)
日足高値148.31
NY終値148.18
日足終値148.16
【米国市況】株反発、ナスダック100は最高値更新-ドル148円台前半(Bloomberg

欧州オープン後、揉み合いながら日通し安値147.67までじり下げ。
米国ボスティック・アトランタ連銀総裁のタカ派発言と米国経済指標が強い数値によってFRB利下げ観測後退、原油先物価格上昇も生じて日足高値148.31へ上昇。しかし、4H足レジスタンス148.24からの戻り売り強く揉み合い。

総じて、三営業日連続急騰で投機筋や実需筋による一部ロングポジション調整や中東地政学リスクオフ由来の米国債利回り低下でドル円下落、FRB利下げ観測後退(FRB要人タカ派発言、米国雇用・住宅指標の強い数値)、米国上院でつなぎ予算案可決、中東地政学リスクオフの原油先物価格上昇でドル円上昇。148円台維持。

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

・1/18ドル買い優勢:
ドル買い:FRB利下げ観測後退(FRB要人タカ派発言、米国経済指標の強い数値)、米上院で政府機関閉鎖回避に向けたつなぎ予算案可決、、中東地政学リスクオフ由来の原油先物価格上昇
ドル売り:連日急騰したドル円の一部ポジション解消、中東地政学リスクオフ由来の米国債利回り低下

米空爆で海運混乱が悪化、紅海南部の迂回広がる-船員も恐怖(Bloomberg

・1/18円買い優勢
円買い:日本20年国債入札不調、中東地政学リスクオフ、連日急騰ドル円の一部ポジション解消(政府日銀からの牽制警戒)
円売り:日銀早期政策修正観測後退(1月会合マイナス金利解除観測消滅)、新NISAで海外株購入急増、日本株海外投資家人気)、中東地政学リスクオフ由来の原油先物価格上昇

利上げ近づく日銀、2%物価目標実現へ植田総裁の「確度」に注目(Bloomberg

Currency Strength Chart

米国債イールドカーブ

1/18(木)は1/17(水)に対しベア(短期金利低下同等、長期金利低下上昇)、逆イールド縮小。ドル買い材料一致(U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY)

FRB政策金利:525~550bps
FOMC見通し(CME FedWatch Tool
次回公表24年1月31日:25bps引き下げ2.6%、据え置き97.4%
初回利下げ観測24年3月20日公表:25bp引き下げ55.7%
24年合計利下げ観測:25bps×6回=150bps → 政策金利375~400bps見込み

2023年12月13日FOMC政策金利見通し(Projection Materials)と1/18織り込み
24年:4.6%(米国1年債利回り4.84%)
25年:3.6%(米国2年債利回り4.36%)
26年:2.9%(米国3年債利回り4.14%)
Longer run: 2.5%(米国10年債利回り4.10%)
24年利下げ見通し:25bps×3回=75bps →政策金利450~475bps相当
実質金利=政策金利-総合消費者物価指数12月度前年比=5.5%-3.4%=2.1%

(現状の相関関係は、25bpsでドル円約3円変動)

テクニカル分析

トレード

  • 月足:1月陽線形成中。押し安値や20MA付近から上昇中。
  • 週足:1/15週、陽線形成中。20MA到達につき、一旦下押し下落の可能性あり。
  • 日足:1/17大陽線。上昇トレンド。BBエクスパンション。
  • 4H足:上昇トレンド。BBエクスパンション。
  • 1H足:上昇トレンド。BBエクスパンション。
  • 15M足:上昇トレンド。BBエクスパンション。

【シナリオ】

①ロング
(A)1H足サポート148.144付近へ下落→ダウ転換上昇→目標1H足レジスタンス148.445
(B)1H足レジスタンス148.445をダウ上昇→目標4H足レジスタンス148.976
(C)1H足サポート147.666付近へ下落→ダウ転換上昇→目標1H足レジスタンス148.144

②ショート
(D) (A)後、1H足サポート148.144かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足サポート147.666

1月通算:6勝5敗、勝率54.5%、獲得Pips +77.8

(Trading View)

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