2024年1月17日(水)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>
(1)1/16の欧米マーケット影響
日銀早期政策修正観測後退、株下落リスクオフドル買い、FRB利下げ観測後退(米国ウォラーFRB理事のタカ派発言含む)でドル円上昇。

(2)経済指標
・米国小売売上高
・米国輸入物価指数、輸出物価指数
・米国鉱工業生産指数、設備稼働率
・米国20年債入札
・米国ベージュブック(地区連銀経済報告)

(3)要人発言
・日本証券業協会会長会見
・全国地方銀行協会会長会見
・FRB要人

(4)その他
・中東地政学リスクオフ
・世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)(1/15~1/19)
【債券週間展望】長期金利は低下か、日銀の早期政策修正観測が後退(Bloomberg
【日本株週間展望】上値重い、高値警戒感や米政府機関の閉鎖リスク(Bloomberg

本日の注目材料は3点。
①米国経済指標:
前日は米国NY連銀製造業景気指数がサプライズの弱い数値でドル円急落しましたが、押し目買いの機会となり直ぐに全戻し。本日注目度の高い指標が続きますが、強い数値なら素直にドル円上昇、弱い数値なら下落は一時的で上昇に転じやすいと推測します。

②FRB要人発言:
先週からFRB要人のタカ派発言が続いていましたが、前日FRBウォラー理事の利下げ観測牽制タカ派発言がドル円上昇に拍車を掛けました。本日は複数要人の発言が予定されておりドル円上昇しやすいですが、強いハト派発言が出ても下落は一時的で上昇に転じやすいと推測します。

③中東地政学リスクオフ悪化:
中東地政学リスクオフ(原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い)による材料交錯が生じるため、どの材料の影響が強いか見極め必要。基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすいと考えます。

マーケットの動き

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

10:14 要人発言
パキスタン、イランが領内をミサイル攻撃と非難-緊張高まる(Bloomberg

【考察】地政学リスクオフ

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)

22:30 経済指標
米国小売売上高
個人消費が米国GDPの約2/3を占めており、その動向を表す小売売上高の注目は高い。米国個人消費や米国消費者信頼感とも相関性があることからも重要な指標。
前月比:前回0.3%(改定-)、予想0.4%、結果0.6%(◎)
コア前月比:前回0.2%(改定)、予想0.2%、結果0.4%(◎)

22:30 経済指標
米国輸入物価指数
前月比:前回-0.4%(改定-0.5)、予想-0.6%、結果0.0%(◎)
前年比:前回-1.4%(改定-1.5)、予想-1.9%、結果-1.6%(○)

米国輸出物価指数
前月比:前回-0.9%(改定-)、予想-0.7%、結果-0.9%(△)
前年比:前回-5.2%(改定-)、予想-0.8%、結果-3.2%(△)

【考察】米国小売売上高のサプライズの強い数値でドル円上昇。

23:00~要人発言
米国ボウマンFRB理事
:政策スタンスは中立。前回1/8はタカ派発言
(過去の発言:11/711/911/28, 1/8, 1/17)
ボウマンFRB理事、大手行の資本要件引き上げ案に「大幅変更」必要(Bloomberg

【考察】金融政策へのコメントなし。

23:15 経済指標
米国鉱工業生産指数
鉱工業部門の生産動向を数値化したもので景気実態を把握する速報性に優れることから注目度が高い。
前回0.2%(改定0.0)、予想-0.1%、結果0.1%(○)


米国設備稼働率
生産能力に対する実際の生産量の比率。設備投資とインフレの先行指標であることから注目度高い。
前回78.8%(改定78.6)、予想78.7%、結果78.6%(△)

27:00 経済指標
米国20年債入札(Upcoming Auctions
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもある。
最高落札利回り:前回4.213%、結果4.423%(×)
応札倍率:前回2.55倍、結果2.53倍(◎)
外国中銀など間接入札者の落札比率:前回66.4%、結果62.2%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):-0.8bps(◎)
国債発行日前取引(WI): 4.415%

【考察】総じて、入札不調でドル円上昇。

28:00 要人発言
米国ベージュブック(地区連銀経済報告)
FOMC開催の2週間前に公表。米国金利決定の材料とされるため注目度大。
米地区連銀経済報告:消費の底堅さ示す-労働市場は軟化示唆(Bloomberg

【考察】賃金圧力低下のハト派内容でドル円下落。

29:00~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
:政策スタンスは中立。但し、12/15にパウエルFRB議長の利下げ議論を否定しており、現状はタカ派よりスタンス。
(過去の発言:11/1611/2811/3012/15, 1/10, 1/17)

【考察】金融政策への言及なし。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値147.18
東京始値147.28
東京高値147.67
東京安値147.10
東京終値147.58(147円台キープ)
きょうの国内市況(1月17日):株式、債券、為替市場(Bloomberg

オープン直後の日通し高値147.49を付けたものの、日本株下落リスクオフ円買い強まり、東京安値147.28へ下落。しかし、下値切番147.00は固く、前日FRBウォラー理事の利下げ観測牽制発言の影響から米国債利回り上昇に連れて東京高値147.67へ急上昇。

欧米マーケット:
欧州始値147.87
NY始値147.93
NY終値148.19
日足高値148.53
日足終値148.16
【米国市況】株は続落、利下げ観測後退で利回り上昇-一時148円52銭(Bloomberg

前日と異なり欧州オープン前からドル円上昇、日通し高値147.97を付けたものの、切番148.00目前かつ注目度の高い米国経済指標を控えて揉み合い。
米国小売売上高のサプライズの強い数値でドル円急騰、日足高値148.53。一気に148円台乗せ。

総じて、日銀早期政策修正観測後退、FRB利下げ観測後退(前日までのFRB要人タカ派発言の影響継続、米国小売売上高の強い数値、株下落リスクオフドル買い)、中東地政学リスクオフの原油先物価格急上昇でドル円上昇。148円台乗せ。

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

・1/17ドル買い優勢:
ドル買い:FRB利下げ観測大幅後退(前日までのFRB要人タカ派発言の影響継続、米国小売売上高の強い数値、株下落リスクオフ)、中東地政学リスクオフ由来の原油先物価格急上昇
ドル売り:

急激な利下げ見込むポジション、ついに縮小の動き-中銀の慎重さ考慮(Bloomberg

・1/17円売り優勢
円買い:日本株下落リスクオフ(高値警戒感、中国人気の日本ETF一時取引停止)
円売り:日銀早期政策修正観測後退(1月会合マイナス金利解除観測消滅)、新NISAで海外株購入急増、日本株海外投資家人気)、中東地政学リスクオフ由来の原油先物価格急上昇


日銀マイナス金利解除は4月予想へ収れん進む、1月が消滅-サーベイ(Bloomberg
日本株ETFに中国の投資家殺到-運用会社のリスク警告も無視(Bloomberg

Currency Strength Chart

米国債イールドカーブ

1/17(水)は1/16(火)に対しベア(短期金利上昇、長期金利上昇)、逆イールド拡大。ドル買い・売り材料交錯(U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY)

FRB政策金利:525~550bps
FOMC見通し(CME FedWatch Tool
次回公表24年1月31日:25bps引き下げ2.6%、据え置き97.4%
初回利下げ観測24年3月20日公表:25bp引き下げ57.6%
24年合計利下げ観測:25bps×6回=150bps → 政策金利375~400bps見込み

2023年12月13日FOMC政策金利見通し(Projection Materials)と1/17織り込み
24年:4.6%(米国1年債利回り4.83%)
25年:3.6%(米国2年債利回り4.35%)
26年:2.9%(米国3年債利回り4.13%)
Longer run: 2.5%(米国10年債利回り4.10%)
24年利下げ見通し:25bps×3回=75bps →政策金利450~475bps相当
実質金利=政策金利-総合消費者物価指数12月度前年比=5.5%-3.4%=2.1%

(現状の相関関係は、25bpsでドル円約3円変動)

テクニカル分析

トレード

  • 月足:1月陽線形成中。押し安値や20MA付近から上昇中。
  • 週足:1/15週、陽線形成中。20MA到達につき、一旦下押し下落の可能性あり。
  • 日足:1/16大陽線。上昇トレンド。BBエクスパンション。戻り高値到達につき1/17は揉み合いか調整波発生の可能性あり。
  • 4H足:上昇トレンド。BBエクスパンション。
  • 1H足:上昇トレンド。BBエクスパンション。
  • 15M足:レンジ。BBスクイーズ。

【シナリオ】

①ロング
(A)1H足サポート147.008付近へ下落→ダウ転換上昇→目標1H足レジスタンス147.272
(B) (A)後、1H足レジスタンス147.272をダウ上昇→目標4H足レジスタンス147.666
(C)1H足サポート146.604又は1H足20MA付近へ下落→ダウ転換上昇→目標1H足レジスタンス147.008

②ショート
(D) (A)後、1H足サポート147.008かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足サポート146.604

1月通算:5勝4敗、勝率55.6%、獲得Pips +75.0

(Trading View)

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