ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・日銀、国債買入オペ通知
・外国為替平衡操作の実施状況(日次ベース)(4月-6月)
・米国10年債入札
2.要人発言
・政府、日銀発言(特に内田日銀副総裁、午前あいさつ、午後会見)
・FRB
3.その他
・米国主要企業決算
・中東地政学リスクオフ
・スワップ4倍デー
4.参考情報
来週の円相場は上昇か、米景気後退懸念でリスク回避の流れ継続も(Bloomberg)
【債券週間展望】長期金利上昇か、賃上げ確認し追加利上げ織り込みへ(Bloomberg)
【日本株週間展望】日本株は上昇へ、大幅安から一服し個別選別が進む(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)8/6(火)マーケット影響
・8/5米国ISM非製造業景気指数(サプライズ強)影響→ドル買い、円売り
・米国デイリー・サンフランシスコ連銀総裁のタカ派発言→ドル買い
・8/5歴史的日本株暴落から日銀追加利上げ後退→円売り
・日本株暴落継続を見込んだ株売り(円キャリー巻き戻し)→円買い
・日銀・財務省・金融庁の三者会談後、三村財務官から日銀追加利上げ観測の火消しなし→円買い
・米国3年債入札(強)→ドル売り
・中東地政学リスクオフ→ドル買い、ドル売り、円買い
が交錯し、約3.0円幅(日足高値146.38-日足安値143.63=2.75)を方向性なく乱高下しました。
本日も注目度の高い経済指標なく、8/5と8/6の材料交錯しレンジ内を乱高下しやすいと想定します。
(2)中東地政学リスクオフ
7/30以降、急激に中東情勢が悪化し、週末の報道からも全面戦争が勃発するリスクが一気に高まりました
・ヒズボラ、イスラエル北西部でドローン攻撃-複数の民間人が負傷(Bloomberg)
下記のドル・円材料が想定されますが、市場織り込みが完了までは、ドル買い・円買いが交錯してドル円も乱高下しやすいと考えます。
(a)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→ドル売り
(b)他国から安全資産米国債買い需要→ドル買い
(c)安全資産米国債買い→米国債利回り低下→株上昇(円キャリー促進)→円売り
(d)世界的景気悪化懸念→株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
(e)原油先物価格上昇→インフレ懸念→ドル買い
(f)原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化→円売り
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
9:00 経済指標
外国為替平衡操作の実施状況(日次ベース)(4月-6月)(財務省)
4月29日の円買い介入、過去最大の5.9兆円-34年ぶり円安局面で(Bloomberg)
・4/29(月)介入額5兆9185億円
・5/1(水)介入額3兆8700億円
10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行)
(発表日:7/3, 7/10, 7/17, 7/23, 7/29, 8/2, 8/7, 8/15, 8/21, 8/28)
1~3年債:前回3500億円、予想3500億円、結果3500億円(○)
3~5年債:前回3750億円、予想3750億円、結果3750億円(○)
10~25年債:前回1500億円、予想1500億円、結果1500億円(○)
【考察】
発表前:前日材料交錯を引き継いで乱高下。直前144.74
発表後:予想通り据え置き。直後の内田日銀副総裁の強烈なハト派発言の影響でドル円急騰。
10:30~要人発言
内田日銀副総裁(金融経済懇談会)
日銀・内田副総裁「金融市場が不安定な状況で利上げせず」(日本経済新聞)
【考察】7/31植田日銀総裁のタカ派発言を完全に覆す強烈なハト派、早期追加利上げ否定発言。直前144.77から日足高値147.91へ3.14円急騰。
14:45~要人発言
内田日銀副総裁(金融経済懇談会)
市場不安定な状況で利上げしない、当面現行緩和を継続-内田日銀副総裁(Bloomberg)
【考察】午前ほど強いハト派発言はなく、市場が安定すれば追加利上げには変わりない。かつ今後の日銀政策運営への不信感も拭えていないためか、切番148.00や1H足戻り高値147.46からの戻り売りの押され、Sell the factの様な動きで下落。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
20:48~要人発言
為替は特定の水準ではなく、ボラティリティーを注視-三村財務官(Bloomberg)
【考察】急変動牽制発言
26:00 経済指標
米国10年債入札(Upcoming Auctions)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
発行額(Offering Amount):390億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.276%、結果3.960%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.58倍、結果2.32倍(×)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回67.61%、結果66.17%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回-1bps、結果+3.1bps(×)。3.960-3.929=0.031
WI:3.929%
【考察】入札不調
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値144.32
取引開始直後、日足安値144.30を付けると前日材料交錯を引き継いで東京オープン後まで乱高下。
ところが、内田日銀副総裁から7/31植田日銀総裁のタカ派発言を完全に覆す強烈なハト派発言が出たことで、日銀早期追加利上げ観測後退。一気に144.77から日足高値147.91へ3.14円急騰。
しかし、午後の内田日銀副総裁会見では、午前ほど強いハト派発言はなく、市場が安定すれば追加利上げには変わりない。かつ今後の日銀政策運営への不信感も拭えていないためか、切番148.00や1H足戻り高値147.46からの戻り売りの押され、Sell the factの様な動きで東京引けに掛けて下落しました。
東京終値146.97
【日本市況】株続伸、日銀副総裁がハト派発言-円下落し一時147円台(Bloomberg)
欧米マーケット:
東京後半の流れを引き継いで欧州オープン直後に146.09まで下押しするも、欧州株上昇(円キャリー促進)に連れて147.64へまで上昇する乱高下。
NYマーケットに入ると、米国10年債入札(弱)を受けた米国株下落(円キャリー巻き戻し)となりドル円も下落して引けました。
日足終値146.71
総じて、内田日銀副総裁のハト派発言による日銀早期追加利上げ観測後退で約3.1円急騰(日足高値147.91-直前144.77)。
その後、米国10年債入札(弱)、地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)交錯し、8/6日足高値146.38付近から日足高値147.91間を乱高下となりました。
【米国市況】円は対ドル146円台後半、入札不調で国債に売り-株失速(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル買い優勢>
買い材料:
・米国10年債入札(弱)
・原油先物価格上昇→インフレ懸念
・スワップ4倍デー
売り材料:
<円売り優勢>
買い材料:
・米国株下落(円キャリー巻き戻し)
売り材料:
・内田日銀副総裁の強烈なハト派発言→日銀早期追加利上げ観測後退→日本国債利回り低下、日本株、欧州株上昇(円キャリー促進)
・原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・スワップ4倍デー
・恒常的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増[特に夏ボーナス買い]、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回9月18日公表:25bps引き下げ29.5→31.5%、50bps引き下げ70.5→68.5%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:8月陰線形成中。上昇トレンドからレンジ移行中。20MA下抜けから下ヒゲで戻し上昇中。
- 週足:8/5週、陰線形成中。レンジ。押し安値下抜けから下ヒゲで戻し上昇中。
- 日足:8/6トウバ。下降トレンド。
- 4H足:レンジ。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値145.862をダウ上昇→目標日足高値146.375
(B)1H足押し安値143.461付近へ下落→転換上昇→目標4H足押し安値144.189
②Short
(C)4H足押し安値144.189をダウ下落→目標1H足押し安値143.461
(D)1H足押し安値143.461をダウ下落→目標1H足押し安値142.630
8月通算:5勝1敗、勝率83.3%、+187.1pips
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