ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
(1)経済指標
・日銀、国債買入オペ通知
・日銀、需給ギャップと潜在成長率
・米国ADP雇用者数
・米国貿易収支
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数
・米国PMI確報値(サービス業、総合)
・米国耐久財受注確報値
・米国製造業新規受注
・米国ISM非製造業景気指数
・米国アトランタ連銀GDP Now
・米国FOMC議事要旨
(2)要人発言
・政府、日銀円安牽制発言
・FRB要人発言
(3)その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。
特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・欧州政情不安リスクオフ
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
・連合春闘最終回答集計結果公表
・新紙幣発行(1万円札:渋沢栄一、5千円札:津田梅子、千円札:北里柴三郎)
・米国独立記念日前日(短縮取引)
・スワップ3倍デー
(4)参考情報
【日本株週間展望】上昇、国内金利高で金融株買い-米雇用にらむ(Bloomberg)
(5)本日の注目材料
①前日NYマーケットの影響
米国パウエルFRB議長はハト・タカ派交錯でしたが、市場はハト派発言を好感してリスクオン米株上昇となりました。前日はリスクオン日本株上昇に連れてドル円も上昇していることから、本日も米株上昇を好感した日本株上昇になればドル円上昇スタートを想定します。
②日銀早期金融政策正常化観測、政府・日銀為替介入観測
7月に入り162円台目前を推移しており、政府・日銀為替介入警戒感、強い円安牽制発言が続くことが想定されます。
一方で、恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、日本デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)に加え、新規円売り(自動車認証不正問題の日本経済悪化波及、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)も生じていることから、ドル円下落は一時的で押し目が入りやすい相場環境は続くと考えます。
③FRB要人発言
前日のパウエルFRB議長発言は、ハト・タカ派発言が交錯しドル円も乱高下しました。FOMC公表後の発言と比べれば、最近のインフレ指標の鈍化を受けてハト派寄りでしたが、更なるデータが必要とのスタンスに変りありません。
基本は(a)ですが、(b)でドル円下落しても一時的で押し目買い機会と考えます。
(a)タカ派発言→米国債利回り上昇→ドル円上昇
(b)ハト派発言→米国債利回り低下→ドル円下落
④米国経済指標
注目度の高い指標が続きます。前日パウエルFRB議長の更なるデータが必要とのスタンスから、下記(a), (b)を想定します。
(a)強い数値→ドル円上昇
(b)弱い数値→ドル円下落一時的。上昇へ転換。
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行)
(発表日:5/7, 5/13, 5/17, 5/23, 5/31, 6/7, 6/12, 6/18, 6/24, 6/28, 7/3, 7/10, 7/17, 7/23, 7/29)
1年以下:前回1500億円、結果1500億円(○)
1~3年債:前回3750億円、結果3750億円(○)
3~5年債:前回4250億円、結果4250億円(○)
10~25年債:前回1500億円、結果1500億円(○)
【考察】
発表前:7月日銀会合公表で国債買い入れ減額となるため、それまでは3月会合決定方針通りの据え置き見込み。直前161.55。
発表後:据え置き。ドル円上昇継続。
14:00 経済指標
日銀、需給ギャップと潜在成長率
需給ギャップ:日本経済全体の「潜在的な供給力」と「実際の需要」の差。需要が供給力を上回りプラスになると物価上昇、需要不足でマイナスになると物価下落の傾向。
前回-0.02%(改定-0.03)、結果-0.66%(×)
潜在成長率:は設備などの資本、労働力、生産性の供給能力をどれだけ増大させられるかを示します。
日銀試算の需給ギャップ、16四半期連続マイナス-1~3月(Bloomberg)
【考察】需給ギャップは16四半期連続マイナス→日銀追加利上げ観測後退。ドル円上昇。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
16:31 要人発言
24年賃上げ平均5.1% 連合最終まとめ、33年ぶり5%超(日本経済新聞)
【考察】賃上げ目標5%以上達成→日銀追加利上げ観測。ドル円下落するも全戻し。
20:00~要人発言
米国ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁(2024年FOMC投票権あり)
(過去の発言:4/11, 4/15, 4/18, 5/6, 5/16, 5/30, 6/18, 7/1, 7/3)
:政策スタンスは中立。前回7/1金融政策へのコメントなし
中立金利は上昇していない、NY連銀総裁が推計値を引用して反論(Bloomberg)
【考察】金融政策へのコメントなし
21:15 経済指標
米国ADP雇用者数(発表日:7/6, 8/2, 8/30, 10/4, 11/1, 12/5, 1/4, 1/31, 3/6, 4/3, 5/1, 6/5, 7/3)
後日発表の米国雇用統計との差異も注目されます。
前月比:前回15.2万人(改定15.7)、予想15.8万人、結果15.0万人(×)
【考察】弱い数値。ドル円下落
21:30 経済指標
米国貿易収支
前回-746億ドル(改定-745)、予想-765億ドル、結果-751億ドル(○)
21:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回23.3万件(改定23.4)、予想23.5万件、結果23.8万件(×)
米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回183.9万件(改定183.2)、予想184.0万件、結果185.8万件(×)
【考察】直前の米国ADP雇用者数(弱)に続いて、米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数(弱)からドル円急落。但し、7/2米国JOLTS求人件数(強)と傾向が一致していないことから、本日の米国ISM非製造業雇用への注目度があがったか。
22:45 経済指標
米国PMI確報値
(速報値発表日:5/23, 6/23, 7/24, 8/23, 9/22, 10/24, 11/24, 12/15, 1/24, 2/22, 3/21, 4/23, 5/23, 6/21)
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
サービス業:前回55.1、予想55.1、結果55.3(◎)
総合:前回54.6、予想54.6、結果54.8(◎)
【考察】強い数値。161.60から一旦上昇。
23:00 経済指標
米国耐久財受注確報値:設備投資の先行指標
前月比:前回0.1%(改定)、予想0.1%、結果0.1%(○)
コア前月比:前回-0.1%(改定-)、予想-0.1%、結果-0.1%(○)
23:00 経済指標
米国製造業新規受注
前月比:前回0.7%(改定0.4)、予想0.3%、結果-0.5%(×)
23:00 経済指標
米国ISM非製造業景気指数(ISM Report On Business)
(過去の発表日; 7/6, 8/3, 9/6, 10/4, 11/3, 12/5, 1/5, 2/5, 3/5, 4/3, 5/3, 6/5, 7/3)
景気の先行指標として注目度大。
基準50、前回53.8(改定)、予想52.5、結果48.8(×)
・仕入価格:前回58.1、予想56.7、結果56.3(×)
・新規受注:前回54.1、予想53.6、結果47.3(×)
・雇用:前回47.1、予想49.5、結果46.1(×)
米ISM非製造業景況指数、6月は活動縮小示唆-4年ぶり低水準(Bloomberg)
【考察】
発表前:米国ADP雇用者数(弱)、米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数(弱)を受けてドル円下落。直前161.70。
発表後:全て弱い数値のサプライズ。ドル円急落し日足安値160.77付け(下落幅=161.70-160.77=0.93)。
その後、リスクオン米株上昇で下げ止まり、切番161.00かつ日足押し安値160.79の押し目買いによりドル円上昇へ転換。
24:42 報道
バイデン氏、候補辞退への圧力一気に強まる-再選断念を検討とNYT(Bloomberg)
【考察】トランプ氏返り咲き確度増→インフレ懸念からドル円上昇
24:30 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com)
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 6/3, 6/6, 6/7, 6/18, 6/20, 6/27, 6/28, 7/1, 7/3, 7/10, 7/16, 7/17, 7/24, 7/26)
Q2:前回1.7%、予想1.7%、結果1.5%(×)
【考察】弱い数値。ドル円下落から全戻し。
27:00 経済指標
米国FOMC議事要旨
(過去の発表日:7/5, 8/16, 10/11, 11/21, 1/3, 2/21, 4/10, 5/22, 7/3)
FOMC、インフレ鈍化のさらなる証拠を待つ-6月議事要旨(Bloomberg)
【考察】タカ派内容。ドル円上昇。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値161.47
取引開始直後に日通し安値161.39を付けてからは、前日米国パウエルFRB議長ハト派発言を好感したリスクオン米株上昇が日本株上昇(円キャリー促進)波及、日銀国債買い入れオペ通知据え置き、日銀需給ギャップ16四半期連続マイナスを受けて、東京始値161.49から東京高値161.90(3営業日連続で38年ぶり高値更新)を付けました。
東京終値161.87。
【日本市況】株4日続伸、円38年ぶり安値を連日更新-超長期債が下落(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン前に日通し高値161.94を付けると、162円台目前での為替介入警戒感や連合春闘最終結果発表を控えた警戒から161.67へ急落。
欧州オープンすると、リスクオン欧州株上昇と連合春闘最終結果は賃上げ目標5%以上達成が交錯し、ドル円乱高下。
しかしながら、7/1日本GDP下方修正や本日の日銀需給ギャップ16四半期連続マイナス等で日銀追加利上げ困難の見方も根強く、ドル円上昇継続し日足高値161.95を付けました。
米国ADP雇用者数(弱)に続いて、米国新規失業保険申請件数・米国失業保険継続申請件数(弱)、米国ISM非製造業サプライズ(弱)を受け急落し、日足安値160.77付け(下落幅=161.70-160.77=0.93)。
切番161.00かつ日足押し安値160.79で下げ止まると、米国バイデン大統領の再選断念検討報道が出てたことでトランプ氏返り咲き確度増のインフレ懸念、リスクオン米株上昇、米国FOMC議事要旨タカ派内容を受けてドル円急上昇。
米国独立記念日前日の短縮取引でしたが、引けに掛けて上昇継続しました。
日足終値161.71
米国経済指標(弱)ドル売りでも円買い繋がないところか、輪を掛けて円売りが続いています。リスクオン株上昇とドル円上昇が高相関になっており、米利下げしてもドル円下落ではなくドル円上昇の可能性が示唆されます。
【米国市況】S&P500が再び最高値、利下げ観測で-161円台後半(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売り優勢>
買い材料:
・米国PMI確報値(強)
・米国バイデン大統領、再選断念検討報道:トランプ氏返り咲き確度増→インフレ懸念
・米国FOMC議事要旨のタカ派内容
・原油先物価格上昇→インフレ懸念
売り材料:
・米国ADP雇用者数、米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国ISM非製造業景気指数(弱)
<円売り優勢>
買い材料:
・日銀7月会合での国債買い入れ減額、追加利上げ警戒感
・連合、春闘最終結果:賃上げ目標5%以上達成
売り材料:
・7/2米国パウエルFRB議長ハト派発言を好感したリスクオン米株上昇→日本株上昇(円キャリー促進)
・日銀、国債買い入れオペ通知:据え置き
・日銀、需給ギャップ:16四半期連続マイナス→日銀追加利上げ観測後退。
・米国ADP雇用者数、米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数、米国ISM非製造業景気指数(弱)好感→リスクオン米株上昇(円キャリー促進)
・原油先物価格上昇→日本貿易収支悪化
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・新規円売り(自動車認証不正問題、インバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回7月31日公表:据え置き91.2%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ66.5%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:7月陽線形成中。上昇トレンド。
- 週足:7/1週、陽線形成中。上昇トレンド。
- 日足:7/2コマ足陰線。上昇トレンドの調整波。
- 4H足:上昇チャネルの下限付近。
- 1H足:下降トレンドの調整波。
- 15M足:三角持ち合いの中心付近。
【シナリオ】
①Long
(A)1H足押し安値161.319付近へ下落→転換上昇→目標4H足ダウ高値161.674
(B)日足高値161.734をダウ上昇→目標切番162.000
(C)4H足押し安値161.000付近へ下落→転換上昇→目標1H足押し安値161.319
②Short
(D)4H足ダウ高値161.674付近へ上昇→1H足押し安値161.319かつ1H足20MAをダウ下落→目標4H足押し安値161.000
7月通算:3勝1敗、勝率75.0%、+51.5pips
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