ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)4/30の欧米マーケット影響
欧州オープン後、上値157.00付近で揉み合い続くも米国雇用コスト指数の1年ぶりの強い数値を受け157円台乗せ。その後、米国住宅価格指数・米国S&Pケースシラー住宅価格の強い数値と米国シカゴ購買部協会景気指数・米国コンファレンスボード消費者信頼感指数の弱い数値が交錯するも引けに掛けて上昇継続し、日足高値157.85到達。4/29ドル円暴落に対し約61.8%戻し。
日足終値157.81
(2)経済指標
・米国ADP雇用者数
・米国PMI確報値(製造業)
・米国建設支出
・米国JOLTS求人件数
・米国ISM製造業景気指数
・米国FOMC公表(FRB政策金利、声明)
(3)要人発言
・政府日銀円安牽制
・パウエルFRB議長会見
(4)その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。
特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・欧州祝日休場(レイバーデー)
・米国主要企業決算
・中東地政学リスクオフ
本日の注目材料は3点。
①4/29政府日銀為替介入観測の影響
介入観測後のドル円暴落から158円台目前まで値を戻しました。ファンダメンタルズはドル円上昇に傾いていますが、160円付近は介入防衛ラインとして意識されており突発的な急落に要警戒。総じて、チャネル状のじり上げを想定します。
日本当局の円買い介入、実施の有無を見分ける方法-QuickTake(Bloomberg)
②米国経済指標・要人発言
最大の注目はFOMC公表とパウエルFRB議長会見。市場コンセンサスは政策金利据え置きですが、インフレ高止まりが続いていることから、タカ派声明・発言となる可能性が高く、再び160円突破があり得ます。但し、160円突破となれば追加の政府・日銀為替介入への警戒感が一気に高まりますが、投機筋ではなくファンダメンタルズに基づいた上昇になることから介入の可能性は低いと推測します。
一方、4/23米国PMI速報値や4/25米国実質GDPは大きく悪化しており、サプライズの景気後退懸念やハト派発言が出ればドル円急落もあり得ます。歴史的水準まで積み上がったIMM通貨先物(ポジション推移)の円売りポジションを解消する理由付けに利用されて巻き戻しの円買いが発生すれば150円台を目指す可能性もあります。
FOMC公表前にも注目度の高い米国経済指標が続きます。「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きを想定します。一方、弱い数値が出ても単発データでFRB利下げ前倒しの可能性は低く、ドル円下落は一時的となり押し目買いの機会になりやすいです。
③中東、ウクライナ、ロシア地政学リスクオフ
各地域で軍事行動が活発化。特にイスラエルを巡る中東地政学リスクオフに関するヘッドラインに注視したい。
原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い材料交錯しますが、基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすい。
戦闘激化となれば一時的に強いリスクオフに伴うドル円急落に警戒必要ですが、この場合でも押し目買いの機会になりやすいと推測します。
マーケットの動き
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
13:00 要人発言
日銀当座預金増減要因と金融調節(4月実績)
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:15 経済指標
米国ADP雇用者数(過去の発表日:5/3, 6/1, 7/6, 8/2, 8/30, 10/4, 11/1, 12/5, 1/4, 1/31, 3/6, 4/3, 5/1)
後日発表の米国雇用統計との差異も注目されます。
前月比:前回18.4万人(改定20.8)、予想18.0万人、結果19.2万人(○)
【考察】強い数値→ドル円上昇。
21:30 要人発言
米財務省、四半期入札の規模を据え置き-5月から買い戻し開始(Bloomberg)
【考察】警戒されていた規模拡大(米国債流通量増→価格低下→利回り上昇)がなく、加えて買戻し計画発表(米国債流通量減→価格上昇→利回り低下)によりドル円下落。
22:45 経済指標
米国PMI確報値
(速報値発表日:4/21, 5/23, 6/23, 7/24, 8/23, 9/22, 10/24, 11/24, 12/15, 1/24, 2/22, 3/21, 4/23)
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
製造業:前回49.9、予想49.9、結果50.0(◎)
【考察】強い数値→ドル円上昇。
23:00 経済指標
米国建設支出
前月比:前回-0.3%(改定0.0)、予想0.2%、結果-0.2%(×)
23:00 経済指標
米国JOLTS求人件数(過去の発表日; 5/2, 5/31, 7/6, 8/1, 8/29, 10/3, 11/1, 12/5, 1/3, 1/30, 3/6, 4/2, 5/1)
(Bureau of Labor Statistics)
前回875.6万件(改定881.3)、予想868.9万件、結果848.78万件(×)
3月の米求人件数、21年以来の低水準-労働市場の軟化進行を示唆(Bloomberg)
23:00 経済指標
米国ISM製造業景気指数:景気の先行指標として注目度大(
Institute for Supply Management)
(発表日; 5/1, 6/1, 7/3, 8/1, 9/1, 10/2, 11/1, 12/1, 1/3, 2/1, 3/1, 4/1, 5/1)
基準50、前回50.3(改定)、予想50.1、結果49.2(×)
・仕入価格:前回55.8、予想55.1、結果60.9(◎)(2022年6月以来の高水準)
・新規受注:前回51.4、予想51.0、結果49.1(×)
・雇用:前回47.4、予想48.2、結果48.6(◎)
米ISM製造業指数、再び縮小圏-仕入れ価格は22年以来の高水準(Bloomberg)
【考察】
発表前:揉み合いから、米国中長期債四半期入札規模据え置き、買戻し計画発表でドル円下落。
発表後:米国JOLTS求人件数と米国ISM製造業景気指数(弱)で日通し安値157.38へ急落。しかしながら、米国ISM製造業仕入価格サプライズ(強)を受け全戻し上昇。その後、注目のFOMC公表・パウエルFRB議長会見控えて揉み合い。
27:00 経済指標
米国FOMC公表
(過去の発表日; 3/22, 5/3, 6/14, 7/26, 9/20, 11/1, 12/13, 1/31, 3/20, 5/1, 次回6/12)
(Federal Open Market Committee)
①FRB政策金利:前回5.25-5.50%、予想5.25-5.50%、結果5.25-5.50%(○)
②FOMC声明:保有証券の縮小ペース、6月から減速-国債償還を減額(Bloomberg)
・インフレ懸念のタカ派発言。
・バランスシート
量的引き締め(QT)償還月額上限: 前回600億ドル、予想300億ドル、結果250億ドル(×)。6月1日かQT鈍化予定。
住宅ローン担保証券(MBS)償還月額上限: 前回350億ドル、予想350億ドル、結果350億ドル(○)
【考察】
発表前:注目の米国国債買入れ計画発表と米国経済指標を受けて揉み合い。直前157.64。
発表後:声明文はインフレ懸念のタカ派発言とサプライズQT減速が交錯。QT減速のインパクトが強くドル円下落。
27:30~ 要人発言
米国パウエルFRB議長
(過去の発言:12/1, 12/13, 1/31, 2/5, 3/6, 3/7, 3/20, 3/22, 3/29, 4/3, 5/1)
:政策スタンスは中立。前回4/3タカ派・ハト派発言
【考察】初動は利下げ否定のタカ派発言でドル円上昇。しかし、警戒されていた追加利上げ示唆なく、次回会合でも利上げ否定。総じてハト派と判断され、日通し安値157.00へ下落。米株上昇リスクオン円売りが支えとなりドル円急落なし。
会見終盤から会見後、切番157.00ではショート勢決済や押し目買い入りやすく再上昇。結局、市場は高金利維持長期化を懸念して、米国債利回り上昇・米株下落へと転換。公表後のドル円下落はほぼ全戻しになりました。
29:09 ~
政府・日銀為替介入観測
【考察】NYクローズ後、直前157.59から日足安値153.00へ急落。
後日、8/7(水)外国為替平衡操作の実施状況(日次ベース)(4月-6月)(財務省)で、介入額3兆8700億円と判明。
4月29日の円買い介入、過去最大の5.9兆円-34年ぶり円安局面で(Bloomberg)
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値157.81
取引開始後に日通し安値157.66を付けた後、「前日の米国雇用コスト指数(強)の影響や本日米国FOMC公表・パウエルFRB議長のタカ派姿勢観測」ドル買いと、「政府・日銀為替介入警戒感・日本株下落・日銀国債買い入れ減額観測・原油先物価格下落」円買い、「4/26日銀緩和政策継続・植田日銀総裁ハト派姿勢影響継続」円売り材料交錯ながらもドル買い優勢で東京高値157.93へじり上げ。
きょうの国内市況(5月1日):株式、債券、為替市場(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン直後、日足高値157.99付けて揉み合っていましたが、
米国ADP雇用者数(強)により初動ドル円上昇。しかし、直後に発表された米国中長期債四半期入札規模が据え置き、加えて買戻し計画発表によりドル円下落。
次いで、米国JOLTS求人件数(弱)、米国ISM製造業景気指数(弱)により日通し安値157.39へ急落。しかしながら、米国ISM製造業景気指数中身の仕入価格がサプライズの強さだったことでインフレ懸念から全戻し上昇。
注目の米国FOMC公表はサプライズのQT減速と声明文タカ派が交錯でしたが、QT減速のインパクトが強くドル円下落。
パウエルFRB議長会見はインフレ懸念のタカ派発言ありながらも、追加利上げ否定のハト派発言を受けて日足通し157.00へ到達。
ですが、会見終盤から会見後、切番157.00ではショート勢決済や押し目買い入りやすく再上昇。結局、市場は高金利維持を懸念して、米国債利回り上昇、米株下落へ転換し、公表後のドル円下落はほぼ全戻しになりました。
ところが、NYクローズ後、閑散相場を狙った想定される政府・日銀為替介入観測発生。
直前157.59から4/29政府・日銀為替介入観測の日足安値154.54を下抜けて、日足安値153.00へ約4.6円暴落。
日足終値154.44
【米国市況】円は一時153円台に突入、FOMC後に米国債利回り低下(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売り優勢>
買い:
・前日の米国雇用コスト指数(強)の影響
・米国FOMC公表・パウエルFRB議長のタカ派姿勢観測
・米国ADP雇用者数(強)、米国PMI確報値(強)、米国ISM製造業仕入価格(強)
・米国FOMC公表(タカ派声明)
売り:
・米国中長期債四半期入札規模据え置きかつ買戻し計画発表
・米国JOLTS求人件数(弱)、米国ISM製造業景気指数(弱)
・米国FOMC公表(QT減速)
・原油先物価格下落→巻き戻し
<円売買交錯>
買い:
・政府・日銀為替介入警戒感、介入観測
・日本株下落リスクオフ
・米国債利回り上昇連動の日銀国債買い入れ減額観測
売り:
・4/26日銀緩和政策継続・植田日銀総裁ハト派姿勢影響継続
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回6月12日公表:据え置き90.9%
初回利下げ観測11月7日公表:25bp引き下げ43.5%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当
テクニカル分析
トレード
- 月足:4月陽線確定。上昇トレンド。
- 週足:4/29週、陰線形成中。上昇トレンド。
- 日足:4/30陽線。上昇トレンド。
- 4H足:レンジ内、上昇トレンド。
- 1H足:上昇チャネル。
- 15M足:上昇チャネル。
【シナリオ】
①ロング
(A)日足高値157.848をダウ上昇→目標1H足押し安値158.192
(B)1H足押し安値158.192をダウ上昇→目標1H足戻り高値159.385
(C)4H足押し安値156.745付近へ下落→転換上昇→目標4H足押し安値157.459
②ショート
(D)4H足押し安値157.459かつ1H足20MAをダウ下落→目標4H足押し安値156.745
5月通算:0勝1敗、-14.2pips
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