2024年7月29日(月)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日銀、国債買入オペ通知

2.要人発言
・政府円安牽制、利上げ発言:日銀会合ブラックアウト期間(7/28~7/31)
・FEDウォッチャー、WSJ紙のニック氏(Twitter):FRBブラックアウト期間(7/20~7/31)につき

3.その他
・スポット応当日
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・米国主要企業決算
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)

4.参考情報
FRB議長は利下げ示唆か-米国、日本、英国が金融政策決定会合(Bloomberg
来週の円相場は下落か、日米金融政策決定後に円売り再開の可能性(Bloomberg
【債券週間展望】日銀利上げでも長期金利上昇は限定か、一定織り込み(Bloomberg
【日本株週間展望】値固め、日米金融政策発表後に買いも-円高は警戒(Bloomberg

5.本日の注目材料

(1)前日マーケット影響
7/26注目の米国PCE、PCEデフレータは総じて強い数値。概ね予想通りでしたが、対前回の弱い数値がインフレ鈍化として材料視され日足安値153.10へ急落するも、米国株上昇(円キャリー促進)が支えとなり、153.88へと約半値上昇で引けました。

従って、本日スタートは下記(a),(b)が交錯しやすくドル円も方向性乏しい展開を想定。

(a)米国PCE、PCEデフレータの対前回の弱い数値の影響継続→ドル売り
(b)米国株上昇に連れて日本株上昇(円キャリー促進)→円売り

一方、上値155.00、下値152.00付近が堅く、4H足レベルのレンジ上限や下限付近に相当します。
4H足レンジをブレイクする材料として7/31日銀会合・FOMC公表が想定されますので、それまでは155.00付近へ上昇なら戻り売り、152.00付近へ下落なら押し目買いが優勢と考えます。

(c)上値:7/26日足高値154.74、切番155.00付近は円キャリー巻き戻しが意識
(d)下値:7/25日足安値151.94、月足・週足抵抗151.86、切番152.00付近は円キャリー促進が意識

(2)円安是正・利上げ発言の火消し
7/17に河野デジタル相が円安是正・利上げ発言が出た後、2日後の7/19に河野デジタル相から火消し発言と、鈴木財務相から河野デジタル相へ牽制発言がありました。この時は、巻き戻しのドル円上昇発生。
一方、7/22の茂木自民党幹事長の利上げ発言以降、本人火消しや鈴木財務相から苦言の牽制は出ていないことから、現状では7月日銀会合での利上げは既定路線だと判断できます。

しかしながら、連日日本株は下落しており、実際に日銀利上げとなれば更に株下落が懸念されることから、「茂木幹事長の火消し発言、鈴木財務相の茂木幹事長への牽制発言」が出る可能性はあります。発言有ればドル円上昇と考えます。

(3)ハリス氏、トランプ氏との支持率の差縮める-出馬表明から約1週間(Bloomberg
7/26から7/29取引開始時点のReal Clear Politicsの大統領勝利確率は、トランプ氏57から54%へ急低下、ハリス副大統領が35から39%へ急上昇しました。

従って、下記②政情不安リスクオフが優勢になってきました。
①ハリス副大統領の知名度や実績はトランプ氏に遠く及ばないと判断され、トランプトレード(株高、ドル高、金利高)加速
②バイデン大統領よりハリス副大統領の当選確率が高く、59歳と大幅な若返りにもなることから、米国政情不安リスクオフになりやすい。

つまり、下記(b)政情不安からドル円下落が生じやすいですが、(c)~(e)ドル円下支えの環境は変わりません。

(a)トランプ氏の大統領返り咲き確率増→インフレ懸念、株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇
(b)トランプ氏の大統領返り咲き確率減→ドル売り、株下落(円キャリー巻き戻し)→ドル円下落

(c)ドル円急落を好機とした、安値ドル調達需要(日本実需、新NISA等の米国投資目的)
(d)7月日銀会合では景気悪化懸念から追加利上げできないとの見方
(e)恒常的円売り材料の影響

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

7:10 報道
BOJ’s victory lap on deflation paves way for rate-hike cycler(Reuters

【考察】日銀利上げサイクル準備。

8:53 報道
日銀は今週利上げ適切か慎重に判断へ、物価は目標軌道も消費に弱さ(Bloomberg

【考察】経済成長や個人消費などの経済指標が弱いにも関わらず、7/31日銀会合での利上げに前向きな当局者がいることで、利上げへの警戒感は払拭できず。そのためか、ドル円下落点転換。

東京マーケット(9:00~15:00)

9:55 仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。年末・月末スポット応当日は仲値に向けて売買交錯しやすい。

*スポット:直物為替(直物取引)。原則、売買を契約した日(約定日)から2営業日後に受け渡しをする外国為替取引のことです。

*スポット応当日:スポットの受け渡し日のこと。年末、月末や四半期末には仲値に向けた実需勢等の売買が交錯しやすく荒い値動きが生じる可能性があります。

10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行
(発表日:6/76/126/186/246/287/37/107/17, 7/23, 7/29)
3~5年債:前回4250億円、結果4250億円(○)
5~10年債:前回4250億円、結果4250億円(○)
10~25年債:前回1500億円、結果1500億円(○)
25年超債:前回750億円、結果750億円(○)
物価連動債:前回600億円、結果600億円(○)

【考察】
発表前:
①7/26米国PCEデフレータ(対前回で弱)→米株上昇(円キャリー促進)→円売り
の流れを引き継いで日通し高値・東京高値154.35付けるも、
②日銀利上げサイクル準備、慎重判断報道(経済成長や個人消費などの経済指標が弱いにも関わらず利上げに前向きな当局者がいることで利上げ警戒感)→円買い
を受けてドル円下落。直前153.74

発表後:据え置き。初動153.84上振れるも、①&②の影響継続で日足安値153.01へ下落。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

29:00 報道
Japan taps brokerages to market JGBs abroad as BOJ steps back(NIKKEI Asia
財務省、日本国債の海外買い手探し

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値153.74
取引開始後は、
①7/26米国PCEデフレータ(対前回で弱)→米株上昇(円キャリー促進)→円売り
の流れを引き継いでドル円上昇スタートから日足高値・東京高値154.35を付けました。

その後、
②7/26米国PCEデフレータ(対前回で弱)の影響継続→ドル売り
③日銀利上げサイクル準備、利上げ慎重判断報道(経済成長や個人消費などの経済指標が弱いにも関わらず利上げに前向きな当局者がいることで利上げ警戒感)→円買い
④7/26米国PCEデフレータ(対前回で弱)の影響継続、日銀国債買いオペ通知据え置き→日本株上昇(円キャリー促進)→円売り

が交錯するも、②&③が強く、4H足レンジ高値154.31で抑えられると日足・東京安値153.01へ急落。一方、前日日足安値153.10かつ切番153.00付近からは、③の影響が強まり引けに掛けて揉み合いとなりました。
東京終値153.39

【日本市況】日経平均が一時1000円超高、米利下げ期待で債券・円上昇(Bloomberg

欧米マーケット:
①7/26米国PCEデフレータ(対前回で弱)の影響継続→欧州・米国株上昇(円キャリー促進)→円売り
②ユーロ売りドル買い(目立った材料ないことから、7/31日銀会合・FOMC公表の月末ポジション調整と推測)
③日銀利上げサイクル準備、利上げ慎重判断報道→円買い

欧州オープンすると、①と②でドル円上昇していましたが、154.00付近からは③も交錯し、引けに掛けて揉み合いました。
日足終値154.03

総じて、7/31日銀会合・FOMC公表控えた月末ポジション調整もしくは様子見から154.00付近での揉み合い展開となりました。

【米国市況】株はローテーション一服、中銀と決算待ち-ドル154円付近(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・月末の日銀会合やFOMC前のポジション調整と推測→ユーロ売りドル買い

売り材料:
・7/26米国PCEデフレータ(対前回で弱)の影響継続
・原油先物価格下落→インフレ懸念後退

<円買い優勢>
買い材料:
・日銀利上げ慎重判断報道(経済成長や個人消費などの経済指標が弱いにも関わらず利上げに前向きな当局者がいることで利上げ警戒感)
・原油先物価格下落→日本貿易収支改善

売り材料:
・7/26米国PCEデフレータ(対前回で弱)の影響継続→日本株、欧米株上昇(円キャリー促進)
・日銀、国債買い入れオペ通知:据え置き
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増[特に夏ボーナス買い]、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回7月31日公表:据え置き95.3→94.8%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ87.7→89.6%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利450~475bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:7月陰線形成中。上昇トレンド。ダウ高値151.86かつBB+1σ付近へ急落につき一旦反発上昇しやすい。
  • 週足:7/22週、陰線確定。上昇トレンド。押し安値ヒゲ先151.86かつBB-1σ付近へ急落につき、日足転換すれば20MAへ反発上昇しやすい。
  • 日足:7/26陰線コマ足。下降トレンドは崩れていないものの、下ヒゲピンバー・陰線コマ足と続いており下落の勢いストップ。4H足転換すれば、BB-1σや20MAへ反発上昇しやすい。
    一方、4H足レンジを下抜けるなら日足下降トレンド継続と判断したい。
  • 4H足:レンジ。日足下降トレンド継続か日足上昇転換かの分岐でのレンジ。つまり、4H足レンジ抜けまでは揉み合いやすい。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足レンジ高値153.872、1H足20MA、4H足20MAをダウ上昇→目標4H足レンジ高値154.307
(B)4H足レンジ高値154.307をダウ上昇→1H足レンジ高値154.614
(C)4H足レンジ安値152.614付近へ下落→転換上昇→目標日足安値153.100

②Short
(D)1H足レンジ安値153.498をダウ下落→目標日足安値153.100
(E)日足安値153.100をダウ下落→目標4H足レンジ安値152.614

7月通算:16勝9敗、勝率64.0%、+262.8pips

(Trading View)

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