ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・米国小売売上高
・米国鉱工業生産指数、米国設備稼働率
・米国アトランタ連銀GDP Now
・米国20年債入札
・カナダ消費者物価指数:6/25はドル円波及あり、7/16は米国小売売上高と交錯につき影響なし、
2.要人発言
・日銀ブラックアウト期間(日銀会合開催2営業日から会合当日まで:9/17~9/20)
・FEDウォッチャー、WSJ紙のニック氏(Twitter):FRBブラックアウト期間(FOMC開催前週の土曜日から公表翌日までの13日間:9/7~9/19)につき
3.その他
・日銀会合関連リーク報道
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)
4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②米国経済成長、③インフレ、④円キャリー取引(促進or巻き戻し)、⑤地政学リスクに分類できます。
・来週の円相場は下落か、米大幅利下げ観測の反動-日銀総裁会見警戒(Bloomberg)
・【債券週間展望】長期金利は上昇へ、米国の大幅利下げ観測は剥落公算(Bloomberg)
・【日本株週間展望】上値試す、日米金融政策の決定後に円高基調和らぐ(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)9/16(月)マーケット影響
FRB9月0.50%利下げ織り込み促進、米国政情不安リスクオフ、トランプトレードの逆回転(株売り、債券買い、ドル売り)で日足高値140.93から日足安値139.58へ急落しましたが、米国NY連銀製造業景気指数(強)を受けると、米国景気好感リスクオン株上昇(円キャリー促進)、原油先物価格上昇に連れて140.91へ急騰・小幅揉み合いとなりました。
材料不足のなか、ドル円反応が大きく現れて急落から急騰へほぼ全戻し。
未だにFRB9月利下げ幅の市場観測は0.25%と0.50%で割れており、本日手がかり材料としたい下記の米国小売売上高まで、方向感のない動きが続くと想定します。
(2)米国経済指標
本日の注目は、FRB9月利下げ幅の市場観測0.25%か0.50%の判断材料となる米国小売売上高です。(2024年、米国小売売上高発表日のドル円動きまとめ)
初動は数値の強弱でドル円は素直に反応しやすいですが、株価(円キャリー高進、巻き戻し)に連れて動きやすいため注意したい。
(a)強い数値→9月0.5%利下げ織り込み剥落→ドル円上昇
(b)強い数値→9月0.5%利下げ織り込み剥落→高金利長期化、景気減速懸念→リスクオフ株下落(円キャリー巻き戻し)→ドル円下落
(c)弱い数値→9月0.5%利下げ織り込み高進→ドル円下落
(d)弱い数値→9月0.5%利下げ織り込み高進→景気減速懸念後退→リスクオン株上昇(円キャリー促進)→ドル円上昇
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
9:42~要人発言
鈴木財務相
:前回8/23デフレ脱却未達、円安牽制発言。
注意払いながらしっかりみていくのが基本スタンス=為替で鈴木財務相(Reuters)
【考察】急変動牽制発言。ドル円急上昇のタイミングだったことで円安牽制と判断されたためか、ドル円下落。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
21:30 経済指標
カナダ消費者物価指数(CPI)
米国と貿易関係等で密接な関係であり、サプライズの数値は米国インフレの先行指標となり得ることから注目されます。
特に注目度の高い米国経済指標発表がない日は米国債利回りに波及しやすい。但し、あくまでカナダ指標であり短期的な影響に留まりやすい。
前月比:前回0.4%、予想0.1%、結果-0.2%(×)
前年比:前回2.5%、予想2.2%、結果2.0%(×)
6/25は米国債利回り上昇波及あり。
7/16は米国小売売上高と交錯につき影響なし。
8/20は米国債利回り低下波及あり。
カナダのインフレ率、中銀目標の2%に低下-大幅利下げに道筋(Bloomberg)
【考察】弱い数値でしたが、7/16と同じく注目の米国小売売上高が材料視。
21:30 経済指標
米国小売売上高
個人消費が米国GDPの約2/3を占めており、その動向を表す小売売上高の注目は高い。米国個人消費や米国消費者信頼感とも相関性があることからも重要な指標。特にコア指数が重要視されます。
(過去の発表日; 1/17, 2/15, 3/14, 4/15, 5/15, 6/18, 7/16, 8/15, 9/17)
前月比:前回1.0%(改定1.1)、予想-0.2%、結果0.1%(○)
コア前月比:前回0.4%(改定)、予想0.2%、結果0.1%(×)
米小売売上高、8月は予想外に増加-オンライン購入が支える(Bloomberg)
9月の米利下げ、市場の予想は50bpに傾く-小売売上高発表後も(Bloomberg)
【考察】
発表前:直前140.76。
発表後:強弱混在。しかし、重要視されるコア前月比(弱)にも関わらず、前月比(強)で消費は底堅いと判断され、米国景気減速懸念後退リスクオン(株買い、債券売り[利回り上昇]、ドル買い、円売り)によりドル円上昇。
市場のFRB9月0.50%利下げ観測は約60%で前日同様。
21:56~報道
レバノン各地でポケベルが爆発、ヒズボラ戦闘員ら約3000人負傷(Bloomberg)
【考察】中東地政学リスクオフ。
22:15 経済指標
米国鉱工業生産指数
鉱工業部門の生産動向を数値化したもので景気実態を把握する速報性に優れることから注目度が高い。
前回-0.6%(改定-0.9)、予想0.2%、結果0.8%(◎)
米国設備稼働率
生産能力に対する実際の生産量の比率。設備投資とインフレの先行指標であることから注目度高い。
前回77.8%(改定77.4)、予想77.9%、結果78.0%(◎)
【考察】強い数値。ドル円急騰継続。
25:00 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com)
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日:9/3, 9/4, 9/9, 9/17, 9/18, 9/27)
Q3:前回2.5%、予想2.5%、結果3.0%(◎)
【考察】強い数値。
26:00 経済指標
米国20年債入札(Upcoming Auctions)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
発行額(Offering Amount):130億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.160%、結果4.039%(◎)
応札倍率Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.54倍、結果2.51倍(×)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回71.0%、結果65.1%(×)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回-0.1bps、結果+2.0bps(×)。4.039-4.019=0.020
WI:4.019%
【考察】入札不調。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値140.61
取引開始後、前日米国NY連銀製造業景気指数(強)の影響継続、日本三連休明けのドル買い需要のためか、日通し高値141.25へ急上昇。
しかしながら、FRB9月0.50%利下げ観測(日米金利差縮小)を嫌気した株売り(円キャリー巻き戻し)と鈴木財務相の急変動牽制発言(ドル円急上昇直後のため、円安牽制と判断)を受けて、4H足20MAや1H足戻り高値141.23に押されて日通し安値140.32へ急落。
株売りが収まるとドル円も上昇に転じて引けました。
(1H足逆三尊右肩形成)
【日本市況】株式が続落、連休中の円一段高を嫌気-債券は上昇(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン直後、再び140.35へ下落するも、欧州株上昇(円キャリー促進)と全戻し。
その後、FRB9月利下げ観測0.25%か0.50%の判断材料として注目される米国小売売上高を控えて揉み合い。
米国小売売上高は強弱混在。重要視されるコア前月比(弱)でしたが、前月比(強)で消費は底堅いと判断され、米国景気減速懸念後退リスクオン(株買い、債券売り[利回り上昇]、ドル買い、円売り)によりドル円上昇。
更に、米国鉱工業生産指数・米国設備稼働率(強)、米国20年債入札(弱)を受けて引けまで上昇継続し日足高値142.47を付けました。
日足終値142.40
(月足押し安値付近で、日足明けの明星形成)
【米国市況】株ほぼ横ばい、利下げ幅で見方割れる-円下落し142円台(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル買い優勢>
買い材料:
・9/16米国NY連銀製造業景気指数(強)影響継続
・日本三連休明けのドル買い需要
・米国小売売上高前月比(強)
・米国鉱工業生産指数、米国設備稼働率(強)
・米国アトランタ連銀GDP Now(強)
・米国20年債入札(弱)
売り材料:
・FRB9月0.50%利下げ観測織り込み
・米国小売売上高コア前月比(弱)
・リビア石油輸出回復→原油先物価格下落
<円売り優勢>
買い材料:
・FRB9月0.50%利下げ観測織り込み→日米金利差縮小
・鈴木財務相の急変動牽制発言(ドル円急上昇直後のため、円安牽制と判断)
・リビア石油輸出回復→原油先物価格下落→日本貿易収支改善
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以下推移→日本企業業績悪化・株下落懸念(円キャリー巻き戻し)
売り材料:
・欧米株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回9月18日公表:25bps引き下げ38.0→37.0%、50bps引き下げ62.0→63.0%
年内利下げ観測:25bps×4回=100bps → 政策金利425~450bps相当
テクニカル分析
トレードシナリオと結果
- 月足:9月陰線形成中。レンジ。押し安値付近。
- 週足:9/16週、下ヒゲピンバー形成中。下降トレンド。
- 日足:9/16下ヒゲピンバー。
- 4H足:レンジ。戻り高値付近
- 1H足:上昇トレンド。
- 15M足:上昇チャネル。
【シナリオ】
①Long
(A)9/13日足安値140.284付近へ下落→転換上昇→目標1H足レンジ安値140.638
(B)1H足戻り高値141.092をダウ上昇→目標1H足戻り高値ヒゲ先141.421
②Short
(C) (A)後、9/13日足安値140.284かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足押し安値139.882
(D)1H足戻り高値ヒゲ先141.421付近へ上昇→転換下落→目標1H足戻り高値141.092
本日:シナリオ外のためトレードなし
9月通算:12勝8敗、勝率60.0%、RR2.09 、+166.6pips
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