ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)1/17の欧米マーケット影響:注目度が高い日銀金融政策決定会合控えて、政策修正・据え置き観測交錯でドル円上下に振れる展開。加えて、財務省の想定金利引き上げ観測報道、米国金融企業決算不調でリスクオフ円買い優勢となりややドル円下落。
(2)日本経済指標・要人発言:日銀金融政策決定会合、黒田日銀総裁会見
(3)米国経済指標(⑥):米国小売売上高、米国生産者物価指数。
(4)米国要人発言(②):FRB要人発言。
1/18は日銀金融政策決定会合・黒田日銀総裁会見次第。政策据え置きが優勢であり、引き締め方向に修正有ればドル円急落、修正なければ政策修正織り込みのショートカバーでドル円急騰見込み。(Bloomberg)
材料交錯するような声明や発言であれば大きく乱高下するだけの可能性もあり。
米国小売売上高や米国生産者物価指数も注目度は高い為、日銀金融政策決定会合・黒田日銀総裁会見の影響が少なければ、これら米国経済指標でドル円は大きく動く見込み(リセッション懸念・インフレ鈍化の可能性高くドル円下落優勢の見込み)
モーニングサテライト、ドル円参考情報
ドル円予想レンジ:127.00~130.00
注目ポイント:日銀緩和の追加修正観測
12月下旬に日銀は長期金利の許容上限を引き上げており、今回は何もしない可能性がやや高い。
しかし、日銀政策で一番の問題は長期金利の上限制限。市場機能の回復を目指すのなら長期金利の変動制限撤廃が近道。
+0.50から+0.75%に変動幅拡大しても、また上限に張り付くだけで意味がない。
もし、変動制限撤廃決定なら、発表直後は円高に振れると思われる。だが、市場は10年スワップ金利1%前後まで織り込み済み。
変動制限撤廃で日本長期金利上昇すると米国長期金利も連動して上昇すると思われ、時間が経てば当面の円買い材料出尽くしで、ドル円は自律反発上昇する可能性がある。
その他、マイナス金利解除や何もしない現状維持、ということをあり得る。
もし、短期政策金利引き上げたなら大きく円高に振れる。ただ、米国が景気後退懸念の中、日銀が政策金利引き上げるとは考えにくい。
現状維持であれば、直後は円安に振れるが、金融緩和修正期待は残るため、円安効果は長続きしにくい。
どのような決定になっても、直後は大きく上下に振れやすいと思われる。
マーケットの動き
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
8:50 経済指標
日本機械受注11月度(日本経済新聞)
設備投資の先行指標。
前月比:前回5.4%、予想-1.1%、結果-8.3%(×)
前年比:前回0.4%、予想1.5%、結果-3.7%(×)
東京マーケット(9:00~15:00)
11:40 要人発言
日銀金融政策決定会合声明1月度(Bloomberg)
「各年限で買い入れ額の増額や指し値オペ実施」
「10年物国債金利0.5%の指し値オペ、毎営業日実施」
「必要なら躊躇なく追加緩和」
11:45 経済指標
日銀政策金利1月度(日本銀行)(過去の発表日:1/28, 3/18, 4/28, 6/17, 7/21, 9/22, 10/28, 12/20)
前回-0.1%、予想-0.1%、結果-0.1%(○)
【考察】
発表前:前回に続きYCC(長短金利操作)調整への警戒感から乱高下。
発表後:注目されたYCC長期金利の許容変動幅0.5%に据え置き、金融緩和継続のハト派発言。強烈な円売りでドル円急騰。
12:00 要人発言
経済・物価情勢の展望(日本銀行)(Bloomberg)
「物価見通し引き上げ 」
「GDP見通し引き下げ」
【考察】金融政策変更するレベルではないため、ドル円急騰継続。
13:30 経済指標
日本鉱工業生産確報値11月度
前月比:前回-0.1%、予想-0.1%、結果0.2%(◎)
前年比:前回-1.3%、予想-1.3%、結果-0.9%(◎)
日本設備稼働率確報値11月度
前月比:前回2.2%、予想2.2%、結果-1.4%(×)
15:30 要人発言
黒田日銀総裁(テレ東BIZ)(Bloomberg)
「金融緩和を継続し物価目標の達成を目指す」
「長期金利の変動幅をさらに拡大する必要はない」
【考察】長期金利の変動幅拡大否定、金融緩和継続のハト派発言でドル円再上昇。
しかし、日足20MA付近到達後、利確や参入してきた欧州勢戻り売りが一気に入りドル円急落。欧米勢は、今回日銀が金融政策修正を見送っても日本国内のインフレは続き、いずれは金融緩和修正に踏み切るとの思惑が根強いと判断している様子。
欧州マーケット(17:00~25:30)
21:00 経済指標
米国MBA住宅ローン申請指数:住宅販売数件数や住宅着工件数の先行指標
前週比:前回1.2%、結果27.9%(◎)
22:30 経済指標
米国小売売上高12月度(Bloomberg)
個人消費が米国GDPの約2/3を占めており、その動向を表す小売売上高の注目は高い。米国個人消費や米国消費者信頼感とも相関性があることからも重要な指標。
前月比:前回-0.6%(改定-1.0)、予想-0.9%、結果-1.1%(×)
コア前月比:前回-0.2%(改定-0.6)、予想-0.4%、結果-1.1%(×)
22:30 経済指標
米国生産者物価指数(PPI)12月度(過去の発表日; 8/11, 9/14, 10/12, 11/15, 12/9)(Bloomberg)
国内生産者が販売する商品やサービスの価格を把握する指標。FRBが金融政策を決定する上でインフレ変動を把握する重要指標。コア指数が特に重要。PPIは米国消費者物価指数(CPI)の川上に相当する指標でCPIより注目度は低い。「予想より高い数値→ドル買い材料」、「予想より低い数値→ドル売り材料」
前月比:前回0.3%(改定0.2)、予想-0.2%、結果-0.5%(×)
前年比:前回7.4%(改定7.3)、予想6.8%、結果6.2%(×)
コア前月比:前回0.4%(改定0.2)、予想0.2%、結果0.1%(×)
コア前年比:前回6.2%(改定)、予想5.4%、結果5.5%(○)
【考察】サプライズの弱い数値でドル円下落継続。
23:15 経済指標
米国鉱工業生産指数12月度(Bloomberg)
鉱工業部門の生産動向を数値化したもので景気実態を把握する速報性に優れることから注目度が高い。
前回-0.2%(改定-0.6)、予想-0.2%、結果-0.7%(×)
米国設備稼働率12月度
生産能力に対する実際の生産量の比率。設備投資とインフレの先行指標であることから注目度高い。
前回79.7%(改定79.4)、予想79.5%、結果78.8%(×)
【考察】弱い数値でドル円下落継続。
23:33 要人発言
米国ブラード・セントルイス連銀総裁(2023年FOMC投票権なし)(Bloomberg)
「インフレ抑制のために政策金利引き上げが必要」
「2023 年 12 月の金利予測は 5.25% ~ 5.5%」
【考察】タカ派発言でドル円上昇
NYマーケット(23:30~30:00)
24:00 経済指標
米国企業在庫11月度
前月比:前回0.3%(改定0.2)、予想0.5%、結果0.4%(△)
24:00 経済指標
米国NAHB住宅市場指数1月度
基準50、前回31、予想31、結果35(◎)
24:32 要人発言
FRB(Bloomberg)
「パウエル議長が新型コロナウイルス検査で陽性」
「症状は軽度」
【考察】2月FOMCには影響なさそうでドル円反応なし。
25:05 要人発言
米国メスター・クリーブランド連銀総裁(2023年FOMC投票権なし)(Bloomberg)
「2023年末の政策金利は5-5.25%をやや超えるべき」
「金利はまだ5%に達していない」
「利上げを一時停止する前に、インフレ低下を見る必要」
【考察】タカ派発言でドル円上昇
27:00 経済指標
米国20年債入札(Upcoming Auctions)
「入札好調→利回り低下→ドル売り材料」、「入札不調→利回り上昇→ドル買い材料」
最高落札利回り:前回3.935%、結果3.678%(◎)
【考察】入札好調でドル円下落
27:45 要人発言
米国ジョージ・カンザスシティ連銀総裁(2023年FOMC投票権なし)
「FRBは2%のインフレにコミット」
【考察】タカ派発言でドル円上昇
28:00 要人発言
米国ベージュブック(地区連銀経済報告)(Bloomberg)
FOMC開催の2週間前に公表。米国金利決定の材料とされるため注目度大。
「販売価格は大半の地区で緩慢あるいは緩やかなペースで上昇」
「上昇ペースが最近の報告期間から減速した」
「全般的な経済活動については、前回報告からほぼ変わらなかった」
【考察】インフレ上昇も鈍化傾向。材料交錯でドル円の反応薄。
29:27 要人発言
米国ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁(2023年FOMC投票権あり)
「12 月PPI データは、価格が冷え込んでいるサイン」
「今後は0.25%利上げが適切」
「今年、数回利上げすると予想」
【考察】ハト派発言。マーケットクローズ直前のため反応薄。
30:00 経済指標
米国対米証券投資11月度
米国人以外による米国債購入額を表す。米国への資金流出入が判り、金額が大きければ経常収支拡大。「予想より高ければドル買い材料」、「予想より低ければドル売り材料」
ネット長期フロー:前回678億ドル、結果1715億ドル(◎)
ネットTICフロー合計:前回1799億ドル(改定1793)、結果2131億ドル(◎)
東京マーケット:日銀金融政策決定会合で政策修正なし、黒田日銀総裁のハト派発言でドル円上昇。しかし、今回日銀が金融政策修正を見送っても日本国内のインフレは続き、いずれは金融緩和修正に踏み切るとの思惑が根強く、利確や戻り売りでドル円急落。
欧米マーケット:欧州勢参入からも戻り売り強くドル円下落継続。米国小売売上高・生産者物価指数・鉱工業生産指数・設備稼働率の弱い数値でドル円下落し、東京マーケットの上昇分を全戻し。その後、米国ブラード・セントルイス連銀総裁・米国メスター・クリーブランド連銀総裁・米国ジョージ・カンザスシティ連銀総裁のタカ派発言で上昇。
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
NYマーケットクローズ時点の通貨強弱
- CHF(リスクオフ通貨):
- GBP(リスクオン通貨):英国消費者物価指数の強い数値で買い。ハント英財務相のタカ派発言で買い。
- NZD(資源国リスクオン通貨):
- EUR(リスクオン通貨):ビルロワドガロー仏中銀総裁のタカ派発言で買い。欧州委員会副委員長のテクニカルリセッション回避発言で買い。
- USD(基軸通貨):米国経済指標が軒並み弱い数値で売り。株価先物・株価指数下落のリスクオフで買い。FRB要人発言のタカ派発言で買い。
- JPY(リスクオフ通貨):日銀金融政策決定会合で政策修正なし、黒田日銀総裁のハト派発言で売り。株価先物・株価指数下落のリスクオフで買い。
- AUD(資源国リスクオン通貨):株価先物・株価指数下落のリスクオフで売り。
- CAD(資源国[産油国]リスクオン通貨):
米国債イールドカーブ
1/18(水)は1/17(火)に対してブル(短期金利低下、長期金利低下、逆イールド拡大)でドル売り材料。日足ドルインデックスは十字線であり、ドルの動きが材料で相殺。つまり、ドル円上昇の主因は円売りと言える。
2月FOMCでの利上げ幅0.25%の市場コンセンサスは、93.2%から92.3%へ低下(CME FedWatch Tool)
テクニカル分析
ドル円トレード
- 月足:12月大陰線で引け。ボリンジャーバンド+1σ下抜け。
- 週足:1/26週、陽線形成中。下降トレンドの調整波。
- 日足:1/17陰線コマ足。
- 4H足:下降トレンドからレンジへ移行。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①ロング
(A)4H足レジスタンス129.303上抜け→レジサポ→目標4H足レジスタンス129.823
(B)4H足レジスタンス129.823上抜け→レジサポ→目標4H足レジスタンス130.411
②ショート
(C)1H足サポート127.359下抜け→レジサポ→目標4H足サポート126.975
(D)4H足サポート126.975下抜け→レジサポ→目標4H足サポート126.666
【前提】
目標:リスクリワード2.0以上、値幅20pips以上。しかし、目標到達付近で反発して15M足ダウ転換生じれば早めにT/Pする。
経済指標、要人発言や報道で大きく動いた際はレジサポなくともエントリー。
しかし、今回の日銀金融政策決定会合・黒田日銀総裁会見で急激な乱高下を生じる可能性ある為、イベント中は様子見の予定。
トレード1
日銀金融政策決定会合→129.823上抜け→レジサポなし(A)ロング
ロング:130.210
T/P:130.412
獲得pips:+20.2
1月通算:9勝7敗、勝率53.3%、平均RR 2.05、獲得Pips +253.0
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