2024年1月24日(水)ドル円戦略と結果

ファンダメンタルズ分析
テクニカル分析
1. トレード

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

＜注目材料＞
（１）1/23の欧米マーケット影響
日銀金融政策決定会合公表・植田日銀総裁会見の物価目標実現の確度が高まっているという初の文言追加がサプライズでドル円急落。しかし、植田日銀総裁会見でマイナス金利解除しても金融緩和継続を強調したことでドル円急騰。FRB早期利下げ観測後退による米国債利回り上昇もドル円上昇を後押し。148円台維持。

（２）経済指標
・日本通関ベース貿易収支
・米国PMI速報値
・米国5年債入札

（３）要人発言
・政府日銀急変動牽制（実質円安牽制）
・FEDウォッチャーであるWSJ紙のニック・ティミラオス氏(Twitter)：ブラックアウト期間(1/20～2/1)のため、いつもの様に発言や記事に要注意。

（４）その他
・第127回「経団連労使フォーラム」、春闘本格スタート
一段の賃上げへ交渉開始、24日に経団連労使フォーラム（日本経済新聞）
・中東地政学リスクオフ
・米国主要企業決算
【日本株週間展望】続伸へ、海外勢買い続く－日銀会合や機械決算注目（Bloomberg）
来週のドル・円は下落か、円安進行受け日銀総裁の発言タカ派化を警戒（Bloomberg）

本日の注目材料は3点。
①1/23日銀金融政策決定会合公表、植田日銀総裁会見の影響
前日東京マーケットでは、日銀金融政策決定会合・植田日銀総裁会見での物価目標実現の確度が高まっているという文言が材料視されドル円急落。しかし、欧米マーケットでは、植田日銀総裁会見「マイナス金利解除しても金融緩和継続」を強調したことが材料視されドル円急騰しました。金融緩和継続には変わりないことから、本日もドル円上昇優勢と推測します。

②米国経済指標
1/16（火）米国NY連銀製造業景気指数（弱）→急落から直ぐに全戻し。
1/17（水）米国小売売上高（強）→ドル円急上昇
1/18（木）米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数（強）、米国住宅着工・住宅建築許可件数（強）→急上昇。
1/19（金）米国ミシガン大学消費者信頼感指数速報値（強）、インフレ予測と米国中古住宅販売件数（弱）→乱高下。週末ポジション調整も混在。
1/22(月)米国景気先行指数（強）→一旦下押しから上昇。
1/23(火)米国リッチモンド連銀製造業指数（弱）→一旦下押しから上昇。

本日の米国PMI速報値は注目度は高く、先週からの傾向通り、強い数値なら素直にドル円上昇、弱い数値なら下落は一時的で上昇に転じやすいと推測します。

③中東地政学リスクオフ
中東地政学リスクオフ（原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い）による材料交錯が生じるため、どの材料の影響が強いか見極め必要。基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすいと考えます。

マーケットの動き

経済指標評価
(前回かつ予想より良い：◎、予想以上：〇、予想より悪い：△、前回かつ予想より悪い：×)

東京マーケット前

8:50 経済指標
日本通関ベース貿易収支
貿易赤字拡大は実需の円売り材料。
季調前：前回-7769億円（改定-7804）、予想-1230億円、結果621億円（◎）
季調済：前回-4089億円（改定-3506）、予想-4200億円、結果-4127億円（○）
輸出１年ぶり高い伸び、中国向け13カ月ぶりプラス－貿易黒字転化（Bloomberg）

【考察】貿易収支の強い数値は日銀早期政策修正観測となりドル円下落。

東京マーケット(9:00~15:00)

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)

23:45 経済指標
米国PMI速報値
（速報値発表日：1/24, 2/21, 3/24, 4/21, 5/23, 6/23, 7/24, 8/23, 9/22, 10/24, 11/24, 12/15, 1/24）
基準50。景気先行性高いため注目度高い。速報値は確報値より注目度高い。
製造業：前回47.9、予想47.6、結果50.3（◎）
サービス業：前回51.4、予想51.1、結果52.9（◎）
総合：前回50.9、予想51.1、結果52.3（◎）

【考察】強い数値でドル円上昇。

27:00 経済指標
米国5年債入札（Upcoming Auctions）
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。

最高落札利回り：前回3.801%、結果4.055%（×）
応札倍率：前回2.50倍、結果2.31倍（×）
外国中銀など間接入札者の落札比率：前回70.6%、結果60.94%（×）
テール(Bid利回りと落札利回りの差)：+2.0 bps（×）。2022年9月以来最大。
国債発行日前取引（WI）：4.035 %

【考察】入札不調でドル円上昇。

30:03 米国主要企業決算
テスラ
売上高：前回233.5億ドル、予想258.7億ドル、結果251.7億ドル（△）
EPS：前回0.66ドル、予想0.74ドル、結果0.71ドル（△）
テスラ、24年は成長ペース鈍化の見込み－決算は市場予想下回る（Bloomberg）

＜まとめ＞
東京マーケット：
日足始値148.37
日足高値148.40
東京始値148.25
東京高値148.26
東京安値147.75
東京終値147.88

【日本市況】長期金利が急騰、日銀修正観測強まる－円高や株安も進む（Bloomberg）
きょうの国内市況（１月24日）：株式、債券、為替市場（Bloomberg）

前日日銀金融政策決定会合公表での金融緩和継続を引き継がず、物価目標実現の確度が高まっているという初の文言追加がマイナス金利解除観測再燃につながり、日本国債利回り急騰から東京安値147.75へ急落。

欧米マーケット：
欧州始値147.80
日足安値146.65
NY始値146.69
NY終値147.61
日足終値147.52
【米国市況】Ｓ＆Ｐ500種５日続伸、米国債は下落－ドル一時146円66銭（Bloomberg）

欧州オープン後は、FRB3月利下げ観測再燃による米国債利回り低下も加わり日足安値146.65へ急落。NYオープン直後、FRB利下げ観測後退（米国PMI速報値の強い数値、米国5年債入札不調）で反発上昇。

総じて、日銀マイナス金利解除観測再燃（日本国債利回り上昇）でドル円下落、FRB利下げ観測後退（米国PMI速報値の強い数値、米国5年債入札不調）でドル円上昇。147円台中盤。

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

・1/24ドル売り買い交錯
ドル買い：FRB3月利下げ観測後退（米国PMI速報値の強い数値、米国5年債入札）
ドル売り：FRB3月利下げ観測再燃（米国債利回り低下）

・1/24円買い優勢
円買い：日銀マイナス金利解除観測再燃（日本通関ベース貿易収支の強い数値、日本国債利回り上昇、春闘賃上げ観測、日本株下落リスクオフ）
円売り：

物価高に負けない賃上げは「社会的責務」、鍵は価格転嫁－春闘幕開け（Bloomberg）

（Currency Strength Chart）

米国債イールドカーブ

1/24(水)は1/23(火)に対しベア（短期金利上昇、長期金利上昇）、逆イールド縮小。ドル買い材料一致(U.S. DEPARTMENT OF THE TREASURY)

FRB政策金利：525～550bps
FOMC見通し（CME FedWatch Tool）
次回公表24年1月31日：25bps引き下げ2.6%、据え置き97.4%
初回利下げ観測24年3月20日公表：25bp引き下げ58.4%
24年合計利下げ観測：25bps×6回=150bps → 政策金利375～400bps見込み

2023年12月13日FOMC政策金利見通し（Projection Materials）と1/24織り込み
24年：4.6%（米国1年債利回り4.83%）
25年：3.6%（米国2年債利回り4.38%）
26年：2.9%（米国3年債利回り4.19%）
Longer run: 2.5%（米国10年債利回り4.18%）
24年利下げ見通し：25bps×3回=75bps →政策金利450～475bps相当
実質金利=政策金利-総合CPI12月度前年比=5.5%-3.4%=2.1%

（現状の相関関係は、25bpsでドル円約3円変動）