2024年11月7日(木)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

1.経済指標
・日本毎月勤労統計
・日本10年債入札
・米国新規失業保険申請件数、米国失業保険継続申請件数
・米国非農業部門労働生産性指数、単位労働コスト速報値
・米国アトランタ連銀GDP Now
・米国FOMC公表
・BOE金融政策委員会

2.要人発言
・政府日銀円安牽制発言
・米国パウエルFRB議長

3.その他
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア)

4.参考情報
最近の相場を動かす主な材料は、①米国労働市場、②インフレ、③米国経済成長、④地政学リスク、⑤米国大統領選挙、⑥円キャリー取引(促進or巻き戻し)に分類できます。

5.本日の注目材料
(1)米国経済指標
注目は、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数と米国PCEデフレータです。
2024年9~10月、米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数発表日のドル円動きまとめ

(2)FOMC公表、パウエルFRB議長会見
2024年、米国FOMC発表日のドル円動きまとめ
市場コンセンサス通り(a)11月0.25%利下げでサプライズもないと見込まれています。(b)11月利下げなし(据え置き)なら強烈なサプライズ。
よって、市場の注目は(c),(d)12月会合の利下げ有無の示唆に移っていますが、米国大統領選挙でトランプ氏が勝利したことからインフレ懸念が高まり、(b)12月利下げなし(据え置き)が有力と想定します。

(a)市場予想通り11月0.25%利下げ→サプライズなしでドル円小幅下落か揉み合い。
(b)11月利下げなし(据え置き)→サプライズでドル円急騰。但し、リスクオフ株急落(円キャリー巻き戻し)ならドル円下落。
(c)12月利下げなし(据え置き)示唆→ドル円上昇
(d)12月0.25%利下げ示唆→ドル円下落

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

8:30 経済指標
日本毎月勤労統計(厚生労働省
現金給与総額(名目賃金):前回3.0%(改定)、予想3.0%、結果2.8%(×)
実質賃金:前回-0.6%、予想0.1%、結果-0.1%(△)
基本給が32年ぶり高い伸び、9月は2.6%増-日銀利上げ観測の支えに(Bloomberg

【考察】弱い数値。

8:52~要人発言
三村財務官
(過去の発言:10/110/710/18, 10/25, 11/7)
財務官「極めて高い緊張感を持って注視」、円安けん制のトーン強める(Bloomberg

【考察】強い円安牽制発言。しかしドル円下落から直ぐに全戻し

東京マーケット(9:00~15:00)

12:35 経済指標
日本10年国債入札(財務省
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
発行予定額:2兆6000億円程度
最高落札利回り:前回0.873%、結果1.002%(×)
応札倍率:前回3.53倍、結果3.13倍(×)
テール:前回2銭、結果4銭(×)

【考察】入札不調。

欧州マーケット(17:00~26:00)
NYマーケット(23:30~30:00)

21:00 経済指標
BOE金融政策委員会
政策金利:前回5.00%、予想4.75%、結果4.75%(○)
MPC議事要旨:インフレ懸念のタカ派内容

21:33~要人発言
英国ベイリーBOE総裁

英中銀、0.25ポイント利下げ-予算案はインフレ押し上げと警告(Bloomberg

22:30 経済指標
米国非農業部門労働生産性指数速報値
農業部門を除いたモノとサービスを生産する労働者の生産性を把握する指標。
前期比:前回2.5%(改定)、予想2.5%、結果2.2%(×)

米国単位労働コスト
前期比:前回0.4%(改定)、予想1.0%、結果1.9%(◎)

22:30 経済指標
米国新規失業保険申請件数
失業者が初めて申請した失業保険給付の申請件数を示す指標。失業率や非農業部門雇用者数の先行指標として注目されます。失業保険継続申請件数より注目度は高い。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回21.6万件(改定21.8)、予想22.2件、結果22.1万件(○)

米国失業保険継続申請件数
新規申請後に失業保険の申請を継続している人数を示す指標。
「予想より高い数値→ドル売り材料」、「予想より低い数値→ドル買い材料」
前回186.2万件(改定185.3)、予想187.3万件、結果189.2万件(×)

【考察】強弱混在。FOMC公表・パウエルFRB議長会見を控えたポジション調整と推測されるドル売り続きドル円急落継続。

25:23 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
Q4:前回2.4%、予想2.4%、結果2.5%(◎)

【考察】強い数値。

28:00 経済指標
米国FOMC公表
(発表日; 1/313/205/16/127/31, 9/18, 11/7, 12/18)
(Federal Open Market Committee)
①FRB政策金利:前回4.75-5.00%、予想4.50-4.75%、結果4.50-4.75%(○)
②FOMC声明:インフレ2%目標に向け進展、労働市場はおおむね緩和(Bloomberg

【考察】
発表前:FOMC公表・パウエルFRB議長会見を控えたポジション調整と推測される強いドル売りからドル円急落。直前152.97。
発表後:予想通り0.25%利下げ。直前までドル円急落続いたためか、Buy the factの動きで153.33へ上昇。

28:30~ 要人発言
米国パウエルFRB議長(Fed News & Events, Calendar
(発言:9/189/26, 9/30, 11/7)
:政策スタンスは中立。前回9/30タカ派発言
FOMC、連続利下げ-トランプ氏が辞任求めてもパウエル氏拒否(Bloomberg

【考察】警戒されていた米国トランプ大統領政策からのインフレ懸念に対するタカ派発言なく、労働市場減速懸念から利下げ継続姿勢のハト発言。但し、利下げペースはデータ次第。FOMC公表後のドル円上昇は全戻し下落となりました。

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値154.59
取引開始後はスワップ4倍デー狙いロング勢の決済や三村財務官の円安牽制発言を受けて日通し安値154.22を付けるも、前日のトランプトレード(株買い、債券売り、ドル買い)の影響を引き継いで日通し高値154.71へ急上昇。

しかし、本日最大の注目であるFOMC公表・パウエルFRB議長会見を控えたポジション調整の為か、トランプトレード巻き戻しのドル売り優勢となり、日通し安値153.94へ急落して引けました。

【日本市況】金利上昇、トランプ氏勝利で財政懸念-けん制で円安一服(Bloomberg

欧米マーケット:
欧州オープン後も、ポジション調整と推測されるトランプトレード巻き戻しのドル売りが続いて日通し安値152.86へ急落しました。

米国FOMC公表は予想通り0.25%利下げ。直前までドル円急落続いたためか、Buy the factの動きで153.33へ上昇。
パウエルFRB議長会見では、警戒されていた米国トランプ大統領政策からのインフレ懸念に対するタカ派発言なく、労働市場減速懸念から利下げ継続姿勢のハト発言。但し、利下げペースはデータ次第。
FOMC公表後のドル円上昇は全戻しとなり、日足安値152.69を付けて揉み合いで引けました。
日足終値152.91

【米国市況】S&P最高値、議長は利下げ休止示唆せず-152円台後半(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル売り優勢>
買い材料:
・トランプトレード(株買い、債券売り、ドル買い)
・米国アトランタ連銀GDP Now(強)

売り材料:
・トランプトレード巻き戻し
・米国パウエルFRB議長:労働市場減速からのハト派発言

<円買い優勢>
買い材料:
・三村財務官:円安牽制発言

売り材料:
・2024年6月調査想定為替レート上期144.96(日本銀行、短観)以上推移→日本企業業績改善・株上昇(円キャリー促進)
・構造的円売り(日米金融政策差[日本実質金利マイナスで金融緩和環境継続]、新NISA等海外投資急増、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足・パイロット不足・クレジットカード利用赤字によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利475-500→450-475bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回12月18日(水)公表:据え置き26.5%、25bps引き下げ73.5%、50bps引き下げ0.0%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利425~450bps相当

テクニカル分析

トレードシナリオと結果

  • 月足:11月陽線形成中。レンジ。BB+1σ付近。
  • 週足:11/4週、陽線形成中。上昇トレンド
  • 日足:11/6大陽線。上昇トレンド。BB+2σ付近
  • 4H足:上昇トレンド。
  • 1H足:上昇トレンド。
  • 15M足:レンジ。

【シナリオ】
①Long
(A)1H足押し安値154.051付近へ下落→転換上昇→目標日足高値154.700
(B)1H足押し安値153.547付近へ下落→転換上昇→目標1H足押し安値154.051

②Short
(C)1H足押し安値154.051かつ1H足20MAをダウ下落→目標1H足押し安値153.547
(D)1H足押し安値153.547をダウ下落→目標1H足押し安値ヒゲ先153.132

本日:1勝1敗、+21.8pips
11月通算:2勝3敗、勝率40.0%、RR2.03 、+24.9pips

(Trading View)

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