ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
1.経済指標
・米国住宅価格指数
・米国S&Pケースシラー住宅価格指数
・米国コンファレンスボード消費者信頼感指数
・米国JOLTS求人件数
2.要人発言
・政府円安牽制、利上げ発言:日銀会合ブラックアウト期間(7/28~7/31)
・FEDウォッチャー、WSJ紙のニック氏(Twitter):FRBブラックアウト期間(7/20~7/31)につき
3.その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・五十日仲値
・月末ロンドンフィックス
・米国主要企業決算(特にマイクロソフト)
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
4.参考情報
来週の円相場は下落か、日米金融政策決定後に円売り再開の可能性(Bloomberg)
【債券週間展望】日銀利上げでも長期金利上昇は限定か、一定織り込み(Bloomberg)
【日本株週間展望】値固め、日米金融政策発表後に買いも-円高は警戒(Bloomberg)
5.本日の注目材料
(1)前日マーケット影響
①7/26米国PCEデフレータ(対前回で弱)の影響継続→株上昇(円キャリー促進)→円売り
②7/26米国PCEデフレータ(対前回で弱)の影響継続→ドル売り
③日銀利上げ慎重判断報道(経済成長や個人消費などの経済指標が弱いにも関わらず利上げに前向きな当局者がいることで利上げ警戒感)→円買い
④7/31日銀会合やFOMC前の月末ポジション調整と推測→ユーロ売りドル買い
前日は材料交錯でしたが、④ドル買い、③円買いが強く、月末ポジション調整もしくは様子見から154.00付近での揉み合い展開となりました。
本日も、7/31の日銀会合やFOMCを控えてポジション調整もしくは様子見からドル円も方向性乏しい展開を想定します。
一方、上値155.00、下値152.00付近が堅く、4H足レベルのレンジ上限や下限付近に相当しますが、4H足レンジブレイクする材料として7/31日銀会合・FOMC公表が想定されますので、それまでは155.00付近へ上昇なら戻り売り、152.00付近へ下落なら押し目買いが優勢と考えます。
(a)上値:7/26日足高値154.74、切番155.00付近は円キャリー巻き戻しが意識
(b)下値:7/25日足安値151.94、月足・週足抵抗151.86、切番152.00付近は円キャリー促進が意識
(2)円安是正・利上げ発言の火消し
7/17に河野デジタル相が円安是正・利上げ発言が出た後、2日後の7/19に河野デジタル相から火消し発言と、鈴木財務相から河野デジタル相へ牽制発言がありました。この時は、巻き戻しのドル円上昇発生。
一方、7/22の茂木自民党幹事長の利上げ発言以降、本人火消しや鈴木財務相から苦言の牽制は出ていないことから、現状では7月日銀会合での利上げは既定路線だと判断できます。
しかしながら、連日日本株は下落しており、実際に日銀利上げとなれば更に株下落が懸念されることから、「茂木幹事長の火消し発言、鈴木財務相の茂木幹事長への牽制発言」が出る可能性はあります。発言有ればドル円上昇と考えます。
(3)米国経済指標
本日最大の注目は、米国JOLTS求人件数です。
最近の指標のインフレ鈍化・景気減速傾向を踏まえて基本は(c)(d)を想定します。
但し、4H足レベルのレンジ(上値155.00、下値152.00付近)は堅く、本日の指標では4H足レンジブレイクは難しいと推測します。
従って、指標発表前の4H足位置関係から、上げ余地や下げ余地の把握が必要と考えます。
(a)強い数値→初回9月利下げ期待織り込み剥落→巻き戻しのドル円上昇
(b)強い数値→リスクオフ株下落(円キャリー巻き戻し)ならドル円上げ止まりから下落
(c)弱い数値→初回7月利下げ・年内3回利下げ観測高進→ドル円下落
(d)弱い数値→リスクオン株上昇(円キャリー促進)→ドル円下げ止まりから上昇
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
9:55 五十日仲値
仲値に向けて実需勢のドル買い円売り、仲値通過後にドル売り円買いの傾向多いものの、逆の動きになることもあり。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
18:00 報道
日銀、国債買い入れ減額決定へ 市場は半減見込む(日本経済新聞)
【考察】市場予想である、2年後に3兆円まで減額と同様の報道でありサプライズなし。
22:00 経済指標
米国住宅価格指数
前月比:前回0.2%(改定0.3)、予想0.2%、結果0.0%(×)
22:00 経済指標
米国S&Pケースシラー住宅価格指数
前年比:前回7.20%(改定7.25)、予想6.7%、結果6.81%(○)
23:00 経済指標
米国コンファレンスボード消費者信頼感指数
米国ミシガン大学消費者信頼感指数と同様、経済活動全体に重要な役割を果たす個人消費に関する重要指標。
前回100.4(改定97.8)、予想99.9、結果100.3(◎)
23:00 経済指標
米国JOLTS求人件数(過去の発表日; 1/3, 1/30, 3/6, 4/2, 5/1, 6/4, 7/2, 7/30)
(Bureau of Labor Statistics)
前回814.0万件(改定823.0)、予想805.0万件、結果818.4万件(○)
米求人件数は減少も予想上回る、前月は上方修正-軟化傾向に逆行(Bloomberg)
【考察】
発表前:日足高値155.22から揉み合い下落
発表後:強い数値。同刻発表の米国コンファレンスボード消費者信頼感指数(強)も加わり上昇するも、直後の日銀追加の利上げ検討報道を受けてドル円急落継続。
23:43 報道
日銀 追加の利上げ検討へ 0.25%程度に引き上げる案など議論か(NHK)
【考察】市場予想0.1%利上げの約50%織り込みに対して、報道は0.15%利上げ(現状政策金利0.10%から0.25%へ引き上げ)だったことでドル円急落。
24:00~要人発言
三村新財務官、円安「デメリット目立つ」-為替介入の判断は総合的に(Bloomberg)
【考察】円安牽制発言。ドル円急落継続
24:00 月末ロンドンフィックス
前後の時間帯でポジション調整によって不規則な乱高下生じやすい。
25:09 報道
日銀が追加利上げ検討、0.25%程度への引き上げ議論へ=報道(時事通信)(Reuters)
【考察】直前のNHK報道と同じ
25:50 要人発言
イスラエル軍、ベイルートで攻撃と発表-ヒズボラ司令官が標的(Bloomberg)
【考察】地政学リスクオフ。安全資産米国債買い→ドル売り。リスクオフ円キャリー巻き戻し→円買い
26:00 報道
日銀が追加利上げ検討、0.25%に 量的引き締めも決定へ(日本経済新聞)
【考察】直前のNHK、時事通信報道と同じでサプライズなし。初動ドル円下落するも下げ止まり。0.15%利上げで政策金利0.25%はほぼ織り込み済みの様子。
29:03 米国主要企業決算
マイクロソフト
売上高:前回618.6億ドル、予想645.2億ドル、結果647.0億ドル(◎)
EPS:前回2.94ドル、予想2.90ドル、結果2.95ドル(◎)
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値153.96
①前日NY後半の154.00付近での揉み合いを嫌ったロング勢決済(推測)→ドル売り円買い
②五十日仲値に向けたドル調達需要(日本実需勢、新NISA等の米国投資目的)→ドル買い円売り
③日本株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
④7/31日銀利上げ観測後退(市場利上げ予想:50%未満)→日本国債利回り急落(<1.00%)、日本株上昇(円キャリー促進)→円売り
⑤月末ポジション調整(推測)→円売り
取引開始直後から東京オープン直後は、①,③のためか日通し安値153.62へ下落。
その後、東京序盤は揉み合うも、②,④,⑤が優勢となり一気に切り返して日通し・東京高値154.77へ急上昇。結果として7/26米PCEデフレーター(対前回弱)を受けた154.49から下落が全戻しになりました。
東京終値154.67
【日本市況】長期金利低下、日銀利上げ観測が後退-円安、株下げ渋り(Bloomberg)
欧米マーケット:
⑤-1 月末ポジション調整(推測)→円売り
⑤-2 月末ポジション調整(推測)→欧州通貨(ポンド、ユーロ)売り・円買い
⑥欧州株上昇(円キャリー促進)→円売り
⑦7/31日銀利上げ警戒(円キャリー巻き戻し)→円買い
⑧米国コンファレンスボード消費者信頼感指数、米国JOLTS求人件数(強)→ドル買い
⑨日銀 追加の利上げ検討へ 0.25%程度報道→円買い
⑩三村新財務官の円安牽制発言→円買い
⑪日銀政策修正観測→日本株先物、米国株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
⑫中東地政学リスクオフ→日本株先物、米国株下落(円キャリー巻き戻し)→円買い
⑬中東地政学リスクオフ→安全資産米国債買い→ドル売り
欧州オープン後も、東京の流れを引き継ぎ④,⑤-1,⑥によって、155円台乗せの日足高値155.22へ上昇。
しかし、切番155.00や4H足戻り高値154.86付近は、⑦も交錯してもみ合い。
NYオープン後、4H足上昇トレンドライン、BB+1σかつダウ安値154.35へ下押しのタイミングで、⑧を受けて154.66へ上昇するも、立て続けの⑨,⑩から⑪につれてドル円急落。
更に⑤-2, ⑫,⑬が生じて引けに掛けてドル円下落継続し、日足安値152.65を付けました。
日足終値152.76
【米国市況】大型株に売り、戦争懸念で国債に買い-ドルは152円台(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売り優勢>
買い材料:
・五十日仲値に向けたドル調達需要(日本実需勢、新NISA等の米国投資目的)
・米国コンファレンスボード消費者信頼感指数、米国JOLTS求人件数(強)
売り材料:
・中東地政学リスクオフ→安全資産米国債買い
<円買い優勢>
買い材料:
・7/31日銀利上げ警戒(円キャリー巻き戻し)、日本株下落(円キャリー巻き戻し)
・日銀 追加の利上げ検討へ 0.25%程度報道→日本株先物、米国株下落(円キャリー巻き戻し)
・三村新財務官の円安牽制発言
・中東地政学リスクオフ→日本株先物、米国株下落(円キャリー巻き戻し)
・月末ポジション調整(推測)
売り材料:
・7/31日銀利上げ観測後退(市場利上げ予想:50%未満)→日本国債利回り急落(<1.00%)→日本株、欧州株上昇(円キャリー促進)
・月末ポジション調整(推測)
・恒常的円売り(日米金融政策差、新NISA等海外投資急増[特に夏ボーナス買い]、デジタル赤字増加等、骨太方針の家計支援で財政支出増)
・その他円売り(自動車認証不正問題、航空燃料不足によるインバウンド関連の旅行収支悪化懸念)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回7月31日公表:据え置き94.8→95.9%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ89.6→87.7%
年内利下げ観測:25bps×3回=75bps → 政策金利450~475bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:7月陰線形成中。上昇トレンド。ダウ高値151.86付近から反発上昇
- 週足:7/29週、陽線形成中。レンジ。押し安値ヒゲ先151.86到達から反発上昇
- 日足:7/26陽線。下降トレンド。
- 4H足:レンジ。
- 1H足:レンジ。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)日足高値154.354をダウ上昇→1H足レンジ高値154.614
(B)4H足レンジ安値152.614付近へ下落→転換上昇→目標日足安値153.014
②Short
(C)1H足レンジ安値153.337をダウ下落→目標日足安値153.014
(D)日足安値153.014をダウ下落→目標4H足レンジ安値152.614
7月通算:17勝9敗、勝率65.4%、+289.3pips
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