ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)経済指標
・日本10年国債入札
・米国JOLTS求人件数
・米国製造業新規受注
・米国耐久財受注確報値
(2)要人発言
・植田日銀総裁(参議院財政金融委員会)
・FEDウォッチャーであるWSJ紙のニック氏(Twitter):FRBブラックアウト期間(6/1~6/13)につき。
(3)その他
・TOM効果:株式投資の月末安・月初高アノマリー。期間は営業日ベースでの月末3日間程度、月初3日間程度。月末の損益確定、毎月一定額を積み立てる投資信託などの購入が月末・月初に集中する傾向があります。「株買い→円売り材料」、「株売り→円買い材料」の傾向。
特に2024年1月から新NISAが始まり全世界株への資金流入が一気に進んでおり、「株買い→円売り→ドル円上昇」しやすいと推測されます。
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)
来週のドル・円、米雇用統計に向け強含みか-157円台なら介入警戒も(Bloomberg)
【日本株週間展望】足踏み続く、国内外の金融政策の方向性を見極め(Bloomberg)
本日の注目材料は3点。
①6/3(月)米国ISM製造業景気指数・仕入価格・新規受注(弱)の影響継続
ドル円下落スタートしやすいですが、インフレ懸念後退を好感したリスクオン日本株上昇が支えとなりドル円上昇に転じる可能性も高いと考えます。従って、米国債利回りと日本株の動きに要注目。
②植田日銀総裁発言(参議院財政金融委員会)
6/14(金)日銀金融政策決定会合を控えて、最近のタカ派発言を繰り返すのか、ハト派発言への転換になるか注目したい。
「タカ派発言、円安牽制発言→ドル円下落」、「ハト派発言→ドル円上昇」がセオリーですが、従来通りなら大きな動きにはなりにくく、サプライズの強い表現出れば大き目の動きが生じると想定します。
③米国経済指標
本日最大の注目は米国JOLTS求人件数です。
「強い数値→ドル円上昇」、「弱い数値→ドル円下落」の素直な動きを想定します。
マーケット動向
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
東京マーケット(9:00~15:00)
9:48~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:5/3, 5/8, 5/9, 5/10, 5/14, 5/21, 5/24, 5/28, 5/31, 6/4)
:前回5/31円安牽制発言
為替介入に一定の効果、過度な変動に対応するため実施-財務相(Bloomberg)
【考察】為替介入効果強調、円安牽制発言。効果なくドル円上昇継続。
10:41 報道
骨太方針で円安影響に言及へ、「家計購買力」への波及懸念=政府筋(Reuters)
【考察】円安牽制発言。報道をきっかけにドル円下落。
11:26~要人発言
植田日銀総裁(参議院財政金融委員会)
(過去の発言:5/7, 5/8, 5/9, 5/17, 5/23, 5/25, 5/27, 6/4)
:前回5/27ハト派発言
長期金利は今後も市場形成が基本、急騰なら機動的オペ-植田日銀総裁(Bloomberg)
【考察】長期金利上昇容認のタカ派発言、国債買入オペ継続のハト派発言。タカ派発言が材料視されドル円下落。
12:35 経済指標
日本10年国債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回0.862%、結果1.051%(×)
応札倍率:前回3.15倍、結果3.66倍(◎)
テール:前回5銭、結果2銭(◎)
【考察】総じて入札好調。ドル円反応薄。
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
15:32~要人発言
氷見野日銀副総裁
(過去の発言:12/6, 6/4)
国債買い入れ、非連続・不測の変化避けるべき=氷見野日銀副総裁(Reuters)
円上伸、対ドルで一時155円21銭-円安は幅広い影響と日銀副総裁(Bloomberg)
【考察】円安牽制発言。ドル円下落継続。
18:20 報道
日銀、早ければ今月会合で国債購入減額を具体的に検討も-関係者(Bloomberg)
【考察】早期政策修正観測。ドル円下落継続。
23:00 経済指標
米国耐久財受注確報値:設備投資の先行指標
前月比:前回0.7%(改定)、予想0.7%、結果0.6%(×)
コア前月比:前回0.4%(改定-)、予想0.4%、結果0.4%(○)
23:00 経済指標
米国製造業新規受注
前月比:前回1.6%(改定0.8)、予想0.7%、結果0.6%(×)
23:00 経済指標
米国JOLTS求人件数(過去の発表日; 5/31, 7/6, 8/1, 8/29, 10/3, 11/1, 12/5, 1/3, 1/30, 3/6, 4/2, 5/1, 6/4)
(Bureau of Labor Statistics)
前回848.8万件(改定835.5)、予想831.5万件、結果805.9万件(×)
米求人件数、3年ぶりの低水準-労働市場の緩やかな減速と整合(Bloomberg)
【考察】
発表前:氷見野日銀副総裁の円安牽制発言、日銀6月会合での国債購入減額検討報道を受けてドル円下落から揉み合い。
発表後:弱い数値。同刻発表の米国製造業新規受注(弱)も加わり。日足安値154.55へ下落するも揉み合い継続。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値156.08
取引開始直後、前日ドル円急落を安値でドルを買える好機と見た実需勢、切番156.00からの押し目買い勢参入、TOM効果(特に新NISAによる米国株購入と推測)により日足・東京高値156.49へ上昇。仲値付近では鈴木財務相の為替介入効果強調・円安牽制発言有るも効果なく上昇継続。
しかし、6/3(月)米国ISM製造業景気指数(×)・仕入価格(×)・新規受注(×)の影響継続、自動車認証不正問題を受けたリスクオフ株下落、日本政府の骨太方針で円安影響に言及報道、植田日銀総裁のタカ派発言に連れてドル円下落。
東京クローズ直後には、前日日足安値155.95を下抜けて日通し安値155.81を付けました。
前日同様、東京マーケットからドル円下落の流れ。メキシコ大統領選挙やインド総選挙を受けた政情不安地政学リスクオフの影響との見方もある様子。
【日本市況】長期金利1週間ぶり低水準、10年債入札無難-株式は反落(Bloomberg)
欧米マーケット:
欧州オープン直前の氷見野日銀副総裁の円安牽制発言、加えてリスクオフ欧州株下落、日銀6月会合での国債購入減額検討報道を受けて日通し安値154.70(日足押し安値154.86付近)へ急落。
注目の米国JOLTS(×)に加え、米国製造業新規受注・米国耐久財受注確報値(×)を受け日足安値154.55へ下落。
一時的に、米国経済指標(×)を受けた米利下げ期待由来のリスクオン株上昇も発生し、155.25へ急反発あるも、戻り売りに押されて揉み合いとなり引けました。
日足終値154.90
【米国市況】国債利回り低下、円は一時154円55銭-米利下げ観測広がる(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル売買交錯>
買い材料:
売り材料:
・6/3米国ISM製造業:景気指数(×)、仕入価格(×)、新規受注(×)の影響継続
・米国JOLTS、米国製造業新規受注、米国耐久財受注確報値(×)→米株下落
・原油先物価格下落→インフレ懸念後退
<円買い優勢>
買い材料:
・6/3米国ISM製造業:景気指数(×)、仕入価格(×)、新規受注(×)の影響継続→米国景気後退懸念→リスクオフ株下落
・自動車認証不正、経済への悪影響懸念 取引企業5万社超(日本経済新聞)→リスクオフ株下落
・鈴木財務相の為替介入効果強調、円安牽制発言
・植田日銀総裁のタカ派発言
・日本政府、骨太方針で円安影響に言及報道
・氷見野日銀副総裁の円安牽制発言
・日銀6月会合、国債購入減額検討報道
・米国JOLTS、米国製造業新規受注、米国耐久財受注確報値(×)→リスクオフ米株下落
・メキシコ大統領選挙、インド総選挙→政情不安地政学リスクオフ
インド株や通貨ルピー急落-与党連合リードも圧勝困難な情勢(Bloomberg)
メキシコ・ペソ、3%超える下げ-左派与党の選挙圧勝で不安台頭(Bloomberg)
・原油先物価格下落→日本貿易収支改善
売り材料:
・6/3米国ISM製造業:景気指数(×)、仕入価格(×)、新規受注(×)の影響継続→米国債利回り低下→日本国債利回り低下波及
・植田日銀総裁のハト派発言
・日本10年国債入札(◎)
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回6月12日公表:据え置き99.7%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ54.9%
年内利下げ観測:25bps×2回=50bps → 政策金利475~500bps相当
テクニカル分析
Trade
- 月足:6月陰線形成中。上昇トレンド。
- 週足:6/3週、陰線形成中。上昇トレンド。
- 日足:6/3陰線。レンジ
- 4H足:下降トレンド。
- 1H足:下降トレンド。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①Long
(A)1H足ダウ高値156.282かつ1H足20MAをダウ上昇→目標4H足押し安値156.642
(B)4H足押し安値155.620付近へ下落→転換上昇→目標日足安値155.950
②Short
(C)1H足ダウ安値156.036をダウ下落→目標4H足押し安値155.620
6月通算:3勝2敗、勝率60.0%、+56.2pips
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