ファンダメンタルズ分析
本日のシナリオ
<注目材料>
(1)5/7の欧米マーケット影響
欧州オープン直後、日足20MA付近からはロング勢決済や戻り売りは続き、更に植田日銀総裁の首相官邸入り報道を受けて153.97へ再び下押し。岸田首相と植田日銀総裁の会談後、植田日銀総裁ら円安牽制発言は出ましたが、警戒されるような内容はなく安心感から押し目買いが入り、日足20MA付近154.63へ再上昇。
NYマーケットに入ると、米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のタカ派発言を受けて日足高値154.75へ上昇。
日足終値154.69
総じて、政府・日銀為替介入懸念後退で上値を伸ばしましたが、それでも切番155.00付近での警戒感は強くチャネル状に上昇継続。
(2)経済指標
・日本10年国債入札
・米国10年債入札
(3)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FRB要人
(4)その他
・中東地政学リスクオフ
来週のドル・円は上値の重い展開か、低流動性下での介入リスクに警戒(Bloomberg)
【債券週間展望】長期金利に上昇圧力、日銀のオペと主な意見に注目(Bloomberg)
本日の注目材料は4点。
①政府・日銀為替介入観測
4/29に続き、5/1も政府・日銀為替介入観測発生しました。しかし、5/4には米国イエレン財務長官より強い為替介入牽制発言(前回4/25牽制発言)が出ました。5/6, 5/7はこの発言を受けてか介入警戒後退し強い円売り発生。政府・日銀から円安牽制発言が出そうですが実介入なければ押し目買いの好機になりやすいと考えます。
米財務長官、為替介入「まれであるべきだ」-慎重姿勢示す(Bloomberg)
②5/3米雇用統計(弱)の影響継続
5/6, 5/6はソフトランディング期待を材料視したリスクオン株上昇で終えました。引き続きリスクオン連れた円売り主導のドル円上昇を想定します。
③米国FRB要人発言
5/3米国雇用統計(弱)を受けてもFRB要人タカ派発言相次いでおり、本日もタカ派発言を想定。下押ししたタイミングでのタカ派発言であれば押し目買いの好機と推測します。
④中東、ウクライナ、ロシア地政学リスクオフ
各地域で軍事行動が活発化。特にイスラエルを巡る中東地政学リスクオフに関するヘッドラインに注視したい。
原油先物価格上昇、安全資産米国債買い、リスクオフ円買い材料交錯しますが、基本的には原油先物価格上昇によりドル円上昇しやすい。
戦闘激化となれば一時的に強いリスクオフに伴うドル円急落に警戒必要ですが、この場合でも押し目買いの機会になりやすいと推測します。
総じて、政府・日銀の強い円安牽制や実為替介入もしくは確度の高い追加利上げ観測報道以外にドル円下落の材料に乏しく、ドル円上昇優勢と考えます。
マーケットの動き
経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)
東京マーケット前
8:50~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:3/5, 3/7, 3/8, 3/12, 3/15, 3/19, 3/21, 3/22, 3/26, 3/27, 3/29, 4/1, 4/2, 4/4, 4/5, 4/9, 4/11, 4/12, 4/15, 4/16, 4/17, 4/18, 4/19, 4/23, 4/25, 4/26, 5/3, 5/8)
:前回5/3為替介入有無コメントなし。円安牽制発言。
引き続き為替動向を注視、万全な対応取る=鈴木財務相(Reuters)
【考察】円安牽制発言。
東京マーケット(9:00~15:00)
9:12~要人発言
植田日銀総裁
(過去の発言:2/6, 2/9, 2/16, 2/22, 2/29, 3/5, 3/7, 3/12, 3/13, 3/19, 3/21, 3/22, 3/27, 4/4, 4/5, 4/8, 4/9, 4/10, 4/18, 4/23, 4/26,5/7, 5/8)
:前回5/7円安牽制発言。
為替動向次第で金融政策対応が必要、円安けん制強める-日銀総裁(Bloomberg)
【考察】鈴木財務相に続けて円安牽制発言。一瞬154.60へ下落するも押し目買い材料となり即全戻し。口先だけで頻繁に為替介入はできないと見透かされた動き。
10:41 要人発言
植田日銀総裁
「円安、これまでのところは基調的物価に大きな影響ない」
円は155円台前半に下落、植田日銀総裁の発言受けて一段安の展開に(Bloomberg)
【考察】事実ではあるものの、市場は円安容認発言と判断。ドル円上昇中にも関わらず円安牽制なかったことで、円売り加速して一気に155円台乗せ。
12:35 経済指標
日本10年国債入札(財務省)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→円売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→円買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→円買い」や「入札通過→Sell the fact円売り」が生じることもあります。
最高落札利回り:前回0.755%、結果0.862%(×)
応札倍率:前回3.80倍、結果3.15倍(×)
テール:前回2銭、結果5銭(×)
【考察】総じて弱い数値
欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)
17:35~要人発言
植田日銀総裁
物価見通しの上振れリスク大きくなれば「金利早めに調整」-日銀総裁(Bloomberg)
【考察】円安牽制発言。一瞬155.21へ下押しするも、午前中のドル円急騰を受けて焦りを受けただけと見透かされ即全戻し。
21:52 報道
政府・日銀、2回の為替介入実施が判明(テレ東BIZ)
【考察】介入観測通りでサプライズなしでしたが、警戒感高まりドル円下落。
24:45~要人発言
米国コリンズ・ボストン連銀総裁(2024年FOMC投票権なし)
(過去の発言:2/7, 2/8, 2/28, 4/5, 4/11, 4/12, 5/8)
:政策スタンスは中立。前回4/12タカ派発言
米ボストン連銀総裁、インフレ2%目標達成には一段の時間要する公算(Bloomberg)
【考察】タカ派発言。
26:00 経済指標
米国10年債入札(Upcoming Auctions)
「最高落札利回り低い、応札倍率高い、テールが短い→入札好調→国債価格上昇→利回り低下→ドル売り材料」
「最高落札利回り高い、応札倍率低い、テールが長い→入札不調→国債価格低下→利回り上昇→ドル買い材料」
「国債入札→市場へ国債供給イベント→国債価格下落→利回り上昇」にもなりやすいことから、「入札前から織り込み→利回り上昇→ドル買い」や「入札通過→Sell the factドル売り」が生じることもあります。
発行額(Offering Amount):420億ドル
最高落札利回り(High Yield):前回4.560%、結果4.483%(◎)
応札倍率(Bid to Cover Ratio, 応札額/発行額):前回2.34倍、結果2.49倍(◎)
外国中銀など間接入札者の落札比率(Indirect Bidder):前回61.8%、結果65.5%(◎)
テール(Bid利回りと落札利回りの差):前回+3.1bps、結果+1.0bps(◎)
【考察】入札好調。
26:30~要人発言
米国クックFRB理事
(過去の発言:2/23, 3/25, 4/2, 5/8)
:政策スタンスは中立。前回4/2金融政策に関するコメントなし。
プライベートクレジット、金融システムを損ねていない-FRB理事(Bloomberg)
【考察】経済見通しや金融政策についてはコメントなし。
<まとめ>
東京マーケット:
日足始値154.69
取引開始直後、日足安値154.58を付けると、前日5/7米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のタカ派発言の影響継続、仲値に向けた実需筋買い観測から上昇へ転換。鈴木財務相・植田日銀総裁から円安牽制発言あるも、口先だけで頻繁に為替介入はできないと見透かされて押し目買い材料となり上昇。それどころか、ドル円上昇中にも関わらず植田日銀総裁から事実上の円安容認発言が出され、一気に円売り加速して155円台乗せ。一気に155円台乗せて東京高値155.27へ急上昇。
前日のFRB要人タカ派発言を受けた米国債利回り上昇を嫌気した日本株下落リスクオフも生じましたが強烈な円売りの前では影響見られず。
その後、日本10年国債入札(弱)を受けて東京引けに掛けて揉み合い。
欧米マーケット:
今週5/6,5/7の傾向は欧州オープン前から序盤に掛けてドル円下落でしたが、本日は上昇継続。
欧州序盤に植田日銀総裁から火消しの円安牽制発言があり一瞬155.21へ下押しするも、午前中のドル円急騰を受けて焦りを受けただけと見透かされ即全戻しから日通し高値更新155.685到達。
直後に政府・日銀、2回の為替介入実施判明報道。観測通りでサプライズなしですが、警戒感は高まり一時下落するも米国コリンズ・ボストン連銀総裁のタカ派発言を受けて全戻し。
日足終値155.53
【米国市況】円売り継続、155円台後半に下落-S&P500種は失速(Bloomberg)
ファンダメンタルズ材料とドル円の関係
通貨強弱
<ドル買い優勢>
買い材料:
・前日5/7米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のタカ派発言の影響継続
・仲値に向けた実需筋買い観測
・米国コリンズ・ボストン連銀総裁のタカ派発言
・原油先物価格上昇
売り材料:
・米国10年債入札好調
<円売り優勢>
買い材料:
・前日5/7米国カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁のタカ派発言の影響継続→日本株下落リスクオフ
・鈴木財務相、植田日銀総裁の円安牽制発言
・日本10年国債入札(弱)
・政府・日銀、2回の為替介入実施判明報道
売り材料:
・植田日銀総裁の円安容認発言
・原油先物価格上昇
政策金利市場織り込み
現行FRB政策金利525~550bps
2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool)
次回6月12日公表:据え置き91.3%
初回利下げ観測9月18日公表:25bp引き下げ48.9%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当
テクニカル分析
トレード
- 月足:5月陰線形成中。上昇トレンド。
- 週足:5/6週、陽線形成中。上昇トレンド。
- 日足:5/7陽線。レンジ
- 4H足:レンジ。
- 1H足:上昇チャネル。
- 15M足:レンジ。
【シナリオ】
①ロング
(A)1H足チャネル下限かつ1H足20MA付近へ下落→転換上昇→目標切番155.000
(B)日足安値153.864付近へ下落→転換上昇→目標日足高値154.749
②ショート
(C)1H足チャネル下限かつ1H足20MAをダウ下落→目標日足安値153.864
5月通算:3勝1敗、勝率75.0%、+169.6pips
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