2024年6月7日(金)ドル円戦略と結果

ドル円戦略

ファンダメンタルズ分析

本日のシナリオ

<注目材料>

(1)経済指標
・日銀、国債買入オペ通知
・米国雇用統計
・米国アトランタ連銀GDP Now

(2)要人発言
・政府日銀円安牽制
・FEDウォッチャーであるWSJ紙のニック氏(Twitter):FRBブラックアウト期間(6/1~6/13)につき。

(3)その他
・日銀会合関連リーク報道
・IMM通貨先物ポジション
・地政学リスクオフ(中東、ウクライナ・ロシア、台中)

本日の注目材料は3点。

①日銀、国債買入オペ通知
5/7(火)据え置き→ドル円急上昇
5/13(月)減額(円安対応観測)→ドル円急落から全戻し上昇
5/17(金)据え置き→5/13に続いて減額警戒感のなか、据え置きだったことで安心感の強い円売り発生しドル円急上昇
5/23(木)据え置き→織り込み済みだったためか上昇続かず、台中地政学リスクオフも交錯し、Sell the factの様な動きで下落。
5/31(金)据え置き→初動上昇。しかし、5/23(木)据え置き発表同様、織り込み済みだったためか、Sell the factで下落しました。買入オペ据え置きによるリスクオン日本株上昇に支えられると揉み合いから再上昇。

6/5(木)植田日銀総裁から国債買入減額発言が出たことで、以下の様な動きを想定します。
(1)オペ減額:植田日銀総裁の発言通りとなるため反応薄の見込みですが、サプライズの減額が示されたらドル円下落。

(2)据え置き:植田日銀総裁の発言と反することからサプライズのドル円上昇。但し、直近5/23、5/31は据え置きにも関わらず、初動ドル円上昇後は下落や揉み合いとなっており、今回も乱高下に終始するかも知れません。

②日銀早期金融政策正常化観測、政府・日銀為替介入観測
政府・日銀為替介入が実施される可能性低いですが、再び156円台に乗ったことで円安牽制発言が想定されます。
また、6/4(火)には日本政府の骨太方針で円安影響に言及報道、日銀6月会合での国債購入減額検討報道が出ており、6/14(金)日銀会合を控えて引き続き日銀早期金融政策正常化観測に関する要人発言やリーク報道のヘッドラインが想定されます。
但し、サプライズの内容でなければ下落が生じても押し目買い機会になると考えます。

②米国雇用統計
直近3回のドル円動き。
3/8(金):総じて弱い数値。
初動非農業部門雇用者数の強い数値から147.50へ上振れるも、日足安値146.48へ急落。しかし、株上昇リスクオンと米国イエレン財務長官のタカ派発言につれてほぼ全戻し。

4/5(金):全て強い数値(特にNFPは2022年5月以来の強さでサプライズ)。
日足高値151.75へ上昇するも、政府・日銀為替介入警戒から152円台乗せならず失速。米国FRB要人タカ派発言受けて引けに掛けて揉み合い。

5/3(金):全て弱い数値のサプライズ。
初動日足安値151.86へ急落。しかし、週足や日足ダウ高値151.84付近からの押し目買い強く、インフレ低下を好感したリスクオン株上昇、米国PMI確報値(強)、米国ISM非製造業仕入価格(強)、米国FRB要人タカ派発言を受けて上昇。

直近3回は、初動ヘッドライン通りに動くも強いトレンド発生の材料になれず大きな戻しや揉み合い。今回も余程のサプライズがない限り、初動以外は一方通行の動きになりにくいと想定します。

マーケット動向

経済指標評価
(前回かつ予想より良い:◎、予想以上:〇、予想より悪い:△、前回かつ予想より悪い:×)

東京マーケット前

東京マーケット(9:00~15:00)

9:19~要人発言
鈴木財務相
(過去の発言:5/35/85/95/105/145/215/245/28, 5/31, 6/4, 6/7)
:前回6/4為替介入効果強調、円安牽制発言
為替介入原資「コメント控える」、米国債売却観測で=鈴木財務相(Reuters

【考察】円安牽制発言。ドル円上昇止まり下落。

10:10 経済指標
日銀、国債買入オペ通知(日本銀行
(発表日:5/75/135/175/23, 5/31, 6/7, 6/12, 6/18, 6/24, 6/28)
1年以下:前回1500億円、結果1500億円(○)
1~3年債:前回3750億円、結果3750億円(○)
5~10年債:前回4250億円、結果4250億円(○)
10~25年債:前回1500億円、結果1500億円(○)

【考察】
発表前:据え置き期待の織り込み上昇と鈴木財務相の円安牽制発言交錯し乱高下。直前155.89。
発表後:据え置き。初動日通し高値155.94を付けてからは下落。5/23(木)、5/31(金)同様に織り込み済みでSell the factの様な動きの下落。

欧州マーケット(16:00~25:00)
NYマーケット(22:30~29:00)

21:30 経済指標
米国雇用統計
(過去の発表日;6/27/78/49/110/611/312/81/52/23/84/5, 5/3, 6/7)
FRBの金融政策に大きな影響を与える重要経済指標。
非農業部門雇用者数(NFP):前回17.5万人(改定16.5)、予想19.0万人、結果27.2万人(◎)
失業率:前回3.9%(改定)、予想3.9%、結果4.0%(×)
平均時給
前月比:前回0.2%(改定)、予想0.3%、結果0.4%(◎)
前年比:前回3.9%(改定4.0)、予想4.0%、結果4.1%(◎)
米雇用者数は大幅な増加、賃金伸び加速-米利下げの予想後ずれ(Bloomberg

【考察】
発表前:揉み合い。直前155.53。
発表後:総じて強い数値のサプライズ。
同週の米国雇用やコスト関連指標において、
6/3米国ISM製造業仕入価格(弱)、
6/4米国JOLTS求人件数(弱)、
6/5米国ADP雇用者・ISM非製造業仕入価格・雇用(弱)
6/6米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数・非農業部門労働生産性指数・単位労働コスト確報値(弱)
と総じて弱い数値が続いており、雇用統計(弱)織り込みもあったことからショート勢損切巻き込み発生しドル円急騰し、日足高値157.08付け(上昇幅=157.08-155.53=1.55)。
一気に切番157.00へ到達したことで戻り売りも入り、日足レンジ高値156.43(約42%戻し)へ下押しから引けに掛けて揉み合い。

24:35 経済指標
米国アトランタ連銀GDP Now(US Atlanta Fed)(Investing.com
米国アトランタ連銀が各種経済指標を基に算出した米国実質GDPの先行指標です。比較的精度が高いことから市場の注目度が上がっています。
(発表日; 5/245/316/3, 6/6, 6/7, 6/18)
Q2:前回2.6%、予想2.6%、結果3.1%(◎)

【考察】強い数値。ドル円小幅上昇

28:30 経済指標
IMM通貨先物6/4時点(ポジション推移
円ショート縮小

【考察】ドル円小幅上昇

<まとめ>
東京マーケット:
日足始値155.62
取引開始直後に155.56を付けてからは、日銀国債買入オペ据え置き期待の織り込みから上昇。
東京オープン直後に155.85を付けたタイミングで、鈴木財務相の円安牽制発言を受けて155.58へ急落。
日銀国債買入オペ通知は据え置き。初動日通し高値155.94を付けてからは下落。5/23(木)、5/31(金)同様に織り込み済みでSell the factの様な動きとなり、6/6(木)米国経済指標(弱)やECB理事会利下げの波及継続も重なりドル売り主導で東京安値155.54へ下落しました。

【日本市況】債券下落、米雇用統計控えて円は午後上昇-株式は小幅安(Bloomberg

欧米マーケット:
東京マーケット後の流れを引き継ぎ、更にリスクオフ欧州株下落を受けて欧州オープン後には、日足安値155.12へ急落。しかし米国雇用統計が余程のサプライズない限り、強弱いずれでもリスクオン円売りがドル円を支えるとの見方もあり(「数値強→米国好景気期待→株上昇」、「数値弱→FRB早期利下げ観測→米国債利回り低下→株上昇」)、1H足レンジ安値155.12かつ前日安値155.36付近での押し目買いも交錯し揉み合いながら上昇。

注目の米国雇用統計は総じて強い数値のサプライズ。
今週の米国雇用やコスト関連指標において、
6/3米国ISM製造業仕入価格(弱)、
6/4米国JOLTS求人件数(弱)、
6/5米国ADP雇用者・ISM非製造業仕入価格・雇用(弱)
6/6米国新規失業保険申請件数・失業保険継続申請件数・非農業部門労働生産性指数・単位労働コスト確報値(弱)
と弱い数値が相次いだことで、雇用統計(弱)織り込みもあったことからショート勢損切巻き込み発生し、日足高値157.08へ急騰。
一気に切番157.00へ到達したことで戻り売りも入り、日足レンジ高値156.43(約42%戻し)へ下押しから引けに掛けて揉み合い。
日足終値156.77

【米国市況】米国債利回り急伸、利下げ期待後退-ドル一時157円8銭(Bloomberg

ファンダメンタルズ材料とドル円の関係

(Trading View)

通貨強弱

<ドル買い優勢>
買い材料:
・米国雇用統計:NFP(強)、平均時給(強)
・米国アトランタ連銀GDP Now(強)

売り材料:
・6/6(木)米国新規失業保険申請件数、失業保険継続申請件数、米国非農業部門労働生産性指数、単位労働コスト確報値(弱)の影響継続
・6/6(木)ECB理事会利下げの波及継続
・米国雇用統計:失業率(弱)

<円売買交錯>
買い材料:
・鈴木財務相の円安牽制発言
・円安が物価に与える影響、政府・日銀は十分注視を-新資本主義改訂案(Bloomberg
・IMM通貨先物6/4時点円ショート縮小

売り材料:
・日銀、国債買入オペ通知据え置き

Currency Strength Chart

政策金利市場織り込み

現行FRB政策金利525~550bps

2024年FOMC市場織り込み(CME FedWatch Tool
次回6月12日公表:据え置き99.4%
初回利下げ観測11月7日公表:25bp引き下げ47.4%
年内利下げ観測:25bps×1回=25bps → 政策金利500~525bps相当

テクニカル分析

Trade

  • 月足:6月陰線形成中。上昇トレンド。
  • 週足:6/3週、陰線形成中。上昇トレンド。
  • 日足:6/5陰線コマ足。レンジ
  • 4H足:レンジ。
  • 1H足:レンジ。
  • 15M足:下降トレンド。

【シナリオ】
①Long
(A)4H足レンジ安値155.645をダウ上昇→目標日足ダウ高値156.104
(B)日足高値156.448をダウ上昇→目標日足ダウ安値156.799

②Short
(C)日足安値155.356をダウ下落→目標日足レンジ安値154.892

6月通算:5勝4敗、勝率55.6%、+61.2pips

(Trading View)

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